■昨年12月に政府の言う「勝負の3週間」を経て、さらに年末年始の外出自粛の要請もむなしく、東京都の新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数は、大みそかにあっさりと大台の千人を超え1337人を記録し、年始休暇明けになって、予想をあざ笑うかのように今や2000人台になってしまっています。この原因として、感染症対策の基本中の基本である「検査」と「隔離」が徹底していないことが挙げられています。
そのため、当会では、緊急提言として1月7日にPCR検査の普及の一案として格安PCR検査の民活導入を、群馬県知事に緊急提言しました。翌日の上毛新聞の報道記事を参照ください。
↑上毛新聞2021年1月8日朝刊社会面。↑
**********上毛新聞社会面2021年1月8日
格安PCR検査誘致求め上申書 山本知事へ オンブズマン
市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は7日、格安のPCR検査を提供する民間サービス事業者を県内に誘致するよう市町村へ要請・支援することを求める上申書を山本一太知事宛てに提出したと発表した。
上申書は、都内に数千円で検査を受けられる民間サービス事業者が現れ始めているとして、「できる限りの支援策を講じるよう県民として緊急提言を行う」とした。今後、各市町村にも要請する予定という。
**********
■この緊急提言に先立ち、当会では、昨年12月19日の例会で、コロナ感染拡大抑止対策をテーマに据えて、自ら現役当時のISO9000のQMS(品質管理システム)を実践してきた経験を活かして、現在、世界中が直面しているこの問題の対応策に要因分析の観点から取り組んでいる会員をはじめ、コロナ禍を憂えている会員の皆さんから提起された感染防止対策を協議した結果、検査体制の充実が最重要課題であることを共通認識としました。その過程で出された意見は概ね次のとおりです。
(1)今、仮に全員検査するとしても、今のやりかただとコストがかかる。
(2)とにかくもっと安くやることが大事。
(3)マスクを配るより検査が重要。
(4)理想としては全員検査したいところだ。
(5)現状は、症状があってもすぐに検査を受けられる体制になっていない。
(6)症状を自覚した場合、PCR検査をすぐに受けられるようにすることが肝要。
(7)医者にあまり高い金を払わずに済む方法がよい。
(8)検査をやってくれる医療機関とそうではないところがある。本音はみなあまりやりたくない。
(9)地域によって違いがあり、ちゃんと検査をやっているところもある。
(10)接触感染の例は、どの程度報告されているのか。やはり飛沫による空気感染が主流なのではないか。
(11)今症状を感じて、罹ったかなと思ってもすぐに検査を受けられない。すると家の中で2、3日検査を受けるまでいると家庭内感染リスクが生じる。
(12)症状が出たときに素早く検査を受けれられる体制を作るべき。
(13)すでに格安PCR検査サービスを提供している会社が首都圏にある。そうした会社を誘致するという発想が行政に欠けているのでは。
ちなみに、過去9ケ月間に国内での市中感染がわずか1例という台湾では、PCR検査で感染拡大の抑止が完璧にできるという結論までは導かれてはいないものの、検査の重要性は当初から認識されており、早期にPCR検査機器を自国でも開発し、1時間以内で感染の有無が判定できる体制を、少なくとも昨年夏までには整えて、感染と隔離の両面で実効性を挙げてきたことは紛れもない事実です。
■こうした事情と、当会の12月例会での参加者による討論の結果、最近首都圏で導入が図られている格安PCR検査を使って、一都三県で急増する新型コロナウイルスの感染の脅威に備えて、群馬県における格安PCR検査体制の整備を民間活力の迅速な導入を、行政に提案することが、急務だという結論に達しました。
その後、しばらく新型コロナの感染状況を見ていましたが、冒頭のように大晦日から年初にかけて、想定外の感染急拡大を受けて、1月7日に、とりあえず群馬県知事あてに、緊急提言として次のとおり上申書にしたためて申し入れることにし、さっそく実行しました。
*****1/7県知事宛上申書*****ZIP ⇒ irij.zip
令和3年1月7日
群馬県知事
山本一太様
〒371-0801前橋市文京町1-15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
電話 090-5302-8312(小川)
電話 027-224-8567(事務局)
FAX 027-224-6624
E-mail:yo3@jcom.home.ne.jp
上 申 書
件名:コロナ感染急対策/県内各市町村への格安PCR検査体制の整備(緊急提言)
拝啓 平素より県民の安全・安心な生活環境整備に尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、一昨年12月末までに中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、その後世界中に蔓延しており、我が国でも昨年1月16日に国内で最初の感染者の報告があって以来、 2月の下旬辺りまでの初期対応の遅れなどから、昨年4月下旬ごろを頂点とする流行の第1波、そして8月上旬~中旬ごろを頂点とする第2波を経て、11月に入って以降、現在に至り、急激に上昇している現状を第3波と称する報道もあります。そして、昨年の大晦日に東京でいきなり1日当たりの新規感染者数が1337人を記録し、その感染拡大の勢いは、年末年始の政府の自粛要請にも関わらず、衰えを見せず、世論に押された形で政府は本日1月7日にも、緊急事態再宣言を行うとしています。
一方、群馬県の場合、首都圏で東京都のアクセスの利便性のある地域特性の状況にありながら、12月16日に1日あたり新規感染者数として最多となる63人の感染が確認されたものの、その後は17~56人と一進一退を続けている状況にあります。貴殿が昨年12月19日から、警戒度を最高レベルの「4」へと引上げ、県民に対して明日1月8日まで、日用品の買い物や通勤・通学・通院等を除き、不要不急の外出の自粛要請も、貴殿の不断のリーダーシップの賜物の発露の一例だと思料します。
しかし、隣接の栃木県がそれまでせいぜい30名前後だったのが、年末年始に急増し、1月5日には3桁の111人を記録したこともあり、医療崩壊が現実のものになりかねない深刻な状況を回避するためにも、更なる積極的な対策が急務です。
現状を俯瞰しますと、理想は県民全員に対するPCR検査の実施でしょうが、仮にそれを実施するとなると、今のやりかたではコストの問題が生じてきます。
そこで、現実的な対策としては、コロナ感染を疑わせる症状を自覚した場合に、直ちに検査を受けられる体制の構築が有効ではないでしょうか?
