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重症患者向け病床削減へ 医療の実績に応じ報酬 厚労省、費用抑制

2017年11月23日 22時26分39秒 | 行政

重症患者向け病床削減へ 医療の実績に応じ報酬 厚労省、費用抑制

 2017年11月22日 (水)配信共同通信社
 
 厚生労働省は22日、手厚く看護師を配置している重症入院患者向けの急性期病床について、来年度から診療報酬の仕組みを大幅に見直し、ベッド数削減へ誘導する方針を固めた。現在は看護師らの人数が多いほど高い報酬を支払っているが、軽症の患者が混在している例もあるため、提供する医療の実績に応じて支払額を決める形に変更する。医療費の無駄をなくし、高齢化に伴う慢性疾患の患者増加に合わせて、病床再編を進める狙い。

 24日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案する。

 病院のベッドは医療の内容に応じて看護師の配置が異なり、患者7人に看護師1人という「7対1」が最も手厚い。「7対1」の区分は2006年度に創設され、患者1人につき病院が受け取れる「入院基本料」が1日1万5910円と高いため急増。全国に約35万4千床あり、医療費が膨らむ要因となっている。

 現在、入院基本料は主に医師や看護師の配置を評価して算定しているが、厚労省は来年4月の報酬改定で、看護師数ではなく手術などの実績で支払額に差をつける考え。軽症患者に「7対1」の配置をしている場合は報酬が下がる見通し。患者によっては、看護態勢が今ほど手厚くなくなる可能性があるが、医療費の自己負担は減る。

 団塊の世代が全員75歳以上となる25年に向け、各都道府県が定めた「地域医療構想」では、慢性的な病気を抱える高齢者の増加に備え、今後リハビリ向けの回復期病床や在宅医療の受け皿を増やし、急性期病床を削減する想定。診療報酬の面から構想の実現を後押しする目的もある。

 ただ、経営悪化を懸念する病院団体などに配慮し、急激な収入減とならないようにする。

 厚労省は14年度の報酬改定で、急性期病床を2年間で9万床減らす方針を示すなど見直しに取り組んできたが、微減にとどまっている。

 ※急性期病床

 病院のベッドは医療の機能に応じ(1)救急患者ら向けの「高度急性期」(2)一般的な手術をする「急性期」(3)リハビリ向けの「回復期」(4)長期入院の「慢性期」―の四つに区分される。「高度」を含めた急性期は全国に約75万5千床あり、うち患者7人に看護師1人と最も手厚い配置の「7対1」病床は約35万4千床。高齢化で回復期などの患者が増えるため、各都道府県の「地域医療構想」によると、2025年に急性期の必要量は現在より3割減の約53万2千床になると見込まれる。


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