入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’18年「晩夏」 (2)

2018年08月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



 今朝、いつものように第1牧区に上がっていったら、中央アルプスは乱雲の中にあった。北アルプスも槍や穂高の穂先は雲に隠れていたが、燕岳辺りから北の山々は鹿島、五竜、唐松、白馬を含め、明るい陽が射して夏の山の余韻を残していた。普段はなかなか見えない美ヶ原や高ボッチの鉄塔まで見えて、大気の澄んでいるのがそこからの眺めでもよく分かった。

 昼になって、嫌な雲が出てきた。きょうは午後からCM撮影の下見があるのに、またしても悪天に邪魔されそうでさっきから気になっている。何度もボヤクが、本当にいつも肝心な時には天候は味方してくれようとしない。今のいま、ふと思ったのだが、そのことをこれまで他人のせいばかりかりにして、幾人かを「雨男」にしてしまった。が、もしかすば・・・、という気がしてきた。合点し難いが、思い当たるふしはある。


 これは病葉(わくらば)だろうが、もうすぐにこの森が燃えるようなツタウルシの紅葉の時を迎える

 CMの最終確認が済み、半ば諦めていた撮影が実現しそうだ。草を刈り、機材を搬入と、また慌ただしい日が続く。10日以上ここに滞在したM君も、明日が最後の夜になる。心ばかりのお別れ会をしようと思っている。

 赤羽さん、その後沙汰ありませんがどうしてます?O原さん、通信ありがとう。写真にはウルサイ人がたくさんいるから、またいらっしゃい。

 小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。








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     ’18年「晩夏」 (1)

2018年08月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝9時の気温は17度だった。昨日(17日)久しぶりにUme氏と初の沢の出会いで会ったら、時間は聞きそびれたが(恐らく4時か5時ごろだと思う)、9度まで気温が下がったと言っていた。ふつか前までは暑いと感じていたズボンが、昨日やきょうの気温では薄くて頼りにならない。盆が過ぎればれ秋の気配が日増しに強くなるが、それにしてもこれほどの急な変わりようには驚く。
 
 青く澄んだ、大きくて深い空が視界の大半を占める第1牧区の眺めは、ほぼ目線の高さに北アルプスの峰々が続き、乗鞍、御嶽は雲が邪魔していたが、中央アルプスの主要な山々もしっかりと見えていた。ただ、その見慣れた同じ風景も、夏を終えて秋の中に納まっていた。


 
 上に行ったついでに、久しぶりに森の中を歩いてみた。もしかしたら湿った苔や、古い落ち葉の間からキノコが顔を覗かせていないかと期待したのだが、さすがにまだ早く、手ぶらで帰ってくるしかなかった。それでも森の中は少しづつ装いを変えつつあり、キノコ狩りの季節もそう遠くない雰囲気にはなっていた。
 今「手ぶら」などと呟いたばかりだが、朽ちかけた倒木をよけ、厚い落ち葉の層の上を、流れ下る沢の音を聞きながら歩いているうちに、ふとこの秋はどこかの山に出掛けてみたくなった。もう行くことのないと決めていた山々が、懐かしさと親しみを伴い思い浮かんできた。それは飲み慣れたビールや酒に代えて、たまにはウイスキーの芳香ときついアルコールの刺激をほしがるようなものだったかも分からない。ともかく、そんな気紛れな想いがこの先キノコ以上の収穫となるのかは、まだ分からないことにしておく。

 昨日、以上のようなことを呟いた後、その呟きはどういう加減か煙のように消えてしまった。復元できぬまま記憶をなぞってみたが、これは山道に迷い、引き返すときの覚束なさのようなもので、はたして元の道にたどり着けたかどうか自信がない。

 北原さん、通信ありがとう。置き土産、美味しく頂戴しました。また、違った季節の入笠を楽しみに是非おいでください。昨夜も天体観測会を開いたら、いつまでも望遠鏡から離れない小学校3年の女の子がいました。

 小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
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     ’18年「夏」 (40)

2018年08月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 朝のうち、囲い罠の中に1頭しかいないホルスは、3頭いる和牛の1頭にいやがらせを受けていた。それが午後になって、1頭の和牛とホルスが付かず離れずの距離で草を食んでいる。遠くからその2頭の様子を眺めていると、つい微笑ましくなる。そのうちに何を思ったか、和牛がホルスから離れて斜面を駆け下り、今は木の陰に隠れてしまった。ホルスは後を追わないで一心に草を食べている。
 ところが、たった今の一行を呟く間に、ホルスの姿も草原から消えてしまった。和牛のいないのに気付いて、後を追ったのだろうか。囲い罠の全体が見えるところまで行ってみたら、ホルスを頭に4頭の牛が等間隔で横一列になって、少し傾斜のある草の中に頭だけ見せて、腹ばいになって埋もれていた。わずか1歳になるかならないかの牛たちである。昨日の大雨にも耐え、人間と比べたら、まだこの段階では牛の方が賢いかも知れない。
 第1牧区の牛たちも全頭が元気で、合図のクラクションを聞き付けると、いつものように下方の草原から走り寄ってきた。