当会では、先月12月19日の定例会においてこの問題を協議し、その結果、「症状があると感じた人がすぐに検査を受けられるようにする体制をつくるべきである」との結論に達しました。
症状があると感じた場合、検査をやってくれる医療機関と、そうではない医療機関があるようです。どこの医療機関が、積極的にやってくれるのか、情報公開が為されていない現状では県民として見極めがつきません。おそらくほとんどの医療機関は、コロナの感染が疑われる人の検査を積極的にやりたくないのが本音なのかもしれません。勿論、地域によってはきちんと検査をやっているところもあるのでしょうが、情報公開されていないため、口コミでしか知り得ません
症状が出て「かかったかな」と思ってもすぐに検査を受けられない現状ですと、そうした人は自宅で2、3日検査を受けるまで外出自粛を自主的にするでしょう。しかし、検査を受けるまで自宅にいる場合、家族が感染するリスクが高くなります。したがって、症状が出たと感じた場合に、素早く検査を受けられる体制を整備することがなにより急務です。
現在、東京及びその周辺で話題となっている格安PCR検査サービスがあります。東京・新橋駅の近くに昨年12月4日にオープンした「新型コロナPCR検査センター」の場合、連日長い行列が途切れず続いています。このサービスでは費用は個人1人当たり3190円(税込み)で、ウェブサイトなどで受け付ける完全予約制ですが、利用者は店舗に足を運び、自分で唾液をとって提出し、所要時間は3分程度で、検査結果は翌日、本人にメールで通知される仕組みです。この他にも、12月10日に、東京駅付近でオープンした別の会社の検査センターの場合、検査費用は1980円で、検査結果は翌日に通知されますが、当日に通知するクイック通知(9900円)も可能となっています。
県内の市町村のほとんどは、コロナ対策と言っても、実際にはなにもやっていないのも同然です。そこで県内の各市町村が、格安PCR検査サービスを実施している民間企業を積極的に誘致して、各自治体に格安でコロナ検査ができる体制を整備するように、貴殿からも強く要請し、できる限りの支援策を講じていただくよう、県民としてここに緊急提言を行います。
なお、当会としても別途、中核市である前橋市・高崎市をはじめ、県内のその他の各市町村にたいしても、上記の緊急提言を行う所存です。
敬具
**********
■地方紙の社会面の一番下の片隅に小さく掲載されたにもかかわらず、反響は結構手ごたえを感じるものとなっています。
その翌日の1月8日に、さっそく筆者の居住する安中市長あてに、県知事宛の上申書の安中市バージョンとして次の内容の上申書を作成し、オンブズマンとして提出しました。その際、安中市役所の副市長や総務部長、法制課長の皆さんは、この小さな記事を読んでいたことがわかりました。
*****1/8安中市長宛上申書*****ZIP ⇒ irij.zip
令和3年1月8日
安中市長
茂木英子様
〒379-0114安中市野殿980
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
電話 090-5302-8312(小川)
FAX 027-371-0364
E-mail:ogawakenpg@gmail.com
上 申 書
件名:コロナ感染急対策/安中市における格安PCR検査体制の整備(緊急提言)
拝啓 平素より住民の安全・安心な生活環境整備に尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、一昨年12月末までに中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、その後世界中に蔓延しており、我が国でも昨年1月16日に国内で最初の感染者の報告があって以来、 2月の下旬辺りまでの初期対応の遅れなどから、昨年4月下旬ごろを頂点とする流行の第1波、そして8月上旬~中旬ごろを頂点とする第2波を経て、11月に入って以降、現在に至り、急激に上昇している現状を第3波と称する報道もあります。そして、昨日東京でとうとう1日当たりの新規感染者数が2447人を記録し、群馬県でも過去最大の83人に上り、その感染拡大の勢いは、年末年始の政府の自粛要請にも関わらず、衰えを見せず、世論に押された形で政府は昨日1月7日にも、緊急事態再宣言を行いました。
かかる状況下、医療崩壊が現実のものになりかねない深刻な状況を回避するためにも、更なる積極的な対策が急務です。
現状を俯瞰しますと、理想は住民全員に対するPCR検査の実施でしょうが、仮にそれを実施するとなると、今のやりかたではコストの問題が生じてきます。
そこで、現実的な対策としては、コロナ感染を疑わせる症状を自覚した場合に、直ちに検査を受けられる体制の構築が有効ではないでしょうか?
当会では、先月12月19日の定例会においてこの問題を協議し、その結果、「症状があると感じた人がすぐに検査を受けられるようにする体制をつくるべきである」との結論に達しました。
症状があると感じた場合、検査をやってくれる医療機関と、そうではない医療機関があるようです。どこの医療機関が、積極的にやってくれるのか、情報公開が為されていない現状では県民として見極めがつきません。おそらくほとんどの医療機関は、コロナの感染が疑われる人の検査を積極的にやりたくないのが本音なのかもしれません。勿論、地域によってはきちんと検査をやっているところもあるのでしょうが、情報公開されていないため、口コミでしか知り得ません
症状が出て「かかったかな」と思ってもすぐに検査を受けられない現状ですと、そうした人は自宅で2、3日検査を受けるまで外出自粛を自主的にするでしょう。しかし、検査を受けるまで自宅にいる場合、家族が感染するリスクが高くなります。したがって、症状が出たと感じた場合に、素早く検査を受けられる体制を整備することがなにより急務です。
現在、東京及びその周辺で話題となっている格安PCR検査サービスがあります。東京・新橋駅の近くに昨年12月4日にオープンした「新型コロナPCR検査センター」の場合、連日長い行列が途切れず続いています。このサービスでは費用は個人1人当たり3190円(税込み)で、ウェブサイトなどで受け付ける完全予約制ですが、利用者は店舗に足を運び、自分で唾液をとって提出し、所要時間は3分程度で、検査結果は翌日、本人にメールで通知される仕組みです。この他にも、12月10日に、東京駅付近でオープンした別の会社の検査センターの場合、検査費用は1980円で、検査結果は翌日に通知されますが、当日に通知するクイック通知(9900円)も可能となっています。
県内の自治体のほとんどは、コロナ対策と言っても、実際にはなにもやっていないのも同然です。そこで県内の自治体に先駆けて、安中市が、格安PCR検査サービスを実施している民間企業を積極的に誘致して、住民に格安でコロナ検査ができる体制を整備するように、国や県の支援も得るなどして、必要な対策をできる限り早急に講じていただきたく、住民としてここに緊急提言を行う次第です。
