■2017年9月2日(土)の午後1時から和歌山市の和歌山県民文化会館2階小ホールで第24回全国市民オンブズマン和歌山大会が開催され、9月3日(日)正午まで、約200人あまりのオンブズマンが全国から集まり、行政を巡るさまざまな課題について討議するとともに、情報交換と相互交流を行いました。今回は群馬県から当会代表一人の参加でしたが、有意義な2日間でした。さっそく概要を報告します。
↑会場の和歌山県民文化会館。↑
和歌山大会は、司会者による開式の辞の後、冒頭に現地実行委員長の坂本康文氏から挨拶がありました。
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「今大会に全国から参集されました皆様方に、地元を代表して心から歓迎の意を表します。私が共同代表の1人を務めます市民オンブズマンわかやまは、1997年4月5日に成立されました。今年は設立20周年です。そのような節目の年に和歌山で全国大会が開催されることは、私たちにとっても非常に光栄なことと思っています。和歌山における市民オンブズマン活動のきっかけは、全国市民オンブズマン連絡会議の呼びかけに応じて行った全国一斉の食糧費の情報公開請求でした。当時、和歌山県が公開した情報は、官官接待の実態を浮き彫りにするものとして全国的に注目を浴びました。情報公開の必要性、有用性が認識され、私たちの活動も市民に認知され、準備会そして設立に至りました。和歌山県職員によるカラ出張、水増し出張疑惑の追及をきっかけとして、和歌山県による予算執行全庁調査が行われ約15億円が返還されるという大きな成果をあげるなど諸課題に取り組んできました。今大会のテーマは、森友学園への国有地売却問題、加計学園の獣医学部新設問題です。『忖度』という言葉が世間の耳目を集めています。『忖度』したのは権力を動かす官僚であり、『忖度』されたのは首相(あるいは首相夫人)です。政府の対応は、存在する文書を『怪文書』扱いし、また、文書を破棄したなどとして、闇の中に葬り去ろうとしています。情報公開は、国民主権下において国民の知る権利に基礎を置くものであり、今大会の討議を通じて『忖度』ではなく、公正、公平な行政が行われるよう国民の監視できる情報公開制度の実現に少しでも資すれば幸いです。また、分科会の1つにカジノ問題があります。和歌山県、和歌山市はカジノ誘致に積極的です。生産性もなく、地域経済の活性化にもつながらず、ギャンブル依存症を増やすだけのカジノを誘致させないようその問題が深まることを期待しています。最後に、和歌山には、高野山、熊野古道の世界遺産を含め、多数の観光名所があります。大会のついでに、和歌山をもっと知っていただければ幸いです。」
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■続いて全国市民オンブズマン連絡会議代表幹事の土橋実氏から基調報告がありました。
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「今年の第24回市民オンブズマン全国大会は、和歌山市の和歌山県民文化会館小ホールで開催することになりました。近畿での全国大会は一昨年の第22回兵庫大会以来となります。この一年もさまざまな出来事がありました。6月15日には、参議院本会議で犯罪を計画段階から処罰する改正組織的犯罪処罰法(いわゆる共謀罪法)が、異例の採決方法で可決されました。この法律は、『思想ではなく行為を罰する』という日本の刑法の原則を根本から崩してしまうだけでなく、権力による市民の監視を拡大する悪法といわなければなりません。 森友学園・加計学園問題は、権力の中枢にいる政治家が政治を私物化し、行政手続やその内容が歪められた事件です。この問題は、政府が通常とは異なる権力の行使、適正手続を無視して許認可権を行使し、国有財産を不当に安く処分したりするなかで、一連の経過を裏付ける記録が廃棄・隠蔽されているところに、民主主義の根幹の知る権利が政府によって無視されているところに核心があります。同様に、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報をめぐる問題も、政府が政権にとって不都合な情報を隠蔽・操作するもので、シビリアンコントロールをも揺るがしかねない重大な問題です。こうした政府の市民無視の姿勢によって、私たちの立憲主義が歪められているといっても過言ではありません。『政治とカネ』の問題は、あいもかわらず大きな社会問題となっています。政務活動費を不正に受給する事案がいまだ全国各地で発覚しており,議員の辞職や、議員に対して賠償を命じる判決もあとを絶ちません。不正や犯罪の温床となっている政務活動費の『前渡し制度』は速やかにあらためるべきです。さらに、現在のような 政務活動費が本当に必要かどうかも、あらためて検証する時期に来ていると考えます。
こうした状況を踏まえ,今年の全国大会は『忖度』の闇に光を―権力のえこひいきをただす―というテーマで行うことになりました。森友学園・加計学園をめぐる問題は、権力による『えこひいき』や一部権力者による政治の私物化の問題であり、韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統の事件を彷彿させるものがあります。それと同時に、この問題は私たちの活動の基礎となっている情報の管理や保管、情報公開といった民主主義の基礎に直結する重大な問題でもあります。連絡会議では、加計学園問題をふまえ、国の各省庁、都道府県、政令市及び中核市を対象に、職員が公用パソコンで送受信するメール、行政事務の処理または決裁の経緯等を記載したメール以外の電子情報を公文書として取り扱っているか を調査しました。また、都道府県、政令市及び中核市には、職員に対する「口利き」に対する記録制度の有無やその内容に関する調査も行っています。文書の保管リスト(文書件名簿)がどのように管理されているかといった調査とあわせ、公文書の保管・管理等のあり方をみなさまと一緒に考えていきましょう。
このほか、全体会では各地オンブズマンの活動報告、“もり・かけ”問題をテーマにした寸劇を行うほか、継続調査を行っている入札の落札率調査、地方公共団体の電力購入・売却調査などの結果も報告します。また、包括外部監査評価班では、各自治体の『監査報告書』を点検するとともに、各自治体が監査報告書の指摘や意見に対して行う『措置報告』を採点する『通信簿』活動を行なっています。優秀な監査報告書を作成した監査人、監査報告書をもとに適切な措置対応を市民に公表している自治体を表彰する予定です。
2日目は分科会を開催いたします。分科会は、①権力えこひいき分科会、②政務活動費分科会、③町内会分科会、④カジノ・ギャンブル分科会の5つを予定し ています。『権力えこひいき分科会』は、全体会のテーマに関する情報の管理・保管、口利き記録制度などの調査結果をふまえ、森友学園や加計学園問題の背景にある政治における『忖度』とこれに伴う政治の『ゆがみ』を掘り下げていく予定です。
『政務活動費分科会』は、地元をはじめ各地の政務活動費をめぐる裁判の活動報告や悩み事の情報交換、各地の活動をふまえ政務活動費について『うっとここんなにひどい』コンクールを予定しています。『町内会』分科会は、昨年に引き続き私たちの身近にある町内会とはどのよう な組織か、町内会と行政とはどのような関係なのか、町内会に対する補助金、町内会に対する資金援助等を通じ、地方政治において『町内会』が果たす“役割”や問題点を議論する予定です。『カジノ・ギャンブル分科会』は、昨年12月に成立した統合型リゾートの整備を政府に促す法律(IR推進法)をもとに、各地で計画されているカジノ等の施設や公営ギャンブルがもたらす弊害、カジノ等が地方政治へもたらす影響などについて議論する予定です。
今年は、全国市民オンブズマン連絡会議結成後24年をむかえます。これまで各地で取り組んできた活動、勝ち取ってきた成果をふまえ、引き続き市民の視点から行政や議会のあり方について監視活動を継続し、市民のための行政・議会の実現に向けて取り組んでいきましょう。二日間の全国大会を通じ、みなさまと一緒に大いに議論し成果を共有しあって、希望がもてる市民社会の実現に向けた大会にしていきましょう」
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■このあと、メインテーマの「忖度の闇にどこまで迫れるか」に関連する「2017年口利き記録制度の調査結果」について、全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長から全体報告として次の説明がありました。
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1 忖度と口利きの記録制度
昨年(2016年)に続き、都道府県、政令市、中核市を対象として、行政への記録制度について調査を行った。今年は、行政への不当な働きかけが大きな争点となった。森友学園に対する公有地の廉価売却と加計学園の獣医学部新設に関する疑惑だ。いずれも首相の意思を行政が「忖度」して、公正な行政運用が害されたのではないか、という点が焦点だ。森友学園の問題では、学園理事長から、学園側 が便宜を図ってもらうよう依頼した政治家の名前が次々と発せられた。加計学園では、「官邸の意向」の有無が焦点となっている。では仮に、森友問題で、教育行政を担当する大阪府に働きかけを記録し、開示する制度が機能していれば、加計問題で、特区の現場である今治市や愛媛県、文科省に同様の制度があったらどうだったろうか。むろん、制度があったからといって、ただちに政治家の働きかけや「官邸の意向」が記録されるとは限ら ない。しかし、行政の意思決定の公正さに対する信頼性がここまで揺らぐことはなかったのではないか。
2 調査方法
昨年同様、47都道府県、20政令市、48中核市ならびに今治市を対象とし、本年(2017年)6月1日現在の制度について、アンケート調査の方法によって調査した。アンケートで明らかにしたい事項は、①行政に対する働きかけを記録する制度を設けているか、制度を設けている場合には、②記録する働きかけを「不当、違法な働きかけ」に限定しているか、③これらの情報について、情報公開条例以外の方法で開示、公表しているか、④記録件数、⑤その他特記事項とし、アンケート用紙を各自治体に配布し、回答を集計し、対象全自治体から回答を得た。
3 制度の制定状況
(1)新たな記録制度を制定した自治体
