市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・アカハラ情報不開示に対してオンブズマンが東京地裁に提訴

2016-10-26 23:30:00 | 群馬高専アカハラ問題
■2014年1月から2016年1月に掛けての2年間に群馬工業高等専門学校(群馬高専)では3人の男子学生が亡くなりました。いずれも寮生でした。一方、2014~2015年にかけて、同校電子情報工学科教授による学生らへの罵倒や人格否定、脅迫を伴ったアカデミックハラスメントにより学生や教官の間に多数の被害者が出ました。

本日午後1時半、訴状提出後、東京地裁民事受付の窓口でくれた受付票。法人文書不開示処分取消請求の事件番号は「平成28年(行ウ)499号」で担当部署は「東京地方裁判所民事第3部」と決まった。
※受付票:PDF ⇒ 20161026_tokyo_chisai_uketsuke_hyo.pdf

 このうち、寮生連続死亡事件については、曲がりなりにも、群馬高専側が国立高等専門学校機構(以下「機構」)に対して報告を上げるために不十分な情報収集ながらも事件・事故報告書を作成していたことがわかり、これは亡くなった学生の氏名等は黒塗りでしたが、かなりの部分は開示されました。

 一方、アカハラ事件については、2015年4月15日に群馬高専側に対してアカハラに関する公開質問状を提出しましたが、一切拒否されてしまいました。そのため、当会では2015年6月26日に法人文書開示請求を行い、必要な情報の入手を図ろうとしました。しかし、同7月23日には呆気なく不開示処分通知を学校側が出してきました。そこで、同8月31日付で異議申立書を提出していたところ、学校側は機構にそれを上げて、機構から内閣府情報公開・個人情報保護審査会に諮問をしました。その結果、2016年3月2日付で同審査会は「本件文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否した決定は、取り消すべきである」との結論を機構を通じて群馬高専側に伝えました。

 ところが同日、群馬高専と機構は、存否だけを明らかにしただけで、肝心の法人文書はことごとく不開示処分に当たると、決めてしまったのでした。

 それから明日で半年が経過する前日の10月26日(水)午後1時30分に、当会は霞が関の東京地裁に赴いて、14階北棟にある民事受付窓口を訪れて、次の内容の訴状を提出し、受理されました。内容は次の通りです。

*****訴状*****PDF ⇒ 20161026i.pdf

            訴  状

                      平成28年10月27日
東京地方裁判所 御中
                     原 告   小 川   賢

〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10(送達先)
               原    告    小 川   賢
               電話:090-5302-8312
                  (市民オンブズマン群馬代表・小川賢)
                  又は 027-224-8567
                  (市民オンブズマン群馬事務局長・鈴木庸)
               ファクシミリ:027-224-6624
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2番地
               被    告   独立行政法人国立高等専門学校機構
               電話:042-662-3120(代表)
               ファクシミリ:042-662-3131

法人文書不開示処分取消請求事件 

  訴訟物の価格  金160万円(算定不能)
  貼用印紙額   金13,000円

                 請求の趣旨

1 被告が原告に対し、平成28年4月27日付群高専総総第105号で行った次の文書
① 平成26年(2014年)4月1日以降、現在に至るまでの間に、貴学内の関係者(教職員、学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生、同窓生、保護者を含む)に対して、学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書。
② 平成26年(2014年)4月1日以降、現在に至るまでの間に、学内のハラスメント行為に関して、学校長ら貴学幹部、あるいは総務課や学生相談室、カウンセラーあてに、貴学内(教職員、学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生、同窓生、保護者を含む)から寄せられた申立や相談などの一切の文書。
③ 上記②の受付後、貴学内に置いて対応等を協議した場合は、その起案書や議事録などの一切の関連文書。
の不開示決定処分を取り消す。 
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

