■これまで電子情報工学科の学科長による陰湿なアカハラ行為が取りざたされた群馬高専では、2年間に3名の尊い寮生の命が失われていますが、情報公開の不徹底で、真相究明と責任の所在がおざなりになったままとなっており、当会はそのような群馬高専の体質を改善し開かれたキャンバスを回復させるべく、10月26日に東京地裁に情報不開示決定処分の取り消しを求める訴状を提出しました。初公判は2017年2月3日です。
こうした中、当会の弛まぬ群馬高専のアカハラの実態調査の結果、同校の物質工学科でも悪質なアカハラ事件が発生していたことが明らかになりました。
そのため、当会では2016年12月19日10時半に事務局長が同校を訪れて、次に示す公開質問状を提出しました。その後、11時ごろに県庁5階の記者クラブ「刀水クラブ」で記者会見用の資料として、公開質問状の写しを配布しましたのでここに報告いたします。
*****公開質問状*****
2016年12月19日
〒371-8530 群馬県前橋市鳥羽町580番地
独立行政法人 国立高等専門学校機構
群馬工業高等専門学校
校長 西尾 典眞 様
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢
公 開 質 問 状
件名:群馬高専物質工学科におけるアカハラの実態について
拝啓、貴学ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。
当会は、群馬県において、行政及びその関連機関を外部から監視し、当該機関による税金の無駄遣いや行政及び関連する権限を不当に行使することによる住民・関係者の権利・利益の侵害に対する調査及び救済の勧告を図る活動をしているオンブズマン団体です。
さて、昨年2015年4月15日付で貴学の内部で取り沙汰されている電子情報工学科におけるパワーハラスメント、セクシャルハラスメントなど、いわゆるアカデミックハラスメント(アカハラ)について最初の公開質問状として、事実関係の確認をお願いしましたが、貴学は関係者のプライバシー保護を理由に一切の回答を拒否されました。その後、当会の情報開示請求に対しても同様に一切の情報を不開示として現在に至っています。そのため、当会では当該法人文書不開示処分の取消請求訴訟を提起したことは、周知のとおりです。
一方、その期間中に、電子情報工学科の4年生に在籍する2名の寮生が連続して不可解なかたちで亡くなるという重大事件が発生しました。この件では貴学は一定の情報開示を行いましたが、今年7月8日に貴学に対し提出した公開質問状に示されたような、この事件に関係する不可解な点および貴学の問題点についてほとんど一切記載がないばかりか、貴学の認識では別件であるはずの電子情報工学科におけるアカハラ事件の原因者とされる教授に関する情報までもがなぜか黒塗りされるなど、依然として貴学の情報秘匿体質が払しょくされたとは言えません。
そうしたなか、当会では、貴学を揺るがしている電子情報工学科を舞台にしたアカハラ問題だけではなく、物質工学科においても陰湿かつ悪質なアカハラ事件が発生していたことを突き止めました。この新たに判明した事件に関して、貴学がどのような対応をとったのか、事実関係の確認をする必要があると考えております。
そこで今回、物質工学科で起きたアカハラ事件に関して当会が調査した結果(別紙参照)について、質問形式で確認をさせていただきます。
【質問 1】:当会の調査報告に示された(1)から(7)の事象について、あるいはアカハラの実行者とされる教員らの極めて悪質な言動について、貴学では把握していましたか?
【質問 2】:物質工学科におけるこのアカハラ事件、および物質工学科に蔓延するアカハラをめぐる実情について、貴学ではすでに調査を行いましたか? 行っていないのであれば、これから調査を行うつもりはありますか?行なうつもりがない場合はその理由をお聞かせください。
【質問 3】:(1)から(7)の事象について、事実と異なる箇所はありますか? ある場合は当該箇所をご指摘ください。
【質問 4】:貴学は(1)から(7)の事象を含む物質工学科におけるアカハラ事件について、国立高等専門学校機構に報告書を上げたことがありますか?ある場合は、その報告書の日付を教えてください。
【質問 5】:貴学は、(1)から(7)の事象で実名の挙がっているアカハラ事件の原因者らに対して、なんらかの処分をしていますか? している場合は、当該原因者の氏名(プライバシーとして開示できない場合は当該人物の職階のみでよい)、処分日、処分内容及び理由を教えてください。
【質問 6】:貴学で問題となっている寮生連続不審死事件にて最初に死亡した寮生が、物質工学科に所属していたことから、アカハラ事件との関連があらためて注目されます。しかもこの亡くなった寮生の当時の担任はアカハラを行っていた張本人です。貴学は、寮生連続不審死事件とアカハラ事件との因果関係について、どのように考えていますか?
【質問 7】:物質工学科におけるアカハラ事件で原因者である学科長(当時)に対する調査・処分が為されていない場合、きちんと実態解明および責任の所在の明確化が果たされていないことになります。よって貴学によって本件に対する調査・実態解明が行われるのは客観的に見ても当然のことと思われます。しかし判明している実態が事実である場合、このアカハラ事件の加害者は事実を平気で捻じ曲げるという、学問の世界に身を置く者としてあるまじき行為を平然と行う人物であると考えられます。したがって調査・実態解明にあたっては、加害者と目される人物の言い分を一方的に聞くだけでなく、すでに群馬高専を去られた方も含め物質工学科の関係者への聞き取りといったアクティブな働きかけが必要であると考えられますが、貴学はどのように考えていますか?
