■刑事告発され起訴されるかと思いきや、「社会的制裁を既に受けている」などの表現とともに不起訴処分にする話が聞かれます。大同特殊鋼(株)が有害スラグを不法投棄した事件がそうでした。大同特殊鋼(株)も不起訴処分を勝ち取るまでは、しおらしくスラグの撤去に応じていましたが、最近では撤去に応じない姿勢を見せているようです。喉元過ぎれば熱さを忘れる、とでも評すればよいのでしょうか。企業としてのSCR(社会的責任)が問われる所以です。
群馬県では、大同とは別の会社も有害非鉄スラグを投棄しています。その会社の決算の話題が上毛新聞に掲載されましたので見ていきましょう。
**********上毛新聞2020年2月11日
ZIP ⇒ 20200211vm.zip
スラグ問題影響 赤字幅が拡大
東邦亜鉛3月期予想
東邦亜鉛3月期予想
安中市に生産拠点を持つ東邦亜鉛(東京都千代田区、丸崎公康社長)は10日、2020年3月期連結決算の行政予想について、純損益を従来の15億円の赤字から160億円の赤字に下方修正した。亜鉛相場の下落や鉱山の中止、安中製錬所が出荷した土壌環境基準超えの非鉄スラグ製品処理事案が影響するため。売上高は990億円から1千億円に引き上げた。
昨年8月に下方修正をしたが、非鉄スラグ製品を撤去する場所や範囲が増えたため20年3月期に計23億3千万円の処理費用を計上する。委託業者によっては撤去期間が10年を超える場合があるとして、30年3月期までの単年度ごとに年間3億円程度を計上する予定。
同時に発表した19年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比17.2%減の747億4700万円、純損益が109億7600万円の赤字(前年同期は22億7400万円の赤字)だった。
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■今回もスラグに関するポイントを整理してみましょう。
ポイント①この期に及んで鉛ヒ素入り非鉄スラグのことを製品と呼んでいること。
ポイント②非鉄スラグを委託する業者によっては撤去期間が10年を超えること。
ポイント③今後、少なくとも10年以上、鉛ヒ素入り非鉄スラグの撤去が完了しそうもないこと。
廃棄物かどうかは、最高裁判決にしたがい、環境省が行政処分の指針を示しています。
ア 物の性状
イ 排出の状況
ウ 通常の取扱い形態
エ 取引価値の有無
オ 占有者の意思
イ 排出の状況
ウ 通常の取扱い形態
エ 取引価値の有無
オ 占有者の意思
この5つの要素を総合的に勘案して決定されますが、東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り非鉄スラグは次の判断要素に基づき判断されます。当会が公平・公正に評価してみた結果、次のとおりです。【○:セーフ、×:アウト】
ア 物の性状 環境基準値を超える鉛やヒ素が含まれています。 → ×
イ 排出の状況 亜鉛精錬にともなって副次的に排出されてしまいます。→ ×
ウ 通常の取扱い形態 毒が含まれた非鉄スラグに市場などありません。 → ×
エ 取引価値の有無 非鉄スラグから作り出される最終製品が鉛やヒ素を必要としていないなら取引価値などあるはずはありません。 → ×
オ 占有者の意思 上記ア~エなどを各種判断要素の基準に照らし、適切な利用を行おうとする意思があるとは判断されない場合に当たります。→ ×
ご覧のとおり、ほとんどの判断要素で「×」、つまり「アウト」ですので、非鉄スラグは製品とは言えず廃棄物に該当します。東邦亜鉛の幹部は、「廃棄物に該当するとは思わなかった、しかし環境基準値を超えていることが判明した今、撤去には応じ、社会的制裁を受けますので、刑事告発だけはご勘弁ください」と言わんばかりです。
■上記3ポイントのうち、とくに注目されるのが次のポイントです。
ポイント②非鉄スラグを委託する業者によっては撤去期間が10年を超えること。
上毛新聞の報道では、非鉄スラグにまつわる赤字幅の増加要因について次の2点を挙げています。
(A)非鉄スラグ製品を撤去する場所や範囲が増えたため
(B)委託業者によっては撤去期間が10年を超える場合がある
(B)委託業者によっては撤去期間が10年を超える場合がある