敬具
**********
■当会が群馬県知事に上申書を提出した1月7日には、県内の新規感染者数は83人となり、過去最高を記録しました。
さらに当会が安中市長に上申書を提出した1月8日、群馬県と前橋市・高崎市は新たに計100人の感染を確認したと発表しました。県が74人、前橋、高崎が各13人で、1日に発表した確認者は2日連続して過去最多で、県内の感染確認者は累計で2735人となりました。
また県は1月8日、太田市の介護事業所で入所者を含む利用者11人と、市内の教会で九人の感染を確認し、クラスター(感染者集団)が発生したと発表しました。前橋市の確認者は学生や福祉事業従事者らで、前橋市は、市内の高齢者施設で入居者6人と職員1人の感染を確認し、クラスターが発生したと発表しました。高崎市では、南八幡小学校関連で児童の同居家族一人の陽性が新たに判明し、同校関連の陽性は計21人となりました。
筆者のかかりつけの開業医では、発熱外来として、動線を分けた診療で、新型コロナの抗原検査を希望者に対して行っており、PCR検査も外注で実施できる体制を整えるべく準備しているとのことです。そして、目下の課題は、陽性反応が出た場合、保健所に連絡することになりますが、それ以降の受け入れ体制について、あまりにも情報が少なく、開業医の立場では患者に対する十分なアドバイスができないというジレンマがあるとのことです。
さらに、他の開業医では、こうした体制をとっているところはまだまだ少なく、本音では検査を引き受けたくない医者が多いのは事実のようです。
また地元の医療関係者によると、いわゆる風評を恐れて実際に発症した患者が出ても、敢えて公表しない病院や介護福祉施設があるとの情報も、密かに飛び交っているそうです。こうした風潮があるとすれば、我が国でPCR検査が普及してこなかったこれまでの経過についても妙に納得できてしまうのですが、これでは「検査」と「隔離」という感染症対策の切り札の効能が十分に発揮できるはずがありません。
もうひとつ、我が国のムラ社会的体質としては、コロナによる差別が、地元群馬県でも顕著なことです。昨年の感染第1波当時、安中市と隣接する自治体にある人工呼吸器メーカーで感染した従業員は、その後、家族ともども引っ越しを余儀なくされたり、県内のスポーツで著名な私立高校で、最初に感染した生徒もいじめにあい、学校を去るハメになったりした、との残念な情報もあります。
■今年も直面せざるを得ないこのコロナ禍という国難に対して、地元でもできる限りの対応策を講じられるよう、微力ながら知恵を絞って行動してまいる所存です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1
**********J-CASTニュース2020年12月27日06:00
格安民間PCR検査場が相次ぎオープン 「陽性の疑い」が出た場合の注意点
↑厚生労働省の公式サイトには、PCR検査を含む「新型コロナウイルス感染症に関する検査について」に関する情報を集めたコーナーもある。↑
新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べるPCR検査を格安で受けられる民間施設が東京都心を中心に相次ぎ開設されている。公費ではなく、自費で検査を受ける場合、これまでは数万円もかかっていたが、数千円程度で可能となり、帰省や出張を前に感染しているか知りたいという人たちが殺到している。
東京・新橋駅の近くに2020年12月4日にオープンした「新型コロナPCR検査センター」の前には連日、長い行列が途切れず続いている。センターは工務店事業を展開する木下グループ(新宿区)が運営し、費用は個人の場合、1人3190円(税込み、以下同)。ウェブサイトなどで受け付ける完全予約制だ。利用者は店舗に足を運び、自分で唾液をとって提出する。所要時間は3分程度で、検査結果は翌日、本人にメールで通知されるという。
★首都圏のほか地方にも拡大する計画も★
グループ内の医療法人が監修しているうえ、本業である工務店事業のノウハウを施設設置などに生かしたことで低価格が実現できたという。「少しでも安心できる日常生活を送れるような環境作りに貢献したい」としている。
高齢の親が待っている実家に帰省したいという人や、出張などで遠出をする会社員など、必要に迫られて検査を望む人が多いという。新宿・歌舞伎町に2号施設を出しており、首都圏のほか地方にも拡大する計画だ。
また、理化学研究所から発したベンチャー企業、ダナフォーム(横浜市)は10日、東京駅のそばに検査センターをオープンした。検査費用は1980円で、木下グループよりさらに低価格だ。理研などが開発した手法や試薬などを用いることで、低価格や迅速性につながったという。検査結果は翌日に通知するが、当日に通知するクイック通知(9900円)も可能だ。また、ソフトバンクグループも、自宅などで唾液を採取し、検査センターに送付する検査事業(税別、配送料等別で2000円)を9月から実施している。
★公的な検査の場合との違い★
日本では、医師が症状などから検査が必要と判断したり保健所から濃厚接触者と言われたりした場合などについての検査は全額公費で負担している。だが単に「感染しているかどうか心配」「取引先に感染していないことを証明してほしいと言われた」などといった場合は、自費で検査をする必要がある。通常、これまでの自費検査では2万~4万円程度の費用が必要で、経済力のある大企業やプロスポーツ選手などに限られていた。このためイベント興業関係者などからは「もっと手軽に検査できさえすれば、経済活動はもっとまわるはずだ」などの声も上がっていた。
格安検査の広がりはこうした声に応えるものでもある一方、問題点も指摘されている。PCR検査ではそもそも、感染していても誤って陰性と判定される「偽陰性」や逆の「偽陽性」になる可能性があるのに加え、自費検査では陽性の疑いと判定されても、公的な検査とは違って、保健所に届け出をしないでも済むことも問題だ。厚生労働省も「自費検査で『陽性』が疑われる結果の場合は、医療機関に相談してほしい」と呼びかけている。
**********
※参考情報2
**********週刊ダイヤモンド2020年10月16日04:26
新型コロナを封じた台湾、日本との「決定的な違い」とは
↑台湾では交通機関などでのマスク着用が法律で義務化されている Photo:NurPhoto/gettyimages↑
