Photo by かんと氏
「そして三八万キロはなれたところに、もう一つの足跡がある。そこは人類が楽観的な気分になったときに『静の海』と名づけた、平らな乾いた平原である。その足跡は、地球以外の世界を歩いた最初の人間が残したものである。
私たちは、はるかな歳月を越えてきた。三六0万年の昔から、そして四六億年前から、さらに百五0億年も前の大昔から・・・・・・。」
(朝日新聞社刊/カール・セーガン著「コスモス」より)
「360万年の昔」は人類の祖先がこの地上に現れたとき、「46億年前」は太陽系が形成された時期、そして「150億年も前」とはこの宇宙が誕生したとされる遙かな遠い過去である(ただし現在では、宇宙の誕生は138億年前と修正されている)。
数字は巨大過ぎて、何も語ってくれそうもない。ただ、そういう捉えようもない数字や時間を思い浮かべて星空を眺めていれば、ますます知られざる宇宙への関心が強まり、広大無辺の世界に旅したくなる。
一昨夜、かんと氏が月に望遠鏡を向け、覗いてみろと言ってくれた。肉眼派であることは再三ここでも書いたが、そんな者がいまさら月なぞをわざわざ望遠鏡で見るまでもないと思いながらも、言われる通りにした。
驚いた。まだ夜の帳(とばり)が完全に下りる前の、インディゴ・ブルーの闇を上方に残して、巨大な銀色に輝く月が視界を覆っていた。無機的な月にもまして、その背後のにある無窮の宇宙の底知れぬ深さが、黒色に近い濃紺の真空から感ずることができた。月は虚空にあって、闇と光の絶妙な対比を見せながら浮いていた。
望遠鏡を入手して以来いくつかの惑星を見ることができたが、思いもよらぬその時が、正に月も含めて暗黒の宇宙との最も感動的な対面であったと言える。
夜になると、用もない無粋な雲が出てきて邪魔をする。当分好天を期待できぬまま、夏の季節は身を小さくし、隠れるように去っていくようだ。
A夫さんには、明日ご返事したいと思います。
テント場はまだ充分に余裕があります。
山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては、カテゴリー別の「H28年度の営業案内」をご覧ください。