TVシリーズ「ヴァインラント」を観た。第四回目はラインヘッセンである。少なくともモーゼルの回よりも厳選されていて、というかあまり話題になる醸造所もないのだろう、各々が十分に紹介されていて良かった。最初のアナウンスにあるように主役は風景であった。それでも幾つかの興味深いワイン作りや地所が紹介されていた。
何といっても冒頭に紹介されたリープフラウエン財団のワインで、最も有名なリープフラウミルヒの商標の元となる歴史的な地所とワイン作りであった。その名声を利用して大量消費品が世界中にばら撒かれてドイツワインのイメージを落としめしたのだった。ヴォルムスの荘園の真ん中のそれとは知らなかった。
そのあとはケラー醸造所のフバッカーの話をいつものように語る息子さんのお話と、そのご近所のビオディナミに狂っているヴィットマン氏の風景である。これらはARDのアーカイヴにもある映像となにも変わらないので特に目新しいものはなかったのだが、シュタイナーの教えに従うオーナーの姿はまたもややや滑稽に映されていた。それでも造るヴァインは前者のケラーのものよりも個性がありそうに思わせるのは造る人のキャラクターの相違だろうか。
ヴィットマン氏がモストの入った桶を手杓で回す情景が映されていたと思うが、これはその信仰の本質を示していたかも知れない。モストの沈殿やフローティングの可能性の最新の論文をネットで拾って読むとまさにこの作業はフローティングそのものなのである。つまりフェノールの酸化によって含有量を減らす効果そのものなのである。そうした行いがノウハウとしてあって継承されているのか、直感的になされるのか、はたまたラボーでの研究データを元に実践されるのか、ここに要点がある。
つまりである、それが似非科学であろうと最新の科学技術的研究成果であろうとも、継承もしくは「よさそうな」行為が合理的に解析されて機械化されるか、それともある世界観の中での「生きる技」として行なわれるかの相違でしかないのである。ヴィットマン氏は更に語る。葡萄だけでなくて人間をも含んだ摂理であると。そこに、人間の認知と行為があからさまに示されて、この放送のハイライトとなっていた。
ハインリッヒ-マンの原作を元に脚本化したのが作家ツックマイヤーの「嘆きの天使」であるが、その地元の作家カール・ツックマイヤーの「楽しきワイン山」に感化されて醸造所をを起こしたのがグンダーロッホ醸造所の先々代らしい。そして現在は、有名なロートリーゲンデ土壌の地所で半分以上を海外向きに甘口のリースリングを販売しているのがその醸造所である。
そして更に北へと向うと薬品工場で有名なインゲルハイムに至る。ブルゴーニュから運ばれたピノノワールを造っているのがヴェルナー醸造所で、地質学の徒としてエコ農業などの専門家として営んでいるようである。特に貴腐への見解などは興味を引いた。
もっとも地所として意外性があったラインヘッセンのスイスと呼ばれる地域でこつこつとワインつくりに励むヴァクナー氏の醸造所であった。冬には土地を乾かさないように藁を撒いていた。しばしば見る風景であるが、それが必要な気候で土地なのだろう。
このシリーズ、アールの回を見逃したほかは、来週予定されているミッテルラインで最後となる。こうしてみてくると、評価本を片手に物色するよりもオーナーやらの働き振りを見ていると買えるワインを造っているのかどうかが実感出来るに違いない。それは直接訪れて試飲するのと同じほどの情報なのである。要するに見る人其々の感性の問題であり、所詮ワインなどはそうしたものだと分かる。
参照:
暑気の隙間に感傷旅行 2005-07-03 | 歴史・時事
ゲゼルシャフトの刻む時 2008-09-27 | 雑感
Weinland: Rheinhessen (SWR-Pfalz)
来た来た、次ぎの鴨が 2009-10-20 | マスメディア批評
八割ほどは、本当かな 2009-10-10 | ワイン
誉れ高いモンツィンガー 2009-10-06 | マスメディア批評
何といっても冒頭に紹介されたリープフラウエン財団のワインで、最も有名なリープフラウミルヒの商標の元となる歴史的な地所とワイン作りであった。その名声を利用して大量消費品が世界中にばら撒かれてドイツワインのイメージを落としめしたのだった。ヴォルムスの荘園の真ん中のそれとは知らなかった。
そのあとはケラー醸造所のフバッカーの話をいつものように語る息子さんのお話と、そのご近所のビオディナミに狂っているヴィットマン氏の風景である。これらはARDのアーカイヴにもある映像となにも変わらないので特に目新しいものはなかったのだが、シュタイナーの教えに従うオーナーの姿はまたもややや滑稽に映されていた。それでも造るヴァインは前者のケラーのものよりも個性がありそうに思わせるのは造る人のキャラクターの相違だろうか。
ヴィットマン氏がモストの入った桶を手杓で回す情景が映されていたと思うが、これはその信仰の本質を示していたかも知れない。モストの沈殿やフローティングの可能性の最新の論文をネットで拾って読むとまさにこの作業はフローティングそのものなのである。つまりフェノールの酸化によって含有量を減らす効果そのものなのである。そうした行いがノウハウとしてあって継承されているのか、直感的になされるのか、はたまたラボーでの研究データを元に実践されるのか、ここに要点がある。
つまりである、それが似非科学であろうと最新の科学技術的研究成果であろうとも、継承もしくは「よさそうな」行為が合理的に解析されて機械化されるか、それともある世界観の中での「生きる技」として行なわれるかの相違でしかないのである。ヴィットマン氏は更に語る。葡萄だけでなくて人間をも含んだ摂理であると。そこに、人間の認知と行為があからさまに示されて、この放送のハイライトとなっていた。
ハインリッヒ-マンの原作を元に脚本化したのが作家ツックマイヤーの「嘆きの天使」であるが、その地元の作家カール・ツックマイヤーの「楽しきワイン山」に感化されて醸造所をを起こしたのがグンダーロッホ醸造所の先々代らしい。そして現在は、有名なロートリーゲンデ土壌の地所で半分以上を海外向きに甘口のリースリングを販売しているのがその醸造所である。
そして更に北へと向うと薬品工場で有名なインゲルハイムに至る。ブルゴーニュから運ばれたピノノワールを造っているのがヴェルナー醸造所で、地質学の徒としてエコ農業などの専門家として営んでいるようである。特に貴腐への見解などは興味を引いた。
もっとも地所として意外性があったラインヘッセンのスイスと呼ばれる地域でこつこつとワインつくりに励むヴァクナー氏の醸造所であった。冬には土地を乾かさないように藁を撒いていた。しばしば見る風景であるが、それが必要な気候で土地なのだろう。
このシリーズ、アールの回を見逃したほかは、来週予定されているミッテルラインで最後となる。こうしてみてくると、評価本を片手に物色するよりもオーナーやらの働き振りを見ていると買えるワインを造っているのかどうかが実感出来るに違いない。それは直接訪れて試飲するのと同じほどの情報なのである。要するに見る人其々の感性の問題であり、所詮ワインなどはそうしたものだと分かる。
参照:
暑気の隙間に感傷旅行 2005-07-03 | 歴史・時事
ゲゼルシャフトの刻む時 2008-09-27 | 雑感
Weinland: Rheinhessen (SWR-Pfalz)
来た来た、次ぎの鴨が 2009-10-20 | マスメディア批評
八割ほどは、本当かな 2009-10-10 | ワイン
誉れ高いモンツィンガー 2009-10-06 | マスメディア批評