ラインガウでグランクリュを何種類か試した。最も興味深かったのは、州立醸造所のそれであった。リューデスハイムの地所シュロースベルクなどはその香りが印象に残った。伝統的な還元醸造法から積極的に呼吸させる方法へと転換していると知ってなる程と思った。要するにビュルックリン・ヴォルフ醸造所などがやっている香りのワインの方へとグランクリュワインが向うことが知れた。
今秋は残念ながらまだ発売されていなかったフォン・ジムメルン醸造所のバイケンを試すことが出来なかったが予約しておいて改めて試飲しに行く事にした。すでに地所マンベルクは売り切れていて、やはり今年からグランクリュになったハッテンハイムの地所ヴィセルブルンネンを試飲した。まだまだ閉じているがマンベルクに比べると石灰質が強いせいか丸みがあって女性的であった。清潔度もあり決して悪くはなかったが、先ずはバイケンを待ちたい。
ロバート・ヴァイルのグランクリュは、他の期待したものに比べてやはりグレーフェンベルクにその価値があった。先日開けた2006年産に比べるとごつさがなく葡萄の健康さと甘さを感じた。この甘さが二三年から五年ぐらい掛けて落ちてくれるとなかなか良いのではないかと思った。
グラーフェンベルクのその飛び抜けた価格の高さだけの強さもあって、上のマンベルクと双璧であるが、やはり独特のスレート臭さが気になった。その点、上のシュロースベルクは香水でそれを美味く隠してあったが、逆に瓶詰め直後でこのようなグランクリュはそれほど信用出来ない。
2008年のグロセスゲヴェックスを評して、ラインガウはもう一つとの指摘があった。これに関して、ラインガウワーを擁護すると次ぎのようになるだろうか。残念ながらプファルツなどでは、2008年産は早摘みなどを含めて収穫量もそこそこ行ったと思われるが、健康に熟成して酸も林檎酸などに分解された良質の葡萄は十分には無く、シュペートレーゼ以下クラスでみるべきワインはあまりなかったのが2008年産の特徴である。その反面、酸の量感は十分にあって間引きされて綺麗に収穫された葡萄から味わい深いグランクリュが醸造された。
一方ラインガウのキャビネットは例年以上に味が濃く、あのシュタインベルガーの高野豆腐のように引っかかる味のQbAでさえ一寸した飲み物となっている。逆に、グランクリュなども十分な糖比重が得られて尚且つ十分に酸が効いている印象が強い。要するに保つワインには違いない。その分、グランクリュは例年以上に閉じている印象が2008年産のラインガウのグローセスゲヴェックスである。
そのなかで、とても香り高く開いている州立醸造所のそれは、ワイン街道のフォンブール醸造所のそれのように小粒である。もちろん伝統的な還元法を改めて現代的な施設で清潔に醸造されているので、急に落ちるような事はないのはフォンブールにも通じるであろうか。
それに比較すると全く香りの出ないグレーフェンベルクのそれは黴の臭い消しに活性炭でも入れたのかと思わせるほどである。しかし、ヴィセルブルンネンにも大ない小なり同じような傾向があって、正直なところ熟成によってなにが拡がってくるのかは判り難い艶消しのような印象が確かに存在する。グレーフェンベルクのプリュミエクリュを家で落ち着いて開けるとやはり素晴らしい。ラインガウではトップクラスのリースリングには違いなく、同じ価格でそれ以上のワインを提供できる醸造所はラインガウには皆無なのである。それでも、20ユーロを越える価値があるかどうか? ― 歯磨きのあとに飲むとなんとお屠蘇か、ミラベラシュナップスの味であった。
今秋は残念ながらまだ発売されていなかったフォン・ジムメルン醸造所のバイケンを試すことが出来なかったが予約しておいて改めて試飲しに行く事にした。すでに地所マンベルクは売り切れていて、やはり今年からグランクリュになったハッテンハイムの地所ヴィセルブルンネンを試飲した。まだまだ閉じているがマンベルクに比べると石灰質が強いせいか丸みがあって女性的であった。清潔度もあり決して悪くはなかったが、先ずはバイケンを待ちたい。
ロバート・ヴァイルのグランクリュは、他の期待したものに比べてやはりグレーフェンベルクにその価値があった。先日開けた2006年産に比べるとごつさがなく葡萄の健康さと甘さを感じた。この甘さが二三年から五年ぐらい掛けて落ちてくれるとなかなか良いのではないかと思った。
グラーフェンベルクのその飛び抜けた価格の高さだけの強さもあって、上のマンベルクと双璧であるが、やはり独特のスレート臭さが気になった。その点、上のシュロースベルクは香水でそれを美味く隠してあったが、逆に瓶詰め直後でこのようなグランクリュはそれほど信用出来ない。
2008年のグロセスゲヴェックスを評して、ラインガウはもう一つとの指摘があった。これに関して、ラインガウワーを擁護すると次ぎのようになるだろうか。残念ながらプファルツなどでは、2008年産は早摘みなどを含めて収穫量もそこそこ行ったと思われるが、健康に熟成して酸も林檎酸などに分解された良質の葡萄は十分には無く、シュペートレーゼ以下クラスでみるべきワインはあまりなかったのが2008年産の特徴である。その反面、酸の量感は十分にあって間引きされて綺麗に収穫された葡萄から味わい深いグランクリュが醸造された。
一方ラインガウのキャビネットは例年以上に味が濃く、あのシュタインベルガーの高野豆腐のように引っかかる味のQbAでさえ一寸した飲み物となっている。逆に、グランクリュなども十分な糖比重が得られて尚且つ十分に酸が効いている印象が強い。要するに保つワインには違いない。その分、グランクリュは例年以上に閉じている印象が2008年産のラインガウのグローセスゲヴェックスである。
そのなかで、とても香り高く開いている州立醸造所のそれは、ワイン街道のフォンブール醸造所のそれのように小粒である。もちろん伝統的な還元法を改めて現代的な施設で清潔に醸造されているので、急に落ちるような事はないのはフォンブールにも通じるであろうか。
それに比較すると全く香りの出ないグレーフェンベルクのそれは黴の臭い消しに活性炭でも入れたのかと思わせるほどである。しかし、ヴィセルブルンネンにも大ない小なり同じような傾向があって、正直なところ熟成によってなにが拡がってくるのかは判り難い艶消しのような印象が確かに存在する。グレーフェンベルクのプリュミエクリュを家で落ち着いて開けるとやはり素晴らしい。ラインガウではトップクラスのリースリングには違いなく、同じ価格でそれ以上のワインを提供できる醸造所はラインガウには皆無なのである。それでも、20ユーロを越える価値があるかどうか? ― 歯磨きのあとに飲むとなんとお屠蘇か、ミラベラシュナップスの味であった。