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院内160人に独自PCR 積極的検査でリスク減を 感染拡大阻止「病院からの報告」

2020年08月08日 23時02分40秒 | ウイルス

院内160人に独自PCR 積極的検査でリスク減を 感染拡大阻止「病院からの報告」

2020年8月7日 (金)配信西日本新聞
 

 新型コロナウイルスの感染が全国で広がる中、福岡県筑豊地区では7月、地方独立行政法人「くらて病院」(鞍手町)と一本松すずかけ病院(田川市)で、職員の感染が確認された。不特定多数が利用する病院で、クラスター(感染者集団)を発生させず、事態を収束させた両病院の幹部が本紙のインタビューに応じ、発生当時の状況や今後の取り組みなどを語った。

 ―どのようにして感染が分かったのか。

 「7月1日に福岡市で感染が確認された男性と『一緒にいた』と申し出た看護師がいたので、独自の対策として導入したばかりのPCR機器を使い、関係者を検査した。この看護師を含む2人の陽性が2日に判明し、緊張感が一気に高まった」

 「2人とも主にリハビリを担当する回復期病棟に勤務していた。この病棟の入院患者や医師、看護師、介護士らを対象に、PCR機器を使い、2~3日の2日間で約160人から唾液の検体を採り、感染有無を確かめる検査をした。休みの職員も対象者には出てきてもらい検査し、重症化が心配される透析患者にも実施した。感染の広がりをつかみ、適切な隔離を迅速に行うための検査で、結果は5人の患者が新たに『感染疑い』となり、一時隔離の対象とした」

 ―計7人の感染ならばクラスターとなる。どう受け止めたか。

 「7人はいずれも無症状なのに陽性という事実に驚き、新型コロナの難しさを実感した。3日午後から外来診療の受け入れを全て停止した。当時は最低2週間の休診を想定していた」

 ―だが県保健所が行う、鼻の奥から粘液を採って調べるPCR検査では患者5人は陰性であった。

 「この鼻から検体を採る検査を2回やって、2回とも陰性だった。病院は13日から外来受け入れを再開できた。唾液と鼻の粘液で結果が食い違った要因については結論が出ておらず、検討している」

 ―唾液による検査は役立ったといえるか。

 「唾液の検査は鼻から検体を採るときと違い、くしゃみを浴びて職員が感染するリスクがない。検体を短時間で採れるため多くの件数を検査できるメリットがある。今回約160人を調べたうち、本来陽性の人を陰性だと誤った事例はないので、感染の広がりをつかむ上で効果はあった」

 ―結果として、感染者を2人に食い止めた。

 「感染拡大を防いだという意識もあるが、今後また同じようなことが起こり得るという意識も強い。無症状患者が多いという新型コロナの特性を考慮し、重要なのは積極的に検査をして感染拡大のリスクを減らすことだ」

 「大規模ではない病院(222床)としては珍しい自前のPCR検査能力を生かし、新規入院患者や内視鏡検査を受ける外来患者に積極的に検査を行う。外に検体を運ぶより、素早く結果を出せる。それにより院内の環境に対する患者や住民の安心感を醸成していきたい」

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