■みなかみ町のたくみの里近くの日帰り温泉「遊神館」の一角に、「RDF実証試験施設」なるものが建てられたのは、平成30年でした。しかし、議会の議決を経ないまま署名された協定書にもとづき、建てられたこの施設でRDF実証試験の目途は立たず、行く先を失ったRDFが保管庫から溢れ、あわてて2017年6月から別の業者とRDFの引取り契約を交わしたら、それまでの2倍の処理費用の1トン当たり3万8000円となり、みなかみ町は泣き面にハチという状況です。こうした事態を招いた背景を調べるため、当会会員が10月30日に住民訴訟を前橋地裁に提起しました。その第1回口頭弁論は2020年1月15日に前橋地裁2階第21号法廷で被告欠席(擬制陳述)で開かれました。被告は答弁書で争う姿勢を見せたものの、具体的な認否は後日するということで、裁判長は「2月26日までに提出するように」と被告に訴訟指揮をしました。そのため、原告は、いつ実質的な答弁書が出てくるのか、首を長くして待っていたところ、ようやく3月6日付で、原告に送られてきました。
↑奥利根アメニティパーク。Google Mapより。↑
【3月10日追記】
記事本文末尾に、3月11日午前10時からの口頭弁論は突如キャンセルされ、5月20日以降の開催になりました。詳しくは記事本文末尾をご覧ください。
なお、この事件のこれまでの経緯については、次のブログ記事を参照ください。
○2019年10月13日:スッポン養殖に目がくらみ禁断のRDFに手を出したみなかみ町に住民監査請求↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3050.html
○2019年11月2日:禁断のRDFとみなかみ町・・・お粗末過ぎる住民監査結果を通知された当会会員が住民訴訟提起↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3068.html
〇2019年12月22日:禁断のRDFとみなかみ町・・・RDF問題に光を当てる住民訴訟の第1回弁論期日が1月15日10時に決定↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3093.html
○2020年2月15日:禁断のRDFとみなかみ町・・・1月15日住民訴訟第1回弁論で町側が争う姿勢、次回期日は3月11日↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3123.html
9日遅れでみなかみ町が出してきた準備書面(1)=実質的な答弁書は、次の通りです。
*****送付書兼受領書*****ZIP ⇒ 0200306ipj.zip
<2020年3月6日14時13分 風の詩法律事務所 NO.3312 P. 1/9>
送 付 書
令和2年3月6日
送 付 先 裁判所 前橋地方裁判所 民事第1部合議係 御中 (FAX027-233-0901)
原 告 鈴 木 章 二 様 (FAX0278-64-0753)
送 付 書 事務所 〒371-0046
群馬県前橋市川原町一丁目57番地3 (TEL 027-219-0200)
風の詩法律事務所
被告訴訟代理人
弁護士 増 田 智 之
弁護士 山 崎 由 恵
弁護士 川 住 岳 央
弁護士 木 村 憲 司
件 1 事件番号 令和元年(行ウ)第20号
2 当 事 者 原 告 鈴木章二
被 告 みなかみ町長 鬼頭春二
3 期 日 令和2年3月11日(水)午後1時10分
送付書類 ■ 準備書面(1)
■ 証拠説明書(乙第1号証)
■ 書証 (乙第1号証)
送付枚数 本書を含め9枚
備 考
※上記のとおり、ご送付いたします。受領された後は、下記受領書に必要事項を記入して、裁判所及び当職宛ご送付下さるようお願いいたします。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
受 領 書
令和2年3月7日
上記書類を受領いたしました。
前橋地方裁判所 民事第1部合議係 御中 (FAX027-233-0901)
弁護士 増 田 智 之 宛 (FAX027-219-0210)
原告 鈴木章二 印
*****被告準備書面(1)*****ZIP ⇒ 0200306ipj.zip
令和元年(行ウ)第20号 RDF違法事業費用損害賠償請求事件
原 告 鈴木章二
被 告 みなかみ町長 鬼頭春二
準備書面(1)
令和2年3月11日
前橋地方裁判所民事第1部合議係 御中
被告訴訟代理人
弁護士 増 田 智 之
弁護士 山 崎 由 恵
弁護士 川 住 岳 央
弁護士 木 村 憲 司