■このうち(A)「非鉄スラグ製品を撤去する場所や範囲が増えたため」について検証してみます。
↑庶民のマイホームの夢を廃棄物の不法投棄で台無しにする闇ガーデング業者。↑
東邦亜鉛安中製錬所から大量に排出される鉛・ヒ素入り非鉄スラグ問題では、高濃度の鉛やヒ素を含んだ有毒スラグが公共工事に使われただけでなく、一般住宅向けにも、「庭に草が生えなくていいですよ」と言葉巧みな誘い文句で庶民を騙し、子どもやお年寄りが生活する民家の敷地内に大量に投棄されていた、という「異常な特徴」があります。
一般庶民は、スラグがどんなものかわからないので、まだまだ被害は氷山の一角でしょう。また大同スラグ事件と同様、公共工事で道路の下にスラグが使用されています。群馬県の土木事務所などが、積極的にスラグの探索を行わないため、まだまだ大量の非鉄スラグが群馬県中のいたるところに埋まっていることでしょう。
■もう一つの(B)「委託業者によっては撤去期間が10年を超える場合がある」についても検証してみましょう。
この報道には疑問が湧いてきます。撤去を委託するのに撤去期間が10年かかるのでしょうか?撤去する場所が多数で順番待ちなら、その都度委託すればよいのです。
これは、東邦亜鉛が、廃棄物処理業を自らは行っておらず、撤去した非鉄スラグの廃棄物処理を外部に委託するのに、廃棄物処理業者によっては、廃棄物処理期間が10年にも及ぶと考えると合点がいきます。今現在、撤去した鉛・ヒ素入り非鉄スラグは外部に廃棄物処理委託しているのです。
■ポイント①にも関連しますが、今現在、鉛ヒ素入り非鉄スラグが廃棄物処理されているなら、遡って東邦亜鉛が排出しているスラグは「廃棄物」です。
環境省の行政処分の指針にも次の記述があります。
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② 廃棄物該当性の判断については、法の規制の対象となる行為ごとにその着手時点における客観的状況から判断されたいこと。例えば、産業廃棄物処理業の許可や産業廃棄物処理施設の設置許可の要否においては、当該処理(収集運搬、中間処理、最終処分ごと)に係る行為に着手した時点で廃棄物該当性を判断するものであること。
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当該処理に係る行為に着手した時点で廃棄物該当性を判断するものであること。つまり過去は過去ではなく、今現在廃棄物処理しているなら、着手時点にさかのぼって廃棄物判断をしなければなりません。
なぜ、このような当たり前のルールが、我が群馬県の環境行政によって、いとも容易く捻じ曲げられてしまうのでしょうか。
■廃棄物の監督官庁である群馬県や高崎市は、いまだに東邦亜鉛のスラグを廃棄物に認定していません。非鉄スラグを撤去させ、廃棄物処理させているなら、遡って非鉄スラグは廃棄物です。お役人様や企業を優遇するばかりでなく、行政処分の指針をよく読むべきです。
また、しおらしく東邦亜鉛が非鉄スラグの撤去に応じているからと言って、社会的制裁を既に受けていると考えては困ります。刑事告発がされない、または刑事告発されても不起訴処分を勝ち得たと分かれば、手のひらを返したように撤去に応じなくなるでしょう。
こうした群馬県の特異な行政体質を前提に、あらためて、東邦亜鉛の有害非鉄スラグの撤去期間がなぜ突然10年超えになったのか、さらに検証を加えてみましょう。
■それは東邦亜鉛が2月10日に2020年3月期第3四半期決算短信(本稿記事末尾参照)と合わせて公表した「2019年度Q3連結累計期間決算及び通期業績予想修正説明資料」からうかがえます。
※東邦亜鉛HP「決算説明会資料」2020年3月期(2019年4月1日~2020年3月31日)
「Q3連結累計期間決算及び通期業績予想修正説明資料(2020年2月10日開催)」
「Q3連結累計期間決算及び通期業績予想修正説明資料(2020年2月10日開催)」
ZIP ⇒news_20200210.zip
P28の「2.非鉄スラグ事案(2019年8月9日公表*)」(*:過去に出荷した非鉄スラグ製品の一部において、土壌汚染対策法の土壌環境基準と調査した製品があり、当社の管理不足により不適切な使用・混入がなされた可能性のあることが調査の結果判明。順次回収・撤去の対応を行ってきたもの)には、費用計上累計として、次の数字が並んでいます。
