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大学入試:コロナ禍の大学共通テスト 理系女子、増加の兆し

2023年01月12日 21時39分55秒 | 大学

大学入試:コロナ禍の大学共通テスト 理系女子、増加の兆し 就職有利、医・薬が人気

 2023年1月12日 (木)配信毎日新聞社
 

 大学入学共通テスト(14、15日)に挑む受験生の志望動向は、長引く新型コロナ ウイルス禍の影響を反映し、就職に有利とされる理系の人気が高まる傾向にある。特に女子の志望に強く表れ、政府が目指す理系女子の増加が、コロナ禍による社会情勢の変化で起き始めている格好だ。「進学のプロ」たちは現状をどう見ているのか――。

 共通テストは、前年より約1万8000人少ない51万2581人が出願。国公私立大・短大など計870大学が利用する。

 「景気の落ち込みが理系人気につながることはリーマン・ショック時にもみられた傾向だ」と話すのは、ベネッセ教育情報センターの谷本祐一郎センター長だ。昨年11月、駿台予備学校と合同で実施した共通テストの直前模試で、受験生に志望先を尋ねたところ、コロナ禍による経済状況の落ち込みを反映し、資格の取得や就職に有利な理系学部に人気が集まったという。

 特に医療系の人気が高く、医学部や看護学部だけでなく、ワクチン開発への注目などから薬学部を志す受験生も増えたとしており、谷本センター長は「具体的な職業分野にまで注目が高まったのは、コロナ禍の特徴といえる」と話す。

 河合塾が昨年10月に実施した「共通テスト模試」でも、受験生約24万人のデータから私大の志望者(前年比3%減)を見ると、医学や獣医学、生物生産・応用生命など「生命」に深く関わる分野への関心が高く、いずれも前年の志望者数を上回った。一方、外国語や国際関係など入学後の海外留学が視野に入る文系学部は低調だった。

 共通テスト志願者の85%を占める高校3年生は、文理選択の時期にあたる1年生の秋をコロナ禍で迎えた。河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員は、当時はワクチン開発や医療現場が注目を浴びた一方、厳しい海外渡航制限で留学の見通しも立ちにくく、進路選択に影響を与えた可能性があると分析している。

 コロナ禍の影響を色濃く反映した「理高文低」の傾向は、女子の志向の変化が大きく影響しているようだ。私大の志望先で、医学系の分野を目指す受験生は前年比9%増だったが、女子に限ると、伸び幅が13%だった。他にも、獣医学21%増(全体16%増)▽応用化学7%増(同1%増)▽電気・電子17%増(全体変化なし)などとなった。

 一方、外国語は15%減(全体13%減)、国際関係は10%減(同9%減)となるなど、多くの学生が留学を経験し、女子からの人気の高さに支えられてきた分野については、軒並み志望者が落ち込んでいる。

 法・政治は、人気が低調だった外国語や国際関係の「受け皿」としても機能したとみられ、女子を中心に志望者が増加。医・歯・薬・保健学系は、歯学などが落ち込んで、系統全体では昨年と同水準だった。

 AI(人工知能)やグリーンといった成長産業を支える人材の需要が高まる中、女子が理系分野に進学しやすい環境づくりは、政府の「教育未来創造会議」が2022年5月に公表した提言でもうたわれた。学部段階で男子の28%が専攻する理工系は、女子だと7%にとどまり、入試で女子枠確保を図る大学への補助や、女子向けの修学支援策などを進める必要があるとした。

 大学事情に詳しい「大学通信」の井沢秀情報調査・編集部長は、女子の理系志向の高まりの背景には、国が進める学校での「探究学習」などを通じ自分の将来を考える機会が増えたことや女性のキャリアに対する保護者の価値観が変化していることがあり「性別にとらわれない進路選択につながっている」と指摘する。

 24年4月入学以降、入試で「女子枠」を設ける東京工業大や、22年度に女子大で初めて工学部を設けた奈良女子大などを例に「女性の理系人材に対する社会のニーズが高まっていて、大学も取り込みを強化している。女性の比率をさらに高めていくには、学びと将来の仕事をどう結びつけられるかを発信することが大切だ」と話した。【李英浩】

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