(訴状)訂正申立書の記載に関して、認否・反論等を行う。
第1 請求の趣旨に関する指摘
「高橋考一」は、「高橋孝一」の誤記と思われる。
第2 請求原因に対する認否
1 「第2 当事者」について
(1) 同1について
認める。
(2) 同2について
被告がみなかみ町長であることは認め、その余は否認する。
「上記事業費を計上したものである」の文意が不明瞭である。
(3) 同3について
「固形燃料RDF運搬処理業務委託先のウィズウェイストジヤパン(株)」部分を否認し、その余は認める。
正しくは、一般廃棄物(固形燃料RDF)の運搬・処理業務委託先が、(株)
<p2>
ウィズウェイストジャパンである。
2 「第3 住民監査請求」について
(1) 同1について
認める。
(2) 同2について
認める。
(3) 同3について
原告が甲4を受領したことは認め、その余は不知。
3 「第4 監査請求と監査結果に対する不服」について
(1) 同1について
不知。
(2) 同2について
否認ないし争う。
正確な勧告の内容は、甲4の最終ページ「3.勧告の内容 (期限)」記載のとおりである。
4 「第5 みなかみ町の損失」について
(1) 同1について
否認ないし争う。詳細は後述(本書第3)する。
ところで、原告は「2億3423万9025円」という金額を示しているが、計算式に誤りがあり、正しくは2億3423万5702円と思われる。
計算式の内、「平成29年6月」部分について、「@41,045円/t」とあるが、正しくは4万1040円であり、合計は1438万8555円になると思われる。また、「平成29年7月~平成30年3月」部分について、「6639万8280円」とあるが、正しくは6639万6704円になると思われる。
(2) 同2について
否認ないし争う。詳細は後述する。
5 「第6 本件請求の要旨」について
(1) 同1について
同(12)は、否認ないし争う。その余の経緯等については、認否を留保する。詳細は後述する。
(2) 同2について
<p3>
同(16)は、否認ないし争う。その余の経緯等については、認否を留保する。詳細は後述する。
(3) 同3について
同(35)は、否認ないし争う。その余の経緯等については、認否を留保する。詳細は後述する。
6 「第7 請求の趣旨第1項と~」に関して
否認ないし争う。
第3 被告の主張
1 被告は、原告の主張内容について、以下のように理解した。
① 一般廃棄物(固形燃料RDF)運搬・処理業務委託契約(甲6の1、以下「本件契約」という)に関して
本件契約は、締結するにあたり地方自治法96条1項5号により議会の議決を経なければならないものであるが、議会の議決を経ていないため、無効である。無効であるにも関わらず、現在の委託料が支払われていることは、地方自治法2条14項、15項、16項、17項に反している(訂正申立書、第5・1→第6・1(12)→第7・2)。
② みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定(甲7の3ページロ、以下「本件協定」という)に関して
本件協定は、締結するにあたり地方自治法96条1項5号、6号により議会の議決を経なければならないものであるが、議会の議決を経ていないため、無効である。無効であるにも関わらず、土地占有されていることは、地方自治法2条14項、15項、16項、17項に反している(訂正申立書、第5・2→第6・2(16)→第7・1)。
このような理解を前提に、以下で被告の主張を述べる。
2 本件契約に関して
(1) 前記のとおり、原告は、“本件契約の締結が地方自治法96条1項5号により議会の議決を経なければならない”ことを前提とした主張をしている。しかし、このような原告の主張は認められるべきではない。
(2) 被告においては、地方自治法96条1項5号に関連して、「みなかみ町
<p4>
議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」が定められている(乙 1)。
そして、同条例2条では、「地方自治法~第96条第1項第5号の規定により議会の議決に付さなければならない契約は、予定価格5,000万円以上の工事又は製造の請負とする。」と規定されている。本件契約は、一般廃棄物(固形燃料RDF)運搬・処理業務の委託を内容とする契約であり、同条例2条で規定されている契約に該当しないことは、明白である。従って、原告の主張は認められるべきではない。
3 本件協定に関して
(1) 前記のとおり、原告は、“本件協定の締結が地方自治法96条1項5号、6号により議会の議決を経なければならない”ことを前提とした主張をしている。しかし、このような原告の主張は認められるべきではない。
