Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

災い転じてプレートを発見する

2010-04-07 | アウトドーア・環境
昨日の行軍については昨日触れた。高度差や距離に関しては嘗て走って下りてきた場所なので大したことはないのだが、下りに色気を出して間違って一つ先の谷ジンセンタールに下りて仕舞ったのが厳しかった。お蔭で裏山の土地感がまたひとつついたのだが、足も豆が出来そうになり結構つらいものがあった。

その過ちというか災いが転じて福となったのが、次に述べる地質学的な発見である。発見といってもディノザウルスを発見したのでもなければ、学術論文を発表するまでのことも無く、ただ断層の説明がなされているプレートを発見しただけだった。いつも近くまで行きながら全く気がつかなかったプレートで、まさに大発見であった。

断層が出ていそうな按配は谷を下りてくるときに気がついたが、案の定その通りで、雑食砂岩と黄土層との断層であった。説明を読むと、二百六十年前から一万一千六百年前までの氷河期に繰り返された寒期と暖期(現在よりも温度が高い!)の乾(寒)期にラインが涸れてその底にあった石灰など含んだ砂や塵がハイデルベルク方面の東風に乗って雑食砂岩に拭きつけて、層になったのがこの黄土層という。因みにダイデスハイムではこの層は八メートルに及んでいる。

そして寒暖の繰り返しが黄土層の色の変った層となっている。そして、その雑食砂岩層との縁、つまりプファルツの森の特にハールトの麓では侵食などによってその縁がきざぎざとフラクタル状態 ― それだけに谷の出口から出口へと戻ってくると途轍もなく長い道のりになるのだ ― になっていて、複雑で変化に飛んだ土壌となっている。

三十キロメートルに及ぶ各地盤の変動がそこに影響して、ライン底側は今も常に年に一ミリメートル!ほども沈下して行っている。つまり、この断層に観られるのは落ちて行く黄土層と雑食砂岩層との断層なのである。写真で見るように計器が付けられているのは、実際にこの箇所でも今でも断層が広がって行っているかどうかの計測が目的である。

そして更に面白いのが、その雑食砂岩側も例えば南ワイン街道やそのクライミングのメッカである地域の赤色と黄土色から白色のミッテルハールトのそれの相違について触れていて、その原因をライン底の地殻の割れ目から拭きあがった熱い水分の激しい化学作用であるとしている。それによって、ミッテルハールトでは、砂の中に含まれる酸化鉄の赤味が漂白されたのだとしている。

さて、ここまで書くとミッテルハールトのリースリングを多少なりとも親しんでいる向きには大変な情報の発見がある筈だ。まさにこの点が「私の研究課題」であるが、この断層があるのは丁度ダイデスハイムのヘアゴットザッカーの谷筋の上辺なのである。その通りである。ヘアゴットザッカーとエルスターを分ける川筋とウンゲホイヤーまでの間こそはとても興味深い土壌が点在するのである。石灰のハーネンビューエル、玄武岩の影響を受ける地所などかなりの広がった地域が一箇所の地所となっているが、今後ドイツワインのテロワールの顕著化に従って細分化が進むような感じがする。

また、砂岩における赤色の酸化鉄の問題は南ワイン街道におけるカスターニエンブッシュなどのロートリーゲンデス土壌を考える場合に大変参考になり、石灰土壌が堰き止められて溜まったゾンネンシャインの地所なども上の説明からその成り立ちが良く分かってくる。

追伸:日本では、緑家さんとラブワインさんがリースリングとピノノワールを中心に仮称「ミネラル研究会」を発足させようとする動きがあるようだ。私も特別会員にして頂きたいと思っているが、ミネラル研究会と呼ぶと何かおかしな石を高額で売りつける新興宗教の外郭団体に集まる歯石を貯めた胆石持ちの集まりのように聞こえるから面白い。
参照:
筆舌に尽くし難い夜 (新・緑家のリースリング日記)
土壌の地質学的考察 2006-05-09 | アウトドーア・環境
プァルツの真の文化遺産 2008-01-13 | ワイン
地質学的説明のルート解説 2009-03-05 | アウトドーア・環境
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする