市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大間々町13区長不正会計裁判で住民に和解を勧め区長続投を招いた弁護士の懲戒を求め日弁連に異議申出

2013-07-04 23:20:00 | 不良弁護士問題
■平成24年8月18日の市民オンブズマン群馬の例会の席上、地元住民から相談のあった大間々町(現・みどり市)13区を巡る不正会計事件に関しは、不正会計をして補助金等を不正に使い込んでいた区長らが、不正会計を追及する住民らを相手取り、事実無根のチラシを配布されたことにより名誉を棄損されたとして損害賠償請求を提起しましたが、裁判の過程で、地元住民らが苦労して集めた証拠から、区長らの不正会計が裏付けられ、裁判所もそのことを認めました。ところが、裁判での形勢不利と感じたのか、区長らが訴訟代理人として訴訟委任をした群馬弁護士会所属の弁護士から、住民らが訴訟代理人として委任した同じく群馬弁護士会所属の弁護士に和解の打診があり、同弁護士から住民に「不正会計も認められたので、区長はやめるだろうから」と説得がありました。

日弁連が14階以上に陣取る弁護士会館の正面玄関。異議申出書受付は15階。

 住民らは13区の不正会計の事実が明らかになったことから、「もし一審の地裁で敗訴しても東京高裁で決着を付けよう」と決意していましたが、法律の専門家として全幅の信頼を置いていた同弁護士は住民らに対して「不正会計が明らかになっても高裁で勝訴できる保証はない」などと言って不安をあおりました。そのため住民らは信頼する弁護士がそれほど言うのであれば、として和解に応じました。

 ところが和解後、住民らは裁判の経過報告をチラシで一部の関係者に配布したところ、区長側は訴訟委任した弁護士を通じて、「住民らは和解条項を無視して、不正会計を蒸し返している」と抗議文を住民側弁護士に送りつけました。住民側の弁護士は、チラシは和解前に作成したので和解条項に違反する行為はないと区長側弁護士に書面で回答しましたが、これを契機に、不正会計をしていた区長が引続き区長の座にとどまり、裁判で和解したはずの住民らを村八分にする暴挙にでました。

 そのため、せっかく長い時間と費用をかけて、信頼の置ける弁護士に訴訟委任をしたのに、安易に和解をしたせいで、結局元の木阿弥となった責任を問う為に、市民オンブズマン群馬では、群馬弁護士会に対して平成24年8月20日付で同弁護士の懲戒請求書を提出しました。

 その後8ヶ月以上経過した挙句、平成25年5月9日に群馬弁護士会から同8日の消印のある配達証明郵便が届きました。その内容は「当該弁護士の懲戒はしない」旨の決定通知だったのでした。市民オンブズマン群馬では、結果に不服があるとして、2ヶ月間の期限到来前の7月4日に、日弁連に次の内容の異議申出を提出しました。

弁護士会館脇の案内板。

**********
〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関1-1-3
日本弁護士連合会 御中
電話番号 03-3580-9841 FAX番号 03-2580-2868
          異 議 申 出 書
                    平成25年7月4日
異議申立人  〒379-0114  群馬県安中市野殿980番地
              小川 賢 (61歳) 印
              電話027-382-0468  FAX 027-381-0364
■懲戒の請求をした弁護士の氏名及び所属弁護士会
            群馬県高崎市東町172番地16 共済会館3階
            高崎合同法律事務所
             対象弁護士  廣 田 繁 雄
                     (登録番号12845)
■弁護士会から、懲戒の処分をした旨の通知を受けた年月日  平成25年5月9日
■弁護士会からの異議申出ができる旨の教示の有無及びその内容  平成25年5月8日付け群馬弁護士会からの「懲戒請求事案の決定について(通知)」と題する書面で、「懲戒請求者は、この決定について不服があるときは、弁護士法第64条の規定により、日本弁護士連合会に異議を申し出ることができます。なお、異議の申出は、この通知を受けた日の翌日から起算して60日以内に、書面によってしなければなりません(郵便又は新処分に当たらない宅配便、メール便、ゆうパックなどの場合、送付に要した日数は参入されます。)」との教示有り。
■異議申出の年月日  平成25年7月4日
■異議申出の趣旨  群馬弁護士会の決定の取消を求める。
■異議申出の理由  次のとおり。

1.群馬弁護士会・綱紀委員会の公平・公正・透明性の疑義
(1) 群馬弁護士会の決定書の主文には「対象弁護士を懲戒しない」とあり、その理由として、綱紀委員会の議決書に「主文 対象弁護士につき,懲戒委員会に事実の審査を求めないことを相当とする。」と記されているため、としている。
(2) この議決書は、平成25年4月25日付となっていて、署名者は「群馬弁護士会綱紀委員会 委員長職務代行副委員長 山田謙治」となっている。なぜ綱紀委員長の金井厚二ではなく、委員長職務代行副委員長の名前なのか、不可思議である。
(3) 異議申立人は、本懲戒請求事案について、平成24年8月20日付で対象弁護士の懲戒請求書を群馬弁護士会に提出した。その後、同会綱紀委員会の金井厚二委員長に対して、平成24年10月31日付で第1回目の陳述書を、同12月12日付で第2回目の陳述書を提出した。
(4) さらに異議申立人は、平成25年1月15日付で綱紀委員会委員長から調査期日の決定通知の指示にしたがって、平成25年2月20日(水)午後3時から、前橋市大手町3-6-6-にある群馬弁護士会館2階の小会議室で開かれた調査期日に、対象弁護士によって信頼関係を毀損された住民Mを伴い出席した。調査期日では、金井厚二・綱紀委員長ほか、男性1名、女性1名の委員の計3名の弁護士(綱紀委員会のメンバーから自己紹介はなくメンバー間のやり取りで中央に座っていた人物が金井委員長であることがうかがえたが、右手の男性、左手の女性メンバーの氏名は不詳)の前で、異議申立人及び住民Mの二人は午後5時過ぎまで、懲戒請求事案について詳細に事情を説明し、委員らの質問に誠実に回答した。
(5) その際、金井厚二・綱紀委員長と男性1名の委員は、あまり突っ込んだ質問をしてこなかったが、女性1名の委員は、異議申立人及び住民Mの説明をきいて、「裁判で相手方の不正会計が立証されたにもかかわらず、なぜ対象弁護士は反訴などの手段を講じて、依頼人である住民Mら3名の防御をしなかったのか?」と率直な感想を述べたりした。
(6) 異議申立人は、こうした見解を綱紀委員会の委員が持っているのであれば、なんらかの懲戒処分が下されるものと考えていた。ところが、前述のとおり、平成25年4月25日付の「主文 対象弁護士につき,懲戒委員会に事実の審査を求めないことを相当とする。」と記された署名者「群馬弁護士会綱紀委員会 委員長職務代行副委員長 山田謙治」による議決書をよりどころに、群馬弁護士会の小磯正康・会長名で「懲戒請求事案の決定通知」として「対象弁護士を懲戒しない」と通知された。なぜ、8ヵ月半もかけて懲戒委員会で調査をした結果が「懲戒しない」という結論なのか、異議申立人は決定通知結果を受け取ってから暫く理解に苦しんだ。
(7) その後、調べてみたところ、綱紀委員会の議決書が金井厚二・綱紀委員長名でなく、委員長代行副委員長名で出された背景について重大な事実が判明した。それは、対象弁護士と金井厚二・綱紀委員長が同じ法律事務所に所属してることが分かったためである。
(8) 異議申立人が調べたところによれば、高崎合同法律事務所には、次の4名の弁護士が所属している。
 ・金井厚二(男性):登録年度 不詳、登録番号10793
 ・廣田繁雄(男性):登録年度 不詳、登録番号12845
 ・山浦誠治(男性):登録年度2009年、登録番号39987
 ・稲富 彬(男性):登録年度 不詳、登録番号48060
(9) 金井・廣田両名の登録年度は不詳だが、登録番号から金井が僅かに先輩で、廣田が後輩であることが想像できる。このように両名は同じ法律事務所で業務を分け合っていることから、当然、仲間意識を有していると見るべきであり、そのことが、綱紀委員会で8ヶ月もの間、調査に時間を浪費した要因であると見られ、調査期日でも綱紀委員長としてあまり熱心さが見られない態度を金井が取った要因であると見られる。
(10) よって、群馬弁護士会と綱紀委員会において、本当に公正、公平、透明な審査が行われたのか異議申立人として疑念を持たざるを得ない。よって、本件の異議申立により、公平、公正、透明な審査を日弁連の場で行なって頂きたい。

弁護士会館のあたりはその昔大岡越前の屋敷があったという。

2.議決書の内容に関する異議
 分かりやすいように項目ごとに次の色分けでまとめた。
  黒字部分:議決書の内容(但し下線部、太字部は異議申立人が追記。)
  青字部分:対象弁護士の弁明
  赤字部分:異議申立人の不服内容

第1 懲戒請求事由の要旨
1 みどり市大間々町13区の区長KT及び前区長KMは,群馬県みどり市大間々町第13区の運営を巡る文書配布で名誉を傷つけられたとして,同文書配布に関わった同区民の住民K,住民H,住民Mの3名を被告として前橋地方裁判所桐生支部に謝罪広告等請求事件〔平成19年(ワ)第113号〕を提起し,被告に対し上毛新聞,桐生タイムス等への謝罪広告掲載と各金100万円の損害賠償を求めた。
  この訴訟の被告ら代理人として,対象弁護士が就任した。
【対象弁護士の弁明】1 懲戒請求事由1は認める。
2 本件訴訟は,平成22年4月23日,約3年近い歳月を経過して,要旨以下の和解が成立した。
  当事者ら双方は,13区の過去の会計において一部適切でない慣行及び会計処理があったことを共通の前提として,以下のとおり合意をする。
 (1)被告らは,原告らに対し,相当でない表現を用いて原告らの名誉を毀損する内容を含む文書等を作成,配布したことにつき陳謝する。
 (2)当事者ら双方は,爾後,13区の運営がより民主的かつ適切にされるよう相互に協力し,互いの名誉を毀損するような言動をしないことを相互に約束する。
 【対象弁護士の弁明】2 同事由2は認める

3 被告らが上記和解に踏み切ったのは,対象弁護士の以下3点の説明と説得があったからである。
 【対象弁護士の弁明】3 同事由3について (1)本文については,被告らが和解した動機の中には対象弁護士の説得,説明以外に裁判官の説得等も含め,他の要因もあった。
 【異議申立人の不服内容】(1)“他の要因もあつた”という対象弁護士の弁明の意味の解釈が出来ない。なぜなら、裁判で、原告区長KTらの不正会計=横領行為が判明していたから、被告側には“折れて和解に応じる”必要はなかったためである。にもかかわらず和解の動機として、それ以外の要因としてなにがあったというのか。もし他の原因があったのであれば、対象弁護士に訴訟委任をした被告らは対象弁護士から“それ以外の原因”についてしかるべき説明を受けたはずである。従って、この期に及んで対象弁護士から“他の要因”と弁明されても被告住民Mらは「何のことか解からない」と対象弁護士に対する不信感を一層深めている。
 (1)区長側より裁判を和解に持ち込めないかとの説明を受けたこと。
 【対象弁護士の弁明】(2)同(1)は不知。
 【異議申立人の不服内容】(2)被告の一人の住民Mは「(対象弁護士である)廣田弁護士が、(住民Mの経営する)株式会社Mファッションの工場の裏にある当時の出荷場に訪ねて来て、『(原告)区長側の弁護士より“和解に持ち込めないか”と言われたが』と言ってきたので、(住民Mは)『先生、何を言い出すのですか。裁判官も“区長等は不正会計がある”と円卓裁判室で言っているのに』と怒り、『東京高裁に控訴してもよい』と言うと、(廣田弁護士から)『区長に不正会計があったからといって、法律的には敗訴するとは限らない』と言われたので、私(=住民M)は大変なショックと恐怖と衝撃を受けた」と証言している。従って、対象弁護士がこのことを「不知」だと弁明することはできない。
 (2)裁判官から,区長らは悪いことをしたことはわかっているが,前向きに建設的な気持ちになりなさいと諭されたこと。
 【対象弁護士の弁明】(3)同(2)は概ね認める。
 【異議申立人の不服内容】(2)裁判官の説明は事実である。被告の一人の住民Mは「縦2センチ、横10センチの用紙に“不正会計が有る”と書かれた文書を裁判官から頂いた。協力者(被告の一人の住民K〔元市議(その後、物故)〕の支援者で原告区長の不正会計の責任を追及してきた住民らのこと)にも見せている」と明言している。にもかかわらず、対象弁護士が「“概ね”認める」と曖昧な弁明をする必要はないはず。対象弁護士は明確に「認める」と弁明すればよいはず。
 (3)対象弁護士からは,区長側が不適切な会計を認めたのだから辞任するでしょうからとの説明を受けたこと。
 【対象弁護士の弁明】 (4)同(3)のうち,区長側が不適切な会計を認めたことは認めるが,「辞任するでしょうから」との説明は,見通しを述べたものであって断定的なものとして述べたものではない。
  なお,区長の辞任自体が和解の成否を決定付けた重大事ではない。

 【異議申立人の不服内容】(4)被告らが訴訟委任をした対象弁護士が「“辞任するでしょうから”との説明は、見通しを述べた」だけとは、依頼者である住民Mら被告が信頼して訴訟を委任した弁護士が、後出しで話す言葉とは到底思われない。懲戒請求を受けて、苦し紛れに発した言葉かもしれないが、依頼人の信頼を裏切った言葉である。このような言葉が一層弁護士への不信感を助長させる。訴訟委任をした被告らは、裁判の過程で、すでに区長の横領したことが判明しているのだから、対象弁護士から「辞任するでしょうから」と説明を受ければ、見通しなどとは思わず、弁護士の断定的な判断だと信じるであろう。対象弁護士はまた「区長の辞任自体が和解の成否を決定付けた重大事ではない」などと、責任を回避する釈明の言葉を発している。民主的な区の運営の実現は、横領した区長は辞任しないかぎり、果たせないことは弁護士であれば直ちに理解できるはず。
4 被告らは,上記3点の説明を受けたことから,対象弁護士からの説得を受けてその言葉を信じ,その説得に応じて和解に踏み切った。
 【対象弁護士の弁明】4 同事由4は否認する。
  和解は,被告らと対象弁護士が協議した結果,成立したものであって,対象弁護士の言葉を信じ,説得に応じて和解に踏み切ったという経過ではない。
 【異議申立人の不服内容】4 区長は、裁判官からも不正会計と判断されており、その結果、罪を認めた原告区長に対して、和解案が裁判所から勧められた。それを受けて、被告らと対象弁護士が協議した際、和解条件として、被告の一人の住民Hが「原告区長が退任をして、今後民主主義的運営が出来るようになること」を2度ほど求めたが、対象弁護士は返事をしなかった。そのかわりに対象弁護士は「区長は責任を取るだろうから和解をしてもよいのでは」と言った。そして「控訴しても、不正会計をした区長が法的に敗訴するとは限らない」と、対象弁護士が言った。そのため、住民Mは「もしも我々が敗訴になったら」と不安を抱き、和解をするのもやむをえないと考えるようになり、躊躇し悩んだ末に対象弁護士が示した和解という選択をしてもよいという気持ちになった。それもこれも、信頼していた対象弁護士の言うことを信じざるを得ない状況が背景にあったからである。
5 平成22年5月22日付桐生タイムスに和解内容が報じられたが,原告の区長KTは,和解条項を無視して,「桐生タイムスの裁判記事記載は間違いであるから,被告住民Kらは13区を乱した罪として13区から出ていけ。」と述べて区費の徴収を拒否したり,被告らや被告らに賛同した区民に対して13区の役職を強制的に降ろしたり,中傷したりして非情な仕打ちをした。
  被告らは,村八分にされているが,これも対象弁護士の和解の説明の言葉と説得を信用したからである。
 【対象弁護士の弁明】5 同事由5は概ね認めるが,対象弁護士の和解の言葉を信頼したためという点は否認する。
  原告らの裁判後の行動は,被告らはもとより対象弁護士の予想外の行動であり,対象弁護士の責任に帰することはできない。

 【異議申立人の不服内容】5 対象弁護士に訴訟委任をした被告らは、「何も法律知らないから当方の弁護士を信頼してお任せしたのです」と述べている。裁判の過程で、和解に踏み切るかどうか判断に迷い、他の弁護士2名(前橋市の池田昭男、及び、桐生合同法律事務所の春山典勇(のりお))に都合30回も相談したが、「原告による公金の不正会計が判明しているのだから、和解する必要のない問題だ」と言われた。それでもなお、和解に踏み切ったのは信頼を置いていた対象弁護士の和解の言葉と説得のほうを重視したからだ。
6 被告らは,事態の終息のため,原告らに和解条項を遵守させるための方策として,区民に和解の状況や経過を説明するよう対象弁護士に求めたが,全く反応しない。
 【対象弁護士の弁明】6 同事由6は否認する。
  対象弁護士は,被告らから,事態終息のため,和解の経過を区民に説明する協力要請に全く反応していないわけではない。被告住民Mから和解成立後の経過を地元関係者に直接説明に出向くよう求められ,①日時,場所を設定すれば出向いていく,②対象弁護士の事務所に来所してもらい,同所で説明してもよい旨回答したが,被告住民Mからは,①についての要請もなく,②の打診もなかった。

 【異議申立人の不服内容】6 被告らは夫々の仕事の都合で時間の調整がつかなかったため、被告らの代表として住民Mが前橋市大手町にある群馬弁護士会館を平成24年7月31日に訪れ、対象弁護士に会って、区の情況を説明した。その際、住民Mは対象弁護士に「(被告の)区長KTは区長を辞めないでいます」と言うと、対象弁護士は「まだ辞めないのか!」と大声を上げた。そして対象弁護士は「事務所に行って調べる」と言い、去っていた。住民Mは、その大声に何か言い知れない不信感を持ったので、翌日FAXで高崎合同法律事務所に「自分で調べる」旨のメッセージを送信した。その後住民Mは、市民オンブズマン群馬の事務所の場所を調べて、平成24年8月18日のオンブズマンの例会に参加し本件について発表し協力要請があったため、満場一致で、本件について住民Mらを支援することが承認された。
7 対象弁護士の和解に至る行為や和解後の対応は,弁護士法第1条2項の誠実に職務を行う義務に違反し,弁護士法第56条の懲戒処分に該当する。
  なお,懲戒請求人は,市民オンブズマン群馬の代表者であるが,平成24年8月18日の開会の例会に被告住民Mが出席して相談を受けたことから,本懲戒請求者となったものである。
 【対象弁護士の弁明】7 同事由7は否認する。
  対象弁護士は,「和解に至る行為」の説明と説得は,和解条項記載のとおり13区の運営がより民主的,かつ適切になされるよう前向きに建設的に考えたほうが望ましいと判断し,被告らにもその旨説明して説得し,被告らもこれを承諾して和解したものであって,これは和解手続における通常の方法であり,被告らの意思に反して和解を進めたということは全くなかった。
  また,被告らから裁判所の判決がほしいという要望もなかった。
  よって,対象弁護士は,懲戒に相当するような行為は何等していない。
  なお,本件懲戒請求は,訴訟当事者とは直接関係のない立場の者による請求である。

 【異議申立人の不服内容】7 対象弁護士は、対象弁護士に訴訟委任をした被告らから「裁判所の判決がほしいという要望もなかった」と言うが、被告の一人である住民Hは、2回も区長の退任について対象弁護士に訴えた。被告らは、区長退任が前提ではなく、単なる和解のみであれば、絶対に和解案など聞き入れることはなかった。それを動かしたのは、「区長らは辞任するでしょう」という対象弁護士の言葉を信頼したためであった。対象弁護士は「なお,本件懲戒請求は,訴訟当事者とは直接関係のない立場の者による請求である。」と釈明するが、弁護士法58条によれば、弁護士等に対する懲戒の請求は、事件の依頼者や相手方などの関係者に限らず誰でもでき、その弁護士等の所属弁護士会に請求すればよいとなっており、対象弁護士の釈明は失当である。

第3 証拠
1 書証
 (1)懲戒請求者
   甲第1号証  第27回口頭弁論調書(和解)(前橋地方裁判所桐生支部平成19年第113号)
   甲第2号証  桐生タイムス(平成22年5月25日付)
   甲第3号証  書簡(平成24年3月10日付)
   甲第4号証  FAX通信表(平成24年10月14日付)
   甲第5号証  証明書
   甲第6号証  請求書
   甲第7号証  訴状(前橋地方裁判所桐生支部平成19年(ワ)第113号)
   甲第8号証  答弁書(同上事件)
   甲第9号証  被告準備書面(1)(同上事件)
   甲第10号証 平成25年2月20日調査期日用資料
   甲第11号証 平成25年2月20日調査期日用資料
   甲第12号証 平成14年度の金銭出納頓と一般会計簿の比較
   甲第13号証 平成15年度の金銭出納頓と一般会計簿の比較
   甲第14号証 金銭出納帳と一般会計簿の比較
   甲第15号証 繰越金について
 (2)対象弁護士
   乙第1号証の1 「広田弁護士様」ではじまる書面(平成24年4月頃付)
        の2 「広田弁護士様」ではじまる書面(平成24年4月23日付)
   乙第2号証の1 「御通知」なるFAX文書(平成22年6月24日付)
        の2 「みどり市第13区の不正会計疑惑…」で始まる書面
        の3 「第1回報告書補正板」で始まる書面
        の4 「大間々町第13区の皆様へ」ではじまる書面
   乙第3号証   回答書
2 人証
  懲戒請求者,住民M
第4 当委員会が認定した事実及び判断
1 当委員会の認定した事実
 (1)原告区長KT外1名は,平成19年8月19日,住民K,住民H,住民Mの3名を被告として謝罪広告等請求事件を前橋地方裁判所桐生支部に提訴した。
   請求の内容は,①桐生タイムス外2紙に謝罪広告を掲載すること,②被告らは連帯して,原告らに対し,各100万円を支払えというものである。
   被告らは,訴訟代理人として対象弁護士に委任した。
 (2)同訴訟における原告らの主張は,被告らが虚偽であることを知りながら,原告らが区費の不正処理をして横領,着服,または濫用した旨公言して,原告らの名誉を毀損し,原告らに対する区民らの信頼を損ねたということで,謝罪広告と損害賠償を求めたものである。
 (3)本件訴訟は,平成22年4月23日付で被告住民H,同住民M同席のうえ和解が成立し,その内容は,群馬県みどり市大間々町第13区の過去の会計において,一部適切でない慣行及び会計処理があったことを当事者ら双方の共通の前提として,①被告らは,原告に対し,相当でない表現を用いて原告らの名誉を毀損する内容を含む文書を作成,配布したことにつき謝罪する,②当事者ら双方は,今後13区の運営がより民主的,かつ適切にされるよう協力し,互いの名誉を毀損しないことを約束するというものであった。
 (4)この和解は,平成22年5月23目付桐生タイムス夕刊で報道され,見出しに「大間々13区訴訟が和解 名誉傷つけて陳謝一区民側 不適切会計認める一区長側」と掲載された。
 (5)和解成立後の平成22年6月24日,原告ら代理人から被告ら代理人の対象弁護士に対して通知書が届き,被告住民M及び同住民Hが和解内容を独自に解釈し,原告らの名誉を毀損する内容を含むビラの配布を繰り返しているので,そのような行為は控えるよう申し入れがあった。
  これに対し,被告ら代理人の対象弁護士は,同年7月23日付回答書で,原告ら代理人の申し入れに添付された文書は名誉を毀損するものではないこと,和解前に配布した文書であること等を回答している。
 【異議申立人の不服内容】被告の一人の住民Mによれば、「(被告ら代理人の対象弁護士の)廣田弁護士は『原告区長ら代理人弁護士の申し入れに添付された文書は、和解前に配布した文書テである等を回答している。』とあるが、これは間違いである。実際には、和解後に配布した文書であり、住民K市会議員の支援者が、不正会計の追及に関心のある住民らを対象に、裁判の経過を説明する為の報告書として30枚配布したものである」とのことだ。対象弁護士は、同じく群馬弁護士会所属の原告代理人の弁護士から、そのようないいがかりを付けられて、「“和解前に配布した文書だ”から名誉毀損ではない」とあたかも被告らの立場に立ったような弁明をしている。実際には“和解後に配布した文書”であり、裁判経過報告なのだから、原告代理人の弁護士らにつべこべ言われるスジ合いのものではないはず。それを“和解前に配布した文書”だとして、事実でない理由で穏便にしてしまったことで、原告らは裁判所の和解条項を無視してもかまわないと考えた可能性がある。原告代理人弁護士らに対して、正しく“和解後に配布した裁判経過報告の文書だ”と説明していれば、原告側も、変な言いがかりをつけることができないと判断したかもしれないし、あるいは、和解条項を無視したとして再度名誉毀損で訴訟をしかけてきたかもしれない。原告代理人がこのように和解後も原告区長の要請で、被告側に対して積極的に行動しているのに比べると、被告代理人である対象弁護士の和解後の消極性が一層際立っている。
 (6)その後,平成24年4月10日,被告住民Mから対象弁護士に対し,区長らが区民に対して和解の意味を誤解した伝え方をしているので,和解の伏況と経過を区民に説明してほしい旨の通知があった。
  対象弁護士は,区民に対し,説明に出向いていくことや対象弁護士の事務所を訪問されてもよい旨を回答していた。
  しかし,被告らから具体的な要望はなかった。
 (7)平成24年8月18日,被告住民Mは,懲戒請求人小川賢の代表する市民オンブズマン群馬の例会に出席して,同人に相談した結果,平成24年9月7日,同人が本懲戒請求を申し立てた。
2 当委員会の判断
(1)まず,対象弁護士から和解の成立する過程で対象弁護士に弁護士法違反の事由があるかであるが,この点については,弁護士職務基本規程第36条に定める(本件処理の報告及び協議)義務に関する問題がある。
  懲戒請求者は,被告らが本件訴訟の和解成立を決断するに至った動機として,対象弁護士の次の点についての説明と説得が和解の決め手となったと主張する。これが決め手となったとして対象弁護士の説明,説得が同規定に反するかについて判断すると,対象弁護士は,次の三点すなわち,
 ①「区長側からこの裁判を和解に持ち込めないかとの説明があった」との主張については認定はできない。
 ②裁判官から「区長側は悪いことをしたことはわかっているが,前向きに建設的になりなさいと諭された」との主張については認定でき,対象弁護士も裁判官が不適切な会計の存在を認識していると説明したものである。
 ③対象弁護士から,区長側は不適切な会計を認めているのだから「辞任するでしょうから。」との説明があったことは認められる。一方,区長の辞任が和解の成否を決定づける事項となっていなかったことも認められる。対象弁護士の上記発言は,希望的な見通しを述べたものであって,断定的に述べたものとは認められない。
  そして,和解後に原告区長KTが区長を辞任しなかったことは,前記希望的な見通しが違っていたこともあったが,和解の中で区長が辞任する旨の約束も取り付けられていない以上,和解成立後の区長らの動向は,和解の条項に違反することでもない。  こうしてみると,対象弁護士の上記三点に関する説明と説得が決め手となったとは言い切れず,また,仮に被告らが対象弁護士の言葉を信頼して和解に踏み切ったとしても,被告住民H,同住民M同席のうえで,被告らの判断で和解を成立させたものであったから,対象弁護士に弁護士職務基本規定第36条の違反は認められない。
 【異議申立人の不服内容】綱紀委員会は、対象弁護士の釈明に重点を置いて判断している。
 ①「区長側からこの裁判を和解に持ち込めないかとの説明があった」との主張については認定はできない。―――とする委員会の判断は、事実を無視したものである。実際に、公金の不正会計が明らかになったため、勝ち目がなくなった区長側から、対象弁護士に対して和解の打診があった。被告の一人の住民Mは、対象弁護士が住民Mの経営する株式会社Mファッションの工場兼出荷場(当時)にやってきて、「区長側弁護士から和解に持ち込めないかと言われているが」と対象弁護士に言われた。その際、住民Mは「不正会計が判明していることを裁判官が言ったのだから、なぜ和解に応じる必要があるのか。それなのに、和解をしろ、と言うなら、東京高裁で判決をもらっても良い」と対象弁護士に言った。すると対象弁護士は「だけども法律的には勝訴するとは、限らない」と不安をあおる事を住民Mに言った。住民Mはこのことを他の被告らや賛同する住民らにも直後に伝えた。本来であれば、依頼人の意向に沿って、不正会計の事実を原告に突きつけて反訴などの防御方法もあったのに、対象弁護士はそうしようとせずに、逆に訴訟委任をした法律知識の乏しい依頼人に対して、法律の専門家であること武器に、被告にとって勝訴或いは敗訴(この場合には東京高裁へ控訴)となるべき判決を回避して和解の方向に誘導したのである。
 ③対象弁護士から,区長側は不適切な会計を認めているのだから「辞任するでしょうから。」との説明があったことは認められる。一方,区長の辞任が和解の成否を決定づける事項となっていなかったことも認められる。対象弁護士の上記発言は,希望的な見通しを述べたものであって,断定的に述べたものとは認められない。そして,和解後に原告区長KTが区長を辞任しなかったことは,前記希望的な見通しが違っていたこともあったが,和解の中で区長が辞任する旨の約束も取り付けられていない以上,和解成立後の区長らの動向は,和解の条項に違反することでもないこうしてみると,対象弁護士の上記三点に関する説明と説得が決め手となったとは言い切れず,また,仮に被告らが対象弁護士の言葉を信頼して和解に踏み切ったとしても,被告住民H,同住民M同席のうえで,被告らの判断で和解を成立させたものであったから,対象弁護士に弁護士職務基本規定第36条の違反は認められない。―――とする委員会の判断は、到底容認できない。「希望的な見通が違っていた」などと、事後の懲戒請求を受けて、いくら苦し紛れで後付けで発せられたとしても、法律の専門家からそのような事を言われたら、法律の専門家ではない一般人はいったい誰を信じ対価を支払って訴訟委任したらよいのか。法律の専門家たる弁護士はいったいどこまで責任をもって親身になって訴訟委任をする依頼人の面倒をみてくれるのか。それが、被告弁護士、原告弁護士、そして裁判官との間の司法試験合格者の間の司直関係者の間で和解ありきのかたちで幕引きが行われ、和解だから横領による刑事罰は免罪となったなどとして、一方が(今回は原告)が和解をないがしろにしてしまえば、それにより大変な思いを強いられて苦しむのはもう一方(今回は被告)である。これでは、長い期間かけて法廷で争った時間も、そのために訴訟委任をした弁護士への着手金や報酬金、さらに証拠集めの費用等に投じられたカネも、無意味なものになってしまう。
 また、「和解成立後の区長らの動向は、和解の条項に違反することでもない」としているが、民主主義とは自己責任を取ることである。いくら綱紀委員会の委員長が対象弁護士と同じ事務所に所属しているからといって、このようないい加減な解釈を記した綱紀委員会の議決署を群馬弁護士会として追認してよいのか。原告の不正会計を前提に、せっかく本件を“まあるい”言葉で納めた裁判所と名裁判官にたいして、侮辱するものである。もちろん、対象弁護士を信頼して費用と時間を費やした被告らに対しても、重大な背任の言葉であることはいうまでもない。
 さらに、「被告同席のうえで」だから訴訟委任をした依頼人側にも自己責任があると言わんばかりの説明は如何なものか。法律の専門家ではない一般人は、法律の専門家であるはずの弁護士の言葉を信じて、それに従うのが通常ではないか。

