■かつて、国際協力事業団(JICA)職員としてニューヨークに駐在していたこともある山本一太新知事ですが、ブログなどを駆使して、その発信力は政界屈指と言われています。その人物が7月27日に群馬県の第20代知事に就任して1か月が過ぎました。こうした中、8月28日午後、県庁を訪れた際に、管財課で山本新知事が計画している動画スタジオの設置場所について、担当者に様子を聞いてみました。すると「その件は広報課に訊いてほしい」というので、さっそく広報課に伺ったところ「課長が居ないのでよくわからないが、担当者ベースではまだ具体的なことは聞いていない。課長クラスには話が降りて来ていて知っているかもしれない」とのことでした。そのため、当会では、9月2日に次の内容の提案書を群馬県知事の秘書室に届けました。また、写しを県庁記者クラブ(刀水クラブ)にも投げ込みをしました。この件については次のブログも参照ください。
○2019年8月27日:ネット動画発信を目論む山本一太新知事が県庁内に動画スタジオを設置検討か!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3011.html
山本知事のネット番組作成用の動画スタジオの設置場所について、8月24日の地元紙によると、総務部では、県庁最上階の32階を提案しているようです。当会は8月28日に総務部管財課と広報課を訪れた際、このことを知らずにいて、あとで指摘を受けて知りました。
**********上毛新聞2019年8月24日00:00
動画スタジオは県庁最上階に 山本知事 9月予算案ヒアリング
本年度の一般会計9月補正予算案について、群馬県は22、23の両日、山本一太知事が各部局の要求を判断する「知事査定ヒアリング」を行った。23日は情報発信強化のために山本知事が提案した動画スタジオに関して、県庁最上階の32階にガラス張りのスタジオを設ける構想が示された。
星野恵一総務部長が完成イメージやスタジオの図面を基に説明した。案では32階展望ホールの一角に、撮影と編集、配信ができるスタジオを設置する。数人のゲストとの対談、特産品のCM撮影などを想定している。星野部長は「ガラス面を広く取り、県民との距離を近くする。県民を招き、公開放送のような形も可能」と説明した。
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地上127mにある県庁32階の展望ホールまでは、直行エレベータで1階から75秒で移動可能で、展望ロビーからは利根川にかかる群馬大橋を中心に前橋市や上毛三山、関東平野を一望できます。夜景は一見の価値があり、夜間はホール全体をライトダウンしています。
しかし下の写真のとおり、普段あまり人が立ち入りません。時々写真展などありますが、それでも閑散としています。果たしてここに動画スタジオを設けても、県民がどの程度来るのかどうか、リスクがあると思います。また、景色を背景として使う場合、眺めがよいかもしれませんが、天候次第では無味乾燥な背景となります。
↑32階展望ホールの様子(群馬の山々や夜景が楽しめる)↑
ところでガラス張りといえば、かつて、長野県知事の田中康夫氏が県庁1階ロビーの一角に設けた知事室が有名です。
**********信濃毎日新聞2000年12月8日(金)
“ガラス張り”新知事室 県庁1階に完成
田中康夫知事が公約に掲げていた「県庁一階の知事室」が七日、県民ホールだった一角に完成した。八日から執務を行う。やや狭くなった隣接の県民ホールと隔てるのはガラスだけで、文字通り「ガラス張りの県政」をアピールしている。
七日は業者が内装の仕上げを行い、県職員が知事と秘書三人の机、応接用のソファなどを運び込んだ。知事の机は「県民が入ってくるから」との知事の希望で、部屋の入り口に向けて置いた。この日、上田市で開いた車座集会の前に新知事室に立ち寄った田中知事は「フロア全体の感じはとても良い」と話していた。
約七十平方メートルの新知事室は内装や庁内コンピューターネットワークの引き込みなどの改修に二百四十六万円をかけた。机などの備品は「倉庫に眠っていた物をリサイクルした」(秘書課)という。水道がないため、電気ポットを使うほか、庁内の暖房が切れる午後五時十五分以降は電気ストーブを使う。