条例、要綱を問わず、この1年内に新たな記録制度を設けた自治体は東京都だけであった。東京都では、過去、「要望、相談等に関するもの」を記録する制度を設けていたものの、この制度は、働きかけを記録することそれ自体を目的とするものではなかった。これに対して都は昨年(2016年)11月に新たに「職務に関する働きかけについての対応要綱」を設け、行政に対するすべての働きかけを記録する制度をスタートさせた。知事の交代と、豊洲市場への移転問題があったことが制度化の背景にあることは明らかだ。利権が渦巻くオリンピックの開会を控え、確実 に働きかけが記録されることを求めたい。また、姫路市は昨年の調査では、不当、違法な働きかけだけを対象としていたが、2017年4月から、全ての働きかけを記録するように制 度を改めた。
(2)愛媛県、今治市では制度そのものがない
都道府県では29の都府県が、政令市では16の市が、中核市では27市が働きかけを記録する何らかの制度を設けていた。森友学園の問題が発生した大阪府は、府政への意見を募集し、これを公表する制度を設けている。したがって、違法、不当なものに限らず府政への意見を広く記載する制度を備えているとも言えなくはない。寄せられた声を「府民の声」に登録するかどうかは、登録の基準「意見」「要望」「提言」「苦情」に照らして、登録対象とするか否かを議員が判断する。という運用になっている。登録されたものは、公表の考え方に添って原則全て公表している。しかしこの制度は、仮に違法、不当な働きかけがあったとしても、働きかけの当事者の意思によって公表されない余地を残す点で不十分だ。さらに、森友問題の疑惑のような個別的な働きかけは、府政運用に対する提言や要望、意見ではない、として、職員が記載を控える、という危険もある。いずれにしても、働きかけの記録・公開制度としては不十分だ。そこで、今回は、公表制度を設けている自治体には含めなかった。
一方、加計学園に関連する愛媛県や今回特別に調査した今治市は、記録制度そのものを設けていなかった。記録制度そのものがない、ということは、それだけ、外部の働きかけに対する耐性がない、ということだ。 早急に制度を設けるべきだ。
都道府県(47):制度あり(29)+制度なし(18)
政令市(20):制度あり(16)+制度なし(4)
中核市(48):制度あり(27)+制度なし(21)
4 記録の要件(違法・不当が要件か)
(1)不当・違法を要件としている自治体
記録制度を設けている自治体に対して、不当または違法な働きかけであることを要件としているか、引き続き調査した。その結果は以下の通り。都道府県では、違法、不当を要件とする自治体が多数派であったが、市では政令市、中核市とも違法・不当な働きかけに限らず、全てを記載する、と回答した自治体が多数であった。
なお、先に述べたように、姫路市は2017年4月1日から原則全件記録するように改めた。他自治体も追随して頂きたい。
都道府県(記録制度ある自治体総数29):違法・不当のみ(17)+全て(12)
政令市(記録制度ある自治体総数16):違法・不当のみ(6)+全て(10)
中核市(記録制度ある自治体総数27):違法・不当のみ(10)+全て(17)
(2)要件と記録件数
次に、違法・不当な働きかけ要件の有無と記録件数については、傾向が顕著だ。違法、不当な働きかけのみを記録すると回答した都道府県、政令市、中核市の33自治体中、昨年平成28年度の記録件数は、盛岡市の3件だけ。それ以外の32の県と市では0であった。
一方、違法、不当を要件としない自治体では、自治体によって差はあるものの、働きかけが記録されている。都府県では、東京都が161件、沖縄県33件、府政への意見募集という制度を設けている大阪府が27,714件となっている。政令市では神戸市の31,423件を筆頭に、大阪市が20,268件、京都市が7,527件、仙台市が1,074件、名古屋市が393件、岡山市が14件、熊本市が1件、中核市では岐阜市が12,284件、高槻市が8,857件、尼崎市が平成27年の記録で5,566件、長崎市が3,354件、大津市が2,051件、東大阪市が125件、豊田市が24件、奈良市が15件、姫路市が6件となっている。
昨年も指摘したように、違法、不当な働きかけだけを記録すれば足りる、という発想では、働きかけが正確に記録されることを期待できない。働きかけを記録する自治体職員に違法、不当の判断をさせることが、当の職員が記録後の開示を想定することで、判断を萎縮させるからだ。
(3)議員からの口利き・働きかけ記録件数
記録された働きかけの内、当該自治体議員からの口利き・働きかけ件数を回答したのは、東京都(88件)、大阪府(1件)、名古屋市(69件)、京都市(432件)、大阪市(248件)、神戸市(675件)、岡山市(7件)、熊本市(1件)、岐阜市(1107件)、豊田市(4件)、東大阪市(5件)、奈良市(13件)、長崎市(171件)であった(件数のとりまとめをしていないのは広島市・高槻市・枚方市・尼崎市)。
自治体の議員の職務内容はほぼ全国共通だ。上記自治体の議員のみが口利き・働きかけしているとは考えにくい。しかも、議員や政治家の働きかけによって、森友学園同様、行政の中立性に対する疑義が生じる。制度によって、働きかけの内容を市民が判断できるようにすべきだ。
なお、議員からの口利き・働きかけ記録があると回答した自治体については、全件情報公開請求を行ったが、本原稿締め切りまでに集約が間に合わなかった。
(4)記録件数の意味するもの
記録数0の意味については、不当、違法な働きかけがなかったのか、不当、違法な働きかけがあったが、働きかけを受けた職員の側で記載をしなかったのか、論理的には断定できない。しかし、働きかけを受けた当の自治体職員が受ける精神的な圧力を考慮した場合、不当、違法な働きかけと判断できるものであっても、あえてこれを記録しない、という事態が生じることは、容易に想定できる。
一方、全てを記録している自治体中でも、記録件数には大きな相違がある。先に述べた大阪府は、府政への意見募集という制度に基づく件数であるから、数字の意味合いを異にするとしても、31,423件の神戸市、7,527件の京都市、393件の名古屋市に共通するのは、条例に基づいて記録するという点だ。中核市でも、8,857件の高槻市、2,051件の大津市は条例に基づく記録制度だ。要綱に基づく大阪市(20,2 68件)や岐阜市(12,284件)、尼崎市(平成27年度で5,566 件)などの例外があるものの、要綱、要領などの内規に基づくよりも、条例に基づく記録制度の方が、より多くの件数が記録される傾向にある。
記録が条例で義務付けられることで、働きかけを記録するに際して、職員にかかる精神的な圧力がなくなることが原因ではないだろうか。
5 情報公開条例以外の開示制度の有無
記録された働きかけの内容をより簡単に市民が知るために、情報公開条例に基づく開示請求以外に、より簡便な方法で開示する制度を設けているか否かを質問した。
都道府県では、記録制度を設けている29自治体のうち、11自治体が、政令市では16自治体のうち、7自治体が、中核市では27自治体のうち、9自治体が情報公開条例以外の手続きで情報を開示(公表)する制度を設 けている、と回答している。
6 まとめにかえて―「忖度」に対する処方
森友学園問題にしても、加計学園問題にしても、背景にあるのは、政治の腐敗と、これに同調する官僚の存在だ。こうした腐敗に対する最も有効な手段は、情報の公開だ。ところが、昨年の調査以降この1年の間に、都道府県と中核市以上の都市を含めて、記録制度の見直しをした自治体は東京都と姫路市だけだった。この事実は、自治体の首長の記録の作成、保管を含む、情報公開制度への意識が、全国的にきわめて低いことを示す。
全国市民オンブズマン連絡会議が発足し、官官接待の追及を皮切りに情報公開制度を用いて行政の腐敗の調査を行っていた、今から20年前の97年頃、当時の宮城県の浅野知事は「市民オンブズマンは敵だ。しかし、 傷口を教えてくれたドクターとも言える。必要な敵だ。」とインタビューで答え(97年5月1日河北新報)、その後も宮城県の情報公開制度を充実させていった。市民オンブズマンに対する位置付けはともかくとして、宮城県以外でも、情報公開制度を、市民の監視によって行政の意思決定の公正さを維持する制度と位置づけ、情報公開制度の充実を重要な政策課題としていた自治体はむしろ多数派だった。
翻って現在。森友問題や加計問題によって、行政の意思決定の公平さに対する国民の不信は、政権を揺るがすまでになっている。しかし、政治家や職員OB有力者の行政への働きかけが、公正な行政の意思決定を歪め、行政への信頼を害する危険は、全国の自治体で起こり得ることでもある。その中にあって、働きかけを隠蔽しようとするか、情報を開示して市民の批判に応えていく途をとるかは、自治体の首長の市民に対する信頼、もっと言えば、民主主義に対する信頼の程度を示すものだ。
今回の大会では、電子情報の公文書性についての自治体の判断も同時に調査した。その結果、記録に残すか否か、つまり、情報公開の対象とするか否かについて、行政の判断を介在する自治体が多数であることが明らかになった。この調査における、政策に対する働きかけについても、すべての働きかけを記録する、と回答した自治体は少数派だ。
しかし、いうまでもなく、記録に残すことは情報公開の基本である。情報公開は説明責任と表裏の関係にある。記録に残さない、という判断は、現在の市民に対する説明責任の放棄であると同時に、将来の市民に対する説明責任を放棄することでもある。従って、民主主義の観点から見れば、すべてを記録に残す制度を設けることが求められている。違法、不当な働きかけだけを記録する制度では、働きかけが記録されないことは、昨年も述べた通りだ。
森友学園や加計学園の問題が生じても、働きかけの記録制度について東 京都と姫路市以外に改善が見られないことは、改善をしないほとんどの首長が、説明責任を負いたくない、と考えているか、あるいは首長自身が働きかけをする側に位置するかどちらかではないだろうか。早急に制度の改善を求めたい。
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※全体報告:
●「口利き」記録制度の調査 PDF ⇒ 005018_kuchikiki_kirok...
●電子情報と情報公開 PDF ⇒ 019057_densijouhou__jo...
●知事・市長メール情報公開結果 PDF ⇒ 058067_chiji_sichou_ma...
●森友 情報公開結果 PDF ⇒ 068076_moritomo_jouhou...
●家計 国家戦略特区議事録延長 PDF ⇒ 077080_kakei_kokka_sen...
