アフガニスタンでの誤爆が問題になっているようだ。コソヴォにおいて経験している事なので、ドイツの世論は大きく動かないだろうと予想する。左派党だけが国会での議論を目論んでいる。当然のことではあるが、その指揮系統や判断に誤りがあったとすれば処罰されるものなのだが、それ以上に議論を呼ぶとは思わない。今回の軍事行動がより安全な方へと骨折りをしての危険な行動であったと言う状況説明の通りならば気の毒というほかなく、清潔な軍事行動とは机上の空論でしかない事を端的に示している。
そもそもアフガニスタンにおけるタリバンとの戦い自体が厄介なもので、ソヴィエトであろうが、合衆国であろうが、NATOの指揮で動こうが、国連の指揮系統で行動しようがあまり結果は変わらないのだろう。パキスタン方面へと核兵器へと触手が延びない事と、アルカイダ等のテロリスト組織の巣窟からの世界テロ作戦の新たな展開を阻止する軍事行動が「国際貢献」と呼ばれるものである。
ドイツ連邦共和国国防軍は自衛のための軍隊でしかないが、同じ敗戦国である日本の自衛隊とは異なり、分断国の国土防衛の見地から且つてからより具体的な軍事行動が課されていて今だに徴兵制度まで存在している。しかし基本的には自衛隊でしかなく、コソヴォやソマリア、アフガニスタンでの軍事行動は「国際貢献」以外の何ものでもない。さらにアフガニスタンでは、東部と南部の危険な地域へは駐屯せずに北部で活動をしている。連邦共和国の姿勢は民間の援助としての警察指導にも重きが置かれていたのだが、そのような状況ではなくなって来ている事は再三ラジオの討論会等でも盛んに報道されていた。だから今回の「軍事事故」は特別な政治課題とはならないのである。
もちろん総選挙を間近にしての世論調査では左派党は支持を全国平均で11%と、緑の党並みに支持を伸ばしており、既に終った州選挙でフランスとの国境にある西ドイツのザール州までが左派党との連立政府が模索されるような政治状況となっている。要するに伝統的な国民政党社会民主党(支持率23%に至らない)は、旧東ドイツ統一党の共産党の流れ汲み自らの左派セクトの一部と合弁した左派党によって駆逐されている。
対イラク政策で反合衆国を貫いた元シュレーダー首相がインタヴューの度に、アフガニスタンからの撤退時期を早めに設定してそれを要請している。今では2020年の要求が2015年になっていると言う。これに対して、次期首相候補でもある大連立政権の社会民主党シュタインマイヤー外相は、「タリバンに耐久の計画を与えるだけだ」と一蹴している。しかし、軍事力を含む「国際貢献」が必要悪の国防軍の最も有効な利用法であることは世論の認識であって、今後も自国から犠牲者が出る事は避け難く、増強を認めず適当に撤退したいと誰もが考えて、その潮時を待っているに過ぎない。だから、選挙の争点とはならないのである。
参照:
ドイツ軍が (たるブログ)
ご無沙汰しております。 (買ったら全部聴け)
「革命」は似合わない言葉 2009-09-01 | マスメディア批評
自嘲自虐的アリバイ映画 2008-09-12 | マスメディア批評
軽蔑される浅ましい輩 2008-08-13 | マスメディア批評
安全保障に反する支援 2008-02-10 | マスメディア批評
暖冬の末に灯火親しむ 2007-02-18 | アウトドーア・環境
更に振り返って見ると 2005-10-09 | 歴史・時事
終わり無き近代主義 2005-09-03 | マスメディア批評
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ドイツ連邦共和国国防軍は自衛のための軍隊でしかないが、同じ敗戦国である日本の自衛隊とは異なり、分断国の国土防衛の見地から且つてからより具体的な軍事行動が課されていて今だに徴兵制度まで存在している。しかし基本的には自衛隊でしかなく、コソヴォやソマリア、アフガニスタンでの軍事行動は「国際貢献」以外の何ものでもない。さらにアフガニスタンでは、東部と南部の危険な地域へは駐屯せずに北部で活動をしている。連邦共和国の姿勢は民間の援助としての警察指導にも重きが置かれていたのだが、そのような状況ではなくなって来ている事は再三ラジオの討論会等でも盛んに報道されていた。だから今回の「軍事事故」は特別な政治課題とはならないのである。
もちろん総選挙を間近にしての世論調査では左派党は支持を全国平均で11%と、緑の党並みに支持を伸ばしており、既に終った州選挙でフランスとの国境にある西ドイツのザール州までが左派党との連立政府が模索されるような政治状況となっている。要するに伝統的な国民政党社会民主党(支持率23%に至らない)は、旧東ドイツ統一党の共産党の流れ汲み自らの左派セクトの一部と合弁した左派党によって駆逐されている。
対イラク政策で反合衆国を貫いた元シュレーダー首相がインタヴューの度に、アフガニスタンからの撤退時期を早めに設定してそれを要請している。今では2020年の要求が2015年になっていると言う。これに対して、次期首相候補でもある大連立政権の社会民主党シュタインマイヤー外相は、「タリバンに耐久の計画を与えるだけだ」と一蹴している。しかし、軍事力を含む「国際貢献」が必要悪の国防軍の最も有効な利用法であることは世論の認識であって、今後も自国から犠牲者が出る事は避け難く、増強を認めず適当に撤退したいと誰もが考えて、その潮時を待っているに過ぎない。だから、選挙の争点とはならないのである。
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