なお、貴学のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、記者会見で回答の有無及び内容を明らかにしてまいりたいと考えます。同時に当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。つきましては、平成28年12月26日(月)午前10時30分に貴学を訪問する予定ですので、その際に、文書で回答をご準備いただきますよう、お願い申し上げます。
敬具
*****別紙・実態調査報告*****
(別紙)
群馬高専物質工学科におけるアカハラの実態調査報告
2016年12月19日
文責 市民オンブズマン群馬
当会の調査により、物質工学科においてもアカハラ事件が発生していたことを確認しています。いずれも、関係者らからの情報をもとにまとめたものです。
(1)日常的に、学科会議においてO.M氏(教授)、T.H氏(発生当時准教授、現教授)が下位にある特定の教員に対し、当該教員が発言をすると「どういう立場でものを言っているんだ」と執拗に嫌味を言って発言をさえぎったり、「ものを考えていないからそういうことが言えるんじゃないですか?」など人格否定のような発言を多く行った。
また、他の教員に対しても、自分の意見と反対のことを言われると2人揃ってその教員に対して、「馬鹿じゃないのか、頭が悪いんじゃないのか」などという暴言を浴びせていた。特にT.H氏の場合は、学科会議で大声を出して回りを威嚇し、他の人の発言を妨げ、会議にならず言い争いのような時間になっていた。O.M氏は声を荒げこそしなかったが、人格否定のような発言を繰り返す場面が多々あった。
(その後、アカハラの被害に遭った教員は精神に異常をきたしてしまったということである)
さらにこのO.M氏、T.H氏、そしてF.M氏(教授)は、下位の教員に対して研究が十分に出来ないように仕向け妨害する行為を執拗に行っている。
(2)O.M氏およびT.H氏は自分の思い通りにならない学生に対して罵詈雑言を浴びせ、精神的に彼らを追い込んだり泣かせたりといった行為を日常的に行っていた。 これについては被害を受けた学生らが精神的に追い込まれていることからも決して「熱血指導」などという性質のものではないことは明白である。一例として、T.H氏が担任となったとある学生が2年次編入の大学・学部を前々から志望していたが、T.H氏はそこに目をつけてその学生をわざわざ自室に呼び出し、「人生の損でしかない」「そんな所に行っても絶対に後悔するぞ」などと叱責と嫌味を徹底的に浴びせてその学生の夢や努力を真っ向から理不尽に否定し、号泣させたことがあった。
(3)2009~2010年度において学科長だったF.M氏は、入試の説明会の日にいなかった教員に対し、そのことで「お前は仕事をしていない」という罵倒を浴びせたことがあった。当該の教員の欠席については、本人から事前に学科長当人に相談し、学校長と教務主事に了解を得ていたことが確認されており、この発言は明らかに不当である。 自らの了承を覆す発言は、当該の教員としては、きわめて理不尽であったに違いない。また、F.M氏は当該の教員に対し、「辞めるならさっさと辞めて下さい」と嘲笑したことも判明している。
(4)2009~2010年度にかけて、当時の学科長のF.M氏はやむをえない出張の多い下位の教員に対して「出張はもう行かないだろうな」とプレッシャーをかけ、仕事や研究に伴う出張に対しても精神的負担を強い、間接的に業務を妨害した。 仕事に伴うそうした出張に対し、「今後控えろ」という業務に対する妨害ともとれる発言が、当時の学科長だったF.M氏から教員に投げつけられたことも判明している。
(5)当時学科長だったF.M氏に、教員からメールをしてあっても「受け取っていない」として、業務放棄のような発言を返された教員がいた。 同様に、メールで報告したにもかかわらず、F.M氏からは「報告を受けていないぞ。 私は聞いていない」と叱責された教員もいた。
(6)F.M氏が学科長時代に行っていたパワハラについては、被害を受けた教員らが学校側にも相談をし、総務課長らが相談に乗ったが、当時の竹本廣文学校長はほとんど触れたがらない対応、すなわち揉み消しと言っていい対応をとっていた。結局、「パワハラ等の話を大きくしても不利益に働く」との見解が当時の総務課長から文書で関係者に通知されるという対応だったとのこと。 アカハラ被害に遭った教員が竹本校長に直接話をしても、同校長からは「事を大きくしないほうがいい」という言葉が返されてきたことが判明している。
(7)ちなみに、2014年1月の物質工学科所属の寮生の自殺者の担任は、F.M氏だったことが確認されている。 因果関係は不明なるも、相応の対応をしていなかったのではないかと物質工学科の実情とF.M氏の本性を知る教職員の間からも、推察がなされている。
以上
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■公開質問状の最後に記してある通り、当会では12月26日(月)午前10時30分に国立群馬高専を訪れて、公開質問状に対する回答を聴取することにしています。
その内容については、追ってご報告します。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】