■続いて文書件名簿を用いた追及の成果について、大阪府泉北郡忠岡町の勝元由佳子氏と愛知県一宮市の扇利勝氏からそれぞれ発表がありました。これは行政文書の一覧表を情報公開請求により入手することで、行政がどのような文書を作成しているか、一目瞭然で分かり、隠している文書も連続番号の欠番などで把握し易いという利点があることです。
お二方とも強調されていたのは、住民監査請求や住民訴訟を行っている場合や、行政の案件について問題点の発掘を行う場合には有用なツールであるとして、全国の市民オンブズマンの皆さんにこの手法を広く活用していただきたいということです。
●文書件名簿について PDF ⇒ 081091_bunshokenmeibo_nituite.pdf
■その後、政務活動費開示度ランキングの調査発表が連絡会議から行われました。
●2016年度政務活動費情報公開度ランキング PDF ⇒ 092110_2016nendo_seimukatudouhi_jouhoukoukaido_ranking.pdf
●政務活動費アンケート調査の結果 PDF ⇒ 111119_seimukatudouhi_ankeitochousa_nokekka.pdf
●陳情の取り扱いについての全国調査 PDF ⇒ 120128_chinjouno_toriatukai_nituiteno_zenkokuchousa.pdf
■午後2時45分から15分間の休憩の後、午後3時から恒例の寸劇が始まりました。テーマは「忖度」で、権力と特定の間柄にある勢力との癒着の弊害について分かりやすく表現していました。
その後、各地からの報告としてそれぞれ持ち時間9分で発表が行われました。次の9つの市民オンブズマン団体から、現在取り組んでいる案件について概要説明がありました。
●市民オンブズマンわかやま「和歌山県議政務活動費追及」 PDF ⇒ 273278_chiikikatudouhoukoku_wakayama.pdf
●狭山市民オンブズマン「埼玉県議政務活動費追及」 PDF ⇒ happyousiryou_sayama.pdf
279283_chiikikatudouhoukoku_sayama.pdf
●京都市民オンブズパーソン委員会「京都市議政務活動費和解的取り下げ」 PDF ⇒ 284289_chiikikatudouhoukoku_kyoto.pdf
●市民オンブズ尼崎「尼崎市議員通信簿発表」 PDF ⇒ 290295_chiikikatudouhoukoku_amagasaki.pdf
●守口市「守口市議会音声データ公文書性を認める判決」
●市民オンブズマン群馬「バイオマス発電計画を巡る癒着」 PPT ⇒ pptsioocixdsj.pdf
PDF ⇒ 296301_chiikikatudouhoukoku_gunma.pdf
●市民オンブズマン高知「道の駅計画を断念させた」 PDF ⇒ happyousiryou_kochi.pdf
302307_chiikikatudouhoukoku_kochi.pdf
●かながわ市民オンブズマン「カジノ誘致を止める住民監査請求」 PDF ⇒ 308313_chiikikatudouhoukoku_kanagawa.pdf
●市民オンブズ香川「香川県議海外視察住民監査請求」 PDF ⇒ 314314_chiikikatudouhoukoku_kagawa.pdf
■続いて、情報公開市民センターから、共謀罪に係る情報公開請求など活動報告が行われました。
●情報公開市民センター活動報告、この1年、共謀罪声明・情報公開請求・PKO日誌 PDF ⇒ 143158_jouhoukoukai_simincenter_houkoku.pdf
その後の毎年恒例の落札率調査、電力購入・売却調査報告について発表が予定されていましたが、各地からの報告で時間が20分ちかく予定より伸びたため、資料参照のみとなりました。
●2016年度入札調書の分析結果についての報告 PDF ⇒
P208-218:208218_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku1.pdf
P219-229:219229_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku2.pdf
P230:230230_2016nendo_nyusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku3.pdf
P231:231231_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku4.pdf
P232:232232_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku5.pdf
P233-235:233235_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku6.pdf
P238-239:236239_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku7.pdf
●2016年度分の自治体の電力購入・売却状況の調査 PDF ⇒ 240259_2016nendo_jichitaino_denryokukounyuu_naikyakujoukyouno_chousa.pdf
次に消防デジタル談合の呼びかけについて全国市民オンブズマン連絡会議から説明が行われました。群馬県でも4件の談合が確認されており、既に入札調書や契約書などを情報開示請求を通じて入手済みの為、今後の対応方針の検討に向けて、大変参考になりました。
●消防デジタル無線談合 PDF ⇒ 169176_shouboudigital_musendangou.pdf
最後に、これも恒例の包括外部監査の通信簿の表彰式が行われ、青森県外部監査人の公認会計士の倉成美納里氏と岐阜県外部監査人の弁護士の芝英則氏にオンブズマン大賞が送られました。平成28年度包括外部監査実施全自治体119(47都道府県、20政令市、48中核市、7条例制定自治体)の全監査報告書128テーマから選ばれただけあって、お二人の受賞スピーチも素晴らしい内容でした。
●2017年版包括外部監査の通信簿結果発表 PDF ⇒ 260272_2017nenban_houkatugaibukansano_tuusinbo_kekkahappyou.pdf
そして翌日の分科会のPRと事務連絡が午後6時までに完了しました。
●分科会の案内 PDF ⇒ 2017090303.pdf
6時半からは、隣のホテル・アバローム紀の国3階の「孔雀の間」で懇親会が午後8時まで開かれました。
昨年言葉を交わした各地のオンブズマンの皆さんと久しぶりに再会したこともあり、1時間半の時間があっという間に過ぎ、三々五々夜の街に繰り出していきました。
↑「和歌山かりゆし会」のメンバーによる三線、太鼓、舞踊の披露。
http://jbpress.web.fc2.com/backs/2004/200407/kariyushi/kariyushi.html ↑
↑歓談中の全国大会参加者。↑
■翌日は午前9時半から、県民文化会館の4~6階の会議室に分かれて4つの分科会が開かれました。
●政務活動費分科会 PDF ⇒ 129142_seimukatudouhi_bunkakai.pdf
●情報公開分科会 PDF ⇒ 159168_jouhoukoukai_bunkakai.pdf
●カジノ・ギャンブル分科会 PDF ⇒ 177187_casino_ganble_bunkakai1.pdf
●町内会分科会 PDF ⇒ 2017090305w.pdf
当会は昨年に引き続き「町内会」分科会に参加しました。主な各地からの報告資料は次のとおりです。
●春日原自治会を考える会 PDF ⇒ 2017090305itlj.pdf
●奈良県K自治会補助金詐欺事件 PDF ⇒ 20170903061_naraken_k_jichikai_hojokin_sagi.pdf
20170903062_naraken_k_jichikai_hojokin_sagi.pdf
●大野城市の住民自治を考える会 PDF ⇒ 2017090307iszlj.pdf
●広島市東区早稲田社協 PDF ⇒ 201709030801ilscj.pdf
201709030802ilscj.pdf
11時半に分科会会場から2階の小ホールに全員が集まり、1件の決議案と大会宣言が満場一致で承認されました。
●IRカジノ設置に反対する決議案 PDF⇒ 2017090301irjwmuc.pdf
●大会宣言案 PDF ⇒ 2017090302.pdf
そして、来年の再開を約して、正午に散会しました。来年の開催地は未定ですが、ここ群馬県で開催できる時期がそう遠くないうちに回ってくるかもしれません。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※関連記事
**********毎日新聞2017年8月30日 東京朝刊
オンブズマン大賞 青森県、岐阜市に監査大賞
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)は29日、都道府県や政令指定都市、中核市に義務付けられている包括外部監査の内容を評価した2016年度の「通信簿」を発表した。最優秀の「オンブズマン大賞」には、食育や食品ロスに関する事業を検証した青森県と、債権管理事務を点検した岐阜市の各監査人を選んだ。連絡会議は、122自治体の監査報告書を検証した。青森県の監査は「独自のテーマに切り込みつつ、(事業の)効率性を緻密に検討した」、岐阜市については「債権の問題を徹底して調べた」と評価した。
**********NHK和歌山のニュース2017年9月1日
政活費公開度 和歌山は42位
全国の主な地方議会を対象に、政務活動費に関する情報公開がどれくらい進んでいるか、市民オンブズマンが調べたところ和歌山県議会は、47都道府県の中で42位にとどまりました。
これは、全国市民オンブズマン連絡会議が2日から和歌山市で全国大会を開くのを前に、発表したものです。
連絡会議は、全国の主な地方議会を対象に、▽政務活動費に関する会計帳簿の提出や活動報告書の作成などを義務づけているかや、▽インターネットなどで情報を入手できるかといった観点で、情報公開がどれくらい進んでいるかを調べました。
その結果、和歌山県議会は、▽会計帳簿の提出を義務づけていないことや、▽インターネットでの情報公開が進んでいないことなどから、47都道府県の中で、42位にとどまりました。
また、和歌山市議会は、人口20万人以上の48の自治体の中で、下から2番目の47位でした。
全国市民オンブズマン連絡会議の児嶋研二代表幹事は、「全国的に見ても和歌山の公開度は低すぎる。議会の意識を変えるためにも、県民や市民がしっかり監視すべきだ」と話していました。
市民オンブズマンの全国大会は、2日から2日間、和歌山市で開かれます。
**********毎日新聞2017年9月2日地方版
政活費 公開度、県議会は全国42位 48中核市で和歌山市47位 /和歌山
行政
↑調査結果を説明する全国市民オンブズマン連絡会議の児嶋研二代表幹事(左)ら=和歌山市で、阿部弘賢撮影↑
全国市民オンブズマン連絡会議が1日公表した政務活動費(政活費)の情報公開度ランキングで、県議会は47都道府県中42位、和歌山市議会は48中核市の中で47位と、全国的にも低調な結果となった。特に領収書や活動報告書などのインターネットでの公開が不十分で、地元のオンブズマンは「和歌山の姿勢は全国と比べてもかなり遅れており、早急に取り組みを進めるべきだ」と指摘している。【阿部弘賢】
調査は、47都道府県、20政令市、48中核市の115議会が対象。領収書▽会計帳簿▽活動報告書▽視察報告書▽政活費の支出基準のマニュアル--の5分野12項目について、6月1日現在の公開状況を尋ね、100点満点で採点した。
**********佐賀新聞2017年09月02日 13時23分
政務活動費の使用率、オンブズマンが調査
全国10議会で10ポイント超減
■16年度、領収書公開は3倍増
