↑もはや定例化した感のある前橋市長はじめ同市幹部らの謝罪会見風景。4日夜前橋市役所にて(出典:上毛新聞社)↑
■前橋市はこれまでに何度も官製談合事件で、全国に名を馳せています。先日10月に米子市で開催された全国オンブズマン大会で、恒例の2021年度全国県庁所在地市・中核市の落札率分布表、すなわち談合疑惑度ランキングで、前橋市は66の市のうち、堂々の15位にランクインしました。ちなみに高崎市も17位で、群馬県勢が同年も高位置を占める形となりました。そうした中、またもや県都前橋市で、官製談合事件が発生。同市民はもとより、群馬県民の間ではまたか、との声がしきりと上がっております。それもそのはず、市長自ら特定の業者と癒着しており、その市長が、官製談合事件が起きるたびに「官製談合原因究明調査委員会」なるものを設置し、そこに副市長を任命し、その人間が官製談合のリード役を務めていたというのですから、もはや手のほどこしようのない体たらくであることがわかります。
さて、今回の官製談合事件の報道をさっそく見てみましょう。
**********NHK News Web 2022年11月04日18:13
前橋市発注の水道管工事入札めぐり談合か 元副市長ら逮捕
おととし6月、前橋市が発注した水道管工事の入札をめぐり、市内の業者に落札させるため予定価格を漏らしたとして、前橋市の元副市長が、業者の社長とともに4日、官製談合防止法違反の疑いなどで逮捕されました。警察は2人の認否を明らかにしていません。
逮捕されたのは、前橋市の戸塚良明元副市長(72)と市内に本社がある「上武工業株式会社」の山崎正社長(62)です。
警察によりますと、元副市長は、おととし6月、市が発注した前橋市粕川町での水道管工事の入札をめぐり、予定価格を漏らして山崎社長の会社に落札させたとして、官製談合防止法違反と入札妨害の疑いが持たれています。
この工事は指名競争入札で行われ、あわせて10社が参加しましたが、予定価格の2305万円余りに対し、山崎社長の会社が、税込みで2255万円と予定価格に近い額で落札していたということです。
警察は捜査に支障があるとして2人の認否を明らかにしていません。
戸塚元副市長はおととしから副市長を務めていましたが、先月31日、「一身上の都合」として、辞任していました。
警察は、元副市長が水道事業を管理する市の「公営企業管理者」を務めていた際に社長と知り合ったとみて、事件の詳しいいきさつを調べることにしています。
逮捕された戸塚元副市長は、昭和48年に前橋市の職員になり、市の商工部長や教育委員会の管理部長などを務めたあと、平成23年に定年退職しました。
その後、平成24年から6年間、市の水道局を統括する市の公営企業管理者を務め、おととしに副市長に就任しました。
前橋市役所では去年も、当時の課長補佐が官製談合防止法違反などの疑いで逮捕され、その後、有罪となっていて、元副市長は事件の調査委員会の委員長を務めていました。
元副市長は先月、一身上の都合として、副市長を辞任していました。
前橋市の元副市長が逮捕されたことを受けて、前橋市の山本龍市長は4日夕方、記者会見を開き、「大変驚いている。市民の信頼を裏切ることになり、厳正に対処していきたい。市民に大きな不安を与えたことを心からおわび申し上げる」と謝罪しました。
その上で、元副市長が先月末に辞任した経緯について、「一身上の都合で、病気と聞いていた」と述べ、今後、市としても今回の事件の事実関係を調査する考えを示しました。
**********NHK New Web 2022年11月05日06:51
談合疑いで逮捕の前副市長 携帯電話で予定価格伝えたか 前橋
前橋市が発注した水道管工事の入札をめぐり、予定価格を業者に漏らし落札させたとして、前の副市長が4日逮捕された事件で、警察は当時、入札の情報を知りうる立場だった前副市長が、業者側に携帯電話で予定価格を漏らしていたとみて詳しく調べています。
前橋市の前の副市長、戸塚良明容疑者(72)はおととし6月、市が発注した水道管工事の入札をめぐり、市内に本社がある会社に予定価格を漏らして落札させたとして、この会社の社長の山崎正容疑者(62)とともに、官製談合防止法違反などの疑いで4日逮捕されました。