新型コロナウイルスへの日本政府の対応を巡っては、初動の遅れや水際対策の失敗、さらに学校・教育機関への予告なしの休校要請や高額布マスクの配布など、混乱振りが目立った。さらにこれからのインフルエンザ流行期を控え、同時流行の不安も高まっている。一方、コロナをほぼ完璧に封じ込めている台湾では、頼れる政府が国民の不安を迅速かつ的確な対応で取り除き、政府、国民、メディアまでもが一丸になって感染拡大を抑えている。日本と同じく四方を海に囲まれ、国土は日本の10分の1、人口は日本の5分の1で、コロナの発生地である中国との往来が日本よりも多かった台湾がどのように感染拡大を防いだのか、台湾の中央感染症指揮センターの発表などを参考に考察してみたい。(アジア市場開発・富吉国際企業顧問有限公司代表 藤 重太)
★PCR検査の危険性を指摘★
日本ではPCR検査についての論争や報道が絶えないが、台湾の中央感染症指揮センターの指揮官である陳時中厚生大臣がPCR検査について、8月22日の定例会見でわかりやすい見解を発表している。
台湾で帰国者、入国者へのPCR検査「陰性判定」での隔離処置緩和の要望が上がった件に関して、陳大臣は、今年1月から8月までの入国者25万人という数字と表を用いて、PCR検査の危険性を明確に説明した(下図参照)。
↑陳厚生大臣は、PCR検査で陰性なのに陽性と判定される「偽陽性」が入国者25万人の内で1万2475例(オレンジ色のマス)発生する恐れがあるとして、PCR検査に頼る動きを否定した↑
陳大臣の説明では、有病率を0.2%=500人として、PCR検査で感染者を陽性と判断する感度(図では敏感性)を90%、陰性を正しく判断する特異度(図では特異性)を95%と仮定し、陽性だが陰性と判定される「偽陰性」を500人のうちの50例、陰性だが陽性と判定される「偽陽性」が1万2475例発生すると説明した。
その上で、PCR検査はその瞬間の保菌状態を判定した指標にすぎず、安全性を担保するものではない。偽陰性の50人が「自分は陰性だ」と安心して出歩き、クラスターを発生する危険性がある。また、陰性のため症状もない偽陽性1万2475人を病院に入院させるだけで医療崩壊の危険性を増やしてしまうと説明して、PCR検査に頼る動きを否定した。
検査環境が悪ければ、検査中や検査終了後に感染する可能性もあるし、PCR検査を無駄に増やすことはコストパフォーマンスにまったく合わず、税金を無駄にするだけ。PCR検査に頼って感染者を増やした失敗事例を、台湾が取り入れる理由がわからないと一刀両断にした。
そして、陳大臣は感染拡大を防ぐ最適な方法は、自宅待機と隔離であると強調した。無造作にPCR検査を拡大するリスクよりも、経過観察および症状の有無を確認した後、最終判定のためにPCR検査を使うことを説いたのである。
しかも、台湾・中央感染症指揮センターは、7月29日の会見で、もし無症状感染者でも、14日間隔離していれば、14日後には保菌状態でも他人に感染するリスクはゼロに近いと断定している。
ここまで明確に感染症対策のリーダーが意見を言い切ることができるのが、台湾の強みではないだろうか。アメリカの厚生長官までが台湾にコロナ対策を学びに行く理由が納得できる。
★無症状感染と後遺症のリスク★
新型コロナウイルスが厄介なのは、潜伏期間が他の感染症より長く、しかも無症状でも感染が広がると発表されている点だ。
インフルエンザなどは潜伏期間が1~3日と短く、潜伏期間中に他人に感染することは少ないとされ、発熱、鼻水、喉の痛みなど症状が出てから他者に感染させるといわれている。
しかし、新型コロナウイルスは、無症状=通常の健康体の状態で知らず知らずに感染して、第三者に感染させる危険性があるといわれている。
台湾・中央感染症指揮センターも2月の段階で、発症2日前には他人に感染することが確認できていると発表している。さらに6月7日の記者会見では、台湾の統計データとして無症状者でも被感染約4.6時間後から他者に伝染させる可能性があると発表している。
健康な人が発症せずに、ウイルスを運び、人と交わり、他人に感染させていく。これが衛生環境も医療体制も昔とは比べものにならないくらい改善された現代においてですら感染が世界に拡大した要因のひとつだ。
さらに厄介なのは後遺症の存在である。海外では多くの研究結果が発表されているにもかかわらず、国内ではほとんど伝えられていないどころか、「新型コロナは怖くない、若者は死なない」「インフルエンザや熱中症の方が怖い」「マスクは要らない」とまで主張するインフルエンサーたちも存在する。
なお、世界で報告されている後遺症とは、倦怠(けんたい)感、呼吸困難、関節痛、胸痛、味覚嗅覚障害、耳鳴りや聴力の異常や悪化、肺線維症、肺機能・呼吸機能の低下、慢性的な運動能力障害で、さらに重度の後遺症では人工透析が必要な急性腎障害なども報告されている。
他にも、6月24日のNational Geographic日本版WEB版の記事「コロナ感染、いつまで体内に残る?潜伏するウイルス」の中で、新型コロナウイルスのゲノムは、DNAではなくRNAでできている事に注目し、長期的な持続感染の可能性やその影響の調査の必要性について述べられている。
また、7月17日のScience誌には、「新型コロナウイルスSARS-CoV-2が感染者の抗ウイルス免疫防御システムを阻害するメカニズムが解明された」と発表されている。
台湾・中央感染症指揮センターの専門家諮問チームのリーダーを務める張上淳医師は、5月7日の記者会見で「肺の繊維化(肺線維症 間接性肺炎)が見つかった例もあるが恒久的な後遺症の存在は現時点で考えられない」と後遺症の存在に慎重に言及している。
厚労省でも8月からようやく新型コロナ感染者の後遺症調査が始まったと報道されている。
いずれにせよ、「新型=未知のウイルス」の感染と後遺症リスクには注意が必要だろう。
★台湾では今でも8カ所でマスク着用を義務化★
コロナ感染者数が比較的抑えられているからか、もしくは、経済活動が悪化することを危惧してなのか、日本では「新型コロナウイルスはたいしたことない。若者は感染しても死なない。被害はインフルエンザや熱中症や自殺者より少ない」などと訴えている方が少なくない。
しかし、マスクとは自分が感染しないためではなく、他人に感染させないためにするものであり、自分の飛沫(ひまつ)を飛ばさないため、引いては他人に不快な思いや不安を与えないための「思いやり」の行為であったはずだ。
台湾・中央感染症指揮センターは、56日間連続国内感染者発生ゼロを持って市中安全宣言をした6月7日の記者会見でも、2人がお互いにマスクをしていた場合、約7割の感染が防げると発表し、マスク継続を呼びかけた。
陳大臣は「3密状態でのマスクは自分を守るだけでなく、他人を守り、社会を守るものだ」と強調している。
市中にほぼ感染者がいない状態の台湾ですら、今でも「医療機関、交通機関、売り場マーケット、教育機関、展示会場、宗教施設、娯楽施設、イベント会場」の8カ所でのマスク着用を法律(伝染病防治法第37条)で義務化している。
↑「人混み混雑及び密閉空間では、必ずマスクを着用してください」として8カ所でのマスク着用を義務付けている↑
