Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

フランスに掛かる強い圧力

2009-11-17 | 雑感
ドイツのキーパーのエンケ氏自殺で我が市役所にも半旗が翻っていた。国際試合が取り止めになったのは知っていたが、少し驚いた。やはり国民的な人気があったのだろう。たとえ鬱病であっても薬をやればドーピングになるだろうから、当然のことながら心身共の健康がプロスポーツ選手の必須条件だろう。

イベリア航空とブリティッシュエアウェーズの合併の話も興味深い。これで欧州の空はルフトハンザ系列と二大勢力になるようだ。欧州の広さからすれば二大航空会社が世界との航路を結べば足りる訳だ。スペインは陸の便が悪いのでこの合弁は価値があるのだろうが、今後大西洋上などを結ぶただ一つ残る大航空会社エール・フランスに強い圧力が掛かるのか。

週末に地元のピノノワールつまりシュペートブルグンダーを開けた。2006年産なので飲み頃と判断した。特にその年はエルステラーゲであるイーディックからピノノワールの良いワインが出来なかった。だからその地所のオーナーであるクリストマン醸造所もグランクリュ発売を取り止めた。その土地をバーターで借用しているビュルックリン・ヴォルフの最高級赤ワインであるピノノワールSも発売されなかったが、その代わりこの通常のピノノワールとしてそれが混ぜられた。

価格据え置きのまま一寸上のレヴェルを愉しめる願ってもないチャンスを逃す訳がない。通常ならば25ユーロもするワインを14ユーロほどで三本買った。その内の一本は友人の出版記念にプレゼントした。

さて満を持して開けたそのワインは、当初から適度なボディー感とタンニンで透明感とかたさと丸みが巧くバランスしていたのだが、流石に二年の歳月を経てかたさは消え去っていた。早熟の2006年産を映し出しているとは言っても予想以上であった。アルコール13%に拘らず殆ど一本を飽きなく愉しめてしまう快適な口あたりの良さと酔い心地は、そのピノノワールをいつも御贔屓にしている大家さんのオェールベルクのそれよりも良いと感じた。試飲の時の口当たりは樽で長く寝かしている分だけクリストマンのそれの方が良いが、こちらのピノノワールはタンニンも硬く色の濃いボディー感が購入の不安を助長する。しかし、今回の結論で、南ワイン街道のフリードリッヒ・ベッカーをも成功に導いた国際的ワインアドヴァイザーのシュテファン・ドルストの腕は間違いなかったと確認した。

さて上のものは、やはりロートリーゲントの土壌を反映してか、はじめはアーモンド風味を感じたが徐々に果実風味が強くなってきて、殆ど甘みを感じるほど拡がってきた。その甘みというのが所謂この土壌の特徴でリースリングにおいてはメロン風味などを醸し出すものに違いない。その点から、クリストマン醸造所のイーディックが四十ユーロするピノノワールにこれほどの果実風味がなく、図らずか図ってかは分からないがいつもリースリングでお馴染みの両醸造所の個性が浮き彫りになっている。そしてリースリングとは反対に此方の方が、ピノノワールにおける尾の引き方が長く興味深い。

この価格で文句の付け所がないが、残っているもう一本も遅れないように飲み干さなければいけないと感じた。だから下のクラスのピノノワールの保存力では、初めから十分に樽で寝かしてあるクリストマン醸造所に軍配が挙がる。しかし、香りや後味の美しさや酔い心地ではビュルックリン・ヴォルフが健闘している。少なくともこの価格のシュペートブルグンダーとして上の一本は他に類を見ないほど本格的なピノノワールであった。



参照:
出版記念の贈り物 2008-09-06 | 料理
茶室跡に立って物思う 2008-07-06 | ワイン
ダイナミックな協調作業 2007-09-15 | 試飲百景
ワイン三昧 第二話 '05II 2005-11-04 | ワイン
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