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高知大医学部チーム「短鎖ペプチド」でアルツハイマーの新薬開発目指す

2019年12月28日 22時21分53秒 | 大学
高知大医学部チーム「短鎖ペプチド」でアルツハイマーの新薬開発目指す
2019年12月27日 (金)配信高知新聞

 脳の病気によって日常生活に支障が出る認知症。2025年には65歳以上の5人に1人がなるとされるが、根本的な治療薬はまだない。高知大学医学部の秋沢俊史客員教授(66)のチームは、「短鎖ペプチド」と呼ばれる物質を活用する「従来の常識を覆す方法」で、認知症の原因となるアルツハイマー病の新薬開発に取り組んでいるという。研究室を訪ねた。
 認知症の原因は脳血管障害などさまざまで、アルツハイマー病が約7割を占める。同病はタンパク質のアミロイドベータ(Aβ)が脳内に蓄積して神経細胞を壊すことが原因の一つとされる。
 現在使われている薬は、神経の働きを改善させて不安感やイライラなどの症状を和らげるものの、認知症の進行自体を止めることはできない。国内外の製薬会社が治療薬の開発を進めているが、実用化には至っていない。
 秋沢客員教授らはアミノ酸が4~9個つながった「短鎖ペプチド」という物質にアミロイドベータを分解する働きがあることを発見したとして、今年初めて研究成果を複数の専門誌に発表した。
 これまで、短鎖ペプチドに物質を分解するような性質があるとは考えられておらず、学術集会では他の専門家から「従来の科学の常識から逸脱した新発見」との評価を受けた。秋沢客員教授は「手元にあったペプチドとアミロイドベータを遊び半分で混ぜたら偶然発見できた。最初は信じられなかった」。
 分解のメカニズムを解析した結果、蓄積して固まったアミロイドベータの隙間から小さな短鎖ペプチドが入り込み、内部から結合を切断するとみられるという。秋沢客員教授は、その様子を人気SF映画「スター・ウォーズ」になぞらえ、「戦闘機の『Xウイング』が、敵の要塞(ようさい)の『デス・スター』を内部から破壊するようなイメージ」と説明する。
 マウスを使った行動実験では、アミロイドベータが蓄積したマウスの脳に短鎖ペプチドを投与すると、記憶障害が改善したという結果も得られた。
 現在は臨床試験に向け、マウス実験の詳細な分析を進めている。人に投与する際の方法や安全性なども慎重に検討する必要があるという。
 秋沢客員教授は幡多郡黒潮町出身。摂南大(大阪府)の教授を退職後の昨年4月、高知大医学部薬理学講座(斎藤源顕(もとあき)教授)に着任した。「アルツハイマー病の予防から治療までを対象にする、高知発の画期的な新薬になる可能性がある。夢を追いかけていきたい」と意気込んでいる。
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