治療に影響する懸念 医師への未公開株提供
2017年11月10日 (金)配信共同通信社
【解説】人の命を扱う医師が医療関係企業から多額の利益提供を受けることは認められるか。情報開示の必要性は、企業との近しい関係が患者の治療に影響する恐れは―。パラダイス文書が示した医療機器メーカーによる未公開株の提供は、そんな問題を提起している。
未公開株の取引自体は直ちに違法なこととは言えない。非上場企業の株は証券市場では取引されないが、当事者が価格などの条件で折り合えば売買が可能だからだ。
ただ今回の場合、医師と業者という密接な関係で株が取引された。医師が株を安く譲ってくれた業者に有利な判断をすれば、患者は逆に最適な治療を受けられなくなる可能性もある。
取材に応じた日本の医師らは株の購入を公表していなかったが、いずれも医療行為や判断に影響はなかったと説明している。だが、医療倫理に詳しい弁護士は「研究以外で目的があいまいな金銭のやりとりは、患者の不利益につながる恐れがある」と指摘する。
利害関係に関するルールは法律や医学界のガイドラインで段階的に整備されてきたが、透明性の向上については今後も継続的な議論が必要だ。
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