4日夜、前橋市役所には群馬県警の捜査員およそ30人が捜索に入り関連する資料を押収しました。
警察は捜査に支障があるとして2人の認否を明らかにしていません。
市によりますと前副市長は当時、担当分野の一定金額以上の入札について決裁をする立場で、警察はこの工事についても入札情報を知りうる立場だったとみています。
また警察によりますと前副市長は以前、市の水道事業を管理する役職だった際に社長と知り合ったとみられ、予定価格は携帯電話で伝えていたとみられるということです。
警察は、2人が関係を深めたいきさつなどについて調べを進めることにしています。
**********上毛新聞2022年11月5日(土)06:01
入札改革の「主導役」 前橋市の元副市長逮捕 官製談合容疑 先月末に「一身上の都合」で辞職
↑前橋市役所に家宅捜索に入る群馬県警の捜査員=4日午後7時40分↑
前橋市が2020年に発注した水道工事で予定価格を漏らしたなどとして、群馬県警捜査2課と前橋署は4日、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、同市の元副市長の男(72)と業者社長の男を逮捕した。元副市長は市職員が21年に逮捕された贈収賄事件を受け、市が設けた原因究明調査委員会のトップを務めた。10月末に「一身上の都合」で副市長を任期途中で辞職していた。
県警は、工事の発注に関する権限を持つ担当副市長として、水道工事の価格情報を知り得る立場だったとみて、金銭の授受を含む業者との利害関係について詳しく調べる。
業者社長の男(62)は土木や水道、衛生設備の工事を請け負う。県警は捜査に支障があるとして、2人の認否を明かしていない。
2人の逮捕容疑は共謀して20年6月上旬ごろ、市発注の水道工事の指名競争入札で、予定価格が2305万6千円(税込み)であることを漏らし、同26日に同社に2050万円(税抜き)で落札させて入札の公正を害した疑い。同市粕川町深津から女渕にかけての配水管の敷設替工事で、他に9社が応札していた。
市によると、元副市長は1973年に同市に採用され、商工部長や市教委管理部長などを務めた。定年退職後に協同組合前橋生鮮食料品総合卸売市場長、市公営企業管理者などを歴任。2020年4月に4年の任期で副市長に就いた。
県警は、工事の資料を見て予定価格を把握し、携帯電話を使って口頭で業者社長に伝えたとみている。当時、市は工事の予定価格を非公表としていた。公営企業管理者となった12年以降に、仕事上の接点から業者社長と知り合ったとみて調べを進める。
山本龍市長は4日午後に緊急会見を開き「大変驚いている。大きな不安を与えたことをおわびする。事実だとすれば市民の信頼を裏切ることになる。厳正に対処したい」と陳謝。事件や捜査については承知していなかったとした。
市役所には同日午後7時40分ごろ、県警の捜査員約30人が家宅捜索に入った。副市長室などで関連資料を押収したとみられる。
***********テレ朝2022年11月5日(土)06:05
前橋市の前副市長ら逮捕 予定価格漏らし官製談合か
前橋市が発注した水道管の工事を巡り、予定価格を事前に業者に漏らしたとして、前橋市の前の副市長と業者の社長が逮捕されました。
戸塚良明容疑者(72)は前橋市の副市長だったおととし6月、市が発注した水道管工事の指名競争入札で秘密事項である予定価格を上武工業の社長・山崎正容疑者(62)に漏らして落札させた疑いが持たれています。
この工事の入札には10社が参加していて、市の予定価格が約2305万円なのに対し、山崎容疑者の会社は2255万円と予定価格の97.8%の額で落札していました。
戸塚容疑者は先月31日、「一身上の都合」として副市長を辞任していました。
**********毎日新聞2022年11月4日20:02(最終更新11月4日20:03)
前橋市の前副市長、入札情報漏えい容疑で逮捕 配水管工事巡り
↑前橋市役所=前橋市で2019年2月22日、菊池陽南子撮影↑
