厚労相 コロナ発信強化…「2歳以上にマスク」 調整不足も
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」対策を巡り、後藤厚生労働相が発信を強めている。抗原検査キットの不足や医療機関の 逼迫ひっぱく など、厚労省が担当する分野で問題が続出し、対応を求められているためだ。感染収束の見通しは立っておらず、当面は正念場が続きそうだ。
後藤氏は10日の記者会見で「決して楽観視できる状況ではない。オミクロンの特性に応じた対策をしっかり実施していく必要がある」と述べ、対応を加速化させる考えを強調した。
感染が下火だった昨年末までは、岸田首相が陣頭に立って「先手」の対策を発表してきた。だが、今年に入って感染が爆発的に広がると、後藤氏が問題対応の前面に立つ場面が増えた。
後藤氏は、この1か月で週2回の定例記者会見とは別に、記者団の質問に応じる機会を約10回設け、検査キットの医療機関への優先配布など、対策を次々と打ち出した。政府が掲げるワクチン3回目接種の1日100万回の目標も、後藤氏が6日のテレビ番組で必要性に言及し、首相が翌日に表明する流れを作った。
旧大蔵省出身の後藤氏は、自民党厚労部会長や衆院厚労委員長などを歴任し、実務能力に定評がある。党のコロナ対策の提言作成にも携わり、政策通として知られる。国会答弁の打ち合わせで官僚に長時間の説明を求めるなど「心配性の性格」(厚労省関係者)とされる。
もっとも、最近は調整不足の発言も目立つ。
後藤氏は4日の記者会見で、2歳以上の園児へのマスク着用を「前向きに進めていくべきだ」との考えを示したが、同日の新型コロナ感染症対策分科会で慎重な意見が相次ぎ、松野官房長官はその日の記者会見で、「専門家の議論を踏まえながら検討したい」と述べるにとどめた。政府が10日に改定した基本的対処方針では、「2歳以上」と明記せず、「発育状況等からマスクの着用が無理なく可能と判断される児童」に対して、「可能な範囲で、一時的にマスク着用を勧める」とした。
内閣官房幹部は「発信への慣れが、不用意な発言につながらなければよいが」と気をもんでいる。
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