重症患者向け病床削減へ 医療の実績に応じ報酬 厚労省、費用抑制
24日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案する。
病院のベッドは医療の内容に応じて看護師の配置が異なり、患者7人に看護師1人という「7対1」が最も手厚い。「7対1」の区分は2006年度に創設され、患者1人につき病院が受け取れる「入院基本料」が1日1万5910円と高いため急増。全国に約35万4千床あり、医療費が膨らむ要因となっている。
現在、入院基本料は主に医師や看護師の配置を評価して算定しているが、厚労省は来年4月の報酬改定で、看護師数ではなく手術などの実績で支払額に差をつける考え。軽症患者に「7対1」の配置をしている場合は報酬が下がる見通し。患者によっては、看護態勢が今ほど手厚くなくなる可能性があるが、医療費の自己負担は減る。
団塊の世代が全員75歳以上となる25年に向け、各都道府県が定めた「地域医療構想」では、慢性的な病気を抱える高齢者の増加に備え、今後リハビリ向けの回復期病床や在宅医療の受け皿を増やし、急性期病床を削減する想定。診療報酬の面から構想の実現を後押しする目的もある。
ただ、経営悪化を懸念する病院団体などに配慮し、急激な収入減とならないようにする。
厚労省は14年度の報酬改定で、急性期病床を2年間で9万床減らす方針を示すなど見直しに取り組んできたが、微減にとどまっている。
※急性期病床
病院のベッドは医療の機能に応じ(1)救急患者ら向けの「高度急性期」(2)一般的な手術をする「急性期」(3)リハビリ向けの「回復期」(4)長期入院の「慢性期」―の四つに区分される。「高度」を含めた急性期は全国に約75万5千床あり、うち患者7人に看護師1人と最も手厚い配置の「7対1」病床は約35万4千床。高齢化で回復期などの患者が増えるため、各都道府県の「地域医療構想」によると、2025年に急性期の必要量は現在より3割減の約53万2千床になると見込まれる。
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