田中裕子の演技力に文句はない。子供の頃から知っている女優さんで,自分としては「マー姉ちゃん」での長谷川町子役で,すでにハマっていた実感がある。小学生なのに,主演である熊谷真実以上に気になる存在だった。もちろん,再放送の影響が強いだろうが。
ところが,「おしん」ではやたらと「おしんちゃんは,こんなに器量よしなんだから」と言われるシーンが多い。小林綾子のときは「めんこいわらし≒めらし(?)」と言われていて,たしかにそうだと納得できる。
田中裕子を否定してないし,むしろ好きな女優さんである。
しかしながら,「おしん」の中での「器量よし」の周囲のヤキモチやらに違和感があるのだ。
時代背景のせいかもしれぬ。
1983年は男女雇用機会均等法以前。つまり未婚女性の価値は「若い・綺麗・気遣い」だと単純にくくられた時代。いまでもこれらのキーワードは実社会で重要であり選考のときに嗅ぎ取られていることは事実であろう。しかし,間違っても会社でこのような発言をしたら更迭の憂き目にあうであろうことは想像に難くない。
おそらく,田中裕子演じる「おしん」の器量よしは,「才覚・気遣い・作法」三拍子揃っているということなのだろう。
それにしても,田中裕子のイメージってこの頃のママであり,たまにご活躍されている映画を見たりすると,時の流れを感じざるを得ない。
大丈夫だ。
「マー姉ちゃん」本放送時は小学生だったのだ,僕も。