(2)次に,和解後の対象弁護士の対応については,民法第645条に委任中に処理の状況を報告し,委任終了後に遅延なくその経過及び結果を報告する義務を負い,弁護士職務規程第44条において(処理結果説明)義務があるところ,和解成立後の平成22年6月24日,原告ら代理人から対象弁護士に通知書が届き,被告住民M及び同住民Hが和解内容を独自に解釈して原告らの名誉を毀損する内容のビラの配布を繰り返しているので,差し控えるよう相手方に働きかけてほしい旨申し入れがあった。
  これに対し,対象弁護士が上記処理結果説明義務として対応する義務は存在しないと認められるが,対象弁護士は,同年7月23日付回答書で原告ら代理人の申し入れに添付された文書は,原告らの名誉を毀損するものではないこと,同文書は和解前に配布した文書である旨回答している。
  また,被告らからの説明に来てほしい旨の連絡に対しても連絡があればいつでも被告ら方に出向いて説明すること,また,対象弁護士事務所を来訪してもらい説明するのでもよい旨回答しており,被告らからは,これに対する要望は特になかったのであるが,この点も対象弁護士の上記処理結果説明義務として対応する義務はないと認められ,対象弁護士に同規定に違反する行為はない。
 以上からすると,対象弁護士に弁護士法第56条1項の非行があったとはいえない。
【異議申立人の不服内容】異議申出書の7ページから8ページにかけて述べたとおり、被告の一人の住民Mによれば、「(被告ら代理人の対象弁護士の)廣田弁護士は『原告区長ら代理人弁護士の申し入れに添付された文書は、和解前に配布した文書テである等を回答している。』とあるが、これは間違いである。実際には、和解後に配布した文書であり、住民K市会議員の支援者が、不正会計の追及に関心のある住民らを対象に、裁判の経過を説明する為の報告書として30枚配布したものである」とのことだ。対象弁護士は、同じく群馬弁護士会所属の原告代理人の弁護士から、そのようないいがかりを付けられて、「“和解前に配布した文書だ”から名誉毀損ではない」とあたかも被告らの立場に立ったような弁明をしている。実際には“和解後に配布した文書”であり、裁判経過報告なのだから、原告代理人の弁護士らにつべこべ言われるスジ合いのものではないはず。それを“和解前に配布した文書”だとして、事実でない理由で穏便にしてしまったことで、原告らは裁判所の和解条項を無視してもかまわないと考えた可能性がある。原告代理人弁護士らに対して、正しく“和解後に配布した裁判経過報告の文書だ”と説明していれば、原告側も、変な言いがかりをつけることができないと判断したかもしれないし、あるいは、和解条項を無視したとして再度名誉毀損で訴訟をしかけてきたかもしれない。原告代理人がこのように和解後も原告区長の要請で、被告側に対して積極的に行動しているのに比べると、被告代理人である対象弁護士の和解後の消極性が一層際立っている。
 議決書では「また,対象弁護士事務所を来訪してもらい説明するのでもよい旨回答しており,被告らからは,これに対する要望は特になかったのであるが,この点も対象弁護士の上記処理結果説明義務として対応する義務はないと認められ,対象弁護士に同規定に違反する行為はない」としているが、もともと被告らが信頼を置いていた対象弁護士に、和解後も和解条項を遵守しない原告について縷々報告や対応策の相談をしても、対象弁護士の腰は重く、いくら依頼しても埒があかないのでは不信が募るのは当然である。そうした事態を裂けるためにも、対象弁護士は、和解条項の遵守をきちんと能動的に相手側に働きかけて和解条項の実現まできちんとフォローすべきである。和解で一件落着したとして、着手金や関連経費の支払いを依頼人から受けたら(今回、対象弁護士は、報酬金は受け取っていないと言っている)、あとは野となれ山となれでは、訴訟委任をした依頼人は浮かばれない。


弁護士会館脇の広場にある無題のモニュメント。

3.弁護士法違反
 以上の通り、対象弁護士は、不正会計について裁判所が認めており、そのことについて反訴をすれば被告側が勝訴した可能性もあったのに、それを怠り、原告側代理人弁護士の和解の持ちかけに安易にすがり、もともと和解条項での決着を好む裁判所や裁判官の性向に迎合し、和解後も、積極的に攻めてきた原告代理人弁護士と比べ、反訴も辞さぬ覚悟も示さず消極的な対応に終始した結果、不正会計を働いた張本人が引き続き区長の座にのさばり、和解条項で決められた民主的な大間々町13区の運営の実現には程遠い異常な現状を招くことにより、被告らの利益を損なった。さらに、不正会計が明らかになった事で、東京高裁での控訴も辞さない訴訟委任者である被告ら依頼人に対して、「だけども法律的には勝訴するとは限らない」などと法律の専門家である立場を利用して、不安をあおり、和解を誘導したことも、弁護士としての使命感や責任感に欠けていると言わざるを得ない。
 このことは、弁護士法第1条2項に定めた弁護士の使命である「誠実な職務遂行による社会秩序維持」に違反し、同法第2条に定めた弁護士の職務の根本基準である「教養保持と品性陶冶による法律事務の精通」に違背し、弁護士の職務基本規定第4節「事件の処理における規律」第36条(事件処理の報告及び協議)に定めた「弁護士は、必要に応じ、依頼者に対して、事件の経過及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し、依頼者と協議しながら事件の処理を進めなければならない」を怠り、さらに同規定第5節「事件の終了時における規律」第44条(処理結果の説明)に定めた「弁護士は委任の終了に当たり事件処理の状況又はその結果に関し必要に応じ法的助言を付して、依頼者に説明しなければならない」を怠るなどして、対象弁護士が同規定に違反したことは明らかである。
 したがって、対象弁護士は、弁護士の品位を汚したのであるから、弁護士法第56条に定めた懲戒処分に該当すると考えられるため、今後、弁護士に対する一般市民の信頼維持を担保するためにも日弁連にて、本懲戒請求事案について、公平、公正、透明性をもって審査することを強く望むものである。       以上
**********

付近の通りにある道先案内図。


■7月4日、オンブズマン代表名で3部(正本1部、副本2部)が日弁連に提出され、受理されました。今後、どのような審査と判断がなされるのかはっきりしたことはわかりませんが、日弁連からなにか連絡があれば市民オンブズマン群馬事務所からの報告としてお伝えしていきます。

国会通りを10分程歩くと東京電力本社がある。相変わらず公金を費やして警備は厳重だ。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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タゴ事件発覚から18周年・・・地方自治体史上最高額の横領事件に安中市民はどう対処したか(会報13号)

2013-07-03 23:28:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■平成7年9月12日に発行された会報13号では、同年8月21日(月)に前橋地裁で開かれたタゴ事件の初公判の様子を傍聴していた市民らのメモをもとに、その後半部分を掲載しました。

 会報13号の内容は次のとおりです。8月21日のタゴ事件の刑事初公判の後編は最後のほうにあります。

**********
■市政をただす安中市民の会  会報13号(上)
連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年9月12日発行

成果のほどは?市議13名による川西市への大行脚!

8月31日の上毛新聞に報道された安中市議会の超党派(公明、共産、新政会、市民クラブ、民友、清風の6会派)議員団13名による川西市議会視察は9月5~6日の1泊2日で実施された。これに先立ち当会では9月4日に川西市の市議に電話連絡をしたところ、4日昼の時点では「安中市議の視察団訪問について聞いていない」ことが判明した。そこで当会から議員団訪問の趣旨を説明し、いろいろ面倒をおかけするがよろしく対応願いたいと依頼しておいた。
■さて、川西市での視察ぶりについて、6日に川西市役所に聞いてみると、安中の議員さん13人は今日の午前10時頃来て午前中で引揚げて行ったという。川西市側は議会事務局と開発公社の職員計5人が対応。話の中身は(1)マスコミが知りたがっていること(2)市側が(公社の不始末の)負担をするのは当然ということ(3)公社の余剰金(これも元々税金ではないの?)での支払い(4)銀行とのやりとりなど、川西市のケースの経過を説明。川西では百条委員会を設置しなかったので、その違いも話題になった。
■安中市議会では視察の目的を百条委運営に役立てるためとし、視察後7~8日と百条委を開くため川西市の視察成果が期待されていた。ところが遠路はるばる兵庫まで出かけながら視察に費やした時間は2時間足らず。その他の時間はいったい何をしていたのか?13名の議員は視察日程を議会事務局に届けておらず、それぞれの会派に届け出ただけで川西に向かったという。
■9月4日に当会が広上議長らに事前に確認したところ「視察にかかる経費は公費ではなく、各会謀の経費負担だ」とするコメントがあった。はてな?各会派から出るカネは公費で賄われているはずだが、と、またまた市民は首をひねるばかり。
■川西市の皆様たいへんお騒がせしました。

見識を疑う!当会を呼びつけ八つ当たりした市議会

先月末に議会事務局長からの電話連絡で9月4日(月)午後4時半に当会代表3名が議長室を訪れた。百条委の小西委長、長沢副委長と広上議長が座っていた。百条委員会の準備会を中断しての会談とのこと。
■小西勝二委員長から口頭で、本会の会報10号について次の要望が述べられた。
(1)委員会が参考人・証人を呼ぶ時は氏名を公表しないという約束で来て頂いている。マスコミにもお願いしてある。会報は実名入りで誤記もある。一部の人には委員長がお詫びに行った。実名を載せないでくれ!
(2)会報に茶番劇、猿芝居の表現あり。委員は-一昔懇命やっており、前向きの表現をするように!
■続いて広上輝男議長から。(3)会報に議会(員)はノーテンキと言う表現があるが、その根拠を示せ!
●当会の見解は次のとおり。
(1)百条委は市民傍聴を拒否しマスコミだけに公開した。市民はマスコミからしか情報人手できない。そのマスコミが実名を聞かせてくれた、約束事など知る由もない。市民の知る権利を奪っておきながら、八つ当たりするのは本末転倒だ。
(2)「猿芝居」「茶番劇」「あきれた」などという表現は傍聴マスコミの率直な感想を示す言葉として尊重したまで。
(3)議会が行政の監視機能を果たしていれば一職員にどんな悪知恵があっても大事件は防げた筈。事実を目にしながらノンキに構えていたと言われても弁明できまい。この点は市民も同じだが歳費を受けている議員には公的責任がある。百条委にしても草津と較べれば、設置の時期、活動に大きな遅れがある。ノーテンキはチョット品が落ちるがこの方が解り易い。
―――――
のうてんき(脳天気)【関東・中部方言】
 常識はずれで軽率な様子(人)。もと能天気・能転気と書いた。〔新明解・国語辞典〕
―――――
●安中市議会を他の市町村議会と比較できるのはマスコミだ。そのマスコミから「あきれられた」市議会には深刻な自己批判が必要。
●公務員特別職の百条委が主権者の市民に偉そうに要求すること自体スジ違い。間違った特権意識をかざす現在の市議会の見識を問いたい。

デタラメな臨時広報1号! 訂正の2号はいつ出る?

開示された公社の資料を受け取りに31日当会が市役所を訪れた際、助役と総務部長に面談。「10日前に要求書で市長に要求した臨時広報2号発行の件はどうなったのか?」とたずねた。これに対し、助役は「出すべきなので当然出そうと思っている。なるべく早く出したい」と答えた。総務部長は「(情勢が)いい方向に変イヒすれば良いが‥‥。他の課にいろいろ資料の提出を頼んであるので‥‥‥。今はいつ出せるが約束できない」とトーンダウン。「調査中でも出せるのでは」と突っ込むと「だせないjという返事。
―――――市政をただすスローガン秀作集(6)―――――
2ケタ上乗せ当たり前 公印天国あんなか市
―――――開かれた 見える政治を 市民の手で―――――