                 請求の原因

第1 原告の情報公開請求と被告の不開示決定処分
1 原告は、平成27年6月26日、被告に対し、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「本件法律」という)第4条第1項の規定に基づき、請求の趣旨記載の法人文書(以下「本件文書」という)の開示請求を行った(甲1号証)。
2 しかるに、被告は、平成27年7月23日到達の本件文書の不開示決定通知書をもって、全面不開示処分をなした(甲2号証)。
3 上記不開示決定通知書には、不開示の理由について、本件法律第8条に該当するとして、以下のとおりの記載があった。 
ア 本件文書については、その存否を応えることにより、ハラスメント行為に寄せられた申立や相談などがあったという事実の有無を示すことになる。
イ したがって、その事案の性質に鑑みプライバシー保護の観点から、その存否をあきらかにすることはできない。
4 このため原告は、平成27年8月31日に行政不服審査法に基づき被告に異議申立書を提出した(甲3号証)。
5 すると被告は平成27年11月19日付27高機総第70号で本件文書の不開示処分について内閣府の情報公開・個人情報保護審査会(以下「本件審査会」という)に諮問したことを原告に通知した(甲4号証)。
6 このため原告は平成27年11月30日に本件審査会に対して意見書を提出した(甲5号証)。
7 本件審査会は、平成28年3月2日付平成27年(独情)答申第73号で、本件異議申立てについて被告に答申を行った(甲6号証の2)。それを受けて被告は平成28年4月27日付28高機総第20号で決定書謄本を原告に送付した(甲6号証の1)。
8 同日の平成28年4月27日付群高専総総第105号で、被告は原告に対して本件文書の存在について、①については3件、②について2件、③について1件の合計6件の情報が存在することを認めたものの、本件文書についてはあらためて全て不開示決定処分(以下「本件処分」という)をなした。(甲7号証)。
9 上記不開示決定通知書には、不開示の理由について、本件法律第5条第1号に該当するとして、以下のとおりの記載があった。
ウ 本件文書については、個人情報を含み、公にすることによって、個人の権利・利益を害するおそれがある。

第2 本件処分の違法性について
 被告が挙げる非開示の事由は、本件文書には当てはまらない。その理由は以下の通りである。
1 本件法律5条1号の事由(個人情報)の非該当性
本件法律が行政文書に記載されている個人氏名を非開示事由としたのは、個人のプライバシー保護のためであるが、但し書きロとハには、次の除外規定が定められている。
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項 に規定する国家公務員(独立行政法人通則法第二条第四項 に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等の役員及び職員、地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条 に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
このうちロについては、アカデミックハラスメント(以下「アカハラ」という)を受けた被害者(学生及び一部職員)の生命、健康、生活を保護するためには、まず、被害者一人一人に氏名や性別や所属クラス等の情報を公開しても良いかどうか確認したうえで、氏名等の公開を望まない被害者に対しては当該情報個所を不開示にすることはやむを得ないものの、それ以外のアカハラの実態を記した本件文書を公表することは実態の真相究明、責任所在の明確化、再発防止策の確立のために必要不可欠である。
また、ハについては今回、アカハラを加えた関係者(特定の職員)及び受けた被害者(一部職員)は独立行政法人等の役員及び職員であることから、本件文書はこうした関係者が職務を遂行している学校内で発生したアカハラ情報に関するものである。よって、アカハラを加えた側、受けた側の職員の職及び当該職遂行の内容に掛かる本件情報は、氏名を含めてすべて開示されなければならない。
 このような場合は、その氏名を開示しても、その個人のプライバシーを侵害することにはならないから、本件法律第5条第1号の規定上も開示をなすべきである。かりに、請求に係る文書中に、同条項の規定上から不開示にできる部分が存在したとしても、他の記載部分は開示できる(本件法律第6条)のであるから、第5条第1号を理由にして全面不開示とすることは許されない。

第3 むすび
 以上のとおり、本件文書を不開示とした本件処分が違法であることは明らかであるから、本件処分の取消を求めるため本訴を提起した次第である。
                           以上

                証 拠 方 法

1.甲1号証    法人文書開示請求書
2.甲2号証    法人文書不開示決定通知書
2.甲3号証    異議申立書
3.甲4号証    情報公開・個人情報保護審査会への諮問について(通知)
4.甲5号証    内閣府情報公開・個人情報保護審査会への意見書
5.甲6号証の1  決定書謄本の送付について
6.甲6号証の2  別紙 答申書
7.甲7号証    法人文書不開示決定通知書