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)は1日、2016年度に都道府県と政令指定都市、中核市の計115議会が支出した政務活動費の調査結果を公表した。富山市、兵庫県など10議会で支給額に対する使用額の割合(執行率)が前年度から10ポイント以上減少、領収書をインターネット上で公開している議会は、前年度の9議会から3倍以上の30議会に増えた。
連絡会議が6月に各議会事務局に質問表を送って回答をまとめ、2日から和歌山市で全国大会を開くのを前に同市で記者会見した。新海聡事務局長は「情報公開の重い扉が開き始めたという思いもあるが、十分とは言えない」と話している。
調査結果によると、115議会の16年度の支給総額は約191億円。全体の執行率は集計が間に合わなかった神奈川県横須賀市を除く114議会で前年度比0・7ポイント減の85・9%だった。
10ポイント以上減ったのは富山市(37・6ポイント)、兵庫県(19・7ポイント)、岐阜市(17・1ポイント)、岡山県倉敷市(15・3ポイント)など。一方で95%以上と高い執行率は横浜市(99・6%)、神奈川県(99・1%)、青森県八戸市(97・6%)など9議会だった。佐賀県議会は1・2ポイント増え、86・9%だった。
8府県と5政令市、17中核市の計30議会が16年度の領収書をインターネット上で公開。他に宮城県や仙台市、鳥取県などの13議会が17年度からの公開を予定していると答えた。ただ議員が政活費を使って実施した視察について、議会への報告書の提出を義務付けていないか、義務付けているが非公開とした議会が59と過半数あった。【共同】
**********NHK和歌山のニュース2017年9月2日18:18
市民オンブズマンの全国大会
国家戦略特区での獣医学部新設などをめぐって行政文書の管理のあり方が議論となる中、和歌山市で開かれた市民オンブズマンの大会で、全国の自治体アンケートの結果が明らかになりました。
職員が公用のパソコンで複数の人に送ったメールが行政文書にあたるかどうかは、6割の自治体が「内容による」としていて、市民オンブズマンは「恣意的に不都合な情報が隠されることがないようにすべきだ」と指摘しています。
国家戦略特区での獣医学部新設を巡っては、文部科学省の複数の職員に送られ、共有フォルダーから見つかった文書やメールの管理のあり方が議論になりましたが、文部科学省は、職員個人の備忘録で行政文書ではないと説明しています。
こうした中、市民オンブズマンは和歌山市での全国大会で、都道府県や政令指定都市など全国115の自治体に行ったアンケート調査の結果を報告しました。
調査結果では、職員が公用のパソコンを使って複数の人に送ったメールが行政文書にあたるかどうかについて、▽6割にあたる69の自治体は「内容によって個別にはんだんする」などと回答し、▽「行政文書にあたる」としたのは3割あまり、43の自治体でした。
全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は、「メールの内容によって行政文書かどうかを判断すれば恣意的な運用によって不都合な情報を隠すことが可能になってしまう。行政機関の意図が入り込まない外形的な条件によって判断すべきだ」と話しています。
**********NHK News Web 2017年9月2日18時29分
メールは行政文書か 6割の自治体「内容によって判断」
国家戦略特区での獣医学部新設などをめぐり、文部科学省の職員の間で共有されていたメールや文書の管理の在り方が議論となっています。こうした中、市民オンブズマンが全国の自治体に調査した結果、職員が公用のパソコンを使って複数の人に送ったメールについて3分の1余りの自治体が行政文書に当たるとした一方、6割の自治体は「内容によって判断する」などと回答したことがわかりました。市民オンブズマンは「恣意的(しいてき)な運用で不都合な情報が隠されることがないようにすべきだ」と指摘しています。
国家戦略特区での獣医学部新設をめぐっては、文部科学省の複数の職員に送られ共有フォルダーから見つかった文書やメールの管理の在り方が議論になりましたが、文部科学省は職員個人の備忘録で行政文書ではないと説明しています。
こうした中、市民オンブズマンが都道府県や政令指定都市など全国115の自治体を対象にどのようなメールを行政文書として扱っているかアンケート調査を行い、2日、和歌山市で開かれた市民オンブズマンの全国大会で結果が報告されました。
それによりますと、職員が公用のパソコンを使って複数の人に送ったメールについて全体の3分の1余りの43の自治体が「行政文書にあたる」と回答しましたが、6割にあたる69の自治体は「条例などの基準に基づきメールの内容によって個別に判断する」などとし、3つの自治体が「行政文書にはあたらない」と回答しました。
また、1対1で送られたメールでも共有サーバーで保管するなどほかの人も内容を知ることができる場合には4割余りのおよそ50の自治体が「行政文書にあたる」と回答しましたが、半数以上の自治体は複数の人に送られたメールと同様に「内容によって判断する」などと回答しました。
調査は14の中央省庁に対しても行われましたが、11の省庁はいずれの質問にも「法律の規定に基づき適切に判断する」と回答し、財務省、防衛省、環境省は期日までに回答しませんでした。
全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は「メールの内容によって行政文書かどうかを判断すれば恣意的(しいてき)な運用によって不都合な情報を隠すことが可能になってしまう。行政機関の意図が入り込まない外形的な条件によって判断すべきだ」と指摘しています。
★行政文書の管理めぐる議論
公文書の管理について定めた「公文書管理法」では行政文書について「省庁などの職員が職務上作成し、組織的に用いるため行政機関が保有するもの」と定義していて、メールなどの電子データも含まれるとしています。そして、政府の意思決定などの過程を検証できるようにするため期限を決めて適切に管理・保存するよう定めていて、地方自治体でもこの法律の趣旨にのっとり適切に管理するよう求めています。
国家戦略特区での獣医学部新設をめぐっては、内閣府などとのやり取りを記した文書が文部科学省の複数の職員にメールで送られ省内で共有されていましたが、文部科学省は「職員個人の備忘録で、本来、共有すべきものではなく行政文書ではない」と説明し、メールなどの管理の在り方が議論になりました。
このため、政府は職員の間で共有されたメールなどを行政文書と認定して保管する場合の基準を明確にするなど管理の適正化に向けて今年度中にガイドラインを見直すとしています。
一方、国や地方自治体の業務でメールなどの利用が進んでいることから膨大な電子データの記録をどう管理していくかも課題となっています。
★兵庫 尼崎 「市長のメール公開」
どのようなメールを行政文書として扱うかは自治体によって対応が分かれています。
兵庫県尼崎市は、職員のメールについて「内容や保存形態を踏まえ、個別に判断する」と回答しましたが、今回、市民オンブズマンの情報公開請求を受けて、稲村和美市長がことし6月の10日間に職員などに送った5通のメールのうち4通を行政文書として公開しました。
メールには、市が開催する教育イベントについて稲村市長が職員に相談する内容や、外部の関係者から子どもの貧困について記者の取材を受けるよう依頼され、市長が了承する内容などが記されていて、市長と職員との間の日頃のやり取りを知ることができます。
尼崎市秘書課の小島大作課長はメールを公開した理由について「職務に関連する内容を職員に対して送っているメールなので、行政文書として情報公開の対象と判断した」と説明しています。
そのうえで「意思形成の過程にある内容であっても積極的に公開することで市民の市政への参加を促すという考え方で市の条例は制定されており、その考え方にのっとって対応している」と話しています。
★岡山 倉敷「直ちには行政文書にあらず」
岡山県倉敷市は職員が公用パソコンでやり取りしたメールについて「直ちには行政文書にあたらない」と回答しています。
その理由について倉敷市の石川裕之情報公開室長は「メールには自分の主張だけを送って来るようなケースもあり電話と同じような連絡手段として処理している。すべてのメールを行政文書として取り扱えば通常の業務が機能しなくなり合理的ではないと考えている」と説明しています。
そのうえで「条例の規定に基づいてメールの内容が組織として使う必要があるものかどうか判断し、そうした内容のメールについては電子データや紙ベースにして市のシステムに保存し行政文書として管理している」としています。
★メール公開の条例未整備の自治体も
メールを行政文書として公開するための条例が整っていないとする自治体もあります。
大阪・枚方市は条例で情報公開の対象となる行政文書にメールなどの「電磁的記録」が含まれていないとしています。このため、現状では職員が組織的に使う内容のメールであっても行政文書として管理する対象にはなっていないということで、枚方市は今後条例の改正を検討しているということです。
★専門家「第三者的なチェック体制必要」
公文書の管理や情報公開に詳しい東洋大学法学部の早川和宏教授は「行政機関の職員が職場で与えられたアドレスでやり取りしたメールは基本的に行政文書に当たると考えられる。しかし、役所の中だけでメールの内容によって行政文書かどうかを判断してしまうと、恣意的(しいてき)な運用によって都合の悪い情報を隠そうという意図が働く可能性もある。常に第三者的な専門家がチェックする体制を整えていく必要がある」と指摘しています。
そのうえで、「行政文書は役所の人だけが使うものではなく、私たち国民の共有の財産だと考えるべきだ。行政文書をどのように管理すべきか法律でもっと細かく決める必要があると思う」と話しています。
**********WBS和歌山放送ニュース2017年09月02日 18時34分
第24回市民オンブズマン全国大会、和歌山で初開催
政務活動費の使い道の透明化を求めて活動している市民オンブズマンの全国大会が、きょう(2日)和歌山市で開かれました。
きょう午後1時から、和歌山市の県民文化会館で開かれた全国大会には、全国の市民オンブズマンのメンバーらおよそ200人が参加し、はじめに、実行委員会の阪本康文(さかもと・やすふみ)実行委員長が「私たちは、情報公開の前提となる公文書の保存や管理について厳しく追及していかなければならない。ことし話題の『忖度』をテーマに、2日間、実りある議論をしましょう」と挨拶しました。
↑挨拶する阪本実行委員長↑
大会では、全国各地の市民オンブズマンの担当者がそれぞれの活動や情報公開の調査結果を報告したほか、森友学園や加計学園の問題を表した寸劇が行われました。また、新海聡(しんかい・さとし)事務局長は和歌山県の「口利き記録制度」の有無を紹介し、「和歌山県は制度を持っているが、不当なもののみ記録するのでゼロ件となっている。すぐに要件を外さないと忖度がまかり通ってしまう」と指摘しました。この大会は、あす(3日)も開かれます。
ところで、全国市民オンブズマン連絡協議会は全国の主な議会を対象に、領収書や活動報告書をインターネットで公開しているかや、支出の基準を示したマニュアルを作成しているかなどの基準で、政務活動費の情報がどれだけ公開されているかを調査し、きのう(1日)結果を公開しました。
それによりますと、和歌山県議会は会計帳簿の提出や活動報告書の作成を義務付けていないことや、インターネットでの情報公開が進んでいないことなどから47都道府県中42位にとどまりました。また、和歌山市議会は、人口20万人以上の48の中核市のなかで、下から2番目の47位でした。
**********西日本新聞2017年09月02日19時10分 (更新 09月02日 19時26分)
政務活動費、口利き問題を議論 オンブズマン全国大会開幕
↑和歌山市で始まった、全国市民オンブズマン連絡会議の全国大会=2日午後、和歌山市↑
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)の全国大会が2日、和歌山市で始まった。今年は「忖度の闇に光を!」をテーマに、政務活動費や行政への「口利き」などの問題について、各地の市民オンブズマンが議論を交わす。3日まで。
