市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ51億円事件発覚から15年・・・捜査の端緒の犯行状況に関する捜査報告書

2010-05-23 19:50:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■今から15年前の平成7年5月17日に安中市土地開発公社内部で密かに発覚した史上空前絶後の巨額横領事件で、警察が最初に捜査したのは、元職員タゴが平成2年4月16日に開設した特別会計口座以降、公社理事長印と安中市長印を自由自在に駆使して、偽造書類を作成・行使しまくって群馬銀行から借入れた計13回の融資のうち、公社から社会教育課に異動する直前の平成7年3月31日に、群馬銀行から2億5千万円を水増しして借り入れて、横領した事件でした。

 6月2日(金)午前中に小川市長が安中警察署で署長に面談し告発の相談をした後、6月2日(金)午後に元職員タゴが安中警察署に出頭し、取調べを受けました。その後、6月3日(土)にタゴの直属上司であり公社の事務局次長で建設部都市計画課長補佐の高橋弘安が安中警察署で事情聴取を受け、続いて同日、子度は群馬銀行安中支店次長の清水昭行が事情聴取を受けました。この6月3日の事情聴取で入手した3月31日の2億5千万円の横領に関する関係資料を整理して、安中警察署は6月5日(月)付けで捜査報告書を作成しました。

 なお、この後、6月6日(月)に群馬銀行安中支店長の松井誠が警察の事情聴取を受けています。

 それでは、平成7年3月31日の犯行についての関係資料をまとめた捜査報告書の内容を見てみましょう。

**********
【捜査報告書】
平成七年六月五日
     群馬県安中警察署 司法警察員 巡査部長 上原薫
群馬県安中警察署長 司法警察員 警視 大熊信行 殿
公文書偽造同行使詐欺事件捜査報告書
 被疑者 本籍 群馬県安中市安中一丁目二三
     住所 群馬県安中市安中一丁目二三番三二号
       無職(元安中市役所職員) 多胡邦夫
         昭和二七年三月三〇日生(四三歳)
 右者にかかわるみだし被疑事件について、被疑者が本年三月三一日群馬銀行安中支店から詐取するに際し、
 ○公有地取得事業資金借入の債務保証について
 ○公有地取得事業資金の借入について(依頼)
 ○金銭消費貸借契約証書
について
 ○群馬銀行安中支店
 ○安中市土地開発公社
 ○安中市役所財政課
からそれぞれ保管中の右公文書の任意提出を受けその偽造状況を明確にするため、それらの公文書のコピーを作成したので添付し報告します。

【安中市土地開発公社の起案】
安土開発第   号
平成7年 3月  日
安中市長 小川勝寿 様
     安中市土地開発公社 理事長 小川勝寿
   公有地取得事業資金借入の債務保証について(依頼)
 標題のことについて、公共用地取得に伴う事業費として下記のとおり借入を行いたいので、安中市の債務保証をいただきたくご依頼申し上げます。
     記
1.借入金額   9,612,000円
2.借入年月日 平成 7年 3月31日
3.借入方法  証書借入
4.借入期間  平成 7年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.價遠方法  期日一括返済

1.借入金額   4,362,000円
2.借入年月日 平成 7年 3月31日
3.借入方法  証書借入
4.借入期間  平成 7年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.償還方法  期日一括返済


【安中市土地開発公社の控】
安土開発第  号
平成7年 3月  日
群馬銀行安中支店長様
     安中市土地開発公社 理事長 小川勝寿
   公有地取得事業資金の借入について(依頼)
 標題のことについて、公共用地取得費及び事業費として、下記のとおりご融資下さいますよう申込みいたします。
     記
1.借入金頷    9,612,000円
2.借入年月日  平成 7年 3月31日
3.借入方法   証書借入
4.借入期間  平成 6年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.償還方法  期日一括返済
7. 本件借入金額は、安中市の当公社あて平成6年度借入分の債務保証額の範囲内である。

1.借入金額    4,362,000円
2.借入年月日  平成 7年 3月31日
3.借入方法   証書借入
4.借入期間   平成 7年 3月31日から
         平成12年 3月31日まで
5.借入利率   年利 3.90%
6.償還方法   期日一括返済
7. 本件借入金額は、安中市の当公社あて平成6年度借入分の債務保証額の範囲内である。


【群馬銀行安中支店の控】
安土開発第 52号
平成7年 3月27日
群馬銀行安中支店長様
     安中市土地開発公社 理事長 小川勝寿(公印)
   公有地取得事業資金の借入について(依頼)
 標題のことについて、公共用地取得費及び事業費として、下記のとおりご融資下さいますよう申込みいたします。
     記
1.借入金額   253,612,000円
2.借入年月日  平成 7年 3月31日
3.借入方法   証書借入
4.借入期間   平成 7年 3月31日から
         平成12年 3月31日まで
5.借入利率   年利 4.0%
6.償還方法   期日一括返済
7. 本件借入金額は、安中市の当公社あて平成6年度借入分の債務保証額の範囲内である。