上述の後遺症の存在があり、かつ重篤になる可能性があることが確認された場合、「コロナ軽視、マスク不要論」を唱えていた人たちはどう責任を取るのだろうか。そんなこと知らなかった、発表されていなかったで済むのだろうか。未知の存在には、最悪の状況を想定して対応すべきではないだろうか。それが杞憂(きゆう)であれば、良いのである。
まずは自分が感染しないこと、そして無自覚無症状のまま誰かに感染させないように、慎重に生活を続け、他人への思いやりを実行すべきではないだろうか。コロナウイルスは、日本人(人間)の在り方自体を我々に問うているような気がする。
**********
そのため、当会では、緊急提言として1月7日にPCR検査の普及の一案として格安PCR検査の民活導入を、群馬県知事に緊急提言しました。翌日の上毛新聞の報道記事を参照ください。
↑上毛新聞2021年1月8日朝刊社会面。↑
**********上毛新聞社会面2021年1月8日
格安PCR検査誘致求め上申書 山本知事へ オンブズマン
市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は7日、格安のPCR検査を提供する民間サービス事業者を県内に誘致するよう市町村へ要請・支援することを求める上申書を山本一太知事宛てに提出したと発表した。
上申書は、都内に数千円で検査を受けられる民間サービス事業者が現れ始めているとして、「できる限りの支援策を講じるよう県民として緊急提言を行う」とした。今後、各市町村にも要請する予定という。
**********
■この緊急提言に先立ち、当会では、昨年12月19日の例会で、コロナ感染拡大抑止対策をテーマに据えて、自ら現役当時のISO9000のQMS(品質管理システム)を実践してきた経験を活かして、現在、世界中が直面しているこの問題の対応策に要因分析の観点から取り組んでいる会員をはじめ、コロナ禍を憂えている会員の皆さんから提起された感染防止対策を協議した結果、検査体制の充実が最重要課題であることを共通認識としました。その過程で出された意見は概ね次のとおりです。
(1)今、仮に全員検査するとしても、今のやりかただとコストがかかる。
(2)とにかくもっと安くやることが大事。
(3)マスクを配るより検査が重要。
(4)理想としては全員検査したいところだ。
(5)現状は、症状があってもすぐに検査を受けられる体制になっていない。
(6)症状を自覚した場合、PCR検査をすぐに受けられるようにすることが肝要。
(7)医者にあまり高い金を払わずに済む方法がよい。
(8)検査をやってくれる医療機関とそうではないところがある。本音はみなあまりやりたくない。
(9)地域によって違いがあり、ちゃんと検査をやっているところもある。
(10)接触感染の例は、どの程度報告されているのか。やはり飛沫による空気感染が主流なのではないか。
(11)今症状を感じて、罹ったかなと思ってもすぐに検査を受けられない。すると家の中で2、3日検査を受けるまでいると家庭内感染リスクが生じる。
(12)症状が出たときに素早く検査を受けれられる体制を作るべき。
(13)すでに格安PCR検査サービスを提供している会社が首都圏にある。そうした会社を誘致するという発想が行政に欠けているのでは。
ちなみに、過去9ケ月間に国内での市中感染がわずか1例という台湾では、PCR検査で感染拡大の抑止が完璧にできるという結論までは導かれてはいないものの、検査の重要性は当初から認識されており、早期にPCR検査機器を自国でも開発し、1時間以内で感染の有無が判定できる体制を、少なくとも昨年夏までには整えて、感染と隔離の両面で実効性を挙げてきたことは紛れもない事実です。
■こうした事情と、当会の12月例会での参加者による討論の結果、最近首都圏で導入が図られている格安PCR検査を使って、一都三県で急増する新型コロナウイルスの感染の脅威に備えて、群馬県における格安PCR検査体制の整備を民間活力の迅速な導入を、行政に提案することが、急務だという結論に達しました。
その後、しばらく新型コロナの感染状況を見ていましたが、冒頭のように大晦日から年初にかけて、想定外の感染急拡大を受けて、1月7日に、とりあえず群馬県知事あてに、緊急提言として次のとおり上申書にしたためて申し入れることにし、さっそく実行しました。
*****1/7県知事宛上申書*****ZIP ⇒ irij.zip
令和3年1月7日
群馬県知事
山本一太様
〒371-0801前橋市文京町1-15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
電話 090-5302-8312(小川)
電話 027-224-8567(事務局)
FAX 027-224-6624
E-mail:yo3@jcom.home.ne.jp
上 申 書
件名:コロナ感染急対策/県内各市町村への格安PCR検査体制の整備(緊急提言)
拝啓 平素より県民の安全・安心な生活環境整備に尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、一昨年12月末までに中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、その後世界中に蔓延しており、我が国でも昨年1月16日に国内で最初の感染者の報告があって以来、 2月の下旬辺りまでの初期対応の遅れなどから、昨年4月下旬ごろを頂点とする流行の第1波、そして8月上旬~中旬ごろを頂点とする第2波を経て、11月に入って以降、現在に至り、急激に上昇している現状を第3波と称する報道もあります。そして、昨年の大晦日に東京でいきなり1日当たりの新規感染者数が1337人を記録し、その感染拡大の勢いは、年末年始の政府の自粛要請にも関わらず、衰えを見せず、世論に押された形で政府は本日1月7日にも、緊急事態再宣言を行うとしています。
一方、群馬県の場合、首都圏で東京都のアクセスの利便性のある地域特性の状況にありながら、12月16日に1日あたり新規感染者数として最多となる63人の感染が確認されたものの、その後は17~56人と一進一退を続けている状況にあります。貴殿が昨年12月19日から、警戒度を最高レベルの「4」へと引上げ、県民に対して明日1月8日まで、日用品の買い物や通勤・通学・通院等を除き、不要不急の外出の自粛要請も、貴殿の不断のリーダーシップの賜物の発露の一例だと思料します。
しかし、隣接の栃木県がそれまでせいぜい30名前後だったのが、年末年始に急増し、1月5日には3桁の111人を記録したこともあり、医療崩壊が現実のものになりかねない深刻な状況を回避するためにも、更なる積極的な対策が急務です。
現状を俯瞰しますと、理想は県民全員に対するPCR検査の実施でしょうが、仮にそれを実施するとなると、今のやりかたではコストの問題が生じてきます。
そこで、現実的な対策としては、コロナ感染を疑わせる症状を自覚した場合に、直ちに検査を受けられる体制の構築が有効ではないでしょうか?