基調報告で同会議の土橋実代表幹事は、森友・加計学園問題や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽問題に触れ「民主主義の根幹をないがしろにする問題が相次いだ」と指摘。「政活費不正も各地で発覚しており、前渡し制度や、そもそも政活費が必要かどうかを考え直す時期に来ている」と訴えた。
**********関西NHK News Web 2017年09月02日19時16分
メールは行政文書か 自治体で差
自治体職員が公用のパソコンで複数の人に送ったメールが行政文書にあたるかどうかについて、6割の自治体が「内容による」としているという全国アンケート結果が、和歌山市で開かれた市民オンブズマンの大会で明らかにされました。
市民オンブズマンは「恣意的に不都合な情報が隠されることがないようにすべきだ」と指摘しています。
国家戦略特区での獣医学部新設を巡っては、文部科学省の複数の職員に送られ、共有フォルダーから見つかった文書やメールの管理のあり方が議論になりましたが、文部科学省は、職員個人の備忘録で行政文書ではないと説明しています。
こうした中、市民オンブズマンは和歌山市での全国大会で、都道府県や政令指定都市など全国115の自治体に行ったアンケート調査の結果を報告しました。
調査結果では、職員が公用のパソコンを使って複数の人に送ったメールが行政文書にあたるかどうかについて、6割にあたる69の自治体は「内容によって個別に判断する」などと回答し、「行政文書にあたる」としたのは3割余り、43の自治体でした。
全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は、「メールの内容によって行政文書かどうかを判断すれば恣意的な運用によって不都合な情報を隠すことが可能になってしまう。行政機関の意図が入り込まない外形的な条件によって判断すべきだ」と話しています。
**********紀伊民報2017年9月4日
口利きの記録制度充実を 和歌山で市民オンブズ全国大会
全国市民オンブズマン連絡会議は2、3日、和歌山市の県民文化会館で、市民オンブズマンの全国大会を開いた。初日には、森友学園や加計学園の問題を受けて調査した自治体の「口利き」記録制度について発表があった。都道府県では和歌山を含め、制度はあっても全てが記録対象ではないなど不十分な所が多いとし、充実させるよう求めた。
全国大会は24回目。市民オンブズマンわかやま設立20年に当たる今年、県内では初めて開かれ、全国から関係者ら約200人が出席した。
テーマは「『忖度(そんたく)』の闇に光を 権力のえこひいきをただす」。森友学園や加計学園問題で、行政への不当な働き掛けがなかったかが争点の一つとなったことから、自治体の「口利き」記録制度について調べ、連絡会議の新海聡事務局長が発表した。
6月1日時点で47都道府県と20政令市、48中核市を調べた。記録制度があったのは29都府県、16政令市、27中核市だった。中核市の和歌山市にはなかった。
このうち、不当性や違法性を問わず、全ての場合に記録しているのは12都府県、10政令市、17中核市。これらの自治体の2016年度記録件数は、東京都(161件)、沖縄県(33件)、神戸市(3万1423件)、大阪市(2万268件)、岐阜市(1万2284件)などだった。
一方、不当や違法な働き掛けの場合を記録要件とするのは和歌山県を含む17県、6政令市、10中核市で、記録があったのは盛岡市の3件だけ。和歌山県など他の県市は記録がなかったという。
(2017年9月4日更新)
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↑会場の和歌山県民文化会館。↑
和歌山大会は、司会者による開式の辞の後、冒頭に現地実行委員長の坂本康文氏から挨拶がありました。
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「今大会に全国から参集されました皆様方に、地元を代表して心から歓迎の意を表します。私が共同代表の1人を務めます市民オンブズマンわかやまは、1997年4月5日に成立されました。今年は設立20周年です。そのような節目の年に和歌山で全国大会が開催されることは、私たちにとっても非常に光栄なことと思っています。和歌山における市民オンブズマン活動のきっかけは、全国市民オンブズマン連絡会議の呼びかけに応じて行った全国一斉の食糧費の情報公開請求でした。当時、和歌山県が公開した情報は、官官接待の実態を浮き彫りにするものとして全国的に注目を浴びました。情報公開の必要性、有用性が認識され、私たちの活動も市民に認知され、準備会そして設立に至りました。和歌山県職員によるカラ出張、水増し出張疑惑の追及をきっかけとして、和歌山県による予算執行全庁調査が行われ約15億円が返還されるという大きな成果をあげるなど諸課題に取り組んできました。今大会のテーマは、森友学園への国有地売却問題、加計学園の獣医学部新設問題です。『忖度』という言葉が世間の耳目を集めています。『忖度』したのは権力を動かす官僚であり、『忖度』されたのは首相(あるいは首相夫人)です。政府の対応は、存在する文書を『怪文書』扱いし、また、文書を破棄したなどとして、闇の中に葬り去ろうとしています。情報公開は、国民主権下において国民の知る権利に基礎を置くものであり、今大会の討議を通じて『忖度』ではなく、公正、公平な行政が行われるよう国民の監視できる情報公開制度の実現に少しでも資すれば幸いです。また、分科会の1つにカジノ問題があります。和歌山県、和歌山市はカジノ誘致に積極的です。生産性もなく、地域経済の活性化にもつながらず、ギャンブル依存症を増やすだけのカジノを誘致させないようその問題が深まることを期待しています。最後に、和歌山には、高野山、熊野古道の世界遺産を含め、多数の観光名所があります。大会のついでに、和歌山をもっと知っていただければ幸いです。」
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■続いて全国市民オンブズマン連絡会議代表幹事の土橋実氏から基調報告がありました。
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「今年の第24回市民オンブズマン全国大会は、和歌山市の和歌山県民文化会館小ホールで開催することになりました。近畿での全国大会は一昨年の第22回兵庫大会以来となります。この一年もさまざまな出来事がありました。6月15日には、参議院本会議で犯罪を計画段階から処罰する改正組織的犯罪処罰法(いわゆる共謀罪法)が、異例の採決方法で可決されました。この法律は、『思想ではなく行為を罰する』という日本の刑法の原則を根本から崩してしまうだけでなく、権力による市民の監視を拡大する悪法といわなければなりません。 森友学園・加計学園問題は、権力の中枢にいる政治家が政治を私物化し、行政手続やその内容が歪められた事件です。この問題は、政府が通常とは異なる権力の行使、適正手続を無視して許認可権を行使し、国有財産を不当に安く処分したりするなかで、一連の経過を裏付ける記録が廃棄・隠蔽されているところに、民主主義の根幹の知る権利が政府によって無視されているところに核心があります。同様に、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報をめぐる問題も、政府が政権にとって不都合な情報を隠蔽・操作するもので、シビリアンコントロールをも揺るがしかねない重大な問題です。こうした政府の市民無視の姿勢によって、私たちの立憲主義が歪められているといっても過言ではありません。『政治とカネ』の問題は、あいもかわらず大きな社会問題となっています。政務活動費を不正に受給する事案がいまだ全国各地で発覚しており,議員の辞職や、議員に対して賠償を命じる判決もあとを絶ちません。不正や犯罪の温床となっている政務活動費の『前渡し制度』は速やかにあらためるべきです。さらに、現在のような 政務活動費が本当に必要かどうかも、あらためて検証する時期に来ていると考えます。
こうした状況を踏まえ,今年の全国大会は『忖度』の闇に光を―権力のえこひいきをただす―というテーマで行うことになりました。森友学園・加計学園をめぐる問題は、権力による『えこひいき』や一部権力者による政治の私物化の問題であり、韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統の事件を彷彿させるものがあります。それと同時に、この問題は私たちの活動の基礎となっている情報の管理や保管、情報公開といった民主主義の基礎に直結する重大な問題でもあります。連絡会議では、加計学園問題をふまえ、国の各省庁、都道府県、政令市及び中核市を対象に、職員が公用パソコンで送受信するメール、行政事務の処理または決裁の経緯等を記載したメール以外の電子情報を公文書として取り扱っているか を調査しました。また、都道府県、政令市及び中核市には、職員に対する「口利き」に対する記録制度の有無やその内容に関する調査も行っています。文書の保管リスト(文書件名簿)がどのように管理されているかといった調査とあわせ、公文書の保管・管理等のあり方をみなさまと一緒に考えていきましょう。
このほか、全体会では各地オンブズマンの活動報告、“もり・かけ”問題をテーマにした寸劇を行うほか、継続調査を行っている入札の落札率調査、地方公共団体の電力購入・売却調査などの結果も報告します。また、包括外部監査評価班では、各自治体の『監査報告書』を点検するとともに、各自治体が監査報告書の指摘や意見に対して行う『措置報告』を採点する『通信簿』活動を行なっています。優秀な監査報告書を作成した監査人、監査報告書をもとに適切な措置対応を市民に公表している自治体を表彰する予定です。
2日目は分科会を開催いたします。分科会は、①権力えこひいき分科会、②政務活動費分科会、③町内会分科会、④カジノ・ギャンブル分科会の5つを予定し ています。『権力えこひいき分科会』は、全体会のテーマに関する情報の管理・保管、口利き記録制度などの調査結果をふまえ、森友学園や加計学園問題の背景にある政治における『忖度』とこれに伴う政治の『ゆがみ』を掘り下げていく予定です。
『政務活動費分科会』は、地元をはじめ各地の政務活動費をめぐる裁判の活動報告や悩み事の情報交換、各地の活動をふまえ政務活動費について『うっとここんなにひどい』コンクールを予定しています。『町内会』分科会は、昨年に引き続き私たちの身近にある町内会とはどのよう な組織か、町内会と行政とはどのような関係なのか、町内会に対する補助金、町内会に対する資金援助等を通じ、地方政治において『町内会』が果たす“役割”や問題点を議論する予定です。『カジノ・ギャンブル分科会』は、昨年12月に成立した統合型リゾートの整備を政府に促す法律(IR推進法)をもとに、各地で計画されているカジノ等の施設や公営ギャンブルがもたらす弊害、カジノ等が地方政治へもたらす影響などについて議論する予定です。
今年は、全国市民オンブズマン連絡会議結成後24年をむかえます。これまで各地で取り組んできた活動、勝ち取ってきた成果をふまえ、引き続き市民の視点から行政や議会のあり方について監視活動を継続し、市民のための行政・議会の実現に向けて取り組んでいきましょう。二日間の全国大会を通じ、みなさまと一緒に大いに議論し成果を共有しあって、希望がもてる市民社会の実現に向けた大会にしていきましょう」
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■このあと、メインテーマの「忖度の闇にどこまで迫れるか」に関連する「2017年口利き記録制度の調査結果」について、全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長から全体報告として次の説明がありました。
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1 忖度と口利きの記録制度
