入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’16年「初秋」 (7) 

2016年08月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  午前6時、霧が深い。昨夜は、あれほど美しい星空を目にすることができたというのに、夜半には激しい雨音を聞いた。季節が急速に進む中、天気は混乱しているようだ。そういえば、今朝は鳥の声がしない。と、思ったらボウボウと野太い声がようやく聞こえてきた。さっきから電線の上で吹く風にバランスを取りながらも、一所に留まろうとしていた山鳩らしきが諦めて、どこかへと飛び去った。目の前の見慣れた森の風景を、霧が今朝も様々な表情に変えてくれる。鳥の声はいつの間にかまた、しなくなった。
 昨夜も帰りそびれて上に泊まった。昨日でキャンプ場からは人気が絶えて、またいつもの牧場に戻った。囲い罠から外に出た牛たちは、しばらくは古巣に拘って拡散しないが、そのうちに主導権を握る雄の和牛に従って、広い第4牧区を移動するようになる。
 
 それで、牛のいなくなった囲い罠には、今度は鹿を捕獲するための仕掛けをしなければならない。ところが、どうもあまり積極的になれずにいる。気が進まない。鹿は誘引されて罠の中までは来ている。しかし、仕掛けのそばで足跡が停まってる。罠のことが分かるのだろうか。いつもなら、そこで鹿との知恵比べとなってあれこれと策を凝らすことになるのだが、一向にそういう気にならない。
 くくり罠にも、これまた熱が入らない。お盆中に子鹿が掛かっていたが、解放してやった。そんなことは初めてのことだ。お盆にまで殺生をすることもないと勝手な言い訳をしたのだが、これでは罠師失格である。下では期待されているかも知れないと思うと、気が咎めないでもない。ただし、今年に入って随分と鹿の姿を見掛けなくなったし、その被害も激減している。鹿殺しの強い動機が湧いてこないのだ。

 気の早い人たちがキノコを採ろうともう、森の中をうろつく姿が目に付き始めた。今年も森の中に狂騒が始まる。

 まとわりつく こと一掃の 野分けかな  TDS
 憂きことも、野分けが吹き飛ばしてくれる、ということか。

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