                添 付 書 類

訴状副本          1 通
証拠説明書         各1通 ※PDF ⇒ 20161026.pdf
甲号証写し         各1通 ※PDF ⇒ 20161026b17.pdf
**********

■アカハラ事件については、多数の被害者を出したにもかかわらず、加害者の教授に対して西尾学校長は何の処分も下していません。それどころか、加害者の教授自身、全く罪の意識がないのも同然だという情報もあります。2016年4月から学科長の任が解かれ、通常の教授となりましたが、これは降格ではなく、学科長の任期が切れただけという理由に過ぎません。

 ところで、当会は寮生の連続死亡事件について、事件・事故報告書等の情報開示請求を2016年6月17日に学校側に提出しました。この結果、同8月2日に部分開示されたのですが、驚くべきことに、亡くなった寮生の氏名の個所は黒塗りにされているほか、なぜかアカハラ事件の加害者である教授の名前も、黒塗りにされていることが判明しました。しかも、他の教授の氏名は黒塗りされていませんでした。

 これはいったい何を意味しているのでしょう。

 これは文科省の官僚として群馬高専に天下った西尾校長が、自らの任期中に不名誉な事件が世間に知られないように、加害者を庇い、被害者に対しては無視をすることで、アカハラそのものが学校内では発生しなかったように装い、次の天下り先への異動まで、事を穏便にやりすごそうという強い意志からくるものではないかと、当会では分析しています。

 最初の法人文書開示請求から既に16カ月が経過し、今回の提訴によっても、おそらく判決が出るのは早くて来年の今頃だと思われるところから、果たして西尾校長の在任中に、アカハラ事件に関する文書開示が実現できるかどうかは断言できません。

 しかし、市民オンブズマン群馬による今回のアカハラ情報不開示処分取消請求の行政訴訟により、アカハラを巡る酷い実態が、きちんと学校側の責任者から語られるためのお膳立てになれば、当会としても幸甚と考えます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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安中市慣例の政治家による有権者への金品配布・・・前橋検審からの審査申立受理通知で意見書を提出

2016-10-26 21:59:00 | 政治とカネ

■安中市議会の元市議会議長の議員による地元有権者への清酒配布に関する報道記事をもとに、当会が元議長を公職選挙法違反の容疑で告発していた件で、前橋地検が起訴猶予を理由に2016年2月29日に不起訴処分にしたことを受けて、当会は2016年10月18日に前橋検察審査会に対して審査申立書を提出しました。すると、翌10月19日付で同審査会から受理通知が届きました。





*****審査申立の受理通知*****PDF ⇒ 20161019orm.pdf
                        平成28年10月19日
審査申立人 小 川   賢 殿

                        前橋検察審査会

     審査申立の受理について(通知)
 貴殿から提出された審査申立書は、10月18日(火)付けで、平成28年前橋検察審査会審査事件(申立)第20号として受理しました。
 本件について、意見書等を提出できますが、その際は、当検察審査会事務局あてに、平成28年11月18日(金)までに提出してください。
 なお、上記提出期限以降に提出する場合には、下記の問い合わせ先へ事前に連絡してください。
 おって、検察審査会の行った議決に対しては、不服を申し立てることはできませんので、予めご承知ください。
                  記
(問い合わせ先)
   〒371-8531
   群馬県前橋市大手町三丁目1番34号
     前橋検察審査会事務局
       電話番号 027-231-4275(内線470) 
**********

■そこで、当会はさっそく今回の前橋地検による不起訴処分に関して、率直な疑問や感想を意見書のかたちにまとめて、本日10月26日に前橋検察審査会事務局あてに郵送で提出しました。内容は次のとおりです。

