高齢者施設のクラスター影響、コロナ死者1か月で1万人増…感染きっかけに持病悪化
国内では11日、新型コロナウイルスの死者が520人確認され、初めて1日あたりで500人を超えた。これまでは今月5日の498人が最多だった。読売新聞の集計では昨年12月以降、1か月余りで1万人以上も急増した。第8波で感染者数が膨らみ、高齢者施設でのクラスター(感染集団)発生なども影響しているとみられる。厚生労働省の助言機関は11日、「引き続き増加が懸念される」と指摘した。
国内の死者数は増加ペースが上がっている。読売新聞の集計では昨年5月に累計3万人を超えた後、3~4か月で1万人ずつ増えていたが、昨年12月1日に5万人を突破すると、1月8日には6万人に達した。厚労省によると、昨年11月30日~今年1月3日に報告された死者では70歳以上の高齢者が9割を占めている。
新型コロナの致死率は変異株オミクロン株が主流になって大きく低下した。厚労省によると、80歳以上の感染者では、デルタ株が流行した2021年7~10月には7・92%に上ったが、昨年7~8月は1・69%となった。第8波でもオミクロン株の系統「BA・5」などが引き続き流行しており、病原性(重症度)に大きな変化はないとみられる。
それなのになぜ死者が急増しているのか。
東京医科大の浜田篤郎特任教授(渡航医学)は、感染者の多さや感染をきっかけに持病の悪化で亡くなる高齢者が増えていることを挙げる。厚労省が集計する1日あたりの新規感染者数は第7波のピークを超えていないが、「感染者の全数把握がしっかり行われなくなり、実際には第7波を上回る感染拡大が起きている可能性が高い」と指摘する。
高齢者施設でのクラスターも増加しており、施設の入所者には持病のある高齢者が多い。浜田特任教授は「死者を減らすには高齢者施設での対策を強化するなど、高齢者への感染拡大を防ぐ取り組みが重要だ」と話している。
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