当会では、先月12月19日の定例会においてこの問題を協議し、その結果、「症状があると感じた人がすぐに検査を受けられるようにする体制をつくるべきである」との結論に達しました。
症状があると感じた場合、検査をやってくれる医療機関と、そうではない医療機関があるようです。どこの医療機関が、積極的にやってくれるのか、情報公開が為されていない現状では県民として見極めがつきません。おそらくほとんどの医療機関は、コロナの感染が疑われる人の検査を積極的にやりたくないのが本音なのかもしれません。勿論、地域によってはきちんと検査をやっているところもあるのでしょうが、情報公開されていないため、口コミでしか知り得ません
症状が出て「かかったかな」と思ってもすぐに検査を受けられない現状ですと、そうした人は自宅で2、3日検査を受けるまで外出自粛を自主的にするでしょう。しかし、検査を受けるまで自宅にいる場合、家族が感染するリスクが高くなります。したがって、症状が出たと感じた場合に、素早く検査を受けられる体制を整備することがなにより急務です。
現在、東京及びその周辺で話題となっている格安PCR検査サービスがあります。東京・新橋駅の近くに昨年12月4日にオープンした「新型コロナPCR検査センター」の場合、連日長い行列が途切れず続いています。このサービスでは費用は個人1人当たり3190円(税込み)で、ウェブサイトなどで受け付ける完全予約制ですが、利用者は店舗に足を運び、自分で唾液をとって提出し、所要時間は3分程度で、検査結果は翌日、本人にメールで通知される仕組みです。この他にも、12月10日に、東京駅付近でオープンした別の会社の検査センターの場合、検査費用は1980円で、検査結果は翌日に通知されますが、当日に通知するクイック通知(9900円)も可能となっています。
県内の市町村のほとんどは、コロナ対策と言っても、実際にはなにもやっていないのも同然です。そこで県内の各市町村が、格安PCR検査サービスを実施している民間企業を積極的に誘致して、各自治体に格安でコロナ検査ができる体制を整備するように、貴殿からも強く要請し、できる限りの支援策を講じていただくよう、県民としてここに緊急提言を行います。
なお、当会としても別途、中核市である前橋市・高崎市をはじめ、県内のその他の各市町村にたいしても、上記の緊急提言を行う所存です。
敬具
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■地方紙の社会面の一番下の片隅に小さく掲載されたにもかかわらず、反響は結構手ごたえを感じるものとなっています。
その翌日の1月8日に、さっそく筆者の居住する安中市長あてに、県知事宛の上申書の安中市バージョンとして次の内容の上申書を作成し、オンブズマンとして提出しました。その際、安中市役所の副市長や総務部長、法制課長の皆さんは、この小さな記事を読んでいたことがわかりました。
*****1/8安中市長宛上申書*****ZIP ⇒ irij.zip
令和3年1月8日
安中市長
茂木英子様
〒379-0114安中市野殿980
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
電話 090-5302-8312(小川)
FAX 027-371-0364
E-mail:ogawakenpg@gmail.com
上 申 書
件名:コロナ感染急対策/安中市における格安PCR検査体制の整備(緊急提言)
拝啓 平素より住民の安全・安心な生活環境整備に尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、一昨年12月末までに中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、その後世界中に蔓延しており、我が国でも昨年1月16日に国内で最初の感染者の報告があって以来、 2月の下旬辺りまでの初期対応の遅れなどから、昨年4月下旬ごろを頂点とする流行の第1波、そして8月上旬~中旬ごろを頂点とする第2波を経て、11月に入って以降、現在に至り、急激に上昇している現状を第3波と称する報道もあります。そして、昨日東京でとうとう1日当たりの新規感染者数が2447人を記録し、群馬県でも過去最大の83人に上り、その感染拡大の勢いは、年末年始の政府の自粛要請にも関わらず、衰えを見せず、世論に押された形で政府は昨日1月7日にも、緊急事態再宣言を行いました。
かかる状況下、医療崩壊が現実のものになりかねない深刻な状況を回避するためにも、更なる積極的な対策が急務です。
現状を俯瞰しますと、理想は住民全員に対するPCR検査の実施でしょうが、仮にそれを実施するとなると、今のやりかたではコストの問題が生じてきます。
そこで、現実的な対策としては、コロナ感染を疑わせる症状を自覚した場合に、直ちに検査を受けられる体制の構築が有効ではないでしょうか?
当会では、先月12月19日の定例会においてこの問題を協議し、その結果、「症状があると感じた人がすぐに検査を受けられるようにする体制をつくるべきである」との結論に達しました。
症状があると感じた場合、検査をやってくれる医療機関と、そうではない医療機関があるようです。どこの医療機関が、積極的にやってくれるのか、情報公開が為されていない現状では県民として見極めがつきません。おそらくほとんどの医療機関は、コロナの感染が疑われる人の検査を積極的にやりたくないのが本音なのかもしれません。勿論、地域によってはきちんと検査をやっているところもあるのでしょうが、情報公開されていないため、口コミでしか知り得ません
症状が出て「かかったかな」と思ってもすぐに検査を受けられない現状ですと、そうした人は自宅で2、3日検査を受けるまで外出自粛を自主的にするでしょう。しかし、検査を受けるまで自宅にいる場合、家族が感染するリスクが高くなります。したがって、症状が出たと感じた場合に、素早く検査を受けられる体制を整備することがなにより急務です。
現在、東京及びその周辺で話題となっている格安PCR検査サービスがあります。東京・新橋駅の近くに昨年12月4日にオープンした「新型コロナPCR検査センター」の場合、連日長い行列が途切れず続いています。このサービスでは費用は個人1人当たり3190円(税込み)で、ウェブサイトなどで受け付ける完全予約制ですが、利用者は店舗に足を運び、自分で唾液をとって提出し、所要時間は3分程度で、検査結果は翌日、本人にメールで通知される仕組みです。この他にも、12月10日に、東京駅付近でオープンした別の会社の検査センターの場合、検査費用は1980円で、検査結果は翌日に通知されますが、当日に通知するクイック通知(9900円)も可能となっています。
県内の自治体のほとんどは、コロナ対策と言っても、実際にはなにもやっていないのも同然です。そこで県内の自治体に先駆けて、安中市が、格安PCR検査サービスを実施している民間企業を積極的に誘致して、住民に格安でコロナ検査ができる体制を整備するように、国や県の支援も得るなどして、必要な対策をできる限り早急に講じていただきたく、住民としてここに緊急提言を行う次第です。
敬具