前橋市が発注した配水管工事の指名競争入札を巡り、予定価格を業者側に漏らして落札させたなどとして、群馬県警は4日、前副市長の戸塚良明容疑者(72)=同市上佐鳥町=と同市の水道工事会社「上武工業」社長、山崎正容疑者(62)=同市岩神町3=を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕した。県警は2人の認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は2020年6月、市が発注した配水管工事の指名競争入札について、当時副市長だった戸塚容疑者が予定価格を山崎容疑者に漏らし、同社に予定価格に近い2050万円で落札させ、公正な入札を妨害したとしている。
県警によると、入札には上武工業を含めて10社が参加していた。戸塚容疑者は電話で山崎容疑者に予定価格を伝えていたという。戸塚容疑者は市公営企業管理者となった12年以降に山崎容疑者と知り合ったとみられ、受注の見返りに金品の授受がなかったかなどを調べている。
戸塚容疑者は市商工部長などを経て20年から副市長を務め、「一身上の都合」を理由に10月31日付で辞任していた。【西本龍太朗】
**********読売新聞2022年11月05日10:29
官製談合の調査委員長だった副市長、「一身上の都合」で突如辞職…4日後に逮捕
前橋市発注の工事の入札で予定価格を漏らしたなどとして、同市の元副市長・戸塚良明容疑者(72)(前橋市上佐鳥町)らが4日、群馬県警に逮捕された。同市では昨年、贈収賄と官製談合が発覚し、市が調査委員会を設置したが、戸塚容疑者は委員長に就いていた。癒着の根深さが改めて浮かび上がった格好だ。
↑戸塚良明容疑者↑
官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の両容疑で逮捕されたのは、戸塚容疑者と、前橋市の土木工事会社「上武工業」社長(62)。
発表によると、2人は共謀のうえ、2020年6月26日に行われた市の公共工事の指名競争入札で、戸塚容疑者が予定価格を上武工業社長に漏らし、同社に予定価格に近い価格で落札させ、公正な入札を妨害した疑い。県警は2人の認否を明らかにしていない。
工事内容は同市粕川町での配水管の敷設。入札には10社が参加し、同社は2050万円(税抜き)で落札した。予定価格は2305万6000円(税込み)で、落札率は97・8%だった。県警は、戸塚容疑者が市公営企業管理者に就いた12年4月以降に2人が知り合い、携帯電話でやりとりをしていたとみている。
入札に参加した建設会社の男性社長は、業者間の会合などで2人とよく顔を合わせた。男性は戸塚容疑者の印象を「何度か顔を合わせたが、とても良い人。談合していたなんて信じられない」と語り、上武工業社長については「根回しは一切しない人だと思っていた」と話した。
戸塚容疑者は亜細亜大を卒業して1973年に前橋市役所に入り、商工部長や教育委員会管理部長などの重要ポストを歴任した。2012年4月に市公営企業管理者に就き、18年3月まで6年間務めており、ここで上武工業社長と接点ができたとみられる。
同市では、契約監理課の課長補佐が官製談合防止法違反容疑などで昨年4月に逮捕され、前橋地裁は有罪判決を言い渡した。戸塚容疑者は、事件を受けて市が設置した「官製談合原因究明調査委員会」の委員長に就き、今年2月に再発防止策などに関する意見書を山本龍市長に提出していた。
↑前橋市役所の捜索に入る県警の捜査員ら(4日午後7時41分)↑
戸塚容疑者は20年4月から副市長を務めていたが、今年10月31日、一身上の都合を理由に突然辞職した。
山本龍市長は4日夕、戸塚容疑者らの逮捕を受けて市役所で緊急の記者会見を開き、「市民に大きな不安を与え、心からおわび申し上げる。事実だとすれば、市民の信頼を裏切ることになり、厳正に対処していく」と話して謝罪した。
山本市長は、昨年の事件を受けて市が設置した調査委員会の委員長を戸塚容疑者が務めたことについて「重く受け止めている」と話したが、戸塚容疑者が副市長として工事や入札を所管していたとして、「それ以外の選択肢はなかった」と述べた。
市は昨年の事件を受けた再発防止策として、予定価格を事前に公表し、調査委員会の意見書に基づき、公共工事は原則として指名競争入札をなくし、一般競争入札にすることにした。山本市長は今回の事件を受けて対策を強化するか聞かれると、「十分な体制が整っているので、考えていない」と話した。