****意見書******PDF ⇒ 20161026_ikensho.pdf
                        平成28年10月26日

前橋検察審査会 御中

                   審査申立人 小川 賢

      平成28年度前橋検察審査会審査事件(申立)第20号
               意見書等の提出

 表記事件に関する意見書等を次のとおり提出いたします。
 申立人は常に疑問を抱いているのですが、なぜ、通常の場合であれば当然起訴されてしかるべき公職選挙法違反行為が、長年政治に携わっている政治家の場合、同じ違反を犯しても、有罪判決にならず、不起訴相当、嫌疑不十分という理由で無罪になるのでしょうか。
 小渕優子代議士や甘利明代議士の事件からも明らかなように、著名な政治家の場合は本人はもとより、秘書でさえも不起訴相当となるケースが多々あります。小渕代議士の場合、申立人は東京地検に政治資金規正法違反に加えて公選法違反、旅行業法違反で告発をしました。しかし、いずれもおとがめなしに終わりました。結局秘書をしていた前中之条町長の折田謙一郎が、「自分がすべてやった」と早期に犯行を宣言していたためか、さすがに東京地検もおとがめなしとするわけにもいかなかったのか書類送検に踏み切ったものの、東京地裁では最終的に有罪判決をくだしましたが、執行猶予付きでした。
 旅行業法違反では、毎年大型バスを26台も連ねて午前と午後、明治座に観劇ツアーと称して選挙区内の有権者らを対象に旅行業法に定める登録もしないまま、長年に亘り参加者から料金を徴収していました。
 しかし、前橋市在住の長年旅行業を営んできた男性の場合、宿泊施設を紹介しただけで顧客からおカネを受け取らずに営業をしていたにも関わらず、「斡旋」だとして群馬県旅行業協会が全国旅行業協会を促して前橋東署に告発をさせ、結局、その男性を廃業に追い込んだばかりか、旅行業法違反として、罰金30万円の判決が前橋地裁、東京地裁で出され、どうしても合点がいかない男性が上告したにもかかわらず、最高裁でも東京地裁の判決が支持されてしまいました。
 一方で、旅行案内所など、旅行業法の登録をしないまま客に旅行のための宿泊情報を提供しているにもかかわらず、旅行業協会に加盟しているというだけで、全くお咎めがありません。当会が警察に告発しましたが、警察は旅行案内所側の説明に理解を示したのか、一向に埒が開きません。
 これらは明らかに司法のもとでの平等の精神に反しています。著名な政治家であれば、金品を配布しても不起訴相当だとしてすべておとがめなしになるのであれば、公職選挙法や政治資金規正法はすべてザル法ということになり、社会に無用な混乱を与えかねませんから、直ちに廃止すべきです。
 しかしそうなると選挙のルールがなくなってしまい、当選するためには手段を選ばないカネにあかせた乱脈選挙が復活してしまいます。
 だから、違反行為の尺度をきちんと決めて、選挙民に対して金品を配布したりすれば、有罪になるということをひろく社会に示す必要があります。
 今回の元市議会議長による地元有権者に対する清酒等の配布事件は、その直後に行われた市議会選挙で実際に本人が当選しているだけに、毅然とした対応が求められてしかるべきでした。新聞報道でこのことを知った申立人は、新聞記者にも確かめて、すべて事実であることを確認したうえで、安中署に告発をしました。告発をしないと、あとでどのような処罰が適用されたのか否かが分からないからです。
 事実、一昨年の安中市長選の投票日の午後5時ごろ、安中市内の某投票所でなりすまし投票が行われるという事件が起きました。しかし、結局警察は私の告発状を受理しようとせず、そのため、前橋地検にその後の処分結果をヒヤリングしようと訪れましたが、「告発人ではないから」という理由で、処分結果について検事らは申立人に対して何も語らず、追い返したのです。
 今回の事件では、安中署の高柳刑事課長に「前回のように受理をしたのかしないのか、曖昧な対応は困るので、きちんと受理してほしい」と申し入れました。安中署刑事課では、「既に新聞報道を見るまでもなく、きちんと捜査をしているから」としました。そして、当初は「まだ捜査の端緒だから」して、申立人の告発状の受理をためらっていましたが、その後捜査が済んだとして、「告発状を受理する」との連絡をいただきました。