特別レポート 信越線新駅周辺開発事業計画と多胡の役割

多胡被告が異動に備えて群銀から3月末に2億5千万円をだまし取った件で、多胡の供述調書によると
●本件犯行については、3月末になって異動の時期が追って来たので、銀行に行った際に支店次長や融資担当支店長代理に対し「信越線新駅周辺の開発計画がまとまりました。事業資金として2億5千万円くらいの借り入れを予定しています。この借り入れについては群馬銀行にお世話になりたいと思っていますが、他行も金利面で頑張っているので、群馬銀行さんも検討してください」などとデッチ上げたウソの話をもっともらしくしておきました。この頃上毛新聞などで信越線新駅についての開発事業計画が取り上げられておりましたので、このような形にかこつけて融資枠を作れば銀行側としても応じてくれると思い、2億5千万の借り入れを計画したのです。【8月21日初公判検察官調書より】
■この信越線新駅周辺の開発計画はずいぶん前から安中市都市計画課と土地開発公社内で練られていた。現在、安中南地区区画整理事業で物議をかもしているのは信越線の北側だが、多胡が群銀に持ちかけた開発事業計画は信越線の南側の43ヘクタール(Ha)。ここを住宅ゾーン(県企業局による住宅団地造成)23・6Ha、住宅ゾーン4・7Ha、商業ゾーン(金融センター)3・6Ha、文教ゾーン6・0Ha、公有地ゾーン(市役所移転用)3・1Ha、公園ゾーン2・1Haとして開発しようというもの。
●群馬県企業局によれば、この計画案を他ならぬ多胡自身が持ち込んできたのが平成6年4月。同6月には中間駅周辺開発構想図まで持参して説明したという。県企業局では23・6Haの住宅ゾーンを開発の目玉と目論見、ここを安中市土地開発公社に委託して買収方式で先行地上げし1200戸の団地を造成・分譲する意向を固めていた。企業局によれば、市から計画案が持ち込まれた段階で地権者の了解はほぼ100%取得済みと認識していたそうだ。多胡が県企業局にウソの状況説明をしていたことになる。
■多胡が県企業局に計画案を持ち込む以前から、この大規模事業計画を見越した動きが計画予定地内で始まっていた。信越線の南側に広がる計画予定地の水田地帯は、既に水面下で相当地上げ炉すすんでいる。地元の県議による水田の不法理立や農地法違反問題も起きていることは記憶に新しい。
■このように信越維新駅周辺の開発計画は決して多胡ひとりの思いつきではなく、開発公社担当職員として多胡自身が立案したものであり、このことは市長ら市当局幹部の当然知るところであった。多胡の供述ではいかにも新開報道で思いつきでデッチ上げたふうな話をしているが、これはウソ。群銀側も当然、5日会など市長とのパイプを通じて開発計画はすでに熟知していたはず。
■安中南地区区画整理事業と異なり、この43Haの大規模開発計画は買収方式で慄発されるため、土地先行取得に必要な資金も莫大である。多胡はこの計画を于がけることにより、膨れ上がった横領金の隠ぺいをさらに先送りできると踏んで、企業局と群銀に一生懸命説明したに違いない。■県では「この開発事業は咋年4月に多胡から陳情を受けてはいるか未だ実施の段階に至っていない」と説明している。48億円事件発覚で完全にケチのついたこの事業計画推進に県側は及び腰だ。しかし安中市では6月の事件発覚後にも再度企業局を訪れ、この事業を推進したいと明言している。48億円事件の先行き不透明なこの状況下でさえも、そうした強気の発言ができる市側の根拠はいったい何か?市民は首をかしげるばかり。

磯部地区市民集会報告(上磯部公会堂・2区公会堂)

■9月4日磯部地区のトップをきり上磯部で報告集会開催。市民20名が参加し熱心な質疑応答が続いた。
●名前は伏せるが、一部議員は百条委設置に消極的だったときく。 11月の市議改選でだいぶ百条追求が薄れるのではと心配だが、ただす会ではどう考えるのか?[今の百条委では追求は期待薄。事件真相解明に向けて真に問題意識を持つ人物が市議になり取組める態勢ができない限り事件はウヤムヤになるだろう]
●故吉田洋氏の噂が事件に問連づけて執拗に流布している。被告と個人的に親しかったとの噂だが、この点について会の見解は?[某現職議員らが意図的に流している事実を掴んでいる。噂を信じるも信じないも市民の常識次第だが、会報13号に截っている初公判の傍聴概要をよく読み市民各自が判断してほしい]
――――――――――――――――――――
■9月7日2区公会堂で市民報告集会が開かれた。15名の市民が参加。参力市民からの意見は次の通り。
●市職員採用の場合、縁故採用がまかり通っている。これも大不祥事の原因。市役所の私物化は許さぬ!
●10年間に37億。1年に3・7億。そんな大金どうやれば使えるのか?周りの人がなぜ気付かない?
●公社の監事や理事の経験者は次回の市議選に立候補すべきではない!
●某市議が多胡のハデな生活について市長に調査を進言したところ「調べたが異常ない」と市長が言ったという。
●各地区の座談会に市長呼んでも、助役しか出てこない!
●市長はなにかというと前任者に責任を押しつけたがるのも見苦しい。
●市長が選挙立候補の時、市なんか会社経営を少し大きくしただけで簡単だと演説ぶった。それがこのザマでは!
●百条委を作ったのに議員がどうもパッとしない。議会もナアナア。オウムの勉強をし過ぎているのでは?
●今後さらにどれだけ実損が出てくるかわからない。市長や幹部など聞系者は退職金も差し出して実根埋め合わせに当ててもらいたい!市議にもそれなりの責任を取ってもらいたい!
■9月7日の百条委では、8月21日の初公判をうけて昭和E汚年~平成2年の正規口座の詐欺

◎48億円事件とそれを許した市当局や市議会に関するあらゆる情報は事務局又は連絡事務所へ!◎

■市政をただす安中市民の会  会報13号(下)
連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年9月12日発行

市側追求の甘さ目だった百条委第2ラウンド

■9月7日の百条委では、8月21日の初公判を受けて昭和55年~平成2年の正規時期に関係した公社側13名と市側2名が「参考人」として出席。一人平均30分足らずの尋問時間
◆平成4年9月30日正規口座に1500万円が振替えられていたことについての多胡の元上司(係長)の弁明「借入れと勘違い。通帳がひとつで架空口座からの振替という意識はなかった」◆1990年以前当時の関係者らの答弁「公社の経理は多胡に一任されていた」「預金通帳は上司がみることは一度もなく、年1回の監査にも提出されていなかった。銀行借り入れ書類も多胡一一人がほとんど作っていた」など
◆これらは初公判で明らかになったズサンな管理運営を追認する形となり、公金管理意識欠如も露呈された。
■9月8日は午前9時から群銀関係者4名が「証人」として登場。百条委第1ラウンド初日に続いて再登場した人もいる。
◆新しく出てきたこととして、銀行側は、多胡が警察の取調で答えている筈の「市長の特命」を名乗って群銀側に対応させていた、という多胡供述を一切否定。
◆また「通常、銀行から融資を受ける際、かなり厳しい審査があるが銀行はそういう調査をしなかったのか」との質問に対し、群銀側は「公社の公印が押された正規融資である」という従来の主張のほか「多胡に『銀行側が先に動いたため、以前、先行物件がダメになったことがある。詳細については勘弁して欲しい』と旨われたことがあった」と答えた。群銀は積極的に融資をするスタンスをとっていたことを強調。市の債務保証がある融資であることに絶大な信頼を寄せていたとした。
◆群銀側はかなり事前訓練を積んでいた様子でポイントどころをうまくはぐらかす。例えば、多胡から「詳細については勘弁して欲しい」と言われた時期など。群銀側は百条委のメンバーに対して答弁の際メモを見ることの許可を開会前に取っているのに「資料がなくこの場では言えない」とか「何年も前のことで覚えていない」などとはぐらかした。
◆百条委の委員は基本的に質問の仕方が下手。「私は○○だと思うが、あなたはそう思わないのか」という感じ。百条委の場で議員の意見陳述は不要。前回の百条委もまるで一般質問のようだった。◆もう少し質問の仕方自体に時間をかけて準備し、議事進行を考えることはできなかったのか。うまくやれば展開は随分変わったのではないか、と悔やまれる。しっかりと事実を積み上げて行く作業がどうしてできないのだろうか。この程度のレベルなのかと歯がゆくなる。
◆群銀側の責任を追求するというより(それは多胡が群銀から金をだまし取ったとする公判で明白になってゆくのだから)、安中市議会の百条委である以上.、市の体質、市長の管理責任をなぜ強く問わないのか。
◆参考人では緊張感に欠ける。市長を「証人」として呼ぶべきではないか。

ここが知りたい!(5) 公金横領は不当利得として課税されるか?

48億事件で多胡被告が銀行からだましとったカネでゼータクして遊んだら、自分の所得として課税されるはずだと、市民の素朴な疑問により、当会では7月20日に国税庁長官あてに告発状を郵送した。このほど、この件でどういう対応が取られているのか関東信越国税局を訪問。聴取した結果は次の通り。
●横領金はちゃんと返せば所得にあたらない。返さない場合には公金でなくて不当利得となる。●税務当局としては横領額が決まらないうちはなんとも言えない。本人が利得したのが単発的なものなら雑所得。事業的なものなら事業所得となる。したがって、裁判の結果この横領容疑が実証され、返還命令が出ないうちは税務当局として実害がいくらか確定できない。
●不当利得であっても勿論課税対象。ヤクザがバーや賭博を関いて稼いだカネも徴税対象。
●不当利得の場合、裁判の結果被害者から返還請求が出され、裁判所が返還命令が出れば、横領金を返すことになる。しかし、本人が資力喪失していれば債務免除され、免除益があっても資力喪失していれば課税されない。
●裁判中は時効は進まない。
●国税当局としても、本件は極めて特異な事件なのて大きな関心を持って見ている。税務調査については目下、県警が捜査しており捜査の優先権は警察にあるため、オウム事件と同様に税務調査は一緒にはできない。また税務捜査関係の情報は個人情報なので守秘義務があり、調査の進展具合などは一切公表しないのがタテマエ。いずれにせよ最終的にどれくらいの利得があったのか裁判で確定しないと手の打ちようがない。
●なお上記はあくまで非公式の見解。税務についての公式見解は国税局広報課が担当窓口。
――9月は磯部地区で地区座談会を開いてます★毎晩7時半より★ぜひお出かけ下さい!――
11日(月)第4区公会堂
13日(水)磯部公民館
15日(金)第14区公会堂
18日(月)第9区公会堂
20日(水)第10区公会堂
25日(月)大竹住民センター
22日(金)水口公会堂
26日(火)池田公会堂
――次回定例集会 9月16日(土)午後8時半~ 於:安中公民館―――

詳報! 8月21日の事件初公判の傍聴概要(後編)

■事件の初公判が8月21日に前橋地裁で開かれた。その中で発表された証拠書類は次の通り。
◆捜査報告書
◆市長の上申書
◆群銀頭取の捜査依頼書
◆群銀安中支店から提出された偽造書類と市から提出された正規分の写し確定報告書
◆偽造された借入申込書
◆市長公印押捺済書類
◆公社理事長押捺済書類
◆公社預金印鑑票
◆公印印影鑑定結果
◆筆跡鑑定結果
◆ワープロ文字確認結果
◆預金取引履歴明細書
◆被告宅と妻の経営する喫茶店の土地建物登記簿謄本
◆公社・群銀担当者リスト
◆平成7年1月濤の被告の勤怠簿
◆裏口座通帳は2冊旨の銀行報告書
◆公社・東和銀行・かんら信金・JA碓氷・群馬県信組の取引状況捜査結果
◆信越線新駅に関する上毛新聞記事
◆群銀安中支店応接室の実況検分報告書
■銀行の関係者の供述調書は次の通り。
◆支店融資担当次長S「3月31日分について正規融資と信じた。裏口座の取引明細書が不明」◆支店長代理K「消費貸借契約書の用紙はそれ自体重要でない為、頼まれれば余分に渡す事はある」
◆支店長M「異動後5月8日に1485万円引出。3月31日は支店不在で応対してない」
◆支店渉外担当次長Y「5月16日に公社の依頼で残高証明を取り翌日渡した。公社T次長が公社の認識と約37億円違うと指摘。双方で調査し犯行知った」
◆群銀本店法務部H・審査部Y「支店からの書類を審査し、市の債務保証限度額内で問題ないと判断。貸付を承認」
◆元支店窓口係T「平成2年4月16日被告から3千円を受け取り特別会計口座を開設」
◆元支店融資担当支店長代理I「平成2年4月2日~平成5年8月1日迄支店勤務。被告は長期間経理を担当しており、他の職員が融資に支店に来る事はなかった。常に被告が融資取引相手。被告に疑い持たず。特別口座開設に際して自分から助言した事はない」
◆支店窓口係T「被告が平成7年5月8日に1485万円引出した」
◆支店長代理T「本店の指示で本年4月頃公社に借入額を照会したが約10億円の回答を得て、これは1年度分の額と誤解したため特に不審に思わなかった」
◆かんら信金支店長代理I「平成3年3月27日と30日被告が支店を訪問」
■証拠書類の中で市の関係者の供述内容は次の通り。
◆公社T次長「群銀から貸付残高証明を取り寄せたところ公社の把握しない約47億円の貸付金があり、あわてて支店に行き犯行を知った。公社設立当時市から事務費をもらっていた。信越線新駅周辺開発事業は、県への陳情交渉段階で実際には融資の貸付はない。私は平成2年4月就任当時から経験があり仕事のできる多胡を信用しており公社の経理は多胡に任せていた。公社の普通預金通帳は自分が着任以降のみで以前の通帳は見なかった。理事長公印の保管状況は勤務時間中は都市計画課長の机上の印鑑ケースにあり、通常は理事長迄の決裁が終了していれば、課長の許可を得て担当者が押している。正規決裁を経た書類に偽造書類を混ぜて公印を押捺させたり、誰も居ない時間帯を見計らって公印を使えば誰も見ることはできない。勤務時間外にはロッカーに鍵かけておくが多胡は鍵の所在を知っており、公印を取り出すことは可能と思う。経理担当の多胡に公印の保管方法を知らせないのは考えられない」
◆公社事務局員T「毎年3月9月期は返済期に事業の終了していない融資分について返済期限を延期するような契約をしている」
◆公社事務局長K「被告とTが経理を担当。被告を信頼して疑うことはなかった。融資の際は理事長印が必要で自分が保管。勤務時間中は机上に、それ以外はロッカーにあり公社内部の者は当然知っていた」
◆財政課財務係「融資の際は公社の債務保証依頼を受けてから私が決裁書を作成し、総務部長専決となっておりその決最後に市長印が押される」
◆公社職員ら「平成3年4月から勤務、被告人が贅沢な暮らしをしていたのを知っており不思議だったが骨董晶で儲けているという噂を信じていた」
◆元公社庶務係長I「昭和60年4月~昭和63年3月迄被告の上司だった。公社の経理は経験の長い被告に全て任せ、群銀の口座通帳は確認したことがない」
◆安中市長「被告に市長特命として命じたことはない」
◆公社監事B「毎年5月の公社監査で預金残高証明は会計規定で取っていたが、貸付残高証明は規定上要求されていないので実施していなかった。だから犯行は監査の時も気付かなかった」
◆秘書係長Y「市長公印は日常勤務中は私の机上においてあり退庁時に秘書課備え付けのダイヤルロックと鍵のかかる耐火金庫に保管してある。鍵は私が保管し、保管場所とダイヤル番号は私と秘書課長、秘書係の3名だけ知っており、他の職員には分からない。しかし本件では市長公印という重要なハンコを使うときは、決裁書内容と押捺すべき書類内容が同一であると確認すべきだったが、実際上市長印の使用は一日に何度もあり、書類の枚数が多いときはどうしても内容確認を十分せずに押捺してしまう」
◆財政課長I「市の決裁は総務部長専決」
●被告人知人「被告の一報により5月31日頃打ち明けられ自首を勧めた」
◆県企業局開発課次長「平成6年4月頃被告から信越維新駅周辺開発事業の陳情を受けた。未だ同事業は実施の段階に至っていない」
◆安中市議会議員「被告とは被告の実弟Tを通じて知り合い、被告の子供が通っている塾を経営していた関係で被告と交際があった」
◆古美術晶販売店一品堂経営者O「平成3年秋頃、かんら信金職員Iの紹介で被告と知り合い、長期間多量に被告に販売した」
◆ゴルフ場会員権業者「1300万円のゴルフ会員権を売った」
◆被告の妻F被告から毎月50~60万円、時には100万円の金をもらうこともあった。骨董品販売で儲けたとの説明で不思議に思わず犯行を打ち明けられるまで全く気付かなかった」
◆被告の実弟T「被告の派手な生活には疑問を持っていたが、骨董品で儲けたなどの話を聞くと、骨董の価値など分からないので全くそれを信じていた」
◆その他は略