 午後になってきょうはよく晴れた。第1牧区から下りてくる途中で1頭のチョウの死んでいるのを見付けた。「八月の石にすがりて」がすぐに思い出された。ただ、詩人はこんなチョウの変わり果てた姿を実際に目にしてから、あの有名な詩を創作したのだろうか。「八月の石にすがりて さち多き蝶ぞ、いま、息たゆる・・・」
 初めてこの詩に出会ったのは20代前後だった。詩の中に使われている数々の印象的な語彙は様々な情景を彷彿とさせてくれたが、それらはフラッシュのように現れてはたちまち消えてしまい、ありきたりな解釈を当の詩人から拒否されているような気がした。

 われも亦、

 雪原に倒れふし、飢えにかげりて
 青みし狼の目を、
 しばし夢みむ。

 小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
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    ’18年「夏」 (39)

2018年08月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

           クジャクチョウ                  Photo by KAKU氏

 夏の退場を促すようにして激しく雨が降っている。気温20度。いまごろになって雨が降っても、すでに枯れ始めたイネ科の牧草には慈雨の役を果たせるわけがない。

 雨の意地の悪さは昨日もそうだったが、きょうは昼過ぎて孫娘を連れた夫婦が京都から来て、いざテントを張ろうとしたら容赦のないまでに降り出した。それでも「じいちゃん」と呼ばれている70歳近い人は、濡れ鼠になってでもテントに拘り、ついに見かねて手を貸した。その間残る二人は小屋の中に避難していたが、こんな激しい雨の中でも「じいちゃん」に付き合わされるのかと、二人は明らかに不安な顔を浮かべていた。
 張り終えたテントの中に「ばあちゃん」と孫はそれでも移っていったが、その後もしばらく「じいちゃん」は降りしきる雨の中に立ち尽くし、長いことテントの様子をにらんでいた。「じいちゃん」なりに、今後の展開を心配しているらしく見えた。
 この家族は昨年も来て、同じような大雨に祟られたことを思い出した。「じいちゃん」「ばあちゃん」の娘になる孫の母親は、今年は来るのが1日遅れるらしいが、昨年は父親を助けて設営に苦労してびしょぬれになってしまった。夜も遅く、着替えを富士見まで買いにいくというのを、かろうじて思いとどまらせた。あの時の急場をどのように切り抜けたか、もう忘れてしまった。明日来たら聞いてみようか。
 それにしても、こうして天の意地の悪さを呟けばつぶやくほど、雨脚は強まるばかりだ。明らかに豪雨と言ってよい段階だ。あれから「じいちゃん」は黄色い雨具を脱げないまま二度、三度と傘を差して出てきたが、それ以降テント内はひっそりとしている。仮に話し声がしたとしても、この雨音ではかき消されてしまうだろう。
 帰るのを躊躇うばかりの雨だ。恐ろしき性悪。

 大阪のM原さん、懇篤な通信痛み入ります。星空、牧場、そして最後に念願のクジャクチョウと、ご家族で満足できる体験ができて良かったです。 
 
 小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
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      ’18年「夏」 (38)

2018年08月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

アサギマダラ          Photo by KAKU氏

 火を燃やす子供の声が聞こえる。さっき頼まれて着火を手伝ってやった焚付が、うまく燃えだしたようだ。燃える榾(ほだ)の音、その匂い、立ち昇る煙がゆるやかにコナシの枝を掠めていく。夏の喧噪が過ぎ、それに合わせるように季節は進む。日の射さない空から霧が盛んに降りてくる。権兵衛山は雲に隠れたままだ。遠くから聞こえてくる孫を叱る声、それに抗う子供の声まで、鳥の声や風の音と同じようにに聞こえ、辺りの静けさを乱すどころか、さらに強調するかのようだ。

 すでに盆休みの山小屋、キャンプ場の最盛期は終わった。現在、小屋の宿泊者を含め5組20名くらいがいるが、その半分はきょうでいなくなる。この数日、小屋や、A、B、C、D、4か所の幕営地に、来訪者を上手く割り振ることができ、ここで一番の"売り"であるゆったりとした野外生活をしっかり楽しめたと思う。予約者を中心にしたが、無断取り消しした人は皆無で、そのことも有難かった。
 昨夜はだめだったようだが、一昨日の夜は素晴らしい星空を眺めることもできた。ペルセウス座流星群ばかりか、久しぶりに望遠鏡を出したので、土星や火星を子供たちにも見せてあげた。いい夏の思い出が増えただろう。
 
 とうとう雨が降り出した。露天風呂を沸かし始めたのに、どこまで底意地の悪い天気だろう。

 KAKUさんの蝶の作品を掲載させてもらっている。さすが60年の年季を感じる立派な写真ばかりで、恐れ入りました。KAKUさんの実力、入笠の実力。脱帽!星の狩人たちの実力にも期待してます。
 
 月の半ば、15日以降は小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。


 
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