日曜日の夜はハムブルクからの中継を流していた。ドイツのオペラ劇場からの生中継だった。勿論閉鎖中であるが、新制作「マノン」を無観客で中継した。タイトルロールのエルサ・トライシークは昨夏のザルツブルクのフィオルデリージとして世界中に紹介された。声も魅力的で芝居が巧い以上にキャラクターも立っていて人気者で、ベルリンなどではスターだったらしい。過去のヴィデオなどを見ると技術的にももう一つなのだが、どこの地方劇場にいる人気者とはやはり違うかなと思っていた。
今回の演出がミュンヘンで「マイスタージンガー」を演出したダーヴィット・ボェッシュで、その話しと共に楽しませてくれる音楽劇場を創造できる人である。そのトライジークのキャラを上手に使っていてざっと見た限り満足した。勿論ティームが同じで、舞台美術もミュンヘンと同じようで、プロジェクターの作り方も同じだ。しかしそれでも劇場的空間や演技の緊迫感も手堅く作っている。
先ずタイトルロールに関しては幕間のインタヴューでもご本人が語っていたようにプッチーニとかでは無くて声が駄目になるということは無いが出っ放しなので総稽古の後にこうして話せるのが嬉しいと、その力配分や聞かせ所などもフランクに語っていてとてもいい感じである。実際に全体を流してまだ二十歳代なのに想定以上に立派だった。やはり地方の人気者とは違った。そして歌声もフランス語歌唱もとても素直で素晴らしかった。デンマークとフランスの混血で、こうしてドイツでフランス歌唱を披露して貰えればまだまだ期待が膨らむ。
Trailer: Jules Massenet – Manon
Jules Massenet – Manon
そしてフランス人指揮者のセバスティアン・ローウランも熱意もあって全然悪くなかった。合唱はバルコニーを使って歌わせて、奈落は新たに小さく編曲した様だったが、殆ど遜色がないどころかテクスチャーが聞こえてよかった。同様の経験は昨秋のフランクフルトでも経験したが、ハムブルクの座付管弦楽団はなにも監督のケントナガノが振らないでもとても綺麗に鳴る。ドイツ語圏では珍しいもので、丁度東京の東フィルに比較できるような交響的な鳴りが客演指揮者からも聞こえて吃驚した。こういう個性は会場や交響楽演奏会を頻繁にやっているというのとはまた異なる伝統だと思う。
五幕あるので幕間と場面展開でNDRの親しみのあるおばさんが司会していたが、これもインタヴューを含めて中々いい感じを出していた。ハムブルクとしては初めての試みだった様だが、水、木、金曜日とオンデマンドで観れるので価値があると思う。話しはプッチーニの「マノンレスコー」と同じなのだが、決して悪くないマスネーのメロドラマ音楽作品だ。最後が砂漠でなくて雪の中での道行きも中々いいフィナーレだった。
オペラをモニターで観るのも苦手なのだが、なによりもその歌声の魅力もあって、又演出の楽しさもあって最後まで流して、結構引き込まれた。やはり管弦楽が美しい音楽を奏でるのが肝要である。確かにハムブルクの歌劇場は独語圏では一プラス五傑には入るだろう。ストリーミングでもハムブルクへの誘いになっていたが、エルフィーよりもやはりここは価値がある。大成功の試みだった。
参照:
表情のヴィヴラート 2020-08-16 | 女
最後のエルフィー訪問 2020-02-19 | 文化一般
今回の演出がミュンヘンで「マイスタージンガー」を演出したダーヴィット・ボェッシュで、その話しと共に楽しませてくれる音楽劇場を創造できる人である。そのトライジークのキャラを上手に使っていてざっと見た限り満足した。勿論ティームが同じで、舞台美術もミュンヘンと同じようで、プロジェクターの作り方も同じだ。しかしそれでも劇場的空間や演技の緊迫感も手堅く作っている。
先ずタイトルロールに関しては幕間のインタヴューでもご本人が語っていたようにプッチーニとかでは無くて声が駄目になるということは無いが出っ放しなので総稽古の後にこうして話せるのが嬉しいと、その力配分や聞かせ所などもフランクに語っていてとてもいい感じである。実際に全体を流してまだ二十歳代なのに想定以上に立派だった。やはり地方の人気者とは違った。そして歌声もフランス語歌唱もとても素直で素晴らしかった。デンマークとフランスの混血で、こうしてドイツでフランス歌唱を披露して貰えればまだまだ期待が膨らむ。
Trailer: Jules Massenet – Manon
Jules Massenet – Manon
そしてフランス人指揮者のセバスティアン・ローウランも熱意もあって全然悪くなかった。合唱はバルコニーを使って歌わせて、奈落は新たに小さく編曲した様だったが、殆ど遜色がないどころかテクスチャーが聞こえてよかった。同様の経験は昨秋のフランクフルトでも経験したが、ハムブルクの座付管弦楽団はなにも監督のケントナガノが振らないでもとても綺麗に鳴る。ドイツ語圏では珍しいもので、丁度東京の東フィルに比較できるような交響的な鳴りが客演指揮者からも聞こえて吃驚した。こういう個性は会場や交響楽演奏会を頻繁にやっているというのとはまた異なる伝統だと思う。
五幕あるので幕間と場面展開でNDRの親しみのあるおばさんが司会していたが、これもインタヴューを含めて中々いい感じを出していた。ハムブルクとしては初めての試みだった様だが、水、木、金曜日とオンデマンドで観れるので価値があると思う。話しはプッチーニの「マノンレスコー」と同じなのだが、決して悪くないマスネーのメロドラマ音楽作品だ。最後が砂漠でなくて雪の中での道行きも中々いいフィナーレだった。
オペラをモニターで観るのも苦手なのだが、なによりもその歌声の魅力もあって、又演出の楽しさもあって最後まで流して、結構引き込まれた。やはり管弦楽が美しい音楽を奏でるのが肝要である。確かにハムブルクの歌劇場は独語圏では一プラス五傑には入るだろう。ストリーミングでもハムブルクへの誘いになっていたが、エルフィーよりもやはりここは価値がある。大成功の試みだった。
参照:
表情のヴィヴラート 2020-08-16 | 女
最後のエルフィー訪問 2020-02-19 | 文化一般