◎この会報に対する賛否のご意見は、実名でお聞かせください。紙面上の匿名は希望に応じます◎

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【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】

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信越線廃線区間での電線盗難から6年…再び銅線6トン強を窃盗団に蹂躙されても無策を続ける岡田市長の怠慢

2013-07-01 23:27:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■世界的な銅の価格高騰を背景に、芯部分に純度の高い銅が使われている電線の盗難が多発しています。そのような最中、旧信越線の横川-軽井沢駅間のトンネル内の電線がごっそり盗まれてしまうと言う事件が発覚しました。旧信越線はJRから安中市(旧松井田町)が譲渡を受けており、復活にむけた計画も関係者や鉄道ファンにも根強いため、このような悪質な盗難事件は本当に遺憾であり残念です。

 オリンピックのメダルの色でも知られる銅(純度99.9935%以上)の価格はロンドンのLME(ロンドン金属取引所)で取引されるスポット価格で世界的な価格の基準が決まります。この取引価格の年平均を見ると、2004年より前は、およそ1トン当たり1000米ドルから高いときでもせいぜい3000米ドル未満でした。ところが、中国経済が活発化した2004年以降から急激に高騰し一気に7000米ドルに迫りました。2009年のリーマンショックで5000米ドルに一時的に価格がさがったものの、2011年には9000ドルになり、2012年も8000米ドルの水準にあります。昨今の円安傾向で、円ベースでもリーマンショック直前のトン当たり90万円には及ばないものの現在75万円の水準にあります。

 今回盗難に遭ったのは、架線(トロリ線のことか)、信号ケーブル及びレールボンド等でした。鉄道に電気を供給する「トロリ線」は精錬された電気銅(純度99.99%)を原材料として、「シャフト炉」と呼ばれる連続溶解炉を用いて製造されます。したがって、スクラップ原料としては最も高品質の銅線であり、窃盗団は高値で売りさばくことが出来たに違いありません。

 鉄道に電気を供給する「トロリ線」は、公称断面積110平方ミリメートルの溝付トロリ線の場合、直径が12.34mmとなっています。これはちょうど1mあたりの質量が1kgとなります。

 信号ケーブルは、通信用に用いられるもので難燃性のプラスチックで絶縁されている多芯タイプの電線です。

 また、レールボンドとは、電気鉄道で,隣りあうレールの継目を電気的に接続するため両レール端に溶接される軟銅撚線(よりせん)のことです。レールは車両の電動機を通った電流の帰路になりますが,その際の抵抗を小さくするために取り付けられているものです。

 もう一つ現在の鉄道路線のレールには信号用の電流が流れていますので、このための電流をしっかり接続させる働きもあります。ですから非電化区間にもレールボンドはつけられています。レールボンドは軟銅線をより合わせ、両端にレール取り付け用の端子を付けたものです。レールボンドには、レールの種類や取り付ける場所などによって、断面積や長さ、端子の形状などが異なったいくつかの種類があります。主な品形としては断面積70mm2、長さ1200mmなどです。

■当会では、盗難に関する5月29日の新聞記事をもとに、次の内容で安中市長に対して行政文書開示請求書を5月31日付で提出しておりました。この経緯については当会の次のブログを参照ください。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1043.html

<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
2013年5月29日(木)の新聞によれば、「旧JR信越線:電線11キロ窃盗 安中市が被害届提出 /群馬」の見出しで「安中市所有の旧JR信越線横川-軽井沢駅間(上下計約22キロ)の電線が、長さ計11キロにわたり切断され何者かに持ち去られた事件で、同市は5月28日、安中署へ被害届を提出したと発表した。同署は同日被害届を受理し、窃盗事件として調べを進めていく方針。同署によると、被害品は銅製の電線約6トンやレール間の継ぎ目に取り付けられているレールボンドと呼ばれる導線540セットなどで、被害額は計約236万円に上るという。」と報じられた、ついてはこの事件に関する一切の情報。但し、次の情報を含む。マスコミへの発表内容、警察への被害届、市の被害調査報告書の類、被害額算定根拠の類、被害品物量リスト一覧、管理委託財団からの被害に係る連絡・報告書及び財団との対策協議内容、管理委託財団と交わした契約等の内容がわかるもの、6年前の2007年10月17日の類似事件の警察への被害届、その際の再発防止対策を協議した過程と内容が分かるもの、を含む。」

■この結果6月17日に行政文書開示決定通知書及び行政文書不存在通知書が安中市長から送られてきました。

 不存在とされた行政文書は、「警察への被害届、管理委託財団からの被害に係る連絡・報告等及び財団との対策協議内容、6年前の2007年10月17日の類似事件の警察への被害届、その際の再発防止策を協議した過程と内容」であり、不存在の理由は次のとおりでした。

<行政文書が存在しない理由>
 「警察への被害届」については、警察で記入し、コピーはできないとのことで市には存在しません。
 「管理委託財団からの被害に係る連絡・報告等及び財団との対策協議内容」については、文書では存在しません。
 「6年前の2007年10月17日の類似事件の警察への被害届」については、上記と同様の理由により、市には存在しません。
 「その際の再発防止策を協議した過程と内容」については、文書では存在しません。

■そして、残る行政文書は、平成25年6月25日に開示されました。事務担当課は商工観光課(電話027-382-1111内線2622)です。

 開示された文書は次のとおりです。

(1)マスコミへの発表内容
 報道機関への通知文書は次の2通です。
 ・JR信越線横川―軽井沢間廃線区間の銅線盗難について(H25.5.8)
 ・JR信越線横川―軽井沢間廃線区間の銅線盗難の被害届について(H25.5.28)
(2)市の被害調査報告書の類、被害額算定根拠の類、被害品物品リスト一覧
 これについては、盗難が発覚した経緯及び被害額の算定、被害届の提出伺いとして「旧信越線の施設の盗難被害状況について(H25.5.28)」が開示されました。
(3)管理委託財団と交わした契約等の内容がわかるもの
 これについては、安中市と碓氷峠交流記念財団との管理及び運営に関する基本協定書「碓氷峠の森講演の管理運営に関する仮基本契約書」が開示されました。
(4)6年前の2007年10月17日の類似事件の警察への被害届
 これについては、盗難が発覚した経緯及び被害額の算定、被害届の提出伺いとして「旧信越線施設の盗難被害状況について(H19.19.18)」が開示されました。

■それでは、開示された上記の資料を見てみましょう。

**********
【平成25年5月28日市商工観光課のマスコミ発表FAX送信伺い】

下記内容で報道機関へFAXしてよろしいか伺います(堀米)
部長・内堀 課長・小林 係長・堀米 係・- 供覧・-
  JR信越線横川―軽井沢間廃止区間銅線盗難の被害届について
 平成25年4月23日に発見された銅線の盗難について、安中市は、平成25年5月28日に安中警察署・被害届を提出した。
 被害額は、被害距離11、4kmの区間で、架線、信号ケーブル及びレールポンドを含め総額2、365、200円相当である。

【平成25年5月28日市秘書課からマスコミ向けFAX】

      ファクシミリ発信のご通知
                    平成25年5月28日
宛名:安中記者クラブ会員様 (FAX:326-8273)
発信者:安中市役所総務部秘書課広報広聴係 反町
    FAX:381-0503
    TEL:382-1111(内線I014)
件名:JR信越線横川―軽井沢間廃線区間銅線盗難の被害届けについて
枚数:2枚(この発信通知書を含みます。)
(通知文)
いつもお世話様になります。
標記のことにつきまして、別紙のとおりお知らせいたします。
なお、詳細につきましては、産業部商工観光課(電話027-382-1111 線2620)へお問い合わせください。
(別紙)
 JR信越線梶川―軽井沢間廃止区間銅線盗難の被害届について
 平成25年4月23日に発見された銅線の盗難について、安中市は、平成25年5月28日に安中警察署へ被害届を提出した。
 被害額は、被害距離11、4㎞の区間で、架線、信号ケーブル及びレールポンドを含め総額2、365、200円相当である。

【平成25年5月8日市商工観光課のマスコミ発表FAX送信伺い】

下記内容で報道機関へFAXしてよろしいか伺います(堀米)
部長・内堀 課長・小林 係長・堀米 係・- 供覧・-
   JR信越越線横川―軽井沢間廃線区間の銅線盗難について
 平成25年4月23日、廃線区間となっているJRイ言越線の横川一軽井沢間のトンネル内を中心に、銅線が切断されていることを、除草作業に訪れた碓氷峠交流記念財団の職員が発見した。
 同23、24、25日と被害伏況の調査を行った結果、被害は、上下線全体にわたっており被害距離は、約1 1 kmである。
 現在、施設所有者の安中市は、安中警察署へ被害の状況について報告中であり、今後、被害額が確定次第、被宮居を提出する。

【平成25年5月8日市秘書課からマスコミ向けFAX】

      ファクシミリ発信のご通知
                    平成25年5月8日

宛名:安中記者クラブ会員様 (FAX:326-8273)
発信者:安中市役所総務部秘書課広報広聴係 反町
    FAX:381-0503
    TEL:382-1111(内線1014)
件名:JR信捲線横川―軽井沢間廃線区間の銅線盗難について
枚数:2枚(この発信通知書を含みます。)
(通知文)
いつもお世話様になります。
標記のことにつきまして、別紙のとおりお知らせいたします。
なお、詳細につきましては、産業部商工観光課(電話027-382-1111 内線2620)へお問い合わせください。
(別紙)
   JR信越線横川―軽井沢間廃線区間の銅線盗難について
 平成25年4月23日、廃線区間となっているJR信越線の横川―軽井沢間のトンネル内を中心に、銅線が切断されていることを、除草作業に訪れた碓氷峠交流記念財団の職員が発見した。
 同23、24、25日と被害伏況の調査を行った結果、被害は、上下線全体にわたっており被害距離は、約1 1 kmである。
 現在、施設所有者の安中市は、安中警察署へ被害の状況について報告中であり、今後、被害額が確定次第、被害届を提出する。

【平成25年5月28日付起案用紙】
起案用紙
年度    平成25年度
文書種類
文書番号  安商第438号
保存年限  5年
受付年月日 平成  年 月 日
保存期限  平成31年6月1日
起案年月日 平成25年5月28日
廃棄年度  平成31年度
決裁年月日 平成25年5月28日
分類番号  大6 中3 小1 簿冊番号2 分冊番号7
施行年月日 平成  年  月   日
完・未完別              
簿冊名称  施設整備関係書類
完結年月日 平成  年 月 日
分冊名称  碓氷峠信越線の綴
公開    ○開示 不開示 部分開示 存否応答拒否
起案者   産業部商工観光課観光係 職名 課長補佐 氏名 堀米純 内線(  )
決裁区分  部長
決裁    部長・内堀 課長・小林 係長・堀米 係・- 公印・-
関係部署合議
課内供覧
宛先
差出人
件名 旧信越線施設の盗難被害状況について
 旧信越線の線路敷について、本年4月23日に碓氷峠交流記念財団の職員が管理のための除草作業を実施したところ、施設内の架線、通信ケーブル等が切断され不明になっていることを発見しました。経過については別紙のとおりです。
 つきましては、盗難の疑いが高いため被害届けを安中警察署に提出してよろしいか伺います。
            記
場所:安中市松井田町坂本旧JR信越線上り下り線内(11.4キロ)
届出物件:1銅線 重量6,084kg
      被害推計額:1,825,200円
     2レールポンド 540セット
      被害推計額:540,000円
被害推計総額:2,365,200円
(別紙)
          碓氷峠銅線盗難の経過
場 所:安中市松井田町坂本地内旧JR信越線上り線下り線内(11.4キロ)
状 況:平成25年4月23日(火)に廃線となった旧JR信越線の線路の除草作業を碓氷峠交流記念財団の職員が行っていたところ、同線下り線の第二階道入り口手前付近から架線がないことに気がつきました。さらに、レールとレールの電流を流すレールポンドがなくなっていました。すぐ、担当課である商工観光環に連絡が入りました。15時頃。
 現場にいる財団の職員に警察に報告するよう指示を行い、現場より安中警察署に連絡を入れました。15時10分頃
 その後、警察署員3名が到着し碓氷峠交流記念財団職員と現場検証を行いました。18時50分まで行い、現場が暗くなってきたため、翌日に現場検証を続けることになりました。
 平成25年4月24日(水)、25日(木)市職員、碓氷峠交流記念財団職員、警察署員で、熊ノ平から軽井沢方面、熊ノ平から横川方面の上下線の調査を行いました。その結果、トンネル内を中心に上下線とも架線、通信ケーブル等のほとんどがなくなっていました。
          碓氷峠銅線盗難の件
 被害額の算出について
被害総額:2,365,200円
(内訳)
(1)架線及び信号ケーブルを切断したもの、長さ延べ約11.4km、重量約6,084kg。
 銅の現在の取引価格を参考に、被膜がついたケーブル(値段が下がることを考慮)、kg300円として計算した。
 6,084kg×300円≒1,825,200円
(2)レールポンド 540セット
 長さ28cm、重量240gのものと、長さ50cm、重量350gの銅線がセットになっているもの
 取引価格を参考にして、1セットの価格を1,000円として計算した。
 540セット×1,000円≒540,000円
                    総額2,365,200円
算出根拠
平成19年10月に算出した被害額より推計
理由:前回と被害状況が酷似しているため
○前回の概要(平成19年10月)
・被害距離 : 約5キロメートル
・被害ケーブルの銅の重量 : 2.6688t
・銅の単価 : 400円/kg
・被害推計額 : 1,067,000円
○今回(平成25年4月)
・被害距離 : 約11.4キロメートル
・被害ケーブルの銅の重量 : 11.4km×2.6699t÷5km≒6.084t
・銅の単価 : 300円/kg
・被害推計額 : 1,825,200円
(被害状況画像)