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■この事件から、次のことを感じました。
①群馬県警は、オンブズマンが告発した事件は受理すらしようとしませんが、独自に入手した事件情報は、警察の手柄となるため、今回のような事件には積極関与すること。
②前橋市は官製談合問題についての対応を、「官製談合原因究明調査委員会」なるもっともらしい組織をでっちあげて、泥棒をリーダーにして任せたこと。つまり談合防止対策をドロボーにやらせたこと。
③前橋市は、公費を乱用したあげく強制わいせつで逮捕されそうになった職員に退職を勧め、本人が退職金を受け取った後、起訴されても、支払った退職金について、とりもどしたのか否かについて、情報すら開示しないこと。つまり、ドロボー職員に対して寛大なこと。
このように、泥棒が泥棒を裁く状況が続く限り、いくら「官製談合原因究明調査委員会」なるものを形式的に設置しても、茶番劇に終わることは明らかです。
■ それにしても山本龍市長は、官製談合が明るみに出るたびに、謝罪していますが、なぜ公取委に報告して、真相解明と責任明確化、そして再発防止を本気でやろうとしないのでしょうか。今回の事件でも、群馬県警捜査2課と前橋署による事件の捜査について「承知していなかった」と11月4日午後の緊急会見で述べています。
公正取引委員会では、入札談合事件について厳正に対処するとともに、その未然防止を図っており、発注機関の実施する入札談合等関与行為防止法(いわゆる官製談合防止法)・独占禁止法の研修等に同委員会の職員を講師として派遣しています。なぜ、前橋市は公取委に講師派遣を求めないのでしょうか。それよりもまず、相変わらず繰り返される官製談合の温床をなくす決意を固め、公取委に報告しようとしないのでしょうか。
公取委のHPを見ると、「入札談合等関与行為防止法」は、国・地方公共団体等の職員が談合に関与している事例、いわゆる官製談合が発生していた状況を踏まえ、発注機関に対して組織的な対応を求め、その再発を防止するために制定されたものであり、平成15年1月6日から施行されています。
また、その後、平成18年に職員による入札等の妨害の罪の創設等を内容とする「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案」が第164回通常国会に提出され、平成18年12月、第165回臨時国会で成立し、平成19年3月14日から施行されている、とあります。
公正取引委員会では、入札談合事件について厳正に対処するとともに、その未然防止を図っており、発注機関の実施する入札談合等関与行為防止法(いわゆる官製談合防止法)・独占禁止法の研修等に同委員会の職員を講師として派遣しています。なぜ、前橋市は公取委に講師派遣を求めないのでしょうか。それよりもまず、相変わらず繰り返される官製談合の温床をなくす決意を固め、公取委に報告しようとしないのでしょうか。
公取委のHPを見ると、「入札談合等関与行為防止法」は、国・地方公共団体等の職員が談合に関与している事例、いわゆる官製談合が発生していた状況を踏まえ、発注機関に対して組織的な対応を求め、その再発を防止するために制定されたものであり、平成15年1月6日から施行されています。
また、その後、平成18年に職員による入札等の妨害の罪の創設等を内容とする「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案」が第164回通常国会に提出され、平成18年12月、第165回臨時国会で成立し、平成19年3月14日から施行されている、とあります。
今回の事件の真相解明を県警に委ねるのではなく、公取委にも報告して指導を受けることが強く望まれます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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