2018年度 9.5億円
2019年度Q1(第1四半期) 9.3億円
Q2(第2四半期) 4.0億円
Q3(第3四半期) 6.0億円
Q4(第4四半期) 4.0億円(予定)
2019年度までの累計 32.8億円
その下には「上記費用以外については、既に確定している一部の箇所について、36億円の費用計上を予定。当該箇所の個別特性に鑑み対応期間が10年超に及ぶことも有り、一括費用引当ではなく、今後単年度で費用計上及び現金支出の予定(期間12年、年3億円換算)。2019年度までの計上累計と合わせると、総額68億円を想定するが、これは2019年度Q1公表時の想定内。」と説明文が付けられています。
さらにその下の「3.その他」として「2019年度Q3累計での赤字計上、税務上の繰越欠損金額および今後の利益見込み水準等を勘案し、繰延税金資産の一部取り崩しを実施。」とあり、東邦亜鉛が税効果会計を利用して、税金の支払いを繰延して、将来黒字になった場合を想定して、今期の赤字幅を調整するというものです。これは2000年当時欧州で広まった企業会計制度の一つですが、将来の黒字を前提とするため、リスクも伴います。
さらに象徴的なのは、P23の「IV.今後の対応(続き)」で「2.今年度~2020年度に向けての対応-バランスシートの健全性回復を目指す」のところで「(2)市況にかかわらず消滅する特殊要因」として、「①非鉄スラグ処理費用が23億円から巡航速度の年3億円(12年間続く予定)へ→+20億円」と記してあることです。
どうやら、「当該箇所の個別特性」という表現を分析すると、岡田工務店所有の稼働中のソーラー発電施設の下に数万トンのオーダーで埋め土した有毒非鉄スラグの撤去を、20年のFIT買い取り制度の期限まで待ってから行うつもりなのかもしれません。
また「巡航速度の年3億円で+20億円」という表現からは、バランスシート上、今年度末に20億円をセーブできた!としていることから、どうやら東邦亜鉛は、今後12年間にわたり、撤去作業を先送りできるお墨付きを行政から得たものとみられます。
道理で筆者が、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課や高崎市環境部を定期的に訪れてヒヤリングしても、「調査中です」としか言わないはずです。
裏では東邦亜鉛と協議をして、速やかな撤去を求めるべきところを、東邦亜鉛の要請に配慮して、「細く長く撤去作業をすればいいよ。有毒物質の滲出や飛散、地下水汚染や周辺土壌への汚染拡大のことなどお構いなしに、東邦亜鉛の経営を最優先にしていいよ」とお墨付きをこっそりと与えたことがうかがえます。
■東邦亜鉛安中製錬所周辺に長年降り積もった重金属の降下ばいじんによる土壌汚染対策として、安中公害訴訟を経てもなお、未だに手が付けられていない畑地については、平成7年から現在まで、公害防除特別土地改良事業が計画されています。しかし、まだ着工までにはこの先どれくらいかかるか、誰も確証をもって断言できない状態です。
この理由は、東邦亜鉛が、公害対策費用の支出に対して極めて消極的だからです。表向きは、ゼロエミッションなどとHP等でPRしていますが、本音は、環境投資について優先度を高めたくないのです。
筆者は、鉛・ヒ素入り有毒非鉄スラグを有価物というなら、なぜ瀬戸内海の契島の自社の鉛製錬所に運んで、資源の有効活用をしないのか、と同社に提案をしています。
さもなければ、業界で唯一、いまだに900度C程度のロータリーキルン方式による鉱滓の蒸焼きによる亜鉛回収に拘っているのではなく、他の非鉄精錬企業のように、溶融炉でカドミウムも鉛もしっかりと溶融させて、きちんと回収する適切なプロセスを導入してはどうか、とアドバイスしてきました。
しかし、未だに同社からの回答はありません。そのような後ろ向きの設備投資より、群馬県行政から特別な配慮(忖度)を受けて、現状を何とか乗り切ればよい、という、その場凌ぎの対策が、東邦亜鉛という会社としての優先方針なのです。
■皆様が忘れてはならないことがあります。東邦亜鉛は過去にカドミウム公害を起こした「前科」をもっていることです。安中公害が1986年に被害農民らにわずか4億5000万円を賠償する形で和解が成立したことも、東邦亜鉛にとっては、自ら犯した罪の大きさを十分認識しないまま、「余計な支出を余儀なくされた。運が悪かっただけ」としか受け止められていないのかもしれません。
