1日20本の喫煙で転倒事故のリスク上昇
2018年7月25日(水)
6月21日から23日まで新潟市で開催された第22回日本医療情報学会春季学術大会で、九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター助教の野原康伸氏は「急性期病院における転倒事故の探索的リスク要因解析」と題した講演にて、「入院患者に関するデータを解析することで、転倒・転落事故の新たなリスク因子として『1日の喫煙本数』を発見した」と報告した。機械学習を用いた分析によって明らかになった。
機械学習で転倒事故のリスク因子を抽出
入院中における転倒・転落事故は外傷や骨折につながり、患者のQOLに大きな影響を及ぼす。野原氏は「患者の高齢化に伴い転倒事故は増加傾向にあり、より一層の対策が求められている。これまでの転倒転落対策は、医療者の経験と勘に基づくものが多かったが、それだけでは複雑な要因の中から重要な関連因子を見落としてしまう」と指摘する。
そこで野原氏らは、転倒・転落事故に関連するリスク要因を把握するため、2014年4月-2016年3月の2年間に急性期病院に入院した患者2万2832例(延べ入院数67万7028日)を対象とし、患者情報、入退院情報、診断情報、手術情報、ケア情報など、632変数を抽出した。その上で、患者が転倒事故を起こすか否かを632個の変数で予測することで、どの変数が転倒・転落事故に強く関連しているのかを分析した。この分析には、決定木をベースとした機械学習の手法の一つである「Gradient Boosting Decision Tree(GBDT)」が用いられた。
その結果、「転倒・転落リスクスコア」(関連度1位)、「転倒・転落事故の既往」(関連度2位)、「体重」(関連度3位)といった当然に予測される項目に加え、「1日の喫煙本数」(関連度14位)という新たな危険因子が抽出された。転倒・転落リスクスコアとは、「麻痺がある」、「筋力の低下がある」、「認知症がある」などの項目をチェックすることによって、転倒・転落の危険性を評価するスコアである。さらに詳細な解析を行ったところ、1日の喫煙本数が20本以上で転倒リスクが上昇することが判明した。
この結果を受け野原氏は、「喫煙者は、喫煙所などに移動する際に転倒・転落事故を起こしやすいのではないかと考えられる。今後は解析結果に基づいて、転倒・転落リスクスコアの改定などにつなげていきたい」と締めくくった。
2018年7月25日(水)
6月21日から23日まで新潟市で開催された第22回日本医療情報学会春季学術大会で、九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター助教の野原康伸氏は「急性期病院における転倒事故の探索的リスク要因解析」と題した講演にて、「入院患者に関するデータを解析することで、転倒・転落事故の新たなリスク因子として『1日の喫煙本数』を発見した」と報告した。機械学習を用いた分析によって明らかになった。
機械学習で転倒事故のリスク因子を抽出
入院中における転倒・転落事故は外傷や骨折につながり、患者のQOLに大きな影響を及ぼす。野原氏は「患者の高齢化に伴い転倒事故は増加傾向にあり、より一層の対策が求められている。これまでの転倒転落対策は、医療者の経験と勘に基づくものが多かったが、それだけでは複雑な要因の中から重要な関連因子を見落としてしまう」と指摘する。
そこで野原氏らは、転倒・転落事故に関連するリスク要因を把握するため、2014年4月-2016年3月の2年間に急性期病院に入院した患者2万2832例(延べ入院数67万7028日)を対象とし、患者情報、入退院情報、診断情報、手術情報、ケア情報など、632変数を抽出した。その上で、患者が転倒事故を起こすか否かを632個の変数で予測することで、どの変数が転倒・転落事故に強く関連しているのかを分析した。この分析には、決定木をベースとした機械学習の手法の一つである「Gradient Boosting Decision Tree(GBDT)」が用いられた。
その結果、「転倒・転落リスクスコア」(関連度1位)、「転倒・転落事故の既往」(関連度2位)、「体重」(関連度3位)といった当然に予測される項目に加え、「1日の喫煙本数」(関連度14位)という新たな危険因子が抽出された。転倒・転落リスクスコアとは、「麻痺がある」、「筋力の低下がある」、「認知症がある」などの項目をチェックすることによって、転倒・転落の危険性を評価するスコアである。さらに詳細な解析を行ったところ、1日の喫煙本数が20本以上で転倒リスクが上昇することが判明した。
この結果を受け野原氏は、「喫煙者は、喫煙所などに移動する際に転倒・転落事故を起こしやすいのではないかと考えられる。今後は解析結果に基づいて、転倒・転落リスクスコアの改定などにつなげていきたい」と締めくくった。
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