昨年(2016年)に続き、都道府県、政令市、中核市を対象として、行政への記録制度について調査を行った。今年は、行政への不当な働きかけが大きな争点となった。森友学園に対する公有地の廉価売却と加計学園の獣医学部新設に関する疑惑だ。いずれも首相の意思を行政が「忖度」して、公正な行政運用が害されたのではないか、という点が焦点だ。森友学園の問題では、学園理事長から、学園側 が便宜を図ってもらうよう依頼した政治家の名前が次々と発せられた。加計学園では、「官邸の意向」の有無が焦点となっている。では仮に、森友問題で、教育行政を担当する大阪府に働きかけを記録し、開示する制度が機能していれば、加計問題で、特区の現場である今治市や愛媛県、文科省に同様の制度があったらどうだったろうか。むろん、制度があったからといって、ただちに政治家の働きかけや「官邸の意向」が記録されるとは限ら ない。しかし、行政の意思決定の公正さに対する信頼性がここまで揺らぐことはなかったのではないか。
2 調査方法
昨年同様、47都道府県、20政令市、48中核市ならびに今治市を対象とし、本年(2017年)6月1日現在の制度について、アンケート調査の方法によって調査した。アンケートで明らかにしたい事項は、①行政に対する働きかけを記録する制度を設けているか、制度を設けている場合には、②記録する働きかけを「不当、違法な働きかけ」に限定しているか、③これらの情報について、情報公開条例以外の方法で開示、公表しているか、④記録件数、⑤その他特記事項とし、アンケート用紙を各自治体に配布し、回答を集計し、対象全自治体から回答を得た。
3 制度の制定状況
(1)新たな記録制度を制定した自治体
条例、要綱を問わず、この1年内に新たな記録制度を設けた自治体は東京都だけであった。東京都では、過去、「要望、相談等に関するもの」を記録する制度を設けていたものの、この制度は、働きかけを記録することそれ自体を目的とするものではなかった。これに対して都は昨年(2016年)11月に新たに「職務に関する働きかけについての対応要綱」を設け、行政に対するすべての働きかけを記録する制度をスタートさせた。知事の交代と、豊洲市場への移転問題があったことが制度化の背景にあることは明らかだ。利権が渦巻くオリンピックの開会を控え、確実 に働きかけが記録されることを求めたい。また、姫路市は昨年の調査では、不当、違法な働きかけだけを対象としていたが、2017年4月から、全ての働きかけを記録するように制 度を改めた。
(2)愛媛県、今治市では制度そのものがない
都道府県では29の都府県が、政令市では16の市が、中核市では27市が働きかけを記録する何らかの制度を設けていた。森友学園の問題が発生した大阪府は、府政への意見を募集し、これを公表する制度を設けている。したがって、違法、不当なものに限らず府政への意見を広く記載する制度を備えているとも言えなくはない。寄せられた声を「府民の声」に登録するかどうかは、登録の基準「意見」「要望」「提言」「苦情」に照らして、登録対象とするか否かを議員が判断する。という運用になっている。登録されたものは、公表の考え方に添って原則全て公表している。しかしこの制度は、仮に違法、不当な働きかけがあったとしても、働きかけの当事者の意思によって公表されない余地を残す点で不十分だ。さらに、森友問題の疑惑のような個別的な働きかけは、府政運用に対する提言や要望、意見ではない、として、職員が記載を控える、という危険もある。いずれにしても、働きかけの記録・公開制度としては不十分だ。そこで、今回は、公表制度を設けている自治体には含めなかった。
一方、加計学園に関連する愛媛県や今回特別に調査した今治市は、記録制度そのものを設けていなかった。記録制度そのものがない、ということは、それだけ、外部の働きかけに対する耐性がない、ということだ。 早急に制度を設けるべきだ。
都道府県(47):制度あり(29)+制度なし(18)
政令市(20):制度あり(16)+制度なし(4)
中核市(48):制度あり(27)+制度なし(21)
4 記録の要件(違法・不当が要件か)
(1)不当・違法を要件としている自治体
記録制度を設けている自治体に対して、不当または違法な働きかけであることを要件としているか、引き続き調査した。その結果は以下の通り。都道府県では、違法、不当を要件とする自治体が多数派であったが、市では政令市、中核市とも違法・不当な働きかけに限らず、全てを記載する、と回答した自治体が多数であった。
なお、先に述べたように、姫路市は2017年4月1日から原則全件記録するように改めた。他自治体も追随して頂きたい。
都道府県(記録制度ある自治体総数29):違法・不当のみ(17)+全て(12)
政令市(記録制度ある自治体総数16):違法・不当のみ(6)+全て(10)
中核市(記録制度ある自治体総数27):違法・不当のみ(10)+全て(17)
(2)要件と記録件数
次に、違法・不当な働きかけ要件の有無と記録件数については、傾向が顕著だ。違法、不当な働きかけのみを記録すると回答した都道府県、政令市、中核市の33自治体中、昨年平成28年度の記録件数は、盛岡市の3件だけ。それ以外の32の県と市では0であった。
一方、違法、不当を要件としない自治体では、自治体によって差はあるものの、働きかけが記録されている。都府県では、東京都が161件、沖縄県33件、府政への意見募集という制度を設けている大阪府が27,714件となっている。政令市では神戸市の31,423件を筆頭に、大阪市が20,268件、京都市が7,527件、仙台市が1,074件、名古屋市が393件、岡山市が14件、熊本市が1件、中核市では岐阜市が12,284件、高槻市が8,857件、尼崎市が平成27年の記録で5,566件、長崎市が3,354件、大津市が2,051件、東大阪市が125件、豊田市が24件、奈良市が15件、姫路市が6件となっている。
昨年も指摘したように、違法、不当な働きかけだけを記録すれば足りる、という発想では、働きかけが正確に記録されることを期待できない。働きかけを記録する自治体職員に違法、不当の判断をさせることが、当の職員が記録後の開示を想定することで、判断を萎縮させるからだ。
(3)議員からの口利き・働きかけ記録件数
記録された働きかけの内、当該自治体議員からの口利き・働きかけ件数を回答したのは、東京都(88件)、大阪府(1件)、名古屋市(69件)、京都市(432件)、大阪市(248件)、神戸市(675件)、岡山市(7件)、熊本市(1件)、岐阜市(1107件)、豊田市(4件)、東大阪市(5件)、奈良市(13件)、長崎市(171件)であった(件数のとりまとめをしていないのは広島市・高槻市・枚方市・尼崎市)。
自治体の議員の職務内容はほぼ全国共通だ。上記自治体の議員のみが口利き・働きかけしているとは考えにくい。しかも、議員や政治家の働きかけによって、森友学園同様、行政の中立性に対する疑義が生じる。制度によって、働きかけの内容を市民が判断できるようにすべきだ。
なお、議員からの口利き・働きかけ記録があると回答した自治体については、全件情報公開請求を行ったが、本原稿締め切りまでに集約が間に合わなかった。
(4)記録件数の意味するもの
記録数0の意味については、不当、違法な働きかけがなかったのか、不当、違法な働きかけがあったが、働きかけを受けた職員の側で記載をしなかったのか、論理的には断定できない。しかし、働きかけを受けた当の自治体職員が受ける精神的な圧力を考慮した場合、不当、違法な働きかけと判断できるものであっても、あえてこれを記録しない、という事態が生じることは、容易に想定できる。
一方、全てを記録している自治体中でも、記録件数には大きな相違がある。先に述べた大阪府は、府政への意見募集という制度に基づく件数であるから、数字の意味合いを異にするとしても、31,423件の神戸市、7,527件の京都市、393件の名古屋市に共通するのは、条例に基づいて記録するという点だ。中核市でも、8,857件の高槻市、2,051件の大津市は条例に基づく記録制度だ。要綱に基づく大阪市(20,2 68件)や岐阜市(12,284件)、尼崎市(平成27年度で5,566 件)などの例外があるものの、要綱、要領などの内規に基づくよりも、条例に基づく記録制度の方が、より多くの件数が記録される傾向にある。
記録が条例で義務付けられることで、働きかけを記録するに際して、職員にかかる精神的な圧力がなくなることが原因ではないだろうか。
5 情報公開条例以外の開示制度の有無
記録された働きかけの内容をより簡単に市民が知るために、情報公開条例に基づく開示請求以外に、より簡便な方法で開示する制度を設けているか否かを質問した。
都道府県では、記録制度を設けている29自治体のうち、11自治体が、政令市では16自治体のうち、7自治体が、中核市では27自治体のうち、9自治体が情報公開条例以外の手続きで情報を開示(公表)する制度を設 けている、と回答している。
6 まとめにかえて―「忖度」に対する処方
森友学園問題にしても、加計学園問題にしても、背景にあるのは、政治の腐敗と、これに同調する官僚の存在だ。こうした腐敗に対する最も有効な手段は、情報の公開だ。ところが、昨年の調査以降この1年の間に、都道府県と中核市以上の都市を含めて、記録制度の見直しをした自治体は東京都と姫路市だけだった。この事実は、自治体の首長の記録の作成、保管を含む、情報公開制度への意識が、全国的にきわめて低いことを示す。
全国市民オンブズマン連絡会議が発足し、官官接待の追及を皮切りに情報公開制度を用いて行政の腐敗の調査を行っていた、今から20年前の97年頃、当時の宮城県の浅野知事は「市民オンブズマンは敵だ。しかし、 傷口を教えてくれたドクターとも言える。必要な敵だ。」とインタビューで答え(97年5月1日河北新報)、その後も宮城県の情報公開制度を充実させていった。市民オンブズマンに対する位置付けはともかくとして、宮城県以外でも、情報公開制度を、市民の監視によって行政の意思決定の公正さを維持する制度と位置づけ、情報公開制度の充実を重要な政策課題としていた自治体はむしろ多数派だった。
翻って現在。森友問題や加計問題によって、行政の意思決定の公平さに対する国民の不信は、政権を揺るがすまでになっている。しかし、政治家や職員OB有力者の行政への働きかけが、公正な行政の意思決定を歪め、行政への信頼を害する危険は、全国の自治体で起こり得ることでもある。その中にあって、働きかけを隠蔽しようとするか、情報を開示して市民の批判に応えていく途をとるかは、自治体の首長の市民に対する信頼、もっと言えば、民主主義に対する信頼の程度を示すものだ。
今回の大会では、電子情報の公文書性についての自治体の判断も同時に調査した。その結果、記録に残すか否か、つまり、情報公開の対象とするか否かについて、行政の判断を介在する自治体が多数であることが明らかになった。この調査における、政策に対する働きかけについても、すべての働きかけを記録する、と回答した自治体は少数派だ。
しかし、いうまでもなく、記録に残すことは情報公開の基本である。情報公開は説明責任と表裏の関係にある。記録に残さない、という判断は、現在の市民に対する説明責任の放棄であると同時に、将来の市民に対する説明責任を放棄することでもある。従って、民主主義の観点から見れば、すべてを記録に残す制度を設けることが求められている。違法、不当な働きかけだけを記録する制度では、働きかけが記録されないことは、昨年も述べた通りだ。
森友学園や加計学園の問題が生じても、働きかけの記録制度について東 京都と姫路市以外に改善が見られないことは、改善をしないほとんどの首長が、説明責任を負いたくない、と考えているか、あるいは首長自身が働きかけをする側に位置するかどちらかではないだろうか。早急に制度の改善を求めたい。
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※全体報告:
●「口利き」記録制度の調査 PDF ⇒ 005018_kuchikiki_kirok...
●電子情報と情報公開 PDF ⇒ 019057_densijouhou__jo...
●知事・市長メール情報公開結果 PDF ⇒ 058067_chiji_sichou_ma...
●森友 情報公開結果 PDF ⇒ 068076_moritomo_jouhou...
●家計 国家戦略特区議事録延長 PDF ⇒ 077080_kakei_kokka_sen...