1.借入金額    4,362, 000円
2.借入年月日  平成 7年 3月31日
3.借入方法   証書借入
4.借入期間   平成 7年 3月31日から
         平成12年 3月31日まで
5.借入利率   年利 4.0%
6.償還方法   期日一括返済
7. 本件借入金額は、安中市の当公社あて平成6年度分の債務保証額の範囲内である。


【財政課の控】
安土開発第 52号
平成7年 3月  日
安中市長 小川勝寿 様
     安中市土地開発公社 理事長 小川勝寿(公印)
   公有地取得事業資金借入の債務保証について(依頼)
 標題のことについて、公共用地取得に伴う事業費として下記のとおり借入を行いたいので、安中市の債務保証をいただきたくご依頼申し上げます。
     記
1.借入金額   9,612,000円
2.借入年月日 平成 7年 3月31日
3.借入方法  証書借入
4.借入期間  平成 7年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.價遠方法  期日一括返済

1.借入金額   4,362,000円
2.借入年月日 平成 7年 3月31日
3.借入方法  証書借入
4.借入期間  平成 7年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.償還方法  期日一括返済


【群馬銀行安中支店の控】
金銭消費貸借契約証書
     平成7年3月31日
株式会社群馬銀行御中
               群馬県安中市安中一丁目23番13号
           住 所    安中市役所内
           借 主  安中市土地開発公社
               理事長 小川勝寿(公印)
           住 所 安中市安中一丁目23番13号
           保証人     安中市長小川勝寿(公印)
           住 所
           保証人
第1条(借入要項)
 借主は、別に差し入れた銀行取引約定書の各条項のほかこの約定を承認の上、貴行から次の要項によって金銭を借入れ、これを受領しました。
 1.金   額 金弐億五千九百六拾壱万弐千円也
 2.使   途 公共用地取得費及び事務費
 3.最終弁済期 平成12年 3月31日
 4.弁 済 方法 期日一括返済

 5.利   息 年4.00%の割合(年365日の日割計算)
 6.利息支払方法 平成7年3月31日に1日分利息徴求し以後毎年3月、9月各月末日に前6ヶ月分後取りする。.
 7.損 害 金 この約定による債務を履行しなかったときは、支払うべき金額に対し年14%の割合(年365日の日割計算)の損害金を支払う。


【財政課の控】
金銭消費貸借契約証書
     平成7年3月31日
株式会社群馬銀行御中
               群馬県安中市安中一丁目23番13号
           住 所    安中市役所内
           借 主  安中市土地開発公社
               理事長 小川勝寿(公印)
           住 所 安中市安中一丁目23番13号
           保証人     安中市長小川勝寿
           住 所
           保証人
第1条(借入要項)
 借主は、別に差し入れた銀行取引約定書の各条項のほかこの約定を承認の上、貴行から次の要項によって金銭を借入れ、これを受領しました。
 1.金   額 金九百六拾壱万弐千円
 2.使   途 公共用地取得費及び事務費
 3.最終弁済期 平成12年 3月31日
 4.弁 済 方法 期日一括返済

 5.利   息 年 3.9%の割合(年365日の日割計算)
 6.利息支払方法 

 7.損 害 金 この約定による債務を履行しなかったときは、支払うべき金額に対し年14%の割合(年365日の日割計算)の損害金を支払う。

**********

■私たちが、これらの借入文書を始めて目にしたのは、タゴが懲役15年の実刑を宣告された平成8年4月8日の刑事判決から約4ヶ月後でした。しかし、その際はわずか1週間の刑事記録閲覧期間しか許可されず、当会の8名のメンバーにとっては、高さ2mにも及ぶ膨大な刑事記録に目を通すだけで精一杯だったのでした。

 それでも、事件発覚後に新聞報道で報じられた難解な行政文書の用語から推測していた文書の内容が、こうして全容を知ることができたため、その後の事件の詳細についての理解が格段に進んだのは事実です。

■この13回目の犯行では、公社が市長の債務保証で群馬銀行に提出した金銭消費貸借証書が、群馬銀行の控(正当な原本)と安中市財政課の控(偽造文書)とで、全く書き直されていることが分かります。

 群馬銀行の控には、金額欄に「金弐億五千九百六拾弐万弐千円也」とあるのに、財政課の控の金額欄には「金九百六拾弐万弐千円」とあり、利息支払方法の欄には、群銀の控では「平成7年3月31日に1日分利息徴求し以後毎年3月、9月各月末日に前6ヶ月分後取りする。.」とタゴではない何者かの手書きの筆跡があるのに、財政課の控には何も書かれていません。

 また、利息の欄では、群銀の控には「年4.00%」と書かれているのに、財政課の控には「年3.9%」と食い違う数字が書いてあります。

 さらに、群銀の控には、保証人の安中市長の公印が押印されていますが、財政課の控には、公社理長の公印だけで、保証人の市長公印は押されていません。

 群馬銀行が保管する金銭消費貸借証書と、安中市財政課が保管する金銭消費貸借証書のこうした食い違いに警察は当然注目したはずです。なぜ、このような杜撰な手続きがまかりとおっていたのか。警察はその後、この点に注目して捜査を本格化したのでした。

【ひらく会情報部】

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