【平成24年2月22日付安中市と財団法人碓氷峠交流記念財団との碓氷峠の森公園の管理運営基本契約書】
       碓氷峠の森公園の管理運営に関する仮基本協定書
 安中市(以下「甲」という。)と財団法人碓氷峠交流記念財団(以下「乙」という。)とは、碓氷峠の森公園(以下「公園」という。)の管理及び運営に関する業務(以下「管理業務」という。)について、安中市公の施設に係る指定管理者の指定の手続き等に関する条例施行規則(規則第48号)第6条の規定により、次のとおり、基本協定を締結する。
 なお、この協定に基づく本協定の締結について、安中市議会の議決があったときは、この協定書は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第234条第5項に規定する契約書とみなす。
 (趣旨)
第1条 この協定は、碓氷峠の森公園条例(平成18年安中市条例第175号。以下「条例」という。)第5条(指定管理者による管理)の規定により指定管理者に指定された乙が行う公園の管理業務に関し、必要な事項を定めるものとする。
(管理業務)
第2条 甲は、条例第6条の規定に基づき、次に掲げる管理業務を乙に行わせる。
(1)公園の施設及び施設に係る設備の維持管理に関する業務
(2)条例第3条に掲げる業務
(3)施設の利用の承認及び承認の取消しに関する業務
(4)施設の利用料金の収受及び利用料金の減免、利用料金の返還に関する業務
2 前項各号に掲げる業務の細目は、別紙「管理業務仕様書」(以下「仕様書」という。)に定めるとおりとする。
(甲が行う業務の範囲)
第3条 次の業務については、甲が自らの責任と費用において実施するものとする。
(1)施設の目的外使用許可
(2)管理物件の大規模の修繕業務
(管理物件)
第4条 乙が管理する施設、設備及び物品等(以下「管理物件」という。)の対象は、別紙 碓氷峠の森公園「管理仕様書」で定める「管理物件日録」のとおりとする。
2 乙は、管理物件を常に善良なる管理者の注意をもって管理しなければならない。
(指定管理者の責務)
第5条 乙は、地方自治法その他の関係法令及び条例その他の関係規程等並びにこの協定の定めるところに従い信義に沿って誠実にこれを履行し、公園が円滑に運営されるように管理しなければならない。
2 乙は、施設使用者の被災に対する第一次責任を有し、施設又は施設使用者に災害があった場合は、迅速かつ適切な対応を行い、速やかに甲に報告し、甲の指示に従うものとする。
3 事故等が発生した場合、乙は甲と協力して事故等の原因調査に当たるものとする。
4 乙は、管理業務の継続が困難となった場合又はそのおそれが生じた場合には、速やかに甲に報告し、甲の指示に従うものとする。
(指定期間及び公開日、公開時間)
第6条 甲が乙を指定管理者として指定する期間は、平成24年4月1日から平成27年3月31FIまでとする。
2 管理業務を終了する又は変更する旨の通知は、前項の期間満了の3か月前までに相手方に対し書面により通知する。
3 公開日及び公開時間は条例第4条別表第2のとおりとする。
4 前項の規定にかかわらず、乙は、必要があると認めるときは甲の許可を得て、公開日及び公開時間を変更することができる。
(委託料)
第7条 管理業務に対する委託料は、本施設の利用料金収入をもって充てるものとする。
2 不足金がでた場合は、甲乙協議のうえ別に締結する年度ごとの年度協定に従い、乙の請求に基づき、甲が支払うものとする。
3 当期利益があった場合の甲への納付割合及び詳細事項については、甲乙協議のうえ年度協定によるものとする。
(利用料金収入の取扱い)
第8条 乙は、本施設に係る利用料金を乙の収入として、収受するものとする。
(利用料金の決定)
第9条 利用料金は、乙が、条例第12条別表第3で規定する利用料金の範囲内において定めるものとする。ただし、その決定及び改定については事前に甲の承認を受けるものとし、必要に応じて甲と乙の協議を行うものとする。
(管理の基準)
第10条 乙が行う公園の管理の基準は、次に掲げるとおりとする。
(1)施設及び設備は、定期的な保守点検を行い、その記録を作成すること。
(2)管理物件の維持管理を適切に行い、必要な修繕は速やかに行うこと。
(3)管理物件を滅失し、又は管理物件の重要な個所をき損したときは、速やかに甲に報告すること。
(4)建物の改築、構造物の新設等又は機械装置の新設等の現状を変更しようとするときは、あらかじめ甲と協議し、承認を受けること。
(5)自動販売機及び公衆電話等の設置に当たっては、あらかじめ甲と協議し、承認を受けること。
(6)防災,防犯その他不測の事態への対応等に関するマニュアルを作成し、職員に周知徹底すること。
(7)指定管理業務に係る会計処理は、他の事業から区分して経理すること。
(事業計画等の提出)
第11条 乙は、各年度の2月末日までに、当該年度の翌年度に係る次に掲げる内容を記載した事業計画書を甲に提出しなければならない。
(1)管理運営の体制
(2)事業の概要及び実施する時期
(3)管理運営に要する経費の総額及び内訳
(4)その他甲が必要と認める事項
2 甲は、前項の計画書が提出されたときは、内容を審査し、必要な指示をすることができる。
(業務報告)
第12条 乙は、毎月終了後10日以内に次に掲げる事項を甲に報告するものとする。
(1)施設の管理業務の実施状況
(2)施設の利用者及び利用料金等収入の実績
(3)管理に係る経費の収支状況
2 甲は、管理業務の適正を期するため、乙に対し、前項に掲げるもののほか管理業務及び経理の状況に関し必要に応じて臨時に報告を求め、実地に調査し、又は必要な指示をすることができる。
(事業報告)
第13条 乙は、毎事業年度終了後60日以内に、管理業務に係る事業報告書を甲に提出しその承認を得なければならない。
2 前項の事業報告書に記載する事項は、次のとおりとする。
(1)施設の管理業務の実施状況
(2)施設の利用状況
(3)利用料金等収入の実績
(4)管理経費の収支決算
(5)その他甲が必要と認める事項
3 乙は、収支に関する帳票その他事業に係る記録を整備し、常に経理状況を明らかにしておくとともに、甲が必要と認めるときは、その状況を報告しなければならない。
(指定の取消し等)
第14条 甲は、乙が次の各号の一に該当すると認めたときは、指定管理者の指定を取り消し、又は業務の全部又は一部を停止させることができる。
(1)業務に際し、不正行為があったとき。
(2)甲に対し虚偽の報告をし、または正当な理由なく報告等を拒んだとき。
(3)乙が本協定を履行せず、又はこれに違反したとき。
(4)前3号の他、乙が公園の指定管理者として管理業務を継続することが適当でないと認められるとき。
2 乙が、この協定を指定期間内に解除しようとするときは、その3ケ月前までに甲の承認を得なければならない。
3 甲は、第1項に定める場合の他、必要があるときは、業務の全部または一部を廃止することができる。この場合においては、甲は、廃止しようとする日の30日前までに乙に通知しなければならない。
4 前2項により、指定管理者の指定が取り消された場合における損害の賠償については、甲乙協議して定める。
(原状回復義務)
第15条 乙は、その指定の期間が満了したとき、又は指定を取り消され、若しくは期間を定めて管理の業務の全部若しくは一部の停止を命ぜられたときは、その管理しなくなった管理物件を連々かに原状に回復し、甲に対して管理物件を空け渡さなければならない。ただし、市長の承認を得たときは、この限りでない。
(損害の賠償)
第16条 乙は、管理物件の管理業務の履行にあたり、乙の責に帰すべき事由により甲又は第三者に損害を与えた場合は、損害を賠償しなければならない。
2 前項の場合において、損害を受けた第三者の求めに応じ甲が損害を賠償したときは、甲は乙に対して求債権を有するものとする。
(権利譲渡禁止)
第17条 乙は、基本協定を締結したことにより生じる権利義務を第三者に譲渡し、若しくは継承させ、又は担保に供してはならない。ただし、事前に甲の承諾を受けた場合は、この限りではない。
(再委託の禁止)
第18条 乙は、管理業務を他に委託し、又は請け負わせてはならない。ただし、あらかじめ甲の書面による承諾を得た場合は、この限りでない。
(個人情報の保護)
第19条 乙は、管理運営業務を実施するに当たっての個人情報の取扱いについては、別記1「個人情報取扱特記事項」を遵守しなければならない。
(管理物件の改修等)
第20条 管理施設の修繕、改造、増築、移設については、甲が自己の費用と責任において実施するものとする。
2 管理物件の改修については、1件につき見積額100万円以下のものについては、乙が自己の費用と責任において実施するものとし、1件につき見積額100万円以上のものについては、その費用と実施について甲乙が協議の上決定するものとする。
(損害保険)
第21条 施設全体に対する火災・地震等の保険は甲が契約し、その他の損害保険は乙が必要に応じ契約を行う。保険料は契約した当事者がそれぞれ負担する。施設の利用者、及び従業員等に損害が発生した場合の処理は乙が行い、状況と内容によって甲が乙を支援する。
2 原則として、甲は、火災事故等により、甲が受け取った保険金は、施設の復旧に使用するものとする。
(備品の利用)
第22条 乙は、施設内の既存の備品等は、本契約の目的範囲内で、自由に使用できるものとし、使用による破損、劣化については甲に補填しない。ただし、破損、廃棄等により不足した備品等の補充は、乙の費用で行う。
(管理物件の使用等)
第23条 乙は、管理物件を目的以外に使用してはならない。ただし、甲の許可を得た場合にはこの限りでない。
(管理物件以外の使用)
第24条 乙は、管理物件を除く公園の施設、設備及び物品を使用するときは、甲の承認を得なければならない。
(連絡調整会議)
第25条 甲と乙は、本業務を円滑に実施するため、情報交換や業務の調整を図る連絡調整会議を設置する。
2 甲と乙は、協議の上、前項の連絡調整会議に、関連する企業、団体、外部有識者、市民等を参加させることができるものとする。
(自主事業)
第26条 乙は、公園施設の設置目的に合致し、かつ本業務の実施を妨げない範囲において、自己の責任と費用により、自主事業を実施することができる。
2 乙は、自主事業を実施する場合は、甲に対して業務計画書を提出し、事前に甲の承諾を受けなくてはならない。その際、甲と乙は必要に応じて協議を行うものとする。
3 甲と乙は、自主事業を実施するに当たって、別途に自主事業の実施条件等を定めることができるものとする。
(協定の改定)
第27条 公園の管理業務に関し、事情が変更したとき又は特別な事情が生じたときは、甲乙協議の上、この協定を改定することができる。
(協議)
第28条 この協定に関し疑義が生じたとき又はこの協定に定めのない事項については、その都度甲乙協議して定めるものとする。

 この協定の締結を証するため、本書2通を作成し、甲、乙記名押印のうえ、各自その1通を所持する。
 平成24年2月22日
               甲   安中市安中1丁目23番.1、3、号二万
                   安中市
                   代表者 市長 岡田 義弘
               乙   安中市松井田町横川407番地16
                   財団法人碓氷峠交流記念財団
                   理事長 上原 有一
(別記1)
          個人情報取扱特記事項
  (基本的事項)
第1条 乙は、個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るものをいう。以下同じ。)の保護の重要性を認識し、この協定による業務を実施するに当たっては、個人の権利利益を侵害することのないよう、個人情報を適正に取り扱わなければならない。
  (秘密の保持)
第2条 乙は、この協定による業務の実施により知ることのできた個人情報を他に漏らしてはならない。この協定が終了し、又は解除された後においても同様とする。
  (収集の制限)
第3条 乙は、この協定による業務を行うために個人情報を収集するときは、その業務の目的を達成するために必要な範囲内で、適法かつ公正な手段により行わなければならない。
  (適正管理)
第4条 乙は、この協定による業務の実施により知ることのできた個人情報の漏えい、滅失及び損傷の防止その他個人情報の適正な管理のために必要な措置を講じなければならない。
  (利用及び提供の制限)
第5条 乙は、甲の指示がある場合を除き、この協定による業務に関して知ることのできた個人情報を協定の目的以外の目的に利用し、又は甲の承諾なしに第三者に提供してはならない。
  (複写又は複製の禁止)
第6条 乙は、この協定による業務を処理するために甲から引き渡された個人情報が記録された資料等を甲の承諾なしに複写し、又は複製してはならない。
  (再委託の禁止)
第7条 乙は、この協定による業務を行うための個人情報の処理は、自ら行うものとし、甲が承諾した場合を除き、第三者にその処理を委託してはならない。
  (資料等の返還等)
第8条 乙は、この協定による業務を処理するために甲から引き渡され、又は乙自らが収集若しくは作成した個人情報が記録された資料等は、業務完了後直ちに甲に返還し、又は引き渡すものとする。ただし、甲が別に指示したときは、その指示に従うものとする。
  (従事者への周知)
第9条 乙は、この協定による業務に従事している者に対して、在職中及び退職後において、その業務の実施により知ることのできた個人情報を他に漏らしてはならないこと、又は協定の目的以外の目的に使用してはならないことなど、個人情報の保護に関し必要な事項を周知するものとする。
  (実地調査)
第10条 甲は、必要があると認めるときは、乙がこの協定による業務の執行に当たり取り扱っている個人情報の状況について随時実地に調査することができる。
  (事故報告)
第11条 乙は、この協定に違反する事態が生じ、又は生ずるおそれのあることを知ったときは、連々かに甲に報告し、甲の指示に従うものとする。

