友へ

とろりとした　お茶を飲もうよ
舌の上で転がして　
のっぺりとした　お茶を飲もうよ
ほっぺの中で　しばしふくんで

ほら
甘いでしょう
ほら
ほっとするでしょ

とろりの
のっぺりの
お茶を飲もうよ

あなたの怒りがどこかへいくように
あんたの憤り（いきどおり）がどこかへいくように

お茶を飲もうよ

ほんとはあなたに会っていしょにそいつの悪口をいいたいよ
ほんとはあなたに会ってそいつのことを聞きたいよ
ほんとはあなたに会ってあなたの腹立ちを聞きたいよ

でも　今夜は遅いから

そうね

とろりとしたくず湯を飲もう
もう　遅いから　やや甘い　くず湯がいいね

ほら　あったまったでしょ
ほら　深呼吸ができるでしょ
ほら　すこしほほえみがでてきたでしょ

さあ　寝よう
さあ　休もう
さあ　あったかい　あんかの入った　柔らかい　ふわふわの　布団の中に　入ろう
ほら　気持ちいいでしょ
大丈夫　明日まで　あったまろ

明日は　天気いいかな～
明日は　おぼろたいようかな～
明日は　かぜがそよ風で　きっと　きもちいい春の日だよ

もうすぐ　満月
おぼろ月夜になるかな～
それとも　
煌々と輝く　すばらしい　満月になるかな～

おやすみ～～～～～

友の

ほんとうは　ほんとうは　腹立たしいことがあった
ほんとうは　ほんとうは　憎々しいことがあった
どうして　あんたは　わたしを　無視するの？
どうして　あんたは　わたしに　指示するの？
どうして　あんたは　わたしを　けなすの？
どうして　あんたは　わたしがしたことを　ためすの？
どうして　あんたは　わたしを　笑うのよ

だから　いやなの　あんたと　いるのが
だから　いやなの　あんたと　同じ屋根の下でいるのが

だから　もう　いっしょはいやなの
だから　もう　退職したいの
だから　もう　いっしょのへやの空気は吸いたくないの
だから　もう　辞めさせてよ

あなたに雇われてはいないけど
あなたはわたしの雇用主のようにふるまって
わたしを自由にあやつろうとする
わたしはあなたの人形ではないの
あなたの奴隷ではないの

失礼な態度が許せない

ムラムラと腹が立つ
腹が立ってそこらあたりのものを投げ出したくなる
そこらあたりのものを蹴飛ばしたくなる

そんなわたしってだめね
そんなわたしっていやだわ
そんなわたし許せない
そんな
そんな
そんなわたしどうすればいいの？

たすけて



友から電話・・・・・・・・・・・・・・・・・・

春

月もおぼろ
陽もおぼろ
そんな春
沈丁花
すみれのかおり
部屋にかざって
人から人に
春をつないで

穏やかな春は
野の風
雲の影
椿の落花誘い
薄暗い道に
雪柳まだ蕾

幼すぎて
なんの葉芽なのか
積まないで
見つめる
柔らかな土の上
小鳥ついばむ

昼の興奮が
収まっていく
真夜中の月
いまだおぼろに
満月を待つ

心から悦んで
今日を終えたら
明日を待って
眠りにつこう
もう少し
時間がほしい
春の夜