■世界を不安と混乱状態に陥れている中国武漢市発の「新型肺炎」とも称される新型コロナウイルス感染症ですが、6日午前にとうとう日本を感染国に指定する国が現れました。太平洋島嶼国のミクロネシア、ニウエ、ツバルの3カ国です。実際には、まだ3次感染が発生していないにもかかわらず、クルーズ船であらたに10名の感染者が出た為、現時点で国内で感染が確認された人は45人となりました
ところで、お隣の台湾では、親中国のWHO事務局長が、台湾を中国の一部として扱っているため、正確な情報が国際機関から得られず、必死に水際作戦で中国本土からの感染の脅威に対抗しています。
そうした中、WHOの会議で、新型肺炎の疫学対応で台湾の貢献を称えたスピーチを行ったエスワティニ王国(旧・スワジランド王国)の代表者の発言を遮り、中国寄りの姿勢を示した日本人の執行理事が現れ、台湾の人たちのひんしゅくを買っています。
https://www.youtube.com/watch?v=5dTr6NhSFbo
日相挺台入WHO 世衛主席中谷竟唱和中方-民視新聞
2020年2月4日
【民視即時新聞】這次世界衛生大會上,除了秘書長譚徳塞,接連発表親中言論外,連日籍執委主席中谷比呂樹的動作,也譲人匪夷所思。當友邦先後替我國執言,感謝台灣醫療貢獻時,中方代表屢次打斷,中谷不但不阻止,還支持會議「只談技術問題」,態度跟日本首相安倍晉三,挺台加入WHO,完全大相逕庭。
和訳すると、「日本の総理が台湾のWHO参加に賛同したのに、WHO主席の中谷氏は中国寄りの発言を行った―――テレビニュース」というタイトルに、「【速報ニュース】世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長が、WHO総会の席上、引き続き中国寄りのスピーチをした後、日本人の議長役の中谷比呂樹氏がとんでもない行為に及んだ。エスワティニ王国の代表が中国の新型肺炎について触れた後、台湾の医療面での功績に対して謝辞を述べた際、中国の代表が繰り返し妨害をしたところ、議長の中谷氏が、それを制するどころか、「技術面のみを発言するように」として、中国の代表の妨害発言を擁護した。この対応は1月30日に日本の安倍晋三首相が、台湾はWHOに参加すべきである、とする声明と真逆である」という内容です。
■台湾の人たちに好意的に受け止められていた1月30日の安倍首相の発言は、次のとおりです。
**********NHK News Web 2020年1月30日14:20
安倍首相 感染者確認の台湾もWHO年次総会などへの参加を
安倍総理大臣は、参議院予算委員会で、感染者が確認されている台湾が、中国の反対で、WHO=世界保健機関の年次総会などへの参加が認められていないことに関連して「わが国は、従来より、国際保健課題への対応では、地理的空白を生じさせるべきではないと考えている」と述べました。
そのうえで、「新型コロナウイルスのこれ以上の感染を防止する観点から、地域が一体となって万全の態勢を可及的速やかに講じる必要がある。政治的な立場において、『この地域は排除する』ということを行っていては、地域全体を含めた健康維持や感染の防止は難しい。引き続き、WHOでしっかりと主張していきたい」と述べました。
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この発言を受けて、さっそく台湾の蔡総統らが謝辞を述べ、この報道に接した台湾の人たちは、日本の首相の発言に多大な共感を抱きました。
**********フォーカス台湾2020年01月30日17:24
安倍首相、台湾WHO参加を支持 蔡総統や外交部が感謝 他国も声援
↑30日午後、総統府(台北市)で談話を発表する蔡英文総統↑
(東京中央社)新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、安倍晋三首相は30日、世界保健機関(WHO)に台湾が参加することの必要性を強調した。これを受け、外交部(外務省)の欧江安報道官は同日、謝意を表明し、日本との情報交換や防疫に向けた連携を引き続き強化したいとの考えを示した。台湾のWHO参加を巡っては、カナダのトルドー首相も支持を表明した。
