広がる薬膳ブーム 食事で体調管理 料理店、講座が活況 〈暮らしナビ〉
共同通信社 8月14日(水) 配信
夏ばて解消に効果があるとされる薬膳料理への関心が高まっている。中国古来の医学の知識を生かし、普段の食事で体調を整える薬膳の考え方が共感を呼んでいるからだ。季節の食材を使った料理店が人気になり、家庭料理の作り方を学ぶ教室に通う人も増えている。
▽和風に工夫
東京都港区のオフィス街にあるレストラン「旬穀旬菜(しゅんこくしゅんさい)カフェ」は薬膳料理の日替わりランチが好評で、昼は女性客らで満席になることが多い。薬膳ランチは2種類のメニューから選べる。
夏のこの日のメーンは、一品がいらいらした気分を鎮めるとされる魚のキスを使った。素揚げにしてトマトソースをかけた。もう一品は体の余分な熱を除き、健康を保つといわれるゴーヤー入りの豚のひき肉をゆでた肉団子で、さっぱりとした味わいに仕上げた。
菊地寿子(きくち・ひさこ)店長は「薬膳は旬の食材を使うのが基本。夏に採れる野菜は体を冷やす作用があり、夏ばて予防に効果があるといわれます」と説明。本場中国の薬膳に基づきながら「一汁三菜」の和食の家庭料理風献立にした。初めて味わう人にも親しみやすく、食べやすくなる工夫を凝らした。
▽社食が母体
店はもともとロート製薬が運営する社員食堂が母体。社員の健康維持に役立てようと、大阪市の本社の社員食堂で薬膳メニューを採用したところ、社内で大受けした。5年前に東京支社の社員食堂を兼ねて外部の人も招くレストランとしてオープン。利用客の約8割は外部の一般客という。
ほぼ毎日訪れる一般客の会社員の女性(47)は「一人暮らしで仕事が忙しく、家で健康に配慮した料理をあまり作れないので、ここで昼食をとると安心」と話す。接客係の溝間(みぞま)さおりさんは「最近はお客さんからどの食材にどんな効果があるか聞かれることが増えた」と手応えを感じている。
▽簡単レシピ
薬膳ブームはインターネットの世界でも広がりつつある。大日本印刷やリクルートホールディングスなどが出資するネット会社の生活情報サイト「オールアバウト」にも5月から「15分で作れる薬膳レシピ」コーナーが新設された。
最近は、中国の伝統医学を長年学んだ滝本靖子(たきもと・やすこ)さんが、冬瓜(とうがん)と豚肉のスープなど熱中症予防にもつながるとされる約10種類のメニューを紹介。アクセスが大きく伸びた。
滝本さんは東京都世田谷区と横浜市で、数年前から薬膳教室「心味(ここみ)」を開いている。食材と健康との関わりや家庭で作れるメニューを教える講座には「昨年から30~40代の女性を中心に受講申し込みが急増した」。
世田谷区の教室に1年前から通っている東京都内の主婦(46)は「習った料理をするようになってから大学生の息子の体調が良くなり、夫のいらいらも少なくなりました」と笑顔で語った。
共同通信社 8月14日(水) 配信
夏ばて解消に効果があるとされる薬膳料理への関心が高まっている。中国古来の医学の知識を生かし、普段の食事で体調を整える薬膳の考え方が共感を呼んでいるからだ。季節の食材を使った料理店が人気になり、家庭料理の作り方を学ぶ教室に通う人も増えている。
▽和風に工夫
東京都港区のオフィス街にあるレストラン「旬穀旬菜(しゅんこくしゅんさい)カフェ」は薬膳料理の日替わりランチが好評で、昼は女性客らで満席になることが多い。薬膳ランチは2種類のメニューから選べる。
夏のこの日のメーンは、一品がいらいらした気分を鎮めるとされる魚のキスを使った。素揚げにしてトマトソースをかけた。もう一品は体の余分な熱を除き、健康を保つといわれるゴーヤー入りの豚のひき肉をゆでた肉団子で、さっぱりとした味わいに仕上げた。
菊地寿子(きくち・ひさこ)店長は「薬膳は旬の食材を使うのが基本。夏に採れる野菜は体を冷やす作用があり、夏ばて予防に効果があるといわれます」と説明。本場中国の薬膳に基づきながら「一汁三菜」の和食の家庭料理風献立にした。初めて味わう人にも親しみやすく、食べやすくなる工夫を凝らした。
▽社食が母体
店はもともとロート製薬が運営する社員食堂が母体。社員の健康維持に役立てようと、大阪市の本社の社員食堂で薬膳メニューを採用したところ、社内で大受けした。5年前に東京支社の社員食堂を兼ねて外部の人も招くレストランとしてオープン。利用客の約8割は外部の一般客という。
ほぼ毎日訪れる一般客の会社員の女性(47)は「一人暮らしで仕事が忙しく、家で健康に配慮した料理をあまり作れないので、ここで昼食をとると安心」と話す。接客係の溝間(みぞま)さおりさんは「最近はお客さんからどの食材にどんな効果があるか聞かれることが増えた」と手応えを感じている。
▽簡単レシピ
薬膳ブームはインターネットの世界でも広がりつつある。大日本印刷やリクルートホールディングスなどが出資するネット会社の生活情報サイト「オールアバウト」にも5月から「15分で作れる薬膳レシピ」コーナーが新設された。
最近は、中国の伝統医学を長年学んだ滝本靖子(たきもと・やすこ)さんが、冬瓜(とうがん)と豚肉のスープなど熱中症予防にもつながるとされる約10種類のメニューを紹介。アクセスが大きく伸びた。
滝本さんは東京都世田谷区と横浜市で、数年前から薬膳教室「心味(ここみ)」を開いている。食材と健康との関わりや家庭で作れるメニューを教える講座には「昨年から30~40代の女性を中心に受講申し込みが急増した」。
世田谷区の教室に1年前から通っている東京都内の主婦(46)は「習った料理をするようになってから大学生の息子の体調が良くなり、夫のいらいらも少なくなりました」と笑顔で語った。