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過度な自己犠牲必要ない 精神科医の斎藤環氏 大型識者談話

2019年12月19日 21時43分58秒 | 
過度な自己犠牲必要ない 精神科医の斎藤環氏 大型識者談話
2019年12月10日 (火)配信共同通信社

 令和に入ってからの皇后さまを見ていると、順調に回復されているという印象だ。以前の凍った表情から一転し、自然な笑顔が目立つ。「無理をしているのではないか」という声もあるが、限界を超えて頑張っているという雰囲気はない。適応障害の積極的な治療が必要なレベルは、抜け出したと感じる。過度に自分を犠牲にせず、公務に臨めば良い。
 米ハーバード大、東大を経て、外務省に入った皇后さまにとって、嫁ぎ先の皇室は異空間だった。一般には理解しにくいことを目の当たりにし、受け入れがたい部分があったはずだ。加えて、これまでの知識や経験を度外視され、求められたことは「将来の天皇となる男子を産む」こと。身体的な面での期待しかされず、屈辱的とすら感じただろう。このような経験が、皇后さまのアイデンティティーを混乱させ、適応障害につながったと考える。
 高齢ながら働き続ける上皇ご夫妻からは「無言のプレッシャー」を感じていたかもしれない。ご夫妻と比較した国民とマスコミは「働かない嫁」と皇后さまをバッシングした。ただ、心の病を抱えた人を非難しても解決しない。皇后さまの場合も、公の場に出る機会が減り、逆効果だったと言える。
 代替わり後の5月、国賓として来日したトランプ米大統領夫妻に対しては、堂々とした態度でもてなし、国民の見る目も一変した。11月の国民祭典と即位祝賀パレードでは涙ぐんだ。感極まっただけではなく、「私は国民から愛されている。求められている」と感じ、これまで受けてきた非難とのギャップに驚いた側面もあったのだろう。
 再び症状が悪化することを一番心配しているのは、他でもない天皇陛下だ。両陛下からは、信頼関係を強く感じる。「無理をしているのではないか」と見守り、「休んでも大丈夫」と言ってくれる人が周囲にいることは、皇后さま自身の安心感につながる。
 国民に寄り添い続けた上皇ご夫妻からは、強い自己犠牲を感じた。戦争という経験を考えると、やむを得ない部分もある。ただ、時代は変わった。過度な国民ファーストでなくてよい。自身の体調と相談し、できる範囲で公務に臨んでも、受け入れられるはずだ。
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 さいとう・たまき 1961年岩手県生まれ。筑波大卒。精神科医。評論家としても活躍。著書に「人間にとって健康とは何か」「ひきこもり文化論」など。
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