蔡英文総統は30日午後、総統府で談話を発表し、日本や米国、カナダなど、台湾への支持を示した国々への感謝を述べた。台湾は世界に貢献する能力と責任があるとし、WHOに対し、政治的な要素によって台湾を排除しないよう訴えた。
WHOは専門家による緊急委員会を22日と23日に開催。30日には2回目の会議を開く予定だが、台湾はいずれにも招かれていない。台湾ではすでに8人の感染者が確認された。
安倍首相は30日の参議院予算委員会で、台湾がWHOから排除されていることについて意見を求められると、「わが国は従来より、国際保健課題への対応に当たっては、地理的空白を生じさせないべきだと考えている」と言及。中国を念頭に「政治的な立場において、『この地域は排除する』ということを行っては、地域全体を含めた健康維持や感染の防止は難しい」と述べ、日本政府の立場を引き続きWHOに主張していく姿勢を示した。
また、カナダのトルドー首相は現地時間29日の国会答弁で、WHOへの台湾のオブザーバー参加を支持する姿勢を初めて表明した。台湾がWHOの会議でオブザーバーの役割を担うことは、国際的な健康コミュニティーに最大の利益をもたらすとの立場を示し、議員たちから大きな歓声を浴びた。
中華民国(台湾)と外交関係を持つカリブ海の島国、セントルシアは30日までに、台湾の参加を求める声明文をWHOに送った。
(楊明珠、陳韻聿、胡玉立、江今葉、葉素萍、温貴香/編集:楊千慧)
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■今回の新型肺炎を巡る国際的な混乱で、「台湾は中国の一部だ」とする中国の主張を鵜呑みにする国々から言われなき差別を受けてきました。その典型がイタリアの一方的な措置でした。
**********毎日新聞2020年2月3日 08時53分(最終更新 2月3日 22時04分)
「台湾は中国の一部ではない」イタリアの航空便乗り入れ禁止に抗議 新型肺炎
↑台湾を中国の「省」に含んだWHOの肺炎発症に関する発表資料を示す台湾の呉●(金ヘンにリ)燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相)は2日、緊急の記者会見を開き「台湾は中国の一部ではなく、独自の防疫を行っている」とイタリアに禁止の撤回を求めた。↑
台湾は中国などの反対で国連に加盟できておらず、国連機関であるWHOの関連会議などにも招かれていない。中国は台湾を「固有の領土」とみなしており、WHOも新型肺炎に関する発表資料で台湾を中国に含めている。
イタリアは1月31日に中国便を禁止した際、台湾発着便を含めた。呉氏は「問題の根源はWHOが台湾を中国に含めていることであり、大きな誤りだ」とWHOを批判した。
台湾―ベトナム線の禁止を巡っては、ベトナム政府が台湾の抗議を受けて1日午後に決定を撤回。ただ撤回までの一部の便が実際に取り消しとなった。【台北・福岡静哉】
**********フォーカス台湾2020年02月02日13:04
呉外相「WHOは重大な誤りの訂正を」=イタリアの台湾便発着禁止
↑呉ショウ燮外交部長↑
(台北中央社)世界的に感染が広がっている新型コロナウイルス対策として、イタリアの航空当局が台湾の航空会社の乗り入れを暫定的に禁止すると発表したことについて、呉ショウ燮外交部長(外相)は2日午前、台北で記者会見を開いた。イタリア当局の決定は誤った認識と情報が原因だと指摘し、世界保健機関(WHO)は台湾に関する重大な誤りを訂正するべきだと訴えた。(ショウ=刊の干を金に)
イタリア当局は先月31日に措置について発表。台湾のほか、中国、香港、マカオの航空会社が対象で、期間は2月2日から4月28日までとされた。外交部(外務省)の姜森・欧州司長(局長)は2月1日、中央感染症指揮センターの会見で、WHOが台湾をウイルスの感染拡大が深刻な中国の管轄下にあるものとしたことにより、イタリア側に誤った認識をさせたとの見解を示し、WHOこそが「問題の根源」だと指摘した。
呉部長は、台湾は台湾であり、中華人民共和国の一部ではないとの考えを改めて表明。保健と飛行情報区のいずれについても、台湾と中国では全く別の独立した機関が管理しているとし、WHOは間違えるべきではないと強調した。
ベトナムも1日午後、台湾の旅客受け入れを同日から停止すると通知したが、外交部や交通部(交通省)民用航空局がベトナム側とそれぞれ交渉。決定は同日中に取り消された。
