2009年も新聞には「不況」ということばがズラリと並んでいる。
何を隠そう,オズマも2008年は後半ペースダウンした。しかし,オズマの会社は構造不況業種の一種だが,それでも40年の経済活動が続いている。
そして思う。
たしかに日雇い派遣問題・請負派遣問題など,この日本の抱える経済問題は深刻だが,「不況」という文字をとくに新聞紙上で使うから,かえって不況が深刻化するのではないかと
では,この理由を書いてみよう。結論からいうと,景気とは「人の気分で決まる」ものだから,と考えるからである。
①日本のバブル時代(1980年代)
②ITバブル時代(1999年頃)
ついこの前までの,いわば
③新興国バブル・金融バブル
も,みな「人々の期待が過大になっていた」という共通点があるのではないか
①の時代は,地価は必ず上がるという“土地神話”が跋扈(ばっこ)していた。当時は,とにかく土地がすべてのものさしだった,というぐらいだった。
オズマの住む土地は古くからの住宅街だが,このバブル期には「オズマ君,すごい大邸宅に住んでいるネ」などと,まったく実感のわかないことばをかけ続けられたものだ。
そして,当時には「クルマは3年おきに買い替えよ」などというとんでもない消費論があった。この背景には「中古になってもクルマの需要は減らない」という“期待感”が渦巻いていたのだろう。実際,当時のクルマ雑誌のコメントではそのような話ばかりが載っている。
まさしく「期待感渦巻く」バブルの時代だ。
②は,Windows95(実際の影響は,「Windows98SE」発売ごろのADSLの発展が大きい)がもたらした「インターネットで世界中が商売相手になるのでは」という期待感の膨張だった,といってよいだろう。
実際,Windows95発売時の騒ぎときたらすごかった。当時としては画期的なGUI操作などがやはり人々の“期待感”を膨らませた,というところだろう。
③は,「人口が多いから伸びる」というきわめて楽観的な“期待感”である。
新興国の中でも,中国は共産主義の国である。さらに「中華思想」という「何でも世の中は中国が中心で回っている」という思想を抱き続ける愚国でさえある
しかしながら,トヨタ・日産をはじめとした各メーカーは,現地での人々の貧困問題と,その貧困問題はかならず爆発する(日本での学生運動もそう考えることができよう),ということを歴史から学んでいなかったのではないだろうか。
いや,学んでいてもそれを超える「人口拡大」という“経済の魔物”にとりつかれていたのだろう。当時の経済誌でしっかり中国問題を考えていたのは,オズマの知る限り『SAPIO』しかない。
いずれにせよ,結局景気は「人の気分」で決まってしまうところが大きいという事例があるのは事実である。もちろん,気分“だけ”で決まってしまうのではないが,気分・期待感,それがとてつもなく影響するのは事実だろう。
したがって,本来すべきではないだろうが,ここは思い切って,「不況」「不景気」という言葉を,とくに影響度の大きい新聞から一時(半年ぐらいか)排除してもよいのではないか,というのがオズマの持論である。
たしかに,こうすると「大本営発表」のように嘘で塗り固められ,さらに深刻化することもあるだろう。しかし,少なくとも「気分」が「不況」という言葉に影響されることは少なくなるのではないか
さて,1/5には東京の株式市場も動き出す。とりあえず一旦は持ち直すかもしれないが,不況「感」と,そこから生じる本当の不況に支配される一年となってしまうのだろうか。
以上,オズマが来日した当時の「MADE IN JAPAN」の誇らしいジャパン,あの姿を取り戻してほしい,そんな期待で書いたものである。