■続いて文書件名簿を用いた追及の成果について、大阪府泉北郡忠岡町の勝元由佳子氏と愛知県一宮市の扇利勝氏からそれぞれ発表がありました。これは行政文書の一覧表を情報公開請求により入手することで、行政がどのような文書を作成しているか、一目瞭然で分かり、隠している文書も連続番号の欠番などで把握し易いという利点があることです。
お二方とも強調されていたのは、住民監査請求や住民訴訟を行っている場合や、行政の案件について問題点の発掘を行う場合には有用なツールであるとして、全国の市民オンブズマンの皆さんにこの手法を広く活用していただきたいということです。
●文書件名簿について PDF ⇒ 081091_bunshokenmeibo_nituite.pdf
■その後、政務活動費開示度ランキングの調査発表が連絡会議から行われました。
●2016年度政務活動費情報公開度ランキング PDF ⇒ 092110_2016nendo_seimukatudouhi_jouhoukoukaido_ranking.pdf
●政務活動費アンケート調査の結果 PDF ⇒ 111119_seimukatudouhi_ankeitochousa_nokekka.pdf
●陳情の取り扱いについての全国調査 PDF ⇒ 120128_chinjouno_toriatukai_nituiteno_zenkokuchousa.pdf
■午後2時45分から15分間の休憩の後、午後3時から恒例の寸劇が始まりました。テーマは「忖度」で、権力と特定の間柄にある勢力との癒着の弊害について分かりやすく表現していました。
その後、各地からの報告としてそれぞれ持ち時間9分で発表が行われました。次の9つの市民オンブズマン団体から、現在取り組んでいる案件について概要説明がありました。
●市民オンブズマンわかやま「和歌山県議政務活動費追及」 PDF ⇒ 273278_chiikikatudouhoukoku_wakayama.pdf
●狭山市民オンブズマン「埼玉県議政務活動費追及」 PDF ⇒ happyousiryou_sayama.pdf
279283_chiikikatudouhoukoku_sayama.pdf
●京都市民オンブズパーソン委員会「京都市議政務活動費和解的取り下げ」 PDF ⇒ 284289_chiikikatudouhoukoku_kyoto.pdf
●市民オンブズ尼崎「尼崎市議員通信簿発表」 PDF ⇒ 290295_chiikikatudouhoukoku_amagasaki.pdf
●守口市「守口市議会音声データ公文書性を認める判決」
●市民オンブズマン群馬「バイオマス発電計画を巡る癒着」 PPT ⇒ pptsioocixdsj.pdf
PDF ⇒ 296301_chiikikatudouhoukoku_gunma.pdf
●市民オンブズマン高知「道の駅計画を断念させた」 PDF ⇒ happyousiryou_kochi.pdf
302307_chiikikatudouhoukoku_kochi.pdf
●かながわ市民オンブズマン「カジノ誘致を止める住民監査請求」 PDF ⇒ 308313_chiikikatudouhoukoku_kanagawa.pdf
●市民オンブズ香川「香川県議海外視察住民監査請求」 PDF ⇒ 314314_chiikikatudouhoukoku_kagawa.pdf
■続いて、情報公開市民センターから、共謀罪に係る情報公開請求など活動報告が行われました。
●情報公開市民センター活動報告、この1年、共謀罪声明・情報公開請求・PKO日誌 PDF ⇒ 143158_jouhoukoukai_simincenter_houkoku.pdf
その後の毎年恒例の落札率調査、電力購入・売却調査報告について発表が予定されていましたが、各地からの報告で時間が20分ちかく予定より伸びたため、資料参照のみとなりました。
●2016年度入札調書の分析結果についての報告 PDF ⇒
P208-218:208218_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku1.pdf
P219-229:219229_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku2.pdf
P230:230230_2016nendo_nyusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku3.pdf
P231:231231_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku4.pdf
P232:232232_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku5.pdf
P233-235:233235_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku6.pdf
P238-239:236239_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku7.pdf
●2016年度分の自治体の電力購入・売却状況の調査 PDF ⇒ 240259_2016nendo_jichitaino_denryokukounyuu_naikyakujoukyouno_chousa.pdf
次に消防デジタル談合の呼びかけについて全国市民オンブズマン連絡会議から説明が行われました。群馬県でも4件の談合が確認されており、既に入札調書や契約書などを情報開示請求を通じて入手済みの為、今後の対応方針の検討に向けて、大変参考になりました。
●消防デジタル無線談合 PDF ⇒ 169176_shouboudigital_musendangou.pdf
最後に、これも恒例の包括外部監査の通信簿の表彰式が行われ、青森県外部監査人の公認会計士の倉成美納里氏と岐阜県外部監査人の弁護士の芝英則氏にオンブズマン大賞が送られました。平成28年度包括外部監査実施全自治体119(47都道府県、20政令市、48中核市、7条例制定自治体)の全監査報告書128テーマから選ばれただけあって、お二人の受賞スピーチも素晴らしい内容でした。
●2017年版包括外部監査の通信簿結果発表 PDF ⇒ 260272_2017nenban_houkatugaibukansano_tuusinbo_kekkahappyou.pdf
そして翌日の分科会のPRと事務連絡が午後6時までに完了しました。
●分科会の案内 PDF ⇒ 2017090303.pdf
6時半からは、隣のホテル・アバローム紀の国3階の「孔雀の間」で懇親会が午後8時まで開かれました。
昨年言葉を交わした各地のオンブズマンの皆さんと久しぶりに再会したこともあり、1時間半の時間があっという間に過ぎ、三々五々夜の街に繰り出していきました。
↑「和歌山かりゆし会」のメンバーによる三線、太鼓、舞踊の披露。
http://jbpress.web.fc2.com/backs/2004/200407/kariyushi/kariyushi.html ↑
↑歓談中の全国大会参加者。↑
■翌日は午前9時半から、県民文化会館の4~6階の会議室に分かれて4つの分科会が開かれました。
●政務活動費分科会 PDF ⇒ 129142_seimukatudouhi_bunkakai.pdf
●情報公開分科会 PDF ⇒ 159168_jouhoukoukai_bunkakai.pdf
●カジノ・ギャンブル分科会 PDF ⇒ 177187_casino_ganble_bunkakai1.pdf
●町内会分科会 PDF ⇒ 2017090305w.pdf
当会は昨年に引き続き「町内会」分科会に参加しました。主な各地からの報告資料は次のとおりです。
●春日原自治会を考える会 PDF ⇒ 2017090305itlj.pdf
●奈良県K自治会補助金詐欺事件 PDF ⇒ 20170903061_naraken_k_jichikai_hojokin_sagi.pdf
20170903062_naraken_k_jichikai_hojokin_sagi.pdf
●大野城市の住民自治を考える会 PDF ⇒ 2017090307iszlj.pdf
●広島市東区早稲田社協 PDF ⇒ 201709030801ilscj.pdf
201709030802ilscj.pdf
11時半に分科会会場から2階の小ホールに全員が集まり、1件の決議案と大会宣言が満場一致で承認されました。
●IRカジノ設置に反対する決議案 PDF⇒ 2017090301irjwmuc.pdf
●大会宣言案 PDF ⇒ 2017090302.pdf
そして、来年の再開を約して、正午に散会しました。来年の開催地は未定ですが、ここ群馬県で開催できる時期がそう遠くないうちに回ってくるかもしれません。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※関連記事
**********毎日新聞2017年8月30日 東京朝刊
オンブズマン大賞 青森県、岐阜市に監査大賞
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)は29日、都道府県や政令指定都市、中核市に義務付けられている包括外部監査の内容を評価した2016年度の「通信簿」を発表した。最優秀の「オンブズマン大賞」には、食育や食品ロスに関する事業を検証した青森県と、債権管理事務を点検した岐阜市の各監査人を選んだ。連絡会議は、122自治体の監査報告書を検証した。青森県の監査は「独自のテーマに切り込みつつ、(事業の)効率性を緻密に検討した」、岐阜市については「債権の問題を徹底して調べた」と評価した。
**********NHK和歌山のニュース2017年9月1日
政活費公開度 和歌山は42位
全国の主な地方議会を対象に、政務活動費に関する情報公開がどれくらい進んでいるか、市民オンブズマンが調べたところ和歌山県議会は、47都道府県の中で42位にとどまりました。
これは、全国市民オンブズマン連絡会議が2日から和歌山市で全国大会を開くのを前に、発表したものです。
連絡会議は、全国の主な地方議会を対象に、▽政務活動費に関する会計帳簿の提出や活動報告書の作成などを義務づけているかや、▽インターネットなどで情報を入手できるかといった観点で、情報公開がどれくらい進んでいるかを調べました。
その結果、和歌山県議会は、▽会計帳簿の提出を義務づけていないことや、▽インターネットでの情報公開が進んでいないことなどから、47都道府県の中で、42位にとどまりました。
また、和歌山市議会は、人口20万人以上の48の自治体の中で、下から2番目の47位でした。
全国市民オンブズマン連絡会議の児嶋研二代表幹事は、「全国的に見ても和歌山の公開度は低すぎる。議会の意識を変えるためにも、県民や市民がしっかり監視すべきだ」と話していました。
市民オンブズマンの全国大会は、2日から2日間、和歌山市で開かれます。
**********毎日新聞2017年9月2日地方版
政活費 公開度、県議会は全国42位 48中核市で和歌山市47位 /和歌山
行政
↑調査結果を説明する全国市民オンブズマン連絡会議の児嶋研二代表幹事(左)ら=和歌山市で、阿部弘賢撮影↑
全国市民オンブズマン連絡会議が1日公表した政務活動費(政活費)の情報公開度ランキングで、県議会は47都道府県中42位、和歌山市議会は48中核市の中で47位と、全国的にも低調な結果となった。特に領収書や活動報告書などのインターネットでの公開が不十分で、地元のオンブズマンは「和歌山の姿勢は全国と比べてもかなり遅れており、早急に取り組みを進めるべきだ」と指摘している。【阿部弘賢】
調査は、47都道府県、20政令市、48中核市の115議会が対象。領収書▽会計帳簿▽活動報告書▽視察報告書▽政活費の支出基準のマニュアル--の5分野12項目について、6月1日現在の公開状況を尋ね、100点満点で採点した。
**********佐賀新聞2017年09月02日 13時23分
政務活動費の使用率、オンブズマンが調査
全国10議会で10ポイント超減
■16年度、領収書公開は3倍増
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)は1日、2016年度に都道府県と政令指定都市、中核市の計115議会が支出した政務活動費の調査結果を公表した。富山市、兵庫県など10議会で支給額に対する使用額の割合(執行率)が前年度から10ポイント以上減少、領収書をインターネット上で公開している議会は、前年度の9議会から3倍以上の30議会に増えた。
連絡会議が6月に各議会事務局に質問表を送って回答をまとめ、2日から和歌山市で全国大会を開くのを前に同市で記者会見した。新海聡事務局長は「情報公開の重い扉が開き始めたという思いもあるが、十分とは言えない」と話している。
調査結果によると、115議会の16年度の支給総額は約191億円。全体の執行率は集計が間に合わなかった神奈川県横須賀市を除く114議会で前年度比0・7ポイント減の85・9%だった。
10ポイント以上減ったのは富山市(37・6ポイント)、兵庫県(19・7ポイント)、岐阜市(17・1ポイント)、岡山県倉敷市(15・3ポイント)など。一方で95%以上と高い執行率は横浜市(99・6%)、神奈川県(99・1%)、青森県八戸市(97・6%)など9議会だった。佐賀県議会は1・2ポイント増え、86・9%だった。
8府県と5政令市、17中核市の計30議会が16年度の領収書をインターネット上で公開。他に宮城県や仙台市、鳥取県などの13議会が17年度からの公開を予定していると答えた。ただ議員が政活費を使って実施した視察について、議会への報告書の提出を義務付けていないか、義務付けているが非公開とした議会が59と過半数あった。【共同】
**********NHK和歌山のニュース2017年9月2日18:18
市民オンブズマンの全国大会
国家戦略特区での獣医学部新設などをめぐって行政文書の管理のあり方が議論となる中、和歌山市で開かれた市民オンブズマンの大会で、全国の自治体アンケートの結果が明らかになりました。
