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1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電スマートメーター火災事故の隠蔽に加担した総務省消防庁の呆れた対応を一面トップで報じた東京新聞

2018-12-06 23:42:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■当会のブログでも取り沙汰している、次世代型電力量計「スマートメーター」の問題点ですが、このほど東電管内のスマートメーターのうち東光東芝メーターシステムズ社製造品から火災が発生していたことが発覚していたにもかかわらず、東電は、事故や不具合のある製品について公表せず、不良製品を設置した対象者への知らせもしていなかったことが判明しました。そして、一大広告スポンサーとしてマスコミ業界に大きな影響を持つ東電の隠蔽体質が起こしたこの事件について、東京新聞が11月18日の朝刊一面トップ記事で取り上げ、国民に説明もロクにせずスマートメーター交換を推進している問題を堂々と批判した東京新聞が、今度は12月6日にまたもや一面トップで続報を掲載しました。今後はなんと、総務省消防庁が、東電の隠蔽工作に忖度し、結果的に加担した可能性があるというのです。さっそく、こうした「権力に忖度せずモノ申す」ジャーナリズム精神を発揮する記事を見てみましょう。

製品不良で火災や異音などの事故が相次ぐスマートメーター=東京電力パワーグリッド提供
**********東京新聞一面2018年12月6日
スマートメーター発火 消防庁「報告しないで」 東京消防庁に要請
 電力の使用状況を計測する「スマートメーター」の火災が相次いでいる問題で、総務省消防庁が今年四月、製品事故の情報を広く消費者に知らせる消費者庁のネット上のサイトに情報を上げないよう、東京消防庁に指示していたことが分かった。この結果、少なくとも六件の火災がサイトに掲載されなかった。取材に対して消費者庁は「当然、報告が必要だ」と述べている。 (石井紀代美)
 このサイトは、消費者安全法に基づき、消費者庁などが運営する「事故情報データバンクシステム」。製品の不良や取り付けのミスなどで火災が起きた場合、東京では東京消防庁から総務省消防庁に報告。その後、サイトに登録することになっている。サイトでは一般の人が事故の情報を検索できる。
 メーター火災のうち二〇一七年一~七月に発生した十件は掲載された。しかし、今年四月、スマートメーターに疑問を持つ市民団体の集会で担当者が火災について追及された。このころ、総務省消防庁は、掲載を「誤りだ」と東京消防庁に指摘。その後に調査が終わった六件は掲載されなかった。東京消防庁広報課の鍬塚和也司令補は「指摘を受け、火災報告を総務省に上げなくなった」と語った。
 総務省消防庁によると、現行のサイトの運用が始まる二〇一〇年、消費者庁と報告対象の製品を協議し、「メーター類」を除外。当時は普及していなかったスマートメーターも同様に扱ったという。
★「所有権は電力会社」/消費者庁は「報告必要」
 予防課の島村泰彰課長補佐は「送電線などの設備と同様、スマートメーターは電力会社が送配電事業を行うために設置し、所有権も電力会社にある。今後もデータベースには載らない」と説明した。
 消費者庁消費者安全課の尾崎真美子課長は「消費者安全法上、火災は重大な生命・身体被害を発生させるおそれがある事案で、行政機関による報告は必要だ。報告すべきケースを幅広く周知していきたい」と述べた。
【スマートメーター火災を巡る経緯】
2010年06月:原則全ての利用者の導入を目指すとする国のエネルギー基本計画が閣議決定。
2014年07月:都電管内で本格的に導入開始。
2016年09月~2017年8月:東京都内で計16件の火災が発生。以降都内での火災公表はなし。
2018年04月:市民団体が「スマートメーター強制をやめさせる院内集会」を開催。総務省消防庁が東京消防庁に火災を報告しないよう指示
2018年11月:東電側が東光東芝メーターシステムズ製の不具合による発火を認め謝罪。来年3月までの対象2万4000台取り換えを発表