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■当会が群馬県知事に上申書を提出した1月7日には、県内の新規感染者数は83人となり、過去最高を記録しました。
さらに当会が安中市長に上申書を提出した1月8日、群馬県と前橋市・高崎市は新たに計100人の感染を確認したと発表しました。県が74人、前橋、高崎が各13人で、1日に発表した確認者は2日連続して過去最多で、県内の感染確認者は累計で2735人となりました。
また県は1月8日、太田市の介護事業所で入所者を含む利用者11人と、市内の教会で九人の感染を確認し、クラスター(感染者集団)が発生したと発表しました。前橋市の確認者は学生や福祉事業従事者らで、前橋市は、市内の高齢者施設で入居者6人と職員1人の感染を確認し、クラスターが発生したと発表しました。高崎市では、南八幡小学校関連で児童の同居家族一人の陽性が新たに判明し、同校関連の陽性は計21人となりました。
筆者のかかりつけの開業医では、発熱外来として、動線を分けた診療で、新型コロナの抗原検査を希望者に対して行っており、PCR検査も外注で実施できる体制を整えるべく準備しているとのことです。そして、目下の課題は、陽性反応が出た場合、保健所に連絡することになりますが、それ以降の受け入れ体制について、あまりにも情報が少なく、開業医の立場では患者に対する十分なアドバイスができないというジレンマがあるとのことです。
さらに、他の開業医では、こうした体制をとっているところはまだまだ少なく、本音では検査を引き受けたくない医者が多いのは事実のようです。
また地元の医療関係者によると、いわゆる風評を恐れて実際に発症した患者が出ても、敢えて公表しない病院や介護福祉施設があるとの情報も、密かに飛び交っているそうです。こうした風潮があるとすれば、我が国でPCR検査が普及してこなかったこれまでの経過についても妙に納得できてしまうのですが、これでは「検査」と「隔離」という感染症対策の切り札の効能が十分に発揮できるはずがありません。
もうひとつ、我が国のムラ社会的体質としては、コロナによる差別が、地元群馬県でも顕著なことです。昨年の感染第1波当時、安中市と隣接する自治体にある人工呼吸器メーカーで感染した従業員は、その後、家族ともども引っ越しを余儀なくされたり、県内のスポーツで著名な私立高校で、最初に感染した生徒もいじめにあい、学校を去るハメになったりした、との残念な情報もあります。
■今年も直面せざるを得ないこのコロナ禍という国難に対して、地元でもできる限りの対応策を講じられるよう、微力ながら知恵を絞って行動してまいる所存です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1
**********J-CASTニュース2020年12月27日06:00
格安民間PCR検査場が相次ぎオープン 「陽性の疑い」が出た場合の注意点
↑厚生労働省の公式サイトには、PCR検査を含む「新型コロナウイルス感染症に関する検査について」に関する情報を集めたコーナーもある。↑
新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べるPCR検査を格安で受けられる民間施設が東京都心を中心に相次ぎ開設されている。公費ではなく、自費で検査を受ける場合、これまでは数万円もかかっていたが、数千円程度で可能となり、帰省や出張を前に感染しているか知りたいという人たちが殺到している。
東京・新橋駅の近くに2020年12月4日にオープンした「新型コロナPCR検査センター」の前には連日、長い行列が途切れず続いている。センターは工務店事業を展開する木下グループ(新宿区)が運営し、費用は個人の場合、1人3190円(税込み、以下同)。ウェブサイトなどで受け付ける完全予約制だ。利用者は店舗に足を運び、自分で唾液をとって提出する。所要時間は3分程度で、検査結果は翌日、本人にメールで通知されるという。
★首都圏のほか地方にも拡大する計画も★
グループ内の医療法人が監修しているうえ、本業である工務店事業のノウハウを施設設置などに生かしたことで低価格が実現できたという。「少しでも安心できる日常生活を送れるような環境作りに貢献したい」としている。
高齢の親が待っている実家に帰省したいという人や、出張などで遠出をする会社員など、必要に迫られて検査を望む人が多いという。新宿・歌舞伎町に2号施設を出しており、首都圏のほか地方にも拡大する計画だ。
また、理化学研究所から発したベンチャー企業、ダナフォーム(横浜市)は10日、東京駅のそばに検査センターをオープンした。検査費用は1980円で、木下グループよりさらに低価格だ。理研などが開発した手法や試薬などを用いることで、低価格や迅速性につながったという。検査結果は翌日に通知するが、当日に通知するクイック通知(9900円)も可能だ。また、ソフトバンクグループも、自宅などで唾液を採取し、検査センターに送付する検査事業(税別、配送料等別で2000円)を9月から実施している。
★公的な検査の場合との違い★
日本では、医師が症状などから検査が必要と判断したり保健所から濃厚接触者と言われたりした場合などについての検査は全額公費で負担している。だが単に「感染しているかどうか心配」「取引先に感染していないことを証明してほしいと言われた」などといった場合は、自費で検査をする必要がある。通常、これまでの自費検査では2万~4万円程度の費用が必要で、経済力のある大企業やプロスポーツ選手などに限られていた。このためイベント興業関係者などからは「もっと手軽に検査できさえすれば、経済活動はもっとまわるはずだ」などの声も上がっていた。
格安検査の広がりはこうした声に応えるものでもある一方、問題点も指摘されている。PCR検査ではそもそも、感染していても誤って陰性と判定される「偽陰性」や逆の「偽陽性」になる可能性があるのに加え、自費検査では陽性の疑いと判定されても、公的な検査とは違って、保健所に届け出をしないでも済むことも問題だ。厚生労働省も「自費検査で『陽性』が疑われる結果の場合は、医療機関に相談してほしい」と呼びかけている。
**********
※参考情報2
**********週刊ダイヤモンド2020年10月16日04:26
新型コロナを封じた台湾、日本との「決定的な違い」とは
↑台湾では交通機関などでのマスク着用が法律で義務化されている Photo:NurPhoto/gettyimages↑
新型コロナウイルスへの日本政府の対応を巡っては、初動の遅れや水際対策の失敗、さらに学校・教育機関への予告なしの休校要請や高額布マスクの配布など、混乱振りが目立った。さらにこれからのインフルエンザ流行期を控え、同時流行の不安も高まっている。一方、コロナをほぼ完璧に封じ込めている台湾では、頼れる政府が国民の不安を迅速かつ的確な対応で取り除き、政府、国民、メディアまでもが一丸になって感染拡大を抑えている。日本と同じく四方を海に囲まれ、国土は日本の10分の1、人口は日本の5分の1で、コロナの発生地である中国との往来が日本よりも多かった台湾がどのように感染拡大を防いだのか、台湾の中央感染症指揮センターの発表などを参考に考察してみたい。(アジア市場開発・富吉国際企業顧問有限公司代表 藤 重太)