(張茗喧/編集:楊千慧)
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■WHOの事務局長の出身国エチオピアは、中国から多額の援助を受けており、親中国の政治家や官僚が多数おり、この事務局長もその一人です。したがって、中国の指示により、常に台湾に対して嫌がらせを続けています。
**********台湾フォーカス2020年02年06日15:14
WHO、台湾の呼称を度々変更 外交部「間違いを繰り返さないで」
↑台湾の呼称を「台北と周辺地域」とする5日付のWHOの報告=WHOのウェブサイトから↑
(台北中央社)世界保健機関(WHO)は毎日公表している新型コロナウイルスの感染状況に関する報告で、台湾の呼称を「台北直轄市」や「台北」、「台北と周辺地域」などにころころと変えている。外交部(外務省)の欧江安報道官は6日午前の会見で、「間違いを繰り返さないでほしい」とWHOに呼び掛けた。WHOに抗議し、訂正を求めているという。
WHOは先月21日から、新型コロナウイルスに関する報告を公式サイトに掲載しており、台湾で確認された感染者数を中国の統計に一貫して含めている。台湾の感染者数が初めて含められた先月22日の報告では、台湾を「中国台湾」と表記。同23日には「台北直轄市」と変更し、同25日からは「台北」の呼称が使用された。5日付の最新版では「台北と周辺地域」に再び変更された。
欧報道官は「台湾は台湾。台湾はチャイニーズタイペイでも、台北直轄市でも、台北と周辺地域でもない。中華人民共和国の一部でもない」と強調した。
WHOは3日付の報告では、台湾で確認された感染者数を実際の10人から13人に誤植していた。
(游凱翔/編集:名切千絵)
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■ところで、安倍首相の発言に反して、親中国のWHO事務局長のイヌになり下がった日本人の中谷理事とはどのような人物でしょうか。ネットで調べてみました。
**********厚労省HP 2017年6月1日
報道関係者各位
WHO(世界保健機関)執行理事に中谷比呂樹氏が就任しました
この度、慶應義塾大学特任教授の中谷比呂樹氏が、WHO執行理事に就任しましたので、お知らせいたします。
WHOでは、意思決定機関として年1回世界保健総会が開催され、この総会を円滑に運営するための各種調整などを行うために、執行理事会が設置されています。この執行理事会は、WHOの加盟国のうちの34ヶ国から選出された執行理事がメンバーであり、執行理事の任期は3年間です。この度、日本は執行理事選出国となったため、国際保健に豊富な経験と学識を持つ、慶應義塾大学特任教授の中谷比呂樹氏を執行理事に指名しました。中谷氏は6月1日から始まる執行理事会に参加し、執行理事としての活動を開始します。
(参考)中谷比呂樹氏の略歴
山形県酒田市生まれ。
慶應義塾大学医学部卒、医師、教育学(保健人材)修士、医学博士。
厚生労働省及び広島県で衛生行政、福祉行政に従事。
2007年より8年間、WHO本部事務局長補(エイズ・結核・マラリア・熱帯病対策担当)として勤務。
2015年6月に帰国後は、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)特任教授。併せて、厚生労働省国際参与、国立国際医療研究センター理事、大阪大学特任教授(未来・国際医療学)。
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■この人物は、公平性の観点から問題があるため、このまま続投させるのは日本と台湾の関係保持の観点から逆効果だと思われます。
台湾はこうした逆境にもめげずに、依然として感染者数10名、死亡者0名を維持しています。台湾のかたに言わせると「日本の防疫体制は台湾に比べると甘い」そうです。しっかりと、水際で感染者の入国を食い止めることが、今回の重大かつ深刻なグローバル社会経済への脅威を最小限に留めるための必要十分条件です。
【ひらく会情報部】
※参考情報
**********音喜多駿・参議院議員のブログ2020年1月31日
コロナウイルス対策で、台湾のWHO参加は必須。政治的意図での排除を許すな!
こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
本日も衆参で予算委員会・集中審議が行われ、コロナウイルス対策などについて活発な議論が行われています。維新からは浦野代議士と柳ケ瀬議員が質問に立ちました。
6月まで続く国会論戦はまだまだ始まったばかり。ぜひ引き続きご注目ください。
■さて、今日から私が予算委員会で取り上げたテーマについて1つずつ解説していきたいのですが、まずは冒頭で取り上げた「コロナウイルス対策(WHOへの台湾加盟)」についてです。
台湾のWHO参加 首相が必要性強調 参院予算委で: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55025500Q0A130C2PP8000/
正直、これほどストレートに前向きな答弁が来ると私自身が思っていなかったのですが(汗)、この答弁は国際ニュースにもなり、台湾総統が謝辞を表明。
■蔡英文 Tsai Ing-wen
I want to thank the #US, #Japan, #Canada, & #StLucia, as well as our friends in the international community, for publicly supporting #Taiwan’s inclusion in the @WHO. Full statement: https://english.president.gov.tw/NEWS/5969
20:50 - 2020年1月30日
その影響力はすさまじく、私のもとにも多くの台湾人・関係者から連絡が入り、なんと台北駐日経済文化代表処(いわゆる台湾の大使館)の副代表から「御礼に伺いたい」との申し出が。
↑蔡副代表、向部長、蘇課長補佐らが議員会館まで足を運んでくださり、「音喜多さんの提言と安倍首相の答弁が、他国にも影響を与えて動かした」と過分なお言葉をいただきました。↑
■なぜ台湾は大使館ではなく、「台北駐日経済文化代表処」なんて難しい名前がついているかと言うと、台湾は中国からの圧力により、「国」として認められていないためですね。
通常の二国間の関係で言えば、「代表処」が大使館、「弁事処」が総領事館ということになります。
このように中国からの様々なプレッシャーに晒されている台湾は、国連を筆頭にWHOなど様々な国際機関への参加が許されていません。
新型肺炎対応の協議から台湾を排除 WHOやICAOに国際社会から批判
https://mainichi.jp/articles/20200130/k00/00m/030/227000c
私はそもそも台湾は独立した「国」として認めるべきだという立場ですし、ましてや今回の新型コロナウイルスの発生源は中国であり、周辺国に影響を及ぼした当事者です。
その中国がWHOなどにプレッシャーかけて、台湾のオブザーバー参加すら認めないなどということは、到底容認することはできません。
安倍総理が答弁したように、こうした防疫は地域全体でやらなければ、封じ込めをすることは困難です。
↑政府には引き続き台湾を後押しする力強い対応を期待するとともに、私も台湾がそもそも「国」として認められ、国際社会の一員となるよう働きかけていきたいと思います。↑
■そしてなぜ今回、私の質問が注目されたかというと、与党である自民党が取り上げづらい話題だからでしょう。
今春の中国・習近平主席の来日に向けて、政府と与党は「波風を立てたくない」モードに入っています。自民党内にも台湾側に立つ議員が存在しますが、対中関係を気にして表向きには少数派です。
部会レベルでは香港や台湾などの問題に触れられても、本会議や予算委員会など目立つ舞台で「党を代表して」堂々と中国を刺激する発言・提案をすることは困難な状況と言えます。
こうしたパワーバランスによりWHO・台湾問題がこぼれ落ちる中、安倍首相としても「自分から積極的には言いづらいが、質問に対する答弁なら答えやすい」という面があったのではないでしょうか。
あくまで推察ですが。。
■なお、安倍首相は親台派組織である「自民党青年局」の局長を歴任していたこともあり、元々は完全に親台派の議員です。
与党が触れづらい話題を取り上げ、敢えて「火中の栗」を拾うことも野党の役割。
敵対するばかりではなく、建設的な提案を投げ込むことで、少しでも国際社会に貢献できる方法を探していく所存です。
質疑の議事録はまだ出ておりませんが、まだ未視聴の方はぜひ御覧ください。
それでは、また明日。
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