(2) 地方自治法96条1項5号に関して
前記のように、「みなかみ町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」2条では、「地方自治法~第96条第1項第5号の規定により議会の議決に付さなければならない契約は、予定価格5,000万円以上の工事又は製造の請負とする。」と規定されている。
本件協定は、RDFボイラーの実証試験を行うことに関する協定であり、本件条例2条で規定されている契約に該当しないことは、明白である。従って、原告の主張は認められるべきではない。
(3) 地方自治法96条1項6号に関して
原告は、本件協定が町有地の譲渡、貸し付けを内容としている旨を主張している(訂正申立書、P5、 第5・2部分)。
しかし、本件協定は、町有地の譲渡、貸し付けを内容としていない。仮に、誤渡、貸し付けを内容としたのであれば、詳細が規定されていたはずであるが、本件協定にはそのような規定は存在していない。
そもそも、本件協定に係る町有財産の使用に関して想定していたのは、後の使用許可であった(地方自治法238条の4第7項)。譲渡・貸し付けと使用許可は、区別されるべき概念である(地方自治法238条の4第1項、第7項等)。これは、地方自治法96条 1項6号の解釈においても 同様である。
<p5>
ともかく、原告の主張は認められるべきではない。
4 本書第2・5(1)~(3)で認否を留保した理由
本書第2・5(1)~(3)で原告主張の経緯等の認否を留保しているが、このように対応しているのは、本書第3・1~3の理由から原告の主張が認められるべきではなく、争点を拡げるべきではないと考えたためである。
認否留保部分の認否が必要というのであれば、追って認否する。
以 上
*****証拠説明書(乙1)*****ZIP ⇒ 202003061.zip
<p1>
令和元年(行ウ)第20号 RDF違法事業費用損害賠償請求事件
原 告 鈴木章二
被 告 みなかみ町長 鬼頭春二
証 拠 説 明 書
令和2年3月11日
前橋地方裁判所 民事部 御中
被告訴訟代理人
弁護士 増 田 智 之
弁護士 山 崎 由 恵
弁護士 川 住 岳 央
弁護士 木 村 憲 司
乙1について、別紙「証拠説明一覧」の通り。
以 上
<p2>
別紙 証拠説明一覧
●号証:1
○標目:みなかみ町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例
○原紙・写し:写し
○作成者:みなかみ町
○作成年月日:R2.3(印刷日)
○立証趣旨:みなかみ町議会の議決に付すべき 契約及び財産の取得又は 処分に関する条例の内容等
=====乙第1号証=====
○みなかみ町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例
平成17年10月1日
条例第47号
(趣旨)
第1条 議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関しては、この条例の定めるところによる。
(議会の議決に付すべき契約)
第2条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第1項第5号の規定により議会の議決に付さなければならない契約は、予定価格5,000万円以上の工事又は製造の請負とする。
(議会の議決に付すべき財産の取得又は処分)
第3条 法第96条第1項第8号の規定により議会の議決に付さなければならない財産の取得又は処分は、予定価格700万円以上の不動産若しくは動産の買入れ若しくは売払い(土地については、1件5,000平方メート ル以上のものに係るものに限る。)又は不動産の信 託の受益権の買入れ若しくは売払いとする。
附 則
この条例は、平成17年10月1日から施行する。
**********
■このように、被告みなかみ町の準備書面(1)には「原告の主張は認められるべきではない」が繰り返し述べられており、最後には「ともかく、原告の主張は認められるべきではない」と締めくくっています。
そして、その根拠として、「みなかみ町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」(平成17年10月1日条例第47号)を持ち出し、契約については、一般廃棄物(固定燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書に「予定価格5,000万円以上の工事又は製造の請負」とする条項は記載がないのと、財産の取得又は処分については、予定価格700万円以上ではなく1件5,000㎡以上ではないし、そもそも協定書であって契約書ではないから、原告の主張は当たらない、と主張してします。挙句の果てには、「争点を広げたくないから、認否に応じない」とまで述べている始末です。