**********東京新聞2018年12月6日
【こちら特報部】スマートメーター火災 報告せず 総務省消防庁が指示
 火災が相次ぐスマートメーター。昨年八月を最後に消費者庁の「事故情報データバンクシステム」に都内の事例が載らなくなった。なぜなのか調べると、総務省消防庁が報告を上げないよう東京消防庁に指示していた。「消費者の所有物ではないから」などと説明するが、載せる必要があるのは、火を見るより明らかだ。スマートメーターの設置という「国策」に忖度(そんたく)していないか。 (石井紀代美、安藤恭子)
★「施工不良」も7件発覚 都内の発生公表 昨年8月以降なし
 「本当にびっくりした。気が付くのが遅かったら建物に燃え移っていた」
 茨城県つくば市の飲食店で十一月三十日、スマートメーターが炎上した。
 発生当日午後二時ごろ、店内にはお昼の客が残っていた。店員は「アスファルトの舗装工事のような石油っぽい臭い」に気が付き、外に出た。スマートメーターから青白い炎が出ていた。ケースは溶け、ぽたぽたしたたり落ちていた。店の粉末消火器で消し止めた。電気は使えないと考えて客に頭を下げて帰ってもらった。「営業補償をもらいたいぐらい。店にいなかったらどなっていたか」
 この火災は東京電力が公表した。十六件の不良品事故が明らかになった東光東芝メーターシステムズ製ではなく、大崎電機工業(東京都品川区)製だった。
 東京電力管内の送配電を担うパワーグリッド社広報担当の田辺健一氏は「今回の原因は調査中だが、施工不良だったとみている。電線をつなぐ端子を止めるネジの締め付けが弱かったことが原因ではないか。その部分が大きく焼けている」と説明する。つまり、不良品でなく、取り付け方が悪かったということだ。
 同様の「施工不良」とみられる火災は、二〇一六年五月以降、東電管内の一部五県でつくばを含め計七件だった。メーカーは大崎電機が四件、東光東芝が二件、三菱電機が一件。都電として公表したのは今回が初めて。後から後からトラブルが発覚するのは、何や嫌な気分になる。
 こういったトラブル情報は、消費者庁などが運営するサイト「事故情報デーアバンクシステム」で、一般の人も確認することができる。事故情報を広く集め、公表することで被害防止が拡大を防ぐことを目的にしたサイトだ。
 スマートメーターを検索すると、東電管内の火災が十一件ヒットする。ところが、東電が「こちら特報部」の取材などで公表した火災は、製品不良十六件と施工不良の七件の計二十三件。十二件の火災は掲載されていない。
 ほかにも不自然な状況もある。火災自体が都内では一七年八月までほぼ毎月、報告があるのに、そこでパタッと止まっている。製品不良の火災は都内だけで、首都圏五県ではない。
 東電側にほかに火災はないのか質問した。「都内での火災は確認できていない。異音など二百件の以上は各都県で今も継続的におきている」との答えだった。
 不良品の交換がまだ進んでいない時期に、火災が起きなくなるのは考えにくい。そこで消防側を取材した。各消防本部は火災情報を総務省消防庁に報告し、その後にサイトに登録されるからだ。
 回答に驚いた。総務省消防庁が東京消防庁に対し、報告しないよう指示したというのだ。
★国策への「忖度」か 総務省消防庁「通知は運用間違い」
 東京消防庁広報課の鍬塚和也司令補は「総務省消防庁から『もともとスマートメーターは、サイトに報告しない製品だ』と指摘された。そのため、総務省消防庁に通知しなかった火災がある」と語る。
 総務省消防庁に聞くと、予防課の島村泰彰課長補佐は「スマートメーターは消費者が家の中で使う一般的な家電ではない。所有権も電力会社。送電線と同じと考えられる」と説明。今年四月、東京消防庁に「運用を間違えている」と指摘し、今後、報告をしないよう念を押した
 島村課長補佐によると、サイトへの報告の範囲は、運用開始の一〇年の前に消費者庁と相談しながら決めた。その時、「メーター類」は除外することになった。ほとんど普及していなかったスマートメーターも同様の扱いにしているということだ。
 ちなみに、指示をした今年四月、市民団体が総務省消防庁に火災について質問状を出し、さらに集会で総務省消防庁の担当者を「データバンクに載っている火災を承知しているのか」追及していた。
 知らぬ間に、一般の人の家や身体が危険にさらされかねなくなっている。総務省消防庁の対応は、これでいいのだろうか。
★「危険性、消費者に知る権利」

消費者庁サイト「事故情報データバンクシステム」のトップページ。
http://www.jikojoho.go.jp/ai_national/



4月に行われたスマートメーター問題に関する集会=衆議院第2議員会館で(網代太郎氏提供)
 サイトについて定めた消費者安全法は、商品の安全性の問題で消費者が身体に一定程度の被害を受けたり、受ける恐れがあったりする事故の穂国を行政機関に義務つけている。火災はこの事故に含まれる。所有者の有無や設置場所が家の内外かで区別するとは、条文には書かれていない。
 「当然、報告が必要。それが法律の規定だ」。サイトを所管する消費者庁消費者安全課は答えた。
 「全国消費者行政ウォッチねっと」事務局長の拝師(はいし)徳彦(のりひこ)弁護士も総務省消防庁の対応を批判する。「スマートメーター火災は、消費者安全法でいう『火災その他の著しく異常な事態』として、消費者庁へのただちの通知が義務付けられる『重大事故等』にあたると解釈できる」と話す。
 「建物に燃え移った事例がなくても、住宅の壁のメーターが焦げることが、少なくとも『著しく異常な事態』に当たることは確かだ。総務省消防庁の誤った解釈に基づく指導によって、東京消防庁に火災を報告させず、消費者庁への通知が妨げられたとしたら、それは法律に違反していることになる」と指摘する。
 五日現在、事故情報データバンクシステムのトップに「スマートメーター」が上がるなど、消費者の不安は広がっている。拝師氏は「電力に付随し、広く出回っているものであることを考えれば、消費者にメリットだけでなくデメリットを提示するのは当然だ。東電による火災の公表はもちろんのこと、総務省消防庁にも積極的に注意喚起する役割があるはずだ」と述べる。
 「スマートメーターの何が問題か」の著書がある行政書士の網代太郎氏は「火災の報告を上げないのは、普及に不都合な情報を隠そうとしているように見える」と感じる。
 スマートメーターは一〇年六月に閣議決定されたエネルギー基本計画で、全ての電気利用者への設置を目指すとされた。つまり「国策」だ。東電は二〇年度を目標に全ての利用者分の約二千九百万台を設置する計画を立てている。
 一方、電磁波による健康被害を心配したり、使用電力の情報が随時、電力会社に伝わるのを嫌う人もいる。網代さんは「設置は事実上の強制。消費者にはその危険性も知る権利がある。海外のように、消費者が従来のアナログ式を選ぶ権利も認めるべきだ。消費者の思いをないがしろにして、国の方針に沿って強引に設置を進めようとするから、今回のような事態が起きる」と訴えた。
【デスクメモ】
 この記事を掲載するにあたり、法律の関係条文を読んだ。どうすれば総務省消防庁のような解釈ができるのか、まったく分からなかった。当然、報告義務がある事例だと考えた。記者が消費者庁に問い合わせた。即答してもらえず、回答まで何時間もかかった。そのことにも驚いた。(裕)2018・12・6
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■東京新聞には、この問題について徹底追及を期待したいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (1)
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