Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

吃驚仰天リオハで復活祭

2010-04-09 | ワイン
復活祭は赤ワインを飲んだ。三本も立て続けに空けたのは初めてである。実は珍しく体が冷えた感じが強かったからである。今まで経験した事のなかったような血管が収縮する感じの血の道症である。一本目のオェールベルクは、2005年産で少々頭にきたので、翌日も残っていたのだが更に運動後にステーキをやりながらリオハを開けようと思った。

実は1997年産でお土産に貰ってからも十年ほど経っていたので、既に飲み頃を逃したと放って置いたのだ。丁度ダイエットを始めてBSE騒動から牛肉を押さえていた時期だったので、この如何にも牛に合いそうなこのスペインの赤ワインを開け損なっていたのだ。既に2004年には飲み頃から外されていた。

それでもリオハとしてはその辺りのスーパー売りとはちょっと違うと感じていたので大切に寝かしておいた。さて、開けてみて驚きであった。先ずは、リオハがこれほど繊細な赤ワインとは思わなかった。仕事帰りに空港で薦められて買ってきて呉れたようだが、本人も ― 彼はここでも登場したフォン・バッサーマン・ヨルダン醸造所のキーゼルベルクの良さを我々に再確認させてくれた張本人である ― タンニンが良く効いている血の滴るワインと了解していた。

それがどうだろう。寝かせすぎたのかタンニンはすっかり落ちているのだが、それに代わる綺麗な酸があって、薬草の繊細な香りが最高級シェリーの味の上に拡がるのである。澱も十分にあったが、それ以上にシェリー樽で熟成させたウイスキー的な透明感は凄かった。

ヴァロリアと呼ばれる屋号にもなっている地所は一ヘクタールしかないので、全部で25ヘクタール十三万本要するに平均39ヘクトリッターの収穫量となるなかでも、アルコール12.5%として十分に価値があった。

もちろん葡萄の品種はテムプラニッロを中心にキュヴェーとなっているのだが、謂わば土臭いボルドーのそれに比べてミネラル感の細やかさが、またブルゴーニュのピノノワールの難しさに比べて味の細やかさが利点になっている。立派なつくり方さえしていれば、両方のトップワインにも匹敵する以上のポピュラリティーがあるのでは無いかと思われる。是非旅行の節には探してみたいワインである。

前日のシュペートブルグンダーを肉にぶっかけて、この素晴らしいワインを飲んで、早速贈答してくれた本人に電話を掛けた。ワイン選びなどは、それも知らない土地の知らないワインを空港で試飲もなしに選ぶのは至難の技であるが、なんとなく感が働くのであろう。伊達にドイツの醸造所で試飲をしていない腕には感服した。それも情報通となると1997年などは普通ならば選び難いのだが、そうした情報に飢えていないから余計に良いものが手に入ったと言うこともあるかもしれない。

明くる日は、サンテミリオンの1998年産を飲んだが、開けて直ぐにはやはり広がって来ないので、それなりの準備をする必要がある。明くる日になって拡がったのを楽しんだが、リオハも明くる日になっても少しも崩れていなかった。ボディー感は細身でコンパクトなスペイン女性を想像させるが、なんと素晴らしい赤ワインであったことか。



参照:
試飲百景-深い香りの中で 2005-03-02 | 試飲百景
コメント (2)
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