東邦亜鉛には早急にコスト高で国際競争力のない安中製錬所を撤収して豪州の鉱山の近くで製錬事業を営んでほしいものです。しかし、重金属に汚染されてしまった55ヘクタールもの安中製錬所の敷地は、何千年を経過しても、有害物質はその場に残り続けるわけで、地元に住み続けて農業を営もうとする住民やその末裔にとって、大きな負の遺産となります。
東邦亜鉛が安中公害の「前科」を真摯に反省し、真のエコ・フレンドリー企業に脱皮することは夢の又夢ですが、少しでも環境重視の姿勢に軸足を移すよう、当会は今後も有毒非鉄スラグ問題に取り組んでいく所存です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「東邦亜鉛決算短信」
**********ZIP ⇒ 2020_3q_gaikyo.zip
2020年3 月期 第3 四半期決算短信[日本基準〕 (連結)
2020年2月10日
上場会社名 東邦亜鉛株式会社
上場取引所 東
コード番号 5707
代表者 (役職名)代表取締役社長 (氏名)丸崎公康
問合せ先責任者 (役職名)経理部 (氏名)田邊正樹
TEL 03-6212-1716
四半期報告書提出予定日 2020年2月13日
配当支払開始予定日 ー
四半期決算補足説明資料作成の有無: 有
四半期決算説明会開催の有無 : 有 (機関投資家、証券アナリスト向け)
(百万円未満切捨て)
1.2020年3月期第3 四半期の連結業績(2019年4月1日~2019年12月31日)
(1)連結経営成績(累計) (%表示は、対前年同四半期増減率)
(2)連結財政状態 (単位:百万円)
2.配当の状況
3.2020年3月期の運結業績予想(2019年4月1日~2020年3月31日)
※ 注記事項
(1)当四半期連結累計期間における重要な子会社の異動(運結範囲の変更を伴う特定子会社の異動): 無
新規 -社(社名)、除外 -社(社名)
(2)四半期連結財務諸表の作成に特有の会計処理の適用: 無
(3)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更: 無
② ①以外の会計方針の変更 : 無
③ 会計上の見積りの変更 : 無
④ 修正再表示 : 無
(4)発行済株式数(普通株式)
① 期末発行済株式数(自己株式を含む) 2020年3月期3Q 13,585,521株
2019年3月期 7,159株
② 期末自己株式数 2020年3月期3Q 13,585,521株
2019年3月期 7.055株
③ 期中平均株式数(四半期累計) 2020年3月期3Q 13,578,421株
2019年3月期 13,578,496株
※ 四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
(将来に関する記述等についてのご注意)
本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その遠成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、添付資料P. 6「1.当四半期決算に関する定性的情報 (3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」をご覧ください。
(決算補足説明資料の入手方法)
当社は、2020年2月10日(月)に機関投資家、証券アナリスト向け説明会を開催する予定です。この説明会で使用する資料につきましては、決算発表と同時に TDnet及び当社ホームページで開示しております。
1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
当第3四半期連結累計期間の連結業績は以下の通りです。売上高は減収、営業利益・経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益ともに減益となりました。
《経営環境》
当第3四半期連結累計期間の当社グループを取り巻く事業環境は以下の通りです。
金属相場、特に当社の主力製品である亜鉛につきましては、米中貿易摩擦の長期化による世界経済の減速傾向と 亜鉛鉱石需給の緩和などから下落傾向が続きました。期中平均では、前年同期が相場高だったこともあり、前年同期比で下落となりました。鉛は期初に下落したものの、その後は鉛固有の材料から上昇傾向で推移しました。しかしながら、第3四半期には再び下落し、期中平均では前年同期比で下落となりました。銀については、金相場に追随する形で第2 四半期以降は上昇基調となり、期中平均では前年同期比で上昇となりました。
一方為替相場は、円/米ドル相場は、米中貿易摩擦へ反応するも狭いレンジで推移し、期中平均では前年同期比で若千の円高(円高は製錬セグメントの業績にマイナスの影響)となりました。豪州に鉱山会社(CBH Resources Ltd. (以下、「CBH社」という。))を有する当社グループに影響を与える米ドル/豪ドル相場につきましては、期 (2019年1月から9月)を通じて概ね豪ドル安に推移し、期中平均でも前年同期比豪ドル安(豪ドル安は資源セグメントの業績にプラスの影響)となりました。
買鉱条件につきましては、亜鉛は前期に比して大幅に改善しましたが、鉛・銀については引き続き製錬事業者には厳しい水準で推移しました。
《売上高》
当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は、金属相場の下落に加え、亜鉛製品の減販とエンデバー鉱山の減産などもあり、連結売上高は前年同期比減収となりました。
《利益》
損益面では、在庫評価損の計上に加え、非鉄スラグ製品の処理費用の計上などもあり製錬セグメント3で3億円、CBHエンデバー鉱山の計画減産等の影響から資源セグメント3で6億円の減益となりました。以上の結果、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益ともに前年同期比で大幅減益かつ赤字となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります(以下、各セグメントの売上高には、セグメント間売上高を含みます)。
なお、前連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前3四第半期連結累計期間との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
② 製錬事業部門
《亜鉛》
LME 相場は、期初3,018ドル/トンでスタートしたのち、5月以降は米中貿易摩擦の長期化などから急速に値を下げ、9月には2,200ドル近辺まで下落しました。その後は一時2,500ドル台に回復を見せたものの、世界経済の減速懸念等で、12月にはまた2,200ドル台となりました。期中平均では2,497ドルとなり、前年同期(2,759ドル)を下回りました。国内価格も期中平均323千円/トンと前年同期(356千円)を33千円下回り、これに加えて減販の影響もあり、売上高は前年同期比19%の減収となりました。
《鉛》
LME相場は、期初2,022ドル/トンでスタートしましたが、その後は下落傾向が続きました。6月以降は海外主要鉛製錬所の操業停止等により持ち直しましたが、期中平均では1,985ドルと前年同期(2,151ドル)を下回りました。国内価格も期中平均280千円/トンと前年同期(303千円)を23千円下回りました。以上の結果売上高は前年同期比で9%の減収となりました。
《銀》
ロンドン銀相場は、期初15.1ドル/トロイオンスでスタートしたのち、一時14ドル台に低迷しましたが、その後は金相場の上昇に追随する形で上昇基調となり、期中平均は16. 4ドルと前年同期(15.4ドル)を上回りました。国内価格も期中平均58,669円/キログラムと前年同期(56,226円)を上回りました。以上の結果売上高は前年同期比5%の増収となりました。
以上のほか、硫酸などその他の製品を合わせた当事業部門の業績は、金属相場の下落に加えて亜鉛の減販もあり、前年同期比で減収となりました。営業利益は急激な亜鉛相場の下落から多額の在庫評価損を計上したことや、非鉄スラグ製品の処理費用の計上もあり、前年同期比33億円の減益となり、59億円の営業損失となりました。
なお、金属相場(月平均)及び為替相場(月平均)の推移は下表のとおりであります。
② 資源事業部門
金属相場が大きく下落(1月―9月期比較)する中、エンデバー鉱山の計画減産に伴う出荷量の減少、(鉱山にとっての)買鉱条件の悪化などもあり、売上高は前年同期比減収となりました。損益面でも同様の理由により、前年同期比33億円の減益となり、21億円の営業損失を計上するに至りました。
③ 電子部材事業部門
《電子部品》
車載電装向けでハイプリッド車向け製品の販売が伸びたものの、設備投資が抑えられたことから産業機器向け製品が大幅な落ち込みとなり、売上高は前年同期比16%の減収となりました。
《電解鉄》
世界のトップシェアを誇る電解鉄は、航空機向け特殊鋼の売り上げが回復し、前年度実績を上回る結果となりましたが、米中貿易摩擦の影響を受けて、自動車用特殊鋼、鉄鋼研究開発用、電子・磁性材料用特殊鋼、エッチング剤用等の販売数量が落ち込み、売上高は前年同期比4%の減収となりました。
《プレーティング》
車載電装品やIT・デジタル機器などの接点.接続端子に使用されるプレーティング製品(金、銀、錫、ニッケル等のメッキ材)は、ユーザーの減産に伴う在庫調整から受注が落ち込み、特に車載用、デジカメ用、産業機器用の主用途で影響の大きかった金メッキの落ち込みが大きく、売上高は前年同期26%比の減収となりました。
《機器部品》
タイヤ用バランスウエイト部門は自動車ライン向けの減少もあり、前年同期比減収となりました。また、粉末冶金部門は自動車関連製品は順調だったものの一般産業向けが低調で、前年同期比で減収となりました。結果として当事業部門の売上高は前年同期比20%の減収となりました。
以上の結果、当事業部門の業績は、前年同期比で減収減益となりました。
④ 環境・リサイクル事業部門
主力製品の酸化亜鉛は、亜鉛の国内建値が前年同期比で下落したこともあり減収となりました。使用済みニカド電池の処理や硫酸リサイクルなどその他のリサイクル事業についても前年同期比減収となり、当事業部門の業績は、前年同期比で減収減益となりました。
⑤ 士木・建築・プラントエンジニアリング事業部門
土木事業を中心に当期は大型案件が検収されたこともあり前年同期比で増収となりました。損益面でも、前年同期は不採算の案件から多額の損失を計上したものの、当期はそのような案件もなく、前年同期比で増益となり、黒字に転じました。
⑥ その他事業部門
《防音建材(商品名:ソフトカーム)事業》
医療向けX線遮蔽用鉛板やプラントの設備防音用鉛シートの需要はやや回復したものの、制振遮音材がハウスメーカーの仕様変更による落ち込みが大きく、売上高は前年同期2比%の減収となりました。
《運輸事業》
運輸部門は、運送荷物やリサイクル原料等の扱い量の減少などにより、売上高は前年同期比11%の減収となりました。
以上のほか、環境分析部門を合わせた当事業部門の業績は、前年同期比で減収となりましたが、損益面においては、リサイクル鉛原料の購入価格の下落等もあり、前年同期比増益となりました。
(2) 財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、金属相場の下落による売上債権やたな卸資産の減少とこれに伴う運転資本の減少などもあり、前連結会計年度末に比べ16億27百万円減少し、I,286億4百万円となりました。
負債については、西豪州の新規案件投資や、フリーキャッシュフローの赤字をファイナンスすることで前連結会計年度末に比べ123億2百万円増加し、870億33百万円となりました。
純資産は、配当の支払いや、赤字計上による利益剰余金の減少などもあり、前連結会計年度末に比べ139億30百万円減少し、415億71百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は32.3%となり、前連結会計年度末に比して、10.3ポイント下落しております。
(3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
連結業績予想につきましては、2019年8月9日公表の予想から修正しております。詳細につきましては、本日公表の「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」をご参照ください。
(以下省略)
**********
我々も印象報道に引っかからないように、目を肥やさないといけないと再認識しました。