 そのようにして提出した告発状ですから、犯罪の態様は新聞記事に書かれていた通り、間違いないはずであり、安中署の刑事らも、関係先をすべて当たって供述をとったうえで、容疑者を特定し送検したことをうかがわせていました。
 にもかかわらず、前橋地検からは不起訴処分通知が、告発人である申立人に対して届けられたのです。警察が公費を遣い一所懸命捜査をしたその処分理由を聞いたところ、不起訴相当だというのです。何がなんだかわからないので、申立人は直接前橋地検に赴き、検事から話を聞こうとしましたが、対応した若い検事は、「何も話すことはない」という態度で、なぜ不起訴処分となったのか、全く語ろうとしませんでした。
 これでは、公選法が骨抜き同然です。申立人はこれまで4度、市長選挙に出馬した経験がありますが、候補者説明会で、安中署の刑事課長から「公選法を遵守するように。留置所はいつでも開いている」と常に厳しいアドバイスを賜りました。事実、支援者による選挙用チラシの戸別投げ込み行為について、警察から厳しく戒められたり、安中市の選挙管理委員会からは農地に立看板を立ててはならないことや、ポスターにおける候補者名の漢字と通称名のひらがな表記の食い違いなど些細なことまでも指摘を受け、直ちに是正した経緯があります。
 ところが実際には、保護司などをしている候補者の場合、検察や警察に顔が利くのかどうか定かではありませんが、選挙後に地域の有力者らに票まとめの謝礼に商品券や清酒を配る輩も存在し、見かねた関係者から「警察に通報しても全然取り合ってもらえなかった」という証言も聞いています。
 今回の事件では明らかに地元の有権者らに常習的に清酒等を配布していたことを本人も認めています。「知らなかった。大変なことをしてしまった」などと反省の意を示していたとはいえ、議長まで勤め上げた人物です。情状酌量ではなく、一罰百戒の意味を込めて、起訴し、法廷での判断にゆだねるべきです。その結果、執行猶予付き有罪判決が出るのか、配布した金品相当の罰金を科すのか、きちんと処罰の軽重を世間に示すべきです。
 もっとも、議長を務めあげた大物政治家であるからこそ、「その名誉を傷つけるから」として、無罪放免にするという、通常の一般市民には適用されることのない「特別ルール」が適用されるのだ、という穿った見方をする向きもあります。これは、換言すればそれだけ罪の軽重を判断する検察が、その判断の尺度を明らかにしてこなかったからだとも言うことができます。
 このため、せっかく警察が手間と費用をかけて関係者らを取り調べても、その捜査結果を判断する立場の検察が勝手に独自の非公表の基準をかざして、結果のみを告発人に伝えるだけで、なぜそうなったのかを公表しないという姿勢は、検察の威信を弱めることはあっても、決して強めることはあり得ません。
 今回の事件のように起事実関係が明瞭で、当然ながら起訴訴相当であるべき事件も、検察官の裁量という曖昧な判断基準に基づく「不起訴相当」という訳の分からない処分が下されたことは、明るい選挙の実現に対してブレーキとなるものであり、既に議員によって骨抜き同然となっている公職選挙法など、明るい選挙の最低限のルールとして明文化されている拠り所が、完全に葬り去られてしまいかねません。   
 検察審査会に置かれては、もう一度、一般市民の常識を駆使して、この事件についての賢察の処分結果を再考し、このまま不起訴処分相当とするのか、それとももう一度検察にきちんと正しい判断基準に基づいて判断させるためにも、起訴処分相当とするのか、市民の常識と明るい選挙実現のためにも、慎重に協議の上、審査をして下さるよう強くお願いをする次第です。

                              以 上
**********

■当会がこのような意見書を提出した背景には、完全に骨抜きとなってしまった公職選挙法を改めて問い直し、一定額の金品を選挙民や利害関係者に配布しても公選法はおろか、政治資金規正法や斡旋利得処罰法の違反でしょっぴかれても、せいぜい起訴猶予までで不起訴処分になるかどうかの判断基準を、この際はっきりさせておきたいという気持ちがあります。

 これによって、安心して選挙運動や政治活動に励めるかどうかのグレーゾーンをなくし、きちんと線引きを行えることになります。ひいては政治家の皆さんや、これから政治家を志す若い人たちにとっても、「きっと有用であるに違いない」と確信をしております。

【ひらく会情報部より】

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