★PCR検査の危険性を指摘★
日本ではPCR検査についての論争や報道が絶えないが、台湾の中央感染症指揮センターの指揮官である陳時中厚生大臣がPCR検査について、8月22日の定例会見でわかりやすい見解を発表している。
台湾で帰国者、入国者へのPCR検査「陰性判定」での隔離処置緩和の要望が上がった件に関して、陳大臣は、今年1月から8月までの入国者25万人という数字と表を用いて、PCR検査の危険性を明確に説明した(下図参照)。
↑陳厚生大臣は、PCR検査で陰性なのに陽性と判定される「偽陽性」が入国者25万人の内で1万2475例(オレンジ色のマス)発生する恐れがあるとして、PCR検査に頼る動きを否定した↑
陳大臣の説明では、有病率を0.2%=500人として、PCR検査で感染者を陽性と判断する感度(図では敏感性)を90%、陰性を正しく判断する特異度(図では特異性)を95%と仮定し、陽性だが陰性と判定される「偽陰性」を500人のうちの50例、陰性だが陽性と判定される「偽陽性」が1万2475例発生すると説明した。
その上で、PCR検査はその瞬間の保菌状態を判定した指標にすぎず、安全性を担保するものではない。偽陰性の50人が「自分は陰性だ」と安心して出歩き、クラスターを発生する危険性がある。また、陰性のため症状もない偽陽性1万2475人を病院に入院させるだけで医療崩壊の危険性を増やしてしまうと説明して、PCR検査に頼る動きを否定した。
検査環境が悪ければ、検査中や検査終了後に感染する可能性もあるし、PCR検査を無駄に増やすことはコストパフォーマンスにまったく合わず、税金を無駄にするだけ。PCR検査に頼って感染者を増やした失敗事例を、台湾が取り入れる理由がわからないと一刀両断にした。
そして、陳大臣は感染拡大を防ぐ最適な方法は、自宅待機と隔離であると強調した。無造作にPCR検査を拡大するリスクよりも、経過観察および症状の有無を確認した後、最終判定のためにPCR検査を使うことを説いたのである。
しかも、台湾・中央感染症指揮センターは、7月29日の会見で、もし無症状感染者でも、14日間隔離していれば、14日後には保菌状態でも他人に感染するリスクはゼロに近いと断定している。
ここまで明確に感染症対策のリーダーが意見を言い切ることができるのが、台湾の強みではないだろうか。アメリカの厚生長官までが台湾にコロナ対策を学びに行く理由が納得できる。
★無症状感染と後遺症のリスク★
新型コロナウイルスが厄介なのは、潜伏期間が他の感染症より長く、しかも無症状でも感染が広がると発表されている点だ。
インフルエンザなどは潜伏期間が1~3日と短く、潜伏期間中に他人に感染することは少ないとされ、発熱、鼻水、喉の痛みなど症状が出てから他者に感染させるといわれている。
しかし、新型コロナウイルスは、無症状=通常の健康体の状態で知らず知らずに感染して、第三者に感染させる危険性があるといわれている。
台湾・中央感染症指揮センターも2月の段階で、発症2日前には他人に感染することが確認できていると発表している。さらに6月7日の記者会見では、台湾の統計データとして無症状者でも被感染約4.6時間後から他者に伝染させる可能性があると発表している。
健康な人が発症せずに、ウイルスを運び、人と交わり、他人に感染させていく。これが衛生環境も医療体制も昔とは比べものにならないくらい改善された現代においてですら感染が世界に拡大した要因のひとつだ。
さらに厄介なのは後遺症の存在である。海外では多くの研究結果が発表されているにもかかわらず、国内ではほとんど伝えられていないどころか、「新型コロナは怖くない、若者は死なない」「インフルエンザや熱中症の方が怖い」「マスクは要らない」とまで主張するインフルエンサーたちも存在する。
なお、世界で報告されている後遺症とは、倦怠(けんたい)感、呼吸困難、関節痛、胸痛、味覚嗅覚障害、耳鳴りや聴力の異常や悪化、肺線維症、肺機能・呼吸機能の低下、慢性的な運動能力障害で、さらに重度の後遺症では人工透析が必要な急性腎障害なども報告されている。
他にも、6月24日のNational Geographic日本版WEB版の記事「コロナ感染、いつまで体内に残る?潜伏するウイルス」の中で、新型コロナウイルスのゲノムは、DNAではなくRNAでできている事に注目し、長期的な持続感染の可能性やその影響の調査の必要性について述べられている。
また、7月17日のScience誌には、「新型コロナウイルスSARS-CoV-2が感染者の抗ウイルス免疫防御システムを阻害するメカニズムが解明された」と発表されている。
台湾・中央感染症指揮センターの専門家諮問チームのリーダーを務める張上淳医師は、5月7日の記者会見で「肺の繊維化(肺線維症 間接性肺炎)が見つかった例もあるが恒久的な後遺症の存在は現時点で考えられない」と後遺症の存在に慎重に言及している。
厚労省でも8月からようやく新型コロナ感染者の後遺症調査が始まったと報道されている。
いずれにせよ、「新型=未知のウイルス」の感染と後遺症リスクには注意が必要だろう。
★台湾では今でも8カ所でマスク着用を義務化★
コロナ感染者数が比較的抑えられているからか、もしくは、経済活動が悪化することを危惧してなのか、日本では「新型コロナウイルスはたいしたことない。若者は感染しても死なない。被害はインフルエンザや熱中症や自殺者より少ない」などと訴えている方が少なくない。
しかし、マスクとは自分が感染しないためではなく、他人に感染させないためにするものであり、自分の飛沫(ひまつ)を飛ばさないため、引いては他人に不快な思いや不安を与えないための「思いやり」の行為であったはずだ。
台湾・中央感染症指揮センターは、56日間連続国内感染者発生ゼロを持って市中安全宣言をした6月7日の記者会見でも、2人がお互いにマスクをしていた場合、約7割の感染が防げると発表し、マスク継続を呼びかけた。
陳大臣は「3密状態でのマスクは自分を守るだけでなく、他人を守り、社会を守るものだ」と強調している。
市中にほぼ感染者がいない状態の台湾ですら、今でも「医療機関、交通機関、売り場マーケット、教育機関、展示会場、宗教施設、娯楽施設、イベント会場」の8カ所でのマスク着用を法律(伝染病防治法第37条)で義務化している。
↑「人混み混雑及び密閉空間では、必ずマスクを着用してください」として8カ所でのマスク着用を義務付けている↑
上述の後遺症の存在があり、かつ重篤になる可能性があることが確認された場合、「コロナ軽視、マスク不要論」を唱えていた人たちはどう責任を取るのだろうか。そんなこと知らなかった、発表されていなかったで済むのだろうか。未知の存在には、最悪の状況を想定して対応すべきではないだろうか。それが杞憂(きゆう)であれば、良いのである。
まずは自分が感染しないこと、そして無自覚無症状のまま誰かに感染させないように、慎重に生活を続け、他人への思いやりを実行すべきではないだろうか。コロナウイルスは、日本人(人間)の在り方自体を我々に問うているような気がする。
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