殺人強盗団「ルフィ」一味、タイにも拠点か 17年に現金運搬役の女の出国を警察官が阻止 狛江の事件では手袋や目出し帽の手配を「キム」が指示
全国で相次いだ広域強盗事件で、「ルフィ」などと名乗り犯行を指示した疑いがある特殊詐欺グループのリーダー格とされる渡辺優樹容疑者(38)=窃盗容疑で逮捕=が、フィリピンを拠点とする前の2017年ごろ、タイでも特殊詐欺に関わっていたとみられることが分かった。警視庁は摘発を逃れるため拠点を転々としていたとみて調べる。
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渡辺容疑者は北海道東部の別海町出身。学生時代からススキノでアルバイトをし、客引きやパブの経営などで生計を立てるようになった。
17年にはタイに滞在していたことが出入国の記録から判明。同年8~12月、日本国内の仲間と共謀して「口座から現金が不正に引き出されている」と嘘を言い、高齢者らからキャッシュカードをだまし取るなどした疑いがある。
同年12月には、現金計約3600万円を隠し持って日本からタイに出国しようとした女らが警察官に阻止された。現金は渡辺容疑者らがだまし取ったカードで引き出されたとされ、女らは運搬役だったとみられる。
渡辺容疑者はその後、フィリピンに拠点を移した。21年4月に首都マニラで逮捕されるまで、五つ星の高級ホテル「オカダ・マニラ」に潜伏、併設のカジノで豪遊するなど派手な生活を送っていた。国家捜査局は逮捕時、渡辺容疑者について日本、フィリピンなど数カ国で活動する大規模詐欺グループの「ビッグボス」だと説明していた。
広域強盗事件でルフィと共に指示役とされるのが「キム」と名乗る人物だ。東京都狛江市の自宅で大塩衣与(きぬよ)さん(90)が殺害された強盗殺人事件では、現場付近から逃走したレンタカー内にあったスマートフォンに、キムが通信アプリ「テレグラム」で送った「手袋や目出し帽を用意するように」とのメッセージが残っていたことが分かった。
警視庁調布署捜査本部は、車両のそばにいた重要参考人の永田陸人容疑者(21)=中野区の強盗傷害事件で逮捕=への指示の疑いがあるとみて捜査している。スマホにはキムが大塩さん宅の住所や「地下に金がある」とのメッセージもあった。捜査本部はルフィやキムの特定を進めている。
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