職員が公用のパソコンで複数の人に送ったメールが行政文書にあたるかどうかは、6割の自治体が「内容による」としていて、市民オンブズマンは「恣意的に不都合な情報が隠されることがないようにすべきだ」と指摘しています。
国家戦略特区での獣医学部新設を巡っては、文部科学省の複数の職員に送られ、共有フォルダーから見つかった文書やメールの管理のあり方が議論になりましたが、文部科学省は、職員個人の備忘録で行政文書ではないと説明しています。
こうした中、市民オンブズマンは和歌山市での全国大会で、都道府県や政令指定都市など全国115の自治体に行ったアンケート調査の結果を報告しました。
調査結果では、職員が公用のパソコンを使って複数の人に送ったメールが行政文書にあたるかどうかについて、▽6割にあたる69の自治体は「内容によって個別にはんだんする」などと回答し、▽「行政文書にあたる」としたのは3割あまり、43の自治体でした。
全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は、「メールの内容によって行政文書かどうかを判断すれば恣意的な運用によって不都合な情報を隠すことが可能になってしまう。行政機関の意図が入り込まない外形的な条件によって判断すべきだ」と話しています。
**********NHK News Web 2017年9月2日18時29分
メールは行政文書か 6割の自治体「内容によって判断」
国家戦略特区での獣医学部新設などをめぐり、文部科学省の職員の間で共有されていたメールや文書の管理の在り方が議論となっています。こうした中、市民オンブズマンが全国の自治体に調査した結果、職員が公用のパソコンを使って複数の人に送ったメールについて3分の1余りの自治体が行政文書に当たるとした一方、6割の自治体は「内容によって判断する」などと回答したことがわかりました。市民オンブズマンは「恣意的(しいてき)な運用で不都合な情報が隠されることがないようにすべきだ」と指摘しています。
国家戦略特区での獣医学部新設をめぐっては、文部科学省の複数の職員に送られ共有フォルダーから見つかった文書やメールの管理の在り方が議論になりましたが、文部科学省は職員個人の備忘録で行政文書ではないと説明しています。
こうした中、市民オンブズマンが都道府県や政令指定都市など全国115の自治体を対象にどのようなメールを行政文書として扱っているかアンケート調査を行い、2日、和歌山市で開かれた市民オンブズマンの全国大会で結果が報告されました。
それによりますと、職員が公用のパソコンを使って複数の人に送ったメールについて全体の3分の1余りの43の自治体が「行政文書にあたる」と回答しましたが、6割にあたる69の自治体は「条例などの基準に基づきメールの内容によって個別に判断する」などとし、3つの自治体が「行政文書にはあたらない」と回答しました。
また、1対1で送られたメールでも共有サーバーで保管するなどほかの人も内容を知ることができる場合には4割余りのおよそ50の自治体が「行政文書にあたる」と回答しましたが、半数以上の自治体は複数の人に送られたメールと同様に「内容によって判断する」などと回答しました。
調査は14の中央省庁に対しても行われましたが、11の省庁はいずれの質問にも「法律の規定に基づき適切に判断する」と回答し、財務省、防衛省、環境省は期日までに回答しませんでした。
全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は「メールの内容によって行政文書かどうかを判断すれば恣意的(しいてき)な運用によって不都合な情報を隠すことが可能になってしまう。行政機関の意図が入り込まない外形的な条件によって判断すべきだ」と指摘しています。
★行政文書の管理めぐる議論
公文書の管理について定めた「公文書管理法」では行政文書について「省庁などの職員が職務上作成し、組織的に用いるため行政機関が保有するもの」と定義していて、メールなどの電子データも含まれるとしています。そして、政府の意思決定などの過程を検証できるようにするため期限を決めて適切に管理・保存するよう定めていて、地方自治体でもこの法律の趣旨にのっとり適切に管理するよう求めています。
国家戦略特区での獣医学部新設をめぐっては、内閣府などとのやり取りを記した文書が文部科学省の複数の職員にメールで送られ省内で共有されていましたが、文部科学省は「職員個人の備忘録で、本来、共有すべきものではなく行政文書ではない」と説明し、メールなどの管理の在り方が議論になりました。
このため、政府は職員の間で共有されたメールなどを行政文書と認定して保管する場合の基準を明確にするなど管理の適正化に向けて今年度中にガイドラインを見直すとしています。
一方、国や地方自治体の業務でメールなどの利用が進んでいることから膨大な電子データの記録をどう管理していくかも課題となっています。
★兵庫 尼崎 「市長のメール公開」
どのようなメールを行政文書として扱うかは自治体によって対応が分かれています。
兵庫県尼崎市は、職員のメールについて「内容や保存形態を踏まえ、個別に判断する」と回答しましたが、今回、市民オンブズマンの情報公開請求を受けて、稲村和美市長がことし6月の10日間に職員などに送った5通のメールのうち4通を行政文書として公開しました。
メールには、市が開催する教育イベントについて稲村市長が職員に相談する内容や、外部の関係者から子どもの貧困について記者の取材を受けるよう依頼され、市長が了承する内容などが記されていて、市長と職員との間の日頃のやり取りを知ることができます。
尼崎市秘書課の小島大作課長はメールを公開した理由について「職務に関連する内容を職員に対して送っているメールなので、行政文書として情報公開の対象と判断した」と説明しています。
そのうえで「意思形成の過程にある内容であっても積極的に公開することで市民の市政への参加を促すという考え方で市の条例は制定されており、その考え方にのっとって対応している」と話しています。
★岡山 倉敷「直ちには行政文書にあらず」
岡山県倉敷市は職員が公用パソコンでやり取りしたメールについて「直ちには行政文書にあたらない」と回答しています。
その理由について倉敷市の石川裕之情報公開室長は「メールには自分の主張だけを送って来るようなケースもあり電話と同じような連絡手段として処理している。すべてのメールを行政文書として取り扱えば通常の業務が機能しなくなり合理的ではないと考えている」と説明しています。
そのうえで「条例の規定に基づいてメールの内容が組織として使う必要があるものかどうか判断し、そうした内容のメールについては電子データや紙ベースにして市のシステムに保存し行政文書として管理している」としています。
★メール公開の条例未整備の自治体も
メールを行政文書として公開するための条例が整っていないとする自治体もあります。
大阪・枚方市は条例で情報公開の対象となる行政文書にメールなどの「電磁的記録」が含まれていないとしています。このため、現状では職員が組織的に使う内容のメールであっても行政文書として管理する対象にはなっていないということで、枚方市は今後条例の改正を検討しているということです。
★専門家「第三者的なチェック体制必要」
公文書の管理や情報公開に詳しい東洋大学法学部の早川和宏教授は「行政機関の職員が職場で与えられたアドレスでやり取りしたメールは基本的に行政文書に当たると考えられる。しかし、役所の中だけでメールの内容によって行政文書かどうかを判断してしまうと、恣意的(しいてき)な運用によって都合の悪い情報を隠そうという意図が働く可能性もある。常に第三者的な専門家がチェックする体制を整えていく必要がある」と指摘しています。
そのうえで、「行政文書は役所の人だけが使うものではなく、私たち国民の共有の財産だと考えるべきだ。行政文書をどのように管理すべきか法律でもっと細かく決める必要があると思う」と話しています。
**********WBS和歌山放送ニュース2017年09月02日 18時34分
第24回市民オンブズマン全国大会、和歌山で初開催
政務活動費の使い道の透明化を求めて活動している市民オンブズマンの全国大会が、きょう(2日)和歌山市で開かれました。
きょう午後1時から、和歌山市の県民文化会館で開かれた全国大会には、全国の市民オンブズマンのメンバーらおよそ200人が参加し、はじめに、実行委員会の阪本康文(さかもと・やすふみ)実行委員長が「私たちは、情報公開の前提となる公文書の保存や管理について厳しく追及していかなければならない。ことし話題の『忖度』をテーマに、2日間、実りある議論をしましょう」と挨拶しました。
↑挨拶する阪本実行委員長↑
大会では、全国各地の市民オンブズマンの担当者がそれぞれの活動や情報公開の調査結果を報告したほか、森友学園や加計学園の問題を表した寸劇が行われました。また、新海聡(しんかい・さとし)事務局長は和歌山県の「口利き記録制度」の有無を紹介し、「和歌山県は制度を持っているが、不当なもののみ記録するのでゼロ件となっている。すぐに要件を外さないと忖度がまかり通ってしまう」と指摘しました。この大会は、あす(3日)も開かれます。
ところで、全国市民オンブズマン連絡協議会は全国の主な議会を対象に、領収書や活動報告書をインターネットで公開しているかや、支出の基準を示したマニュアルを作成しているかなどの基準で、政務活動費の情報がどれだけ公開されているかを調査し、きのう(1日)結果を公開しました。
それによりますと、和歌山県議会は会計帳簿の提出や活動報告書の作成を義務付けていないことや、インターネットでの情報公開が進んでいないことなどから47都道府県中42位にとどまりました。また、和歌山市議会は、人口20万人以上の48の中核市のなかで、下から2番目の47位でした。
**********西日本新聞2017年09月02日19時10分 (更新 09月02日 19時26分)
政務活動費、口利き問題を議論 オンブズマン全国大会開幕
↑和歌山市で始まった、全国市民オンブズマン連絡会議の全国大会=2日午後、和歌山市↑
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)の全国大会が2日、和歌山市で始まった。今年は「忖度の闇に光を!」をテーマに、政務活動費や行政への「口利き」などの問題について、各地の市民オンブズマンが議論を交わす。3日まで。
基調報告で同会議の土橋実代表幹事は、森友・加計学園問題や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽問題に触れ「民主主義の根幹をないがしろにする問題が相次いだ」と指摘。「政活費不正も各地で発覚しており、前渡し制度や、そもそも政活費が必要かどうかを考え直す時期に来ている」と訴えた。
**********関西NHK News Web 2017年09月02日19時16分
メールは行政文書か 自治体で差
自治体職員が公用のパソコンで複数の人に送ったメールが行政文書にあたるかどうかについて、6割の自治体が「内容による」としているという全国アンケート結果が、和歌山市で開かれた市民オンブズマンの大会で明らかにされました。
市民オンブズマンは「恣意的に不都合な情報が隠されることがないようにすべきだ」と指摘しています。
国家戦略特区での獣医学部新設を巡っては、文部科学省の複数の職員に送られ、共有フォルダーから見つかった文書やメールの管理のあり方が議論になりましたが、文部科学省は、職員個人の備忘録で行政文書ではないと説明しています。
こうした中、市民オンブズマンは和歌山市での全国大会で、都道府県や政令指定都市など全国115の自治体に行ったアンケート調査の結果を報告しました。
調査結果では、職員が公用のパソコンを使って複数の人に送ったメールが行政文書にあたるかどうかについて、6割にあたる69の自治体は「内容によって個別に判断する」などと回答し、「行政文書にあたる」としたのは3割余り、43の自治体でした。
全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は、「メールの内容によって行政文書かどうかを判断すれば恣意的な運用によって不都合な情報を隠すことが可能になってしまう。行政機関の意図が入り込まない外形的な条件によって判断すべきだ」と話しています。
**********紀伊民報2017年9月4日
口利きの記録制度充実を 和歌山で市民オンブズ全国大会
全国市民オンブズマン連絡会議は2、3日、和歌山市の県民文化会館で、市民オンブズマンの全国大会を開いた。初日には、森友学園や加計学園の問題を受けて調査した自治体の「口利き」記録制度について発表があった。都道府県では和歌山を含め、制度はあっても全てが記録対象ではないなど不十分な所が多いとし、充実させるよう求めた。
全国大会は24回目。市民オンブズマンわかやま設立20年に当たる今年、県内では初めて開かれ、全国から関係者ら約200人が出席した。
テーマは「『忖度(そんたく)』の闇に光を 権力のえこひいきをただす」。森友学園や加計学園問題で、行政への不当な働き掛けがなかったかが争点の一つとなったことから、自治体の「口利き」記録制度について調べ、連絡会議の新海聡事務局長が発表した。
6月1日時点で47都道府県と20政令市、48中核市を調べた。記録制度があったのは29都府県、16政令市、27中核市だった。中核市の和歌山市にはなかった。
このうち、不当性や違法性を問わず、全ての場合に記録しているのは12都府県、10政令市、17中核市。これらの自治体の2016年度記録件数は、東京都(161件)、沖縄県(33件)、神戸市(3万1423件)、大阪市(2万268件)、岐阜市(1万2284件)などだった。
一方、不当や違法な働き掛けの場合を記録要件とするのは和歌山県を含む17県、6政令市、10中核市で、記録があったのは盛岡市の3件だけ。和歌山県など他の県市は記録がなかったという。
(2017年9月4日更新)
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