Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

無垢な祝祭のアルファー

2013-03-28 | 文化一般
承前)月曜日の新聞を開いていなかった。マンハイムに買い物に出かけたりしていたからだ。それ以上に、土曜日に初日があったことを忘れていた。だから記事は火曜日ではなく月曜日の文化欄に間に合っていたのだ。個人的には敢えて舞台に関しては付け加えることはないので、新聞からかいつまんで紹介しておけば事足りる。

結論からすれば、奈落も舞台も全く関係ないことをやっていて、それどころか一流歌手を集めていながら全く関係なかったということに尽きるだろう。それどころか豪華な三人の侍女の三重奏さえ管弦楽に合わせられなくて残念と書いてあるが、そもそも座付管弦楽団のように誤魔化さない限り特に初日となるとどうしようもないことの方を指摘すべきで、如何に現在のスタンダードオペラの上演と言うものが歪なものであるかを読者に知らせるべきなのだ。

墓穴に寝込んでいる大蛇がペニスだろうが、ドラキュラの棺桶の穴がヴァギナだろうが、もはやどうでもよいことで、なるほどその感想通り、TVで大写しにしてもお茶の間で卑猥でなければメディアでの再生が可能となるのである。

寧ろフルートのセクシュアリティーを重要視すれば、まさしくフランスの女流映画監督カトリーヌ・ブレイヤが仏公共放送で制作した「眠りの森の美女」の名場面などを想起する。大蛇から逃げて気を失ったのも日本の王子タミーノならば、そこに纏わる王女パミーナもそのように描かれる訳である。

声楽陣への言及は、会場の反応の通りヘルマン・ヘッセの生まれ故郷カルプの少年合唱団の三人の名前を挙げて、反対に夜の女王にブーイングを投げかけた一人の間違った反応をして、「降りたクレメスのファンじゃないかしら、歌ったのが彼女でなかったから嫉妬したのでしょう」とするのは、多くの聴衆が感じた雰囲気を伝えている。またPAの上手な使い方無しには囁く通る歌唱などはあの大ホールで出来ないことなどを挙げて、街角の劇場でいつでも体験できる魔笛の上演にしてはCPが悪すぎると嘆く。

私などは、新聞が書くように「これほどの魔笛の管弦楽演奏は無い」 ― 実際、スタジオ録音の完成度を度外視すればクレムペラーやベーム指揮の名録音を凌駕している ― と言うことで歌手の多額のギャラを払うよりも高給取りのベルリナーフィルハーモニカ―のギャラを払うなら安いと思うのだが、どうだろうか?勿論一流歌手は指揮者以上に高額のギャラを持って行ってしまう。しかし、現在のこうした舞台の上演でそこにどれほどの芸術文化的な価値があるのかどうかは大変に疑問なのである。それならば「三人のテノール」のエンターティメントとなんら変わらないだろう。

その点に関してどうしても書いておかなければいけないことは、バーデン・バーデン祝祭の「杮落し」は成功だったかどうかである。その印象は、座席からすれば悪い安い席はまだ空いており、多くは招待などのスポンサーの関係で埋まり、国際的な関心度はとても低いどころか、駐車場の様子からフランクフルト辺りからも十分な集客は出来ていなかったようである。それどころかシュツッツガルトからの訪問者もあまり目立たなかった。少なくとも夏のザルツブルクとは大違いで、特別な会員を募っていたザルツブルクの復活祭のそれとも大分違うだろう。

なるほど言うように管弦楽団も小編成であり、歌手も重量級とはならずPAの助けを借りるとなると、こうした大ホールが矢張り徒になる。その一方でフライブルク周辺やアルザスからの ― ロシアングループと言うのもあるらしい ― 固定客層は堅実なようで、それなりに聴衆の層は安定してきているかに見られた。しかし所詮その集客力は知れていて、スイス人やルクセンブルクやフランスから集客出来て、日本からもツアーが出るようでないと厳しいに違いない。兎に角、もともと田舎に加えて高齢化が進んでいるとなると全く期待できないのである。

個人的には、いろいろと言いたいことはあって公的資金が流れて、二度目の倒産は許されないので、どうしても成功して貰わないと困る。フランクフルトに行くのとは違って、とっても優雅な気持ちでフランスの高速道路を走って、これだけの最高級の音色を楽しめるのであるから少しでも貢献できれば良いとは思うのだが、もう少し文化芸術的な底上げが必要だろう。(終わり)



参照:
Die schöne Integration des Mohren, Eleonore Büning, FAZ vom 25.3.2013
破瓜する死の恐怖の興奮 2013-02-06 | 文化一般
試着に悪戦苦闘する午後 2013-03-24 | 生活
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