          碓氷峠の森公園「管理仕様書」
1.管理運営基本方針
(1)設置の目的
 碓氷峠の森公園は、碓氷峠の地域資源や鉄道等の歴史資料を保存活用して、都市農村交流等の地域間交流を促進し、併せて住民の文化の向上と福祉の増進を図り、利用者に健全な休養施設等を提供することを目的とする。
(2)管理運営
 設置目的を効果的に達成するための利用者サービスの提供に努め、利用者に対して親しみやすく、利用しやすい管理運営を行うこと。利用者の安全性・利便性を確保するために必要な人員を配置するとともに、専門的な知識や経験を要するところには、必要な人員を配置すること。その中で季節等による利用者の増減に伴う管理業務量の変動に留意しながら各施設を一体的に管理する事を考慮し、より効率的な組織と体制での運営を心がけるとともに、運営コストに注意を払いながら経費の縮減に努めること。
(3)維持管理
 施設の機能を十分に発揮するとともに、利用者が安全かつ快適に利用できるよう適切に管理するとともに、施設の美観や機能の維持と経済損失を最小限にとどめるための点検・補修及び清掃等を適切に行うこと。また、歴史・文化的価値の商い施設等については、安中市(以下、市という。)及び専門家と協議の上で適切に管理すること。その他飲食、衛生に関する施設については、常日頃より衛生管理に努めるとともに各種法令を遵守し、適切な管理を心がけること。
(4)利用者等への対応
 施設利用の承認にあたっては、正当な理由がない限り利用を拒んではならず。施設利用において不当な差別的扱いをしてはならない。また、地域住民や利用者からの要望・苦情等に対しては、迅速かつ適切に処理し、施設管理に最善の反映を心がけること。また、その内容及び対応については、連々かに市に報告すること。
(5)利用の促進
 定期・季節でのイベントの企画等、施設の利用促進につながるような活動の継続実施と開発を行うとともに、広報活動を通して利用者に必要な情報を提供すること。また、適宜利用者等に対して施設に関するアンケート調査等による利用者ニーズの把握を行い、管理運営に反映させるとともに、結果について市に報告を行うこと。
2.管理運営に係る施設概要
 碓氷峠の森公園条例別表第1(第2条関係)のうち、「農園」「峠の横丁」を除くものとする。
(1)碓氷峠の森公園
(2)碓氷峠の森公園交流館
(3)碓氷峠の森公園屋外公衆トイレ2棟
(4)体験実習館
(5)宿泊滞在施設(コテージ)4人用2棟、6人用3棟、8人用2棟、あずまや
(6)屋内交流広場ならびに屋外交流広場
(7)碓氷峠鉄道文化むら
 ・鉄道資料館ならびに付帯施設
 ・鉄道展示館ならびに付帯施設
 ・鉄道車両の屋外展示場
 ・トロッコ列車・ミニSL・ 2ft蒸気機関車の設備及び運行
 ・利用者駐車場
3.公開日と公開時間
(1)公間日と公開時間
 碓氷峠の森公園条例別表第2(第4条関係)のとおりとする。
(2)公開時間等の変更
 公開時間等の変更が必要な場合は、事前に市長の承認を得ること。
4.利用料金等
(1)利用料金
 碓氷峠の森公園条例別表第3(第12条関係)に定める範囲内で、事前に市長の承認を得ること。
(2)利用料金の減免
 条例第15条の別に定める基準は、次の各号に掲げる条件に応じ、それぞれ次の各号に掲げる減免額とする。ただし、市長が必要と認めた場合は施設管理者と協議の上、コテージ及び体験遊具施設の利用料金を除き、これによらず全部又は一部を免除することができる。
 ①市の主催又は共催による施設利用の場合、全額を免除する。
 ②市の後援による施設利用の場合、半額を免除する。
 ③公共等利用の場合、半額を免除する。
5.施設の主な業務
(1)施設の一般維持管理業務
 ①建物
  建物(付帯施設を含む。)の保守管理を行うものとする。
 ②設備
  機械設備等が常時正常に稼動するよう保守、点検を行うものとする。
 ③故障時の措置
  施設等において、破損・故障等の事故が発生した場合は、原因・状況の調査を行い、適切な措置を講ずると共に、市に連やかに報告し、指示を仰ぐこと。
 ④緊急時の措置
  災害等の緊急時には、連切な措置を講ずると共に、市に速やかに報告し、指示を仰ぐこと。
(2)特殊施設の付加維持管理業務
 ①温浴施設等
  大浴場、露天風呂、サウナ、家族風呂の温浴施設及び関連する休憩施設等が常時正常に利用でき、利用者に不便のないように保守、点検、清掃を行うと共に、清潔で安心安全な運営を行うものとする。
 ②宿泊滞在施設
  宿泊施設が常時正常に利用でき、利用者に不便のないように保守、点検、清掃を行うと共に、清潔で安心安全な施設提供と公平な利用予約体制で管理を行うものとする。
 ③体験実習館・屋内交流広場
  利用者に不便のないように保守、点検、清掃を行うと共に、清潔で安心安全な施設提供を行う。また、都市農村交流施設としての設置日的に従い、地域内活動での使用を積極的に受入れながら地域外との交流を進め、施設利用の促進を図る。
 ④鉄道展示館
  電気機関車等の観覧が自由にできるとともに、アプト式電気機関車「ED42」・EF63型電気機関車を活用してアプト式の仕組み、電気機関車の仕組みが学習できるように展示等配慮すること。また、シミュレーター体験コーナーの適切な保守と点検、管理を行うこと。
 ⑤鉄道資料館
  鉄道模型「碓氷峠ジオラマ」の演出運転をおこない、運転に支障のないように適切な保守・点検と管理を行うこと。また、鉄道資料等の観覧が自由に出来るように配慮するとともに、展示替えや新しい企画展示等を自主事業として行うこと。
 ⑥鉄道車両の屋外展示等
  屋外に静態保存している鉄道車両が自由に観覧できるよう点検と管理を行うとともに、鉄道車両について学ぶことができるように配慮すること。また、車両の状況に応じ車両の塗装・修繕について、市と協議し自主事業として実施することができる。
 ⑦その他の鉄道関連施設
  体験用整備施設とそれに付随する車両・遊具については、利用者の安全確保を第一とし、必要な保守・点検と管理及び修繕を行うこと。
 ⑧売店等の飲食関連施設
  土産物等の販売、地域振興のための地域特産物の販売を行うと共に、食品の販売に当たっては衛生管理に心がけること。
(3)その他管理に付随する業務
 ①付帯施設
  公園及び施設に付帯する公衆トイレ、駐車場及び県道からの進入道路等に関して、清掃・除草等の管理を行うこと。また施設運営に支障のない場合においては、市及び関連団体からの要請による付帯施設の貸出しを行うこと。
6.報告業務
 管理業務の実施状況及び利用状況に関して記載した月毎の事業報告書を作成し、翌月の10日までに報告すると共に、当該年度のまとめたものを年度終了後60日以内に提出すること。
7.備品等
 別紙管理物件目録に記載した建物(付帯施設を含む)及び備品について適切な点検及び保守管理を行うこと。

          管理物件目録
1 碓氷峠鉄道文化むら
 1 施設
  ①建物
No.        物件名       棟数  面積㎡   備考
1 鉄道資料館             1  1,156.94 鉄筋コンクリート造3階建
2 事務所(ゲート)          1    23.38 鉄筋コンクリート造平屋建
3 便所A               1    35.35 鉄骨造平屋建
4 便所B               1    35.35 鉄骨造平屋建
5 機関車庫(2ftゲージ機関車保管庫) 1   168.50 鉄骨造平屋建
6 機関車保管庫(ミニSL保管庫)   1    31.00 鉄骨造平屋建
7 倉庫                1    27.24 鉄骨造平屋建・
8 待合室A              1    20.00 鉄骨造平屋建
9 鉄道展示館             1  1.139.58 鉄骨造一部RC造平屋建
10 四阿(当会注:しあ=あずまや)   1    31.84 木造平屋建
11 プラットホーム上屋         1   443.00 鉄骨造平屋建
12 モニュメント広場上屋        1    36.00 鉄骨造平屋建
13 仮設売店              6    59.40 プレハブ造平屋建
14 券売機室              1    9.00
15 待合室B              1    9.03 プレハブ造平屋建
16 鉄道文化むら駅(トロッコ列車保管庫)1   160.00 鉄骨造平屋建
17 とうげのゆ駅プラットホーム上屋   1    54.00 鉄骨造平屋建
  ②施設
No.        物件名         数量   備考
1 鉄道歴史ジオラマ(HOゲージ)     1式
2 鉄道歴史ジオラマ(Nゲージ)      1式
3 「歴史を知るコーナー」パソコン設備   3台 H19、故障、老朽化により廃棄
4 運転体験シミュレーター         1式 H19、故障、老朽化により廃棄
5 入場券乗車券券売機(ETV-3011) 2台
6 ジオラマ説明映像機 液晶ディスプレー  1台 H19、故障、老朽化により廃棄
7 ジオラマ説明映像機 LDプレーヤー   1台 H19、故障、老朽化により廃棄
8 EF63型機関車シミュレーター     1式
9 189系電車シミュレーター       1式
  ③物品
No.        物件名         数量   備考
1 ショーケース(内売店用)        1
2 資料館展示用ショーケース       20
3 二人乗標準型人力車           1両
  ④車両
No. 物件名                数量   備考
1 SLあぷとくん             1両 遊具
2 DLあぷとくん             1両 道具
3 2ft客車                3両 遊具
4 トロッコ列車シェルパくん(軌道モーターカーTMC500A) 1両 遊具
5 トロッコ客車(オープンタイプ)UTBT01 1両 遊具
6 トロッコ客車(普通型)UTBT02     1両 遊具
7 電気機関車EF53-2         1両 展示用
8 電気機関車EF59-1         1両 展示用
9 電気機関車EF58-172       1両 展示用
10 電気機関車EF15-165       1両 展示用
11 電気機関車EF62-1         1両 展示用:
12 電気機関車EF63-1         1両 展示用
13 電気機関車EF60-501       1両 展示用
14 電気機関車EF70-1001      1両 展示用
15 電気機関車EF80-63        1両 展示用
16 電気機関車EF30-20        1両 展示用
17 ディーゼル機関車DD51-1      1両 展示用
18 ディーゼル機関車DD53-1      1両 展示用
19 気動車キハ20-467         1両 展示用
20 気動車キハ35-901         1両 展示用
21 気動車キニ58-1           1両 展示用
22 客車オハユニ61-107        1両 展示用
23 客車ナハフ11-1           1両 展示用
24 客車オハネ12-29          1両 展示用
25 荷物車スニ30-8           1両 展示用
26 1等寝台車マイネ40-11       1両 展示用
27 食堂車オシ17-2055        1両 展示用
28 電気機関車EF63-10        1両 展示用
29 電気機関車EF63-11        1両 動態保存用
30 電気機関車EF63-24        1両 動態保存用
31 電気機関車EF63-24        1両 動態保存用
32 電気機関車EF63-25        1両 動態保存用
33 電気機関車ED42-1         1両 霊示用(JRからの賃与)
34 お座敷客車(12系)スロフ12-822(赤城) 1両 休憩用
35 お座敷客車(12系)オロ12-841(榛名)  1両 休憩用

36 事業用貨車ヨ3500-822      1両 体験運転用
37 電気機関車EF62-54        1両 展示用
38 直流電車189系(あさま)       3両 展示用
39 蒸気機関車D51-96         1両 晨示用(JRからの貸与)
40 軌道モーターカーTMC-200B    1両 運転
41 軌道モーターカーTMC-200C    1両
42 操縦車ソ300             1両 展示用
43 電気機関車EF65-520       1両 展示用
44 ミニSLD-51型           1両 展示用
45 ミニSLS-6型            1両 展示用
46 ミニSL9600型           1両 展示用
47 ミニSL客車              5両 展示用
48 シミュレーターEC189系       1両 体験用
49 シミュレーターEF63-18      1両 体験用
50 新幹線用軌道確認車GA100      1両 展示用

2 碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」
 1 施設
  ①建物
No.        物件名       棟数  面積㎡   備考
1 峠の湯               1  2,449.23 鉄筋コンクリート造(一部鉄筋)2階建
2 公衆便所A             1    37.54 鉄筋コンクリート造平屋建
3 公衆便所B(峠の湯駅前トイレ)   1    22.50 木造平屋建
4 倉庫                1    33.64 鉄筋コンクリート造平屋建
5 プレハプ倉庫            2       プレハプ造平屋建
  ②施設
No. 件名               数量   備考
1 喫煙ルーム             1  排煙装置付
  ③物品
No.        物件名       数量   備考
1 入温館システム           1式 H23老朽化により廃棄
2 テレビジョン            1台 H24老朽化により廃棄
3 日立カラーテレビ          1台
4 東芝カラーテレビ          0台 なし
5 ナショナル平面テレビ        2台
6 コンピューター用プリンター     1台 エプソンプリンターMJ8000C
7 ドミノベンチ            5脚
8 ハイスタンドテープル        2脚
9 ハイスツール            6脚
10 安楽椅子片肘付          18脚
11 安楽スツール            2脚
12 サイドテーブル           6
13 ラタンア一ムチェアクッション付  12
14 ラタンテープル           3
15 ラタンラック            1
16 ベンチベッド            2
17 洋室ダイニングセット        1
18 RN-アルトナチュラル3点セット   1
19 サービスワゴン           3
20 ステンレス物品棚          3
21 ラタンベンテ            4
22 ダイアパースタンド(オムツ交換台) 2
23 シングルソファ          12
24 コーナーソファ           2
25 テーブルW720*D720*H350      2
26 テーブルW7900ネD600*H350     2
27 スクリーン             2
28 座卓W1200*D750*H330      50
29 座卓諏訪W1200*D750ナチュラル   1
30 座卓W1200*D900*H350白河     1
31 片袖デスク             5
32 一般PC用デスク           1
33 収納庫型金庫            1
34 ミーティングテープル        1
35 クリスタルトレイコンビ型      1
36 両開き扉書庫            3
37 更衣ロッカー            6
38 シューズポックス          1
39 傘立て               2
40 スリッパラック           1
41 下足箱               2
42 演台                1
43 花台                1
44 パンフレットスタンド        1
45 ブックトラック           1
46 多目的展示パネル(ポール)     8
47 多目的展示パネル(パネル)     6
48 図書                1式
49 扇風機               2台 ナショナル2台
50 空気清浄機             1台 象印
51 液晶カラーテレビ32型東芝32AIS   2台

3 くつろぎの郷
 1 施設
  ①建物
No.        物件名       棟数  面積㎡   備考
  屋内交流広場            1   904.18 鉄骨造2階建
1 コテージA             1    51.00 木造2階建
2 コテージB             1    59.55 木造2階建
3 コテージC             1    67.22 木造2階建
4 コテージD             1    44.16 木造2階建
5 コテージE             1    73.26 木造2階建
6 コテージF             1    57.57 木造2階建
7 コテージG             1    76.00 木造2階建
8 体験実習館             1   270.90 木造平屋建
9 四阿(当会注:しあ=あずまや)   1    33.64 木造平屋建

  ②物品
No.        物件名       数量  備考
 (記載事項なし)


【平成19年10月18日付起案用紙】
起案用紙
年度    平成19年度
文書種類  内部
文書番号  第13596号
保存年限  5年
受付年月日 平成19年10月16日
保存期限  平成25年6月1日
起案年月日 平成19年10月18日
廃棄年度  平成25年度
決裁年月日 平成19年10月18日
分類番号  大6 中3 小1 簿冊番号2 分冊番号3
施行年月日 平成  年  月   日
完・未完別 完結
簿冊名称  施設整備関係書類
完結年月日 平成20年5月31日
分冊名称  碓氷峠信越線の綴
施行区分  重要
公開    1 非公開 時限秘( 年)部分秘 全部秘 2 公開
起案者   松井田支所産業建設課商工観光係 職名 課長補佐 氏名 新井潤 内線(2131)
決裁区分  市長
決裁    市長:岡田 部長・原田 課長・荒川 係長・新井 係・- 公印・-
関係部署合議 商工観光課長・? 商工観光課観光係・? 財政課長・田島 財政課管財係長・富田 産業部長・土屋
課内供覧  -
宛先    -
差出人   -
件名 旧信越線施設の盗難被害状況について
 上記のことについて、別紙のように報告してよろしいか伺います(別紙 枚)
 旧信越線施設の熊の平駅から軽井沢間の線路敷について、本年9月18日に管理のための除草作業を実施したところ、施設の電線(銅線)が切断され不明になっているのを発見したため、10月4日に改めて被害状況を確認したところ、別紙のとおりでした。
 つきましては、盗難の疑いが高いため被害届を松井田警察署に提出してよろしいかお伺いします。
         記
場 所   旧信越線(熊の平~軽井沢間 第6トンネル~第16トンネル間)
届出物件  電線(銅線)
      重さ 2668.8kg
推定被害額 1,067,000円(1kg=約400円)