三階の現知事室は「知事応接室」(仮称)とし、大人数での来客の場合など必要に応じて使っていくという。
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このガラス張り知事室は、田中知事退陣後、村井知事により観光協会用スペースとなりました(現在は不詳)。このようにどうせいずれは当初から目的外使用になってしまい、結局解体の憂き目にあるのですから、最初に設置場所を選定するには、慎重な配慮と検討が必要であることは言うまでもありません。
■そこで当会がイチオシするのは、副知事公舎です。
この副知事公舎の現状は、当会の次のブログをご覧ください。
○2019年7月27日:退任フリン知事が遺す副知事公舎…大澤正明知事と愛人の逢瀬の跡は今?↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2994.html
このようにペンペン草に埋もれているように見えますが、内装は防音完備で、風呂場もキッチンも付いていて、宿泊も可能です。周囲からの雑踏は樹木で遮られており、県都前橋の中心にありながら、緑あふれる空間を演出しています。しかも、県庁から僅かに徒歩4分のところにあり、すぐ隣は桃井小学校と前橋市立図書館、そして前橋カトリック教会があります。子ども達も登下校の際、すぐ立ち寄れますし、図書館に来た前橋市民や、日曜日でもミサに来た信者の皆さんにも立ち寄ってもらえます。
当会は、こっちの方が絶対に動画スタジオのロケーションとしてメリットが大きいと確信しています。なにしろ、前述のとおり、窓は二重サッシに防音効果が抜群であり、防犯設備もSECOMシステムが完備されていて、24時間体制で監視されており、知事の安全が確保できます。また、いつでも使いたいときに使え、支援スタッフの休息や宿泊にも対応可能です。整備にはペンペン草の除草と、植木の剪定費用が掛かりますが、内部の什器備品はそのまま活用でき、放送機材さえ運び込めば、直ちに利用可能だと思われます。
■そう考えた当会では、本日、次の内容の提案書を山本一太知事あてに、秘書室の窓口で提出しました。併せて、記者クラブにも投げ込んでおきました。
*****提案書*****ZIP ⇒ 20190902rm.zip
2019年9月2日
〒371-0001群馬県前橋市大手町1-1-1
群馬県知事 山本一太様
(広報課、管財課)
〒371-0801.群馬県前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567 FAX:027-224-6624
E-mail:yo3@jcom.home.ne.jp
件名:貴殿のインターネット番組用スタジオの設置場所について(ご提案)
拝啓 あらたな県政の舵取り役として日夜ご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
当会は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。
さて、貴殿の前任者である某知事は、知事就任直後に知事公舎は不要だとして早々と解体・撤去しながら、当時の副知事から、災害などの有事に備えて、県庁付近に宿泊可能な施設の必要性を説かれて、副知事公舎の使用を勧められ承諾しました。ところが、これは表向きの理由であり、その実は某知事の20年来の愛人との密会のため、当時の総務部長経験者の副知事が、抜擢の御礼として自ら使用する予定だった副知事公舎を某知事に譲ったのでした。
このため、知事部局の秘書課と管財課では某知事の為、3千万円もの特別予算を組み、某知事と愛人が週末宿泊を伴う滞在が可能となるよう風呂場を大改造し、窓は二重サッシで防音性を高め、出入口には車を降りずに済むようリモコン式開閉ゲートを設置。さらに隣接の小学校やマンション、カトリック教会からの目隠しの為、周囲のブロック塀の上に更に高さ2m近い目隠し用フェンスを増設、隣接マンションの高層階から覗かれないように玄関前に建仁寺垣とよばれる竹製のフェンス、更にマンション側には、庭木として常緑樹のサンゴジュ4本を取り壊した知事公舎の庭園から移植し、後日そのうちの1本が枯れた為、補植まで行うなど、愛人と静かな時間が過ごせるための配慮がふんだんに施されました。