しかし、契約については実際には年間1億円以上をみなかみ町は業務委託先に支払っており、また協定書については、民間では覚書などとともに「契約書」と同じ扱いにしているのが一般的な常識です。
原告の当会会員は、訴状を2019年10月20日付で提出し、裁判所の補正命令により、訴状訂正申立書を同11月22日付で提出しました。以来、4か月半経過して、このレベルの答弁しかできないのは、いかがなものでしょうか。
■いずれにしても、3月11日(水)13時10分から前橋地裁2階21号法廷で開かれる第2回口頭弁論における裁判長の指揮が注目されます。
【3月10日追記】
みなかみ町の当会会員によると、3月9日18時48分に、前橋地方裁判所民事から次の内容のFAXが入ったと連絡がありました。
電話連絡によると「新型コロナウイルスの影響で裁判がドタキャンになったらしい」とのことでしたが、裁判所から送られてきたFAXをよく読むと、被告みなかみ町の事情を裁判所が斟酌したような経緯が見て取れる気がいたします。
*****事務連絡*****ZIP ⇒ 20200309ona.zip
事件番号 令和元年(行ウ)第20号 RDF違法事業費用損害賠償請求亭件
原告 鉛木章二
被告 みなかみ町長 鬼頭春二
事務連絡(ファクシミリ用)
令和2年3月9日
原告 鈴木章二 様(FAX0278-64-0753)
被告代理人 川住岳央 様(FAX027-219-0210)
〒37l-8531 前橋市大手町3-1-34
前摘地方裁判所民事第1部合議係
裁判所書記官 森 山 ひ と み
電話 027-231--4275(内線)320
FAX 027-233-0901
頭客の事件につき,口頭弁論期日(令和2年3月11日午前10時00分)の変更に伴い, 次回期日の照会をさせていただきます。お手数ですが, 下記のきじつのうちご都合の悪い日時を二重線で抹消していただき,当職まで御連絡下さいますようお願い致します。(ファクシミリ可。送信票不要)
なお,裁判官の指示による次回までの準備事項は以下のとおりです:
【原告】
監査請求期間に係る本件訴えの適法性について検討すること。
【被告】
1 本件のRDF事棠に係る事実経緯を時系列に沿つて具体的に説明する準備書面及び証拠を提出すること(時系列表の使用も検討されたい。)
2 監査請求期間に係る本件訴えの適法性について検討すること。
(提出期限;4月27日)
(本書を含め1枚送信)
----------------------------------------------------------------------------------------------
(切り取らない)
回 答 書
回答日 令和 年 月 日 原告・被告 代理人
(口頭弁論,21号法廷)
5月20日(水)10:00 10:30 13:10
5月27日(水)10:00 10:30 13:10
6月10日(水)10:00 10:30 13:10
6月17日(木)10:00 10:30 13:10
その他希望の日時があれば余白に複数お書きください。
以 上
**********
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
コロナウィルスを理由にしるようですが、今日死刑判決が出たやまゆり園事件や愛知県で実の娘に性的暴行を加えた事件は普通に裁判をやっているので、ドタキャンをする自体前橋地方裁判所が異常に見えてしまいます。
強引にみなかみ町有利にされないか心配です。
曰く付きのこのRDF問題は、元町長の町政を刷新しようと出馬して当選した前町長が、是々非々でこの事業に対処したため、危機感をもった元町長派が地域おこし協力隊の女性職員を使ってハニートラップをしかけ、警察も検察も地元マスコミも、そして裁判所も加担して前町長をひきずりおろした経緯と密接に関係しています。(結局、首尾よく前町長を辞任に追い込んだため、女性職員側は訴えを取り下げたのに、なぜかマスコミは前町長が和解に応じたと報じました)
今回、当会会員が、一時闇に葬られかけていたRDF問題を白日のもとに晒したことで、元町長派の現町長(かつて元町長時代の副町長)が訴えられたため、再び裁判所に対するバイアスがかかっていると、当会ではこのドタキャンの真相を分析しております。
市民オンブズマン群馬事務局より