Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

デジタルコンサートを試聴

2015-07-10 | テクニック
ベルリンからのデジタルコンサートホールのダウンロードを試みた。目的は折角のサウンドをまともに聞くことである。そのためには一度CDRに焼く以外に方法がないので、そのためにはハードディスクにコピーしなければいけない。ネットで見ると何か日本では、解析して成功すれば、個人の使用目的とはされずに罪に問えるという。流石にソニーのお膝元の重罰化の国だけのことはある。しかし今回の試みは未遂だった。

しかし、誰でも分かるように、自分のPCで再生された限りは間違いなくそのことは記録再現できるのである。つまりスクリーンショットやサウンドカードからの信号を記録したに過ぎないが、双方とも想像以上の画質と音質で記録できた。残念ながらソフトなどに投資するわけではないので、その辺りに転がっている合法的なフリーソフトを組合せたので、画像と音は別々に高品質を狙わなければいけなかった。

そもそもオペラとは違ってコンサートの中継動画を見て合点がいったことは一度もないどころか、音楽鑑賞には与えられたアングルが邪魔をするだけでしかないことが殆どなのだ。実際のコンサートではオペラグラスを持ち出すこともあるが、それとは全く異なるのである。だから本来は画像はどちらでも良いのだが、驚くほどの高画質で録画できたので、出来れば高音質のそれをつけたいと思うぐらいだ ― それにしても楽器ならまだしも腕時計の銘柄までが分かるような映像のどこに音楽があるのだ。

さて肝心の音質は、これはまたPCで見聞きするときも同じなのだが、回線の状況が悪くなって画像がかくかくするのと同時に音切れもするのである。だからDLさせる事が有料ネット放送の最低の条件だと思う。生放送でなくてもアーカイヴからのそれが完璧でなければいけない。しかし、最高の質に合わせると大抵の人は完璧に鑑賞できないに違いない。恐らくそれが可能なのはベルリンかボン辺りの官庁街に近い場所ぐらいだろう。前者ならばフィルハーモニーに通った方が良いのである。

最終的なCDRは、24ビット48000Hzの音源を焼いたが、ある程度CD程度として評価できる。信号の中断による傷は編集する必要があるが、そのような事故はPCM初期のNHKのFM生放送でもあったのだ。しかし問題はソロピアノの低音部がうだうだになっていたり ― ブルーノ・ゲルバー演奏のピアノでもあるまいし、これは明らかにマイクロフォンのセッティングの影響で、デジタル転送技術の問題ではない。勿論サウンドカードの問題もあるかもしれないが。

そして相対的に思ったようなPCのデジタル回路のノイズが少なくて、アナログにおけるアース漏れのようなものが少ないのである。これならば、ネットからの信号を手短に扱うことが出来て、ファン音などのしないノートブックからHDMIで出力すればピュアーデジタル音の再生可能かと考えたら、実際はその音質は技術的に克服すべきもののようで、高級ホームシアター装置などの問題のようである。要するにオーディオに関してはそれほどの配慮がなされていないのだ ― 現時点でもCDの音質が手っ取り早く体験できる高品質であることには間違いない。

今回の一連の試験で分かったのは、VIDEO生中継されているような内容は上手く受信できればハイレゾリューション対応の音質ともなるが、実際には中断傷なども十二分に一度ほどもあって、そのコンテンツを嘗てのオーディオ環境と同じぐらいの質で体験している人は限られていて、そもそもそうした市場が存在しないということらしい。少なくとも音質に関しては90年代のDSR放送を上回って体験している人は殆どなさそうだ。

MP3と称する結局は高品質サウンドのコピー保護機構のようなものが普及したお陰で、デジタルオーディオ市場も全てホームシアター程度に収斂されていき、挙句の果てはそうしたコンテンツの提供で金銭を受領しようとしている。少なくとも90年代のそれは受信料の中に含まれていたのだ。

ベルリナーフィルハーモニカーは公的機関ではないのでそのネット放送等から徴収する事は構わないのだが、少なくとも公的援助も流れていることであり幾らかは配慮すべきだとの批判も多い。更に徴収しておきながら十分な再生環境を整えることが殆ど不可能だとすると、通常のサーヴィスならば消費者保護に抵触する。弁解は分かっており、そもそも音響のための動画配信ではなく、ホームシアターのコンテンツの配信だとすると、今度は公共放送が流しているようにドルビーサラウンドなどにも対応していないようでは、中途半端な印象を受ける。

タブレットにアプリケーションを入れてログインすると、無料の他のコンテンツが見つかった。昨年九月のフェストヴォッヘでのラトル指揮のシューマン・ブラームスツィクルスからである。これもラジカセでは分からないのでCDRに焼いてみなければいけない。こうして無料のコンテンツを置くぐらいならば、出来る限り生放映は無料にして、納税者に還元するべきで、同時に新しい聴衆に語りかけることが重要ではないか。あれだけコピー防止策がとられているのであるから、アーカイヴからだけ料金を徴収しても全く問題にならないに違いない。



参照:
Grexitへのオウンゴール 2015-07-07 | アウトドーア・環境
小さな新帝王誕生の可能性 2015-06-23 | 音
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