そして某知事の2期目当選が決まり、金曜日の昼に2期目の就任演説をした後、午後さっそく愛人を伴い副知事公舎に宿泊したところを週刊誌にスクープされました。その後は、しばらく空き家になっていましたが、半年ほど総務省から出向した副知事が単身住んでいた時期もありながら、その後は既に数年にわたり、誰も利用しておらず、現在は庭の手入れもされないため、敷地内には雑草が生い茂り、庭木も枝が伸び放題で、塀の外に伸びた樹木の枝切りのみ、公費を使って管財課が管理している状況です。
前置きが長くなり恐縮です。今回、新聞報道で貴殿が主催するインターネット番組「直滑降ストリーム」が8月19日に菅義偉官房長官を招き放映された事を知りました。また貴殿は放送終了後、報道陣に番組について「今後知事の公務としてネット番組発信による広報に活用したい」旨の説明をされました。
そして、貴殿は県庁内に最新の動画スタジオを設けるため、補正予算案に費用を計上する意向であることも知りました。報道では貴殿の趣味も披露する番組を、県費を使ったスタジオで放映する場合に議論が必要であるとのコメントもあるようです。そこで当会から提案です。貴殿が動画スタジオ整備のための補正予算案の起案される際には、前任者の某知事が使っていた副知事公舎をぜひ活用してください。
前述のとおり、窓は二重サッシに改装すみですので、防音効果は万全のはずです。また、敷地の周囲に植えられた樹木のおかげで、街中にありながら緑豊かな風情が醸し出されており、動画の配信の際の背景としても、庭園のたたずまいが容易に実現できるはずです。
それよりなによりも、前任者の某知事に対して、愛人と週末を静かに過ごすために管財課が、前述のとおり、3千万円の予算を惜しげもなく投じました。したがって、貴殿の動画スタジオ設置のための費用の工面を総務部管財課がしぶることは全く心配ないと思います。
副知事公舎は、これまで治安を理由に一般人が内部に立入ることが禁じられてきました。それは某知事のプライバシー保護を最優先にした形でした。一方、貴殿が動画スタジオで、県の内外に貴殿のメッセージを広く発することは、公務の一種だと考えます。但し、県庁内は限られた空間を有効利用しなければなりません。そのため基本的には定時後から心置きなく動画配信のできる環境として、県庁から徒歩5分ほどの距離にある副知事公舎は、アクセスがほどよく、移動中に、番組構成などのアイデアも浮かべられるメリットもあるかと存じます。
また、これまでは治安上やプライバシーを理由に県民の立入りが禁止されていましたが、貴殿の動画スタジオが設置され、ひろく視聴者らがスタジオ見学を自由にできるように、敷地を開放することで、より一層、広報公聴効果が促進されると期待できます。先日、管財課にこの提案をさせていただいたところ、まだ貴殿から動画スタジオについての具体的な話はなにもなく、報道で報じられた範囲のことしか聞いていないとのことでした。そのうえで、動画スタジオの件は、真っ先に広報課にもたらされている可能性があるので、まずは広報課に訊いてみてはどうかとのアドバイスがありました。
そこでさっそく5階の広報課を訪れて、上記の提案をさせていただきました。生憎広報課長ら管理職は外出していましたが、課員のかたが熱心にきいてくれました。広報課の担当者レベルにはまだ貴殿の具体的な動画スタジオプランはなにも聞こえてこないとのことでしたが、管理職の面々にはなにか話が降りてきているかもしれないとのことで、当会から本件提案について、後日文書で知事あてに提出するものの、予め口頭で広報課長には伝えておいてほしい旨、お願いしました。
当会は、前任者の某知事による副知事公舎の目的外使用について、住民監査請求、住民訴訟を提起し、最高裁まで上告をしました。その結果、最高裁は、「宿泊を伴う配偶者以外の異性との公舎内の滞在は、同居とみなさないから、公舎使用規則に違反しない」とする一審、二審における群馬県の主張を認めた判決を支持しました。そのため、公務員の福利厚生には非常に寄与したと自負しております。
