歯と口の健康アラカルト たばこと歯周病
毎日新聞社 2014年6月4日(水) 配信
歯と口の健康アラカルト:たばこと歯周病 /大阪
たばこには4000種類以上の化学物質が含まれ、約200種類の有害物質、40~60種類の発がん物質が含まれています。最近このようなことが一般的に知られるようになり、また健康への意識の高まりや禁煙治療の保険導入などから喫煙者の数は減少しています。
歯の二大疾患はう蝕(むし歯)と歯周病ですが、この歯周病の進行に喫煙が大きく関係しているということがさまざまな研究から明らかになってきました。たばこの煙が体に触れる最初の臓器が口ですので、歯肉などの口の粘膜はその中に含まれるニコチンなどの化学物質や一酸化炭素、熱などの刺激が直接加わりダメージを受けます。
血管が細くなり血流が低下する、栄養・酸素供給が低下する、病原菌に対する抵抗力(免疫力)が低下する、傷を治そうとする細胞(繊維芽細胞)の働きが低下するなど、歯周組織にとって悪い条件が同時に発生し、歯周病を進行させてしまいます。
その結果、喫煙者は非喫煙者に比べ数倍歯周病にかかりやすくなり、歯科医院で歯周病の治療をしても良い結果が得られにくくなります。また、歯肉の腫れや出血という歯周病の初期症状が覆い隠されてしまい、自覚症状がなく重篤な状態へと進みます。歯がぐらついてきて歯科医院を受診したときにはもう手遅れで抜歯になってしまうというケースも見られます。
禁煙による効果は非常に早く現れます。歯肉の血流は数日から数週間で改善し始めますが、この時期には一時的に歯肉の出血や腫れが強くなることがあります。これは今まで喫煙の影響で覆い隠されていた歯周病の症状が現れてきたからです。
たばこを吸う方は自覚症状が無くても歯科医院で歯周病のチェックを受けていただくことをお勧めします。たばこ吸わない方も今後たばこを吸わないように心がけて下さい。
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