入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「冬」(4)

2020年11月05日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 上に泊まっていると、夕暮れの5時ごろから7時ころに空白ができる。気持ちの中では一日を閉じるのには早過ぎると思う一方、さりとて夕闇の訪れが早い今の時季、屋外でできることなどあまりない。
 昨日はそんな時間、用事があってJAXAの観測所のK氏に会いにいった。氏も、現下の流行り病のため、長いこと観測に来ることができないでいたらしく、久しぶりに来たことを電話で知らせてくれてあったのだ。
 
 用事を済ませ、帰りの道すがら目にした西の空に染まる夕焼けを見て、その荘厳さに名状しがたい震えるような感動を覚えた。日はすでに没して、その金色の残光が、黒い山並みのすぐ上にある帯状に続く薄明の空間に燃えていた。
 しばらく車を停め、その光景に見入った。するとそのうちに、時間も、空間も、まるで異次元の世界へ誘い込まれたような錯覚に襲われ動揺した。それは、初冬の大気が張りつめた夕暮れのせいだったかも知れない。寒さが、感動をさらに増幅した可能性はあっただろう。
 あるいは、もうすぐ牧場での7か月の仕事が終わり、牧を閉ざす日が近付きつつあることを感じていたのかも知れない。もっと言えば、薄れ始めた残光を眺めながら、こんな牛守の暮らしが残りどれくらいあるのかと、自らの年齢を意識してもいただろう。目の前に夕闇が訪れつつある広い放牧地から、定まらない想いをそのままにして帰ってきた。
 
 午前中、高遠の支所まで冬用の灯油200リッターを持っち上げに行く途中だった。牧場を出た所で北アに続く幾重もの山並みの一部に、雲のほころびから日が射してその部分の色付いた山肌だけが明るく輝いて見えていた。それも美しかった。寒さを意識し始めた今ごろ、周囲の眺めが一際冴えて心に届く。と、同時にまた、そういう日々が足早に過ぎていくのを惜しむ。





 きょうも山奥のオヤジサマが来てくれている。報酬など禄に支払えないことを充分承知した上で、もう3日になる。氏の経験、知識、技術は本人が言うように卓越したものだと思うが、今まで、ここまでの善人だったとは気付かなかった。昨日は作業の後、囲い罠のゲートが上手く作動しないのを知って、疲れていたはずなのにそれにも手を貸してくれた。その後、勝利の雄叫びがあまりに大きくて、鹿は遠慮したようで、朝見たら罠の中にその姿はなかった。

 本日はこの辺で。赤羽さん、明日呟きます。







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