この意味からも、貴殿の動画配信のための拠点となるスタジオを、現在未使用のままの副知事公舎に設置することで、公金を投入して防音効果などを高めたメリットが最大限活きるものと確信しています。
貴殿が、動画スタジオを副知事公舎の活用のために同公舎内に設置し、ひろく視聴者にも開放する場合には、当会は公金の無駄遣いではないと判断します。ただし、県庁内に動画スタジオを設置し、このまま副知事公舎を利活用しない場合には、果たして地方自治法第2条14項にさだめる最小のコストで最大の効果の観点から、疑問を呈さざるをえません。
何卒、貴殿のネット番組配信のための動画スタジオは、副知事公舎に設置されたく、ここに強く提案いたします。この提案に関する貴殿の感想をぜひお聞かせください。感想をお聞かせいただける場合には冒頭の当会事務局あて、文書でご回答をお寄せください。
敬具
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■新知事のこだわりは、いつの時代でもつきものです。前任の大澤正明知事は、あろうことか愛人との週末の滞在にこだわり、小学校と教会に挟まれた副知事公舎に血税3000万円を投じて、ラブホテル化を実現しました。
今回、山本一太新知事は情報発信のため、動画スタジオを県庁内に設置したいとして、さっそく総務部長が「県庁最上階がよろしいのでは」と勧めています。前回のように副知事が、自ら使うはずだった副知事公舎を大澤知事の愛人との情事の舞台に提供したことに比べれば、今回の動画スタジオは、血税の用途としては遥かにマシなのかもしれません。しかし、地方自治法第2条の最小の軽費で最大の効果を上げることが求められる行政としては、県庁最上階ではなく、副知事公舎の活用法を視野に入れて検討すべきです。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「知事室にテレビ会議システムを導入」
**********東京新聞2019年8月15日
【群馬】<ウォッチ!一太県政>知事室にテレビ会議導入 高崎、太田市長と試験運用
山本一太知事は知事室内に各首長などと意見交換するテレビ会議システムを導入する方針を決め、14日に高崎市の富岡賢治市長、太田市の清水聖義市長が参加して試験運用した。山本知事はその後の定例記者会見で、システムを「北関東(栃木、茨城県)の各知事と連携する際に活用し、ゆくゆくは世界各国の知事や国会議員などキーパーソンとの人脈づくりに役立てたい」と意欲を見せた。 (菅原洋)
↑モニター画面の太田市長(左上)や高崎市長(右上)と会話する山本知事=県庁で↑
システムのモニター画面は55インチ。インターネットで中継し、試験運用では高崎、太田市長はそれぞれタブレット端末を使った。
山本知事は「タイムリーに、相手の顔を見て、資料も見せ合いながら、(自分などが)出張中でも幹部と議論ができる。システムを整備して定着させ、(対話する)相手の状況もみて、なるべく早く導入したい」と述べた。
一方、山本知事は就任後、県庁近くの公舎ではなく、高崎市内の自宅から通勤している。大沢正明前知事も太田市内の自宅から通勤していたが、二〇一四年に県内が広域的な豪雪となった際、その当日に登庁できずに危機管理上で問題化し、陳謝したことがある。
記者がテレビ会議システムを台風や地震など災害で登庁できない場合に利用するかを聞くと、山本知事は「テレビ会議は(外部から第三者が)侵入しやすいところもある。危機管理など内々の話をするには、相当きちんとセーフティーネットをして、慎重にやらないといけない」と指摘した。
その上で「高崎の自宅から車で三十~四十分だ。緊急事態の場合は天候などを情報収集して、十分に注意しながら対応し、(場合によっては)県庁に泊まりたい」と述べた。
また、山本知事は交代を検討している二人の副知事人事案などを提案する県議会の臨時会を二十三日に招集すると正式に発表した。
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