(別紙)
          旧信越線施設の被害状況について
          (熊ノ平~軽井沢間の下り線)
                    平成19年10月4日現在
【経過】
 旧信越線(新線)は平成10年9月に東日本旅客鉄道から安中市(旧松井田町)が譲渡(横川16号踏切~しなの鉄道境界地点)を受け市財産となっています。
 現在の管理状況は、毎年、主に下り線を中心に除草等実施していますが、今年9月18日(火)に除草作業を実施したところ、第10トンネルで電線(銅線)が切断され、不明となっているのを発見しました。なお、前回に現地を確認したのは、平成18年7月18日の除草作業時です。
 そこで、10月4日(木)に改めてその状況を調査した結果は下記のとおりです。
【不明物件】
NO  所   在       物  件      延長  重 さ   その他
1 第6トンネル前     電線φ20mm× 8本   5m  45.4kg
2 第6~第7トンネル間  電線φ15mm× 2本   31m  20.5kg  熊ノ平から3つ目
3 第7トンネル内       φ10mm× 5本  162m  172.5kg
4 第8トンネル内       φ10mm× 2本  173m  73.6kg
                φ 5mm× 3本  173m  90.3kg
                φ 3mm× 4本  173m  49、1kg
5 第9トンネル手前      φ20mm×16本   6m  108.9kg
6 第9トンネル内       φ10mm× 2本  250m  106.4kg
                φ 5mm× 3本  250m  130.5kg
                φ 3mm× 4本  560m  159.2kg
                φ20mm× 2本  220m  499.4kg  右側
7 第9~第10トンネル間   φ15mm× 2本   46m  30.4kg
                φ20mm×16本   10m  181.6kg  上り線
8 第10トンネル内      φ10mm× 2本      30.2kg
                φ 5mm× 3本   71m  37.2kg
                φ 3mm× 4本      20.0kg
9 第11トンネル内      φ10mm× 2本      123.4kg
                φ 5mm× 3本  290m  151.5kg
10 第11~第12トンネル間  φ20mm×16本   5m  91.2kg
11 第12トンネル内      φ10mm× 2本      84.7kg
                φ 5mm× 3本  175m  91.3kg
12 第13トンネル内      φ10mm× 2本      85.2kg  生活の
                φ 5mm× 3本  199m  103.8kg  形跡あ
                φ 3mm× 2本      28.2kg  り 
13 第16トンネル前      φ20mm×16本  8.5m  154.3kg
 合計 2,668.8kg≒1,067,000円(1kg400円) 1kg単価300~600円
※ 調査者 原田支所長、商工観光係 新井、財団 白石理事長、大野課長
※ 実地検分 10月16日、松井田警察署捜査課と実施した。立会者 荒川産業建設課長、商工観光係 新井、管財係 大野。

<現場写真>

9号トンネル内


10号トンネル横川方入口(上)と9号トンネル軽井沢方出口(下)


11号トンネル軽井沢方出口
**********

■驚くべきことに、6年前にも今回と全く同じ手口で銅線2,668.8kgが盗まれていたのに、「その際の再発防止策を協議した過程と内容」に関する公文書が存在していないのです。

 また、「6年前の2007年10月17日の類似事件の警察への被害届」も、今回の「警察への被害届」も警察で記入し、コピーはできないという理由で安中市には存在していないのです。

 さらに、「管理委託財団からの被害に係る連絡・報告等及び財団との対策協議内容」についても、文書が存在しないというのです。

 それでも不幸中の幸いと言うか、6年前の被害届に関する起案用紙は保存期間満了寸前だったため、廃棄されるのを免れていました。

 銅線の価格は、JR東日本から旧松井田町(現・安中市)に2002年9月に旧信越線が譲渡された当時は、トン当たり10万円前後でした。この傾向は1998年~2003年まで続いていました。
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_pcopp.html

 ところが、中国経済の拡大により世界的な金属需要の増加により非鉄金属として需要の高い同の地金の単価が2004年から急上昇を始めました。そして、2007年にはトン当たり年間平均85万円という事態になり、2008年5月にはスポット的に90万円を超えることもありました。

 6年前の2007年10月18日に松井田署に提出された被害届には、同年9月18日に除草作業中に第10トンネルで銅線切断が発見され盗難に気付いたとあり、それ以前に現地確認をしたのは2007年7月18日の助走作業時だったことから、1年余りの間の犯行ということになります。

 前述のとおり、この当時は2008年9月15日のリーマンショック直前で、同相場は高止まりをしており、窃盗団は碓氷峠の信越線の廃線区間の監視が夏場の除草作業時以外には為されないことを知っていて、悠々と犯行に及んでいたことが想像できます。

 松井田町は、2006年(平成18年)3月18日に安中市と対等合併しましたが、2006年の銅の価格はトン当たり80万円前後でした。2005年は40万円でした。したがって、銅価格がピークになったのを見計らっての犯行と見られますが、少なくとも、2007年3月12日までは、桜井正一氏が碓氷峠交流祈念財団理事長に就いており、信越線復活に向けて精力的な活動をしていたことから、JRから受け継いだ鉄道財産の維持には注意が払われていたことが想像されます。

■ところが、2007年3月12日に開かれた碓氷峠交流記念財団の理事会と評議員会では、岡田市長の事前根回しで評議員会が桜井正一理事長の理事再任案を否決し、同財団は評議員会のみが理事を選任できることから、桜井氏は理事長を事実上解任されてしまい、その後の理事会で白石敏行氏が選任されたのでした。ちなみに、同財団が正会員として加盟している日本鉄道保存協会(Railway Preservation Society of Japan:RPSJ)の2008年総会の模様は次のURLを参照ください。
http://www.rpsj.jp/081002.html
http://www.rpsj.jp/081002/IMG_0072.jpg

 当時の新聞報道によると、評議員会でほかの理事は再任されたが、桜井理事長の理事再任案のみが無記名投票となり、二対四で否決されたということです。当時、信越線復活計画をめぐって、進め方で桜井氏と安中市の岡田義弘市長が対立していて、安中市関係者は「市が復活計画の実現を目指す方針は変わらない」と述べ、桜井理事長の解任劇の背景に、市の主導で計画を推進する狙いがあるとの見方を示唆していました。

■その後、同財団で信越線の復活計画が真剣に審議された様子はなく、現在に至っていることから、合併後の初代市長になった岡田市長が、信越線復活に熱意をもっているはずがありません。

 窃盗団は、こうした流れを察知していたからこそ、安心してトンネル内に寝泊りしながら、長距離の銅線をじっくりと切り刻み、取り外して、熊ノ平付近の国道18号旧道からアクセスの近い第10トンネル近辺で、作業員を装ってトラックに積み込み、持ち去ったものと見られます。

 うがった見方をすれば、合併後の安中市は、譲渡された鉄道財産に無関心であることを知っている連中が、こうした蛮行に及んだという可能性も指摘できます。

■それでも、6年前の被害届の際の「旧信越線施設の被害状況について(熊ノ平~軽井沢間の下り線)平成19年10月4日現在」を見ても分かるとおり、トンネルごとに割合詳しく被害調査を行っています。その結果、電線重量を詳しく算出して、「合計 2,668.8kg≒1,067,000円(1kg400円) 1kg単価300~600円」として被害届を安中署に出していました。

 それに比べると、今回の電線盗難事件では、安中市はさらにいい加減な対応に終始しています。いわく、「算出根拠 平成19年10月に算出した被害額より推計 理由:前回と被害状況が酷似しているため」などとして、盗まれた電線サイズや長さを詳しく調べないまま「長さ延べ約11.4km、重量約6,084kg」として「6,084kg×300円≒1,825,200円」など大雑把に試算して被害届を安中署に出しました。

 前述のように、鉄道に電気を供給する「トロリ線」は、公称断面積110平方ミリメートルの溝付トロリ線の場合、直径が12.34mmとなっています。これはちょうど1mあたりの質量が1kgとなります。今回盗難に遭ったトロリ線と信号ケーブルのサイズと長さが不明な為、確かのことは分かりませんが、盗難に遭った11.4kmの電線がすべて直径トロリ線と仮定すれば総重量は単純計算で11,400m×@1kg/m=11,400kg=11.4トンになります。

 また、電線の被害額も、前回はキロ当たり単価を400円としていたのに、今回は300円としています。その理由は「“被膜付き”なので単価が下がる」というのです。

 被膜をはがすのには手間が若干かかりますが、燃やしたりすれば簡単に除去できます。円安のせいもあって現在トン当たり約75万円するのですから、原料として溶かすだけで、品質の良い銅が得られる廃電線はkgあたり600円程度は見ておくべきでしょう。

 となると、今回の被害額は少なくとも、500万円はくだらないと思われます。

■さらに驚かされたのは、6年前の電線盗難事件のときは、現場調査に松井田支所長と商工観光係のほかに、財団から白石理事長と課長が参加していました。にもかかわらず、なにも再発防止対策が講じられていないのです。

 今回の開示に際して、市商工観光課の担当者の話によれば、JRから譲渡を受けた際には、トンネルの入口には有刺鉄線が張られていたということですが、その後、放置しているうちに何者かに破られて、自由にトンネル内に出入りできるようになっていたそうです。

 防犯カメラの設置にはコストがかかるかもしれませんが、侵入者を検地するセンサーなどの設置等、なんらかの対策を講じる余地は十分あったはずです。

 6年前と異なり、今回盗難にあった電線は切断面をみると、新旧さまざまで、相当長期間にわたり犯行が行われていたことがうかがえるのだそうです。

 従って、施設保有者の安中市も、除草作業を委託されている財団も、殆ど廃線区間の見回りはやってこなかったことがうかがえます。

■当会は、鉄道施設の管理について、安中市とその指定管理者の同財団がどのような業務委託契約を締結していて、責任の所掌範囲はどうなっているのかを検証すべく、契約書の類を情報開示請求しました。すると、前述の平成24年2月22日付「碓氷峠の森公園の管理運営に関する仮基本協定書」が開示されました。

 これを読むと、3年ごとに協定書が更新されていますが、碓氷峠の森公園として管理委託対象となっている施設は、次の7箇所となっています。
(1)碓氷峠の森公園
(2)碓氷峠の森公園交流館(当会注:「峠の湯」のこと)
(3)碓氷峠の森公園屋外公衆トイレ2棟
(4)体験実習館
(5)宿泊滞在施設(コテージ)4人用2棟、6人用3棟、8人用2棟、あずまや
(6)屋内交流広場ならびに屋外交流広場
(7)碓氷峠鉄道文化むら

 驚くべきことに、ここには信越線の廃線部分はもとより、トロッコ列車による旧碓氷線の下り線を使った「鉄道文化むら」と碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」(約2.6km)の区間も含まれていません。また、旧上り本線を利用したアプトの道も見当たりません。なお、このアプトの道はアスファルトで舗装されていますが、急勾配のレールの重さによるずれにより、所々にアスファルトにひびが入っていて、現在でも年間数ミリのレールのずれが起きています。

■ということは、JRから譲り受けた信越線廃線区間の維持管理は安中市の所掌であることが分かってきます。となると、この盗難は安中市の管理体制に問題があって、それが原因で発生したということになります。

 では碓氷峠交流記念財団に責任はないのでしょうか。

 同財団が加盟する日本鉄道保存協会の2012年総会の冒頭で同協会の理事長 菅建彦理事長による次のメッセージが述べられています。
 「昨年の大震災・津波・原発事故が残した大きな傷がまだ癒えず、欧州の経済危機に発する世界的不況と異常な円高の中で、日本経済も長い不振にあえいでいます。このことは、鉄道遺産保存の運動にも深刻な影響を与えていますが、同時にいまの日本人の心は、騒々しい成長とうわべだけの経済的繁栄よりも、もっと奥深い精神と文化の豊かさを求めていると言えましょう。日本の近代化を牽引した鉄道遺産を保存し、その価値を後世に伝える私たちの活動は、現代の日本人の心の底にある欲求に添うものであり、現在の鉄道ブームを単なる流行に終わらせないよう、理解者と支援者を増やす努力を続けたいと思います。」

 鉄道遺産を保存するのが同財団の存在の主旨と思われますが、実際にはどうなのでしょうか。

 昨年7月に発生した修理したばかりの虎の子の電気機関車EF63の脱線事故で、再び修理費を安中市の公金から投入したことは市民の記憶に新しいところです。

■さらには、財団の実態についての次のような巷間情報が相変わらず当会に次々と寄せられています。

[1] 文化村の古くからいる職員が悪い、仕事はバイト任せ職場虐め暴言無視。気に入らなければ虐めて辞めさせる様しむける。係長・主任くらすがグルになって職場いじめや同和差別をしている。
[2] 古株の職員の職場で流行るものとして、通販ショップ、新人虐め、無視、仲間はずれ、自主退社のしむけ。文化村の係長・主任が、退職しても、辞めずに仕事にきて金を貰っている。
[3] 覆面調査で判明した呆れる文化村職員ら。毎日古株達のお茶会での悪口大会、職場放棄、新人虐め差別、仕事中の仲間外れ、スマホゲーム、特定の人を虐めて楽しんでいる職員達にも、ボーナスが支給されている実態。給料もらう価値があるの。

 こうした巷間情報の真意は確かめようがありませんが、財団に、鉄道財産を守り抜き、将来の鉄道復活のために備えるという熱意が薄いことだけは確かなようです。

 よもや「トロッコ列車はディーゼル駆動だから、架線は必要ないので、盗難というか、無償で撤去作業をしてもらったから、感謝しなくちゃ」などと考えているのでは、と勘ぐられないように、早めに安中市と協議をして、暇な職員を定期的に巡回指導させるなど対策を講じたほうがよいかもしれません。“時既に遅し”かも知れませんが…。

■当会では、今回の2度にわたる盗難事件を奇貨として、安中市と財団は、同様に廃線路線を保有管理している他の自治体があれば、どのような管理体制を敷いているのか、情報交換に努め、同時に、今回の盗難事件の実態を詳しく調べて、他の自治体に類似事件の発生を抑止するため、積極的に情報発信をするように、市商工観光課の担当者らにお願いをしました。

 しかし、わずか6年足らずのうちに2度も市有財産施設から電線をごっそり盗まれた責任は、やはり岡田市政にあると当会では考えています。なぜなら、本当に信越線の復活を見据えているのであれば、積極的に行動していた財団の桜井理事長のやり方を支援していたはずです。

 ズサンな管理体制の組織ではロクな施設管理もできません。動態保存というカネのかかる鉄道テーマパークとして、他の類似施設と伍して運営していくには、余りにもお粗末な現状です。

■地方自治法第242条第1項によれば、地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法もしくは不当な公金の支出、財産の取得、管理もしくは処分、契約の締結もしくは履行もしくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課もしくは徴収もしくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、もしくは是正し、もしくは当該怠る事実を改め、又は当該行為もしくは怠る事実によって当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができると規定しているからです。

 他方で、史上空前の51億円巨額横領事件を起こしても、誰も責任を取らない安中市ですので、土地開発公社の理事・監事を勤めたこともある岡田市長が、たかが数百万円の窃盗事件についてどの程度関心があるのか、はなはだ心もとないのも事実です。

 当会では、市有財産の管理懈怠で市への損害を招いた今回の電線盗難事件について、地方自治法242条第1項で定めた住民監査請求に馴染むかどうか、目下、分析中です。

■最後に、市商工観光課の担当者らに、平成25年5月28日に安中署に「被害届」を提出した後、警察から何か捜査情報の進展について連絡があったのかどうか、質問しました。担当者らによれば、「これまで何も連絡はありません」とのことでした。

【ひらく会情報部】

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