Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

一番辛い時に楽しいものを

2021-12-04 | 文化一般
夜中一時過ぎまでお勉強をしていた。これぐらい昔から熱心だったらと思わないでもない。新制作「マスケラーデ」千秋楽への準備である。この間「秋の小復活祭」があって完全に頭から抜けていた。だから少し焦りも眠気を覚ました。

矢張り全体の流れを鷲掴みにするにはハイライトみたいな音素材でも役に立つ。コペンハーゲンの放送管弦楽団で演奏された制作録音の触りがあったので聴いてみた。切り方はあまりよくないが、それでも全部で40分ほどあるので、そこから全体を繋げていける。

新たに気が付くこともあったのだが、プログラム冊子に目を通していないことも思い出して、すっかり就寝時刻を超えてしまった。それでも幾つかの有意義な情報はあったと思う。

一つは作曲家の作曲当時の状況に触れられていて、有名な彫刻家の奥さんとの関係も上手く行かず一人別居していて、王立劇場の第二カペルマイスターから下されて第二ヴィオリンに回されようとしていた39歳の楽士さんだった。そこで何回も「マイスタージンガー」や「ファルスタッフ」などを演奏していたというのである。もともと地方の労働者の家庭で生まれての生い立ちなど考えるとその心境も想像できる。

本人も60歳の時のインタヴューで、「不思議なもので一番辛い時に楽しいものを創作している。そうであるように。この謎は解けない。分からないけど、人は正反対へとの欲求でそちらの方に動くようだ。」と語っている。

デンマークでは民族的な歌もので有名で今でもオペラ、そして交響曲へと続いているようだが、この作曲家のパーソナリティーはこの「こうもり」を参考にしたようなこの喜劇のここかしこに感じることはできる。

もう一つ歌詞に関しての記述がよかった。原作自体は「フィガロの結婚」のボールマシェと同じく啓蒙思想に培われたものであり、その国民的作家ホルベルクの原作をアンデルソンが既にオペラ化を試みて作っていたとあり、その韻の連続が津波であると書かれている。今回独訳をしたベルガーの文章は、それを如何にドイツ語に当て嵌めて、また作曲がずれているところも考慮して新訳に当たったとしている。

これだけの創造的作業があれば原作とは大きく離れたテキストになっているのは当然である。どうしても現代人はそこにラップなどをイメージするのではなかろうか。今回は字幕も二度目なのでもう少しその韻を楽しめるのではなかろうか。まあ、おやじの駄洒落である。

さて、規制強化で抗原検査が必要になったので、朝一番で出かけてきた。予約制なのでそれ程並んではいなかったが、それでも五人ほどは待った。10時の約束で受けたのは10時3分、降っておらずそれほど寒くはなかったので、まあまあ許容範囲で、序にそこから歩いて現金を下ろし、更に近くで洗濯物を回収してきたので合わせて一時間は有効に使えた。

いつものように塩水鼻通しと口中洗浄剤で整えて行って、陰性。陽性が出たらとんでもないが、木曜日のランニングで肺炎気味に胸が痛くなっているので若干気懸りだった。しかし会場に集まる人が全て二十四時間以内にテストを受けていると思うと、ちびまる子ちゃんの自転車を乗っている人は皆同じように泣きながら努力したかと思うと感動とするのに等しい。売れ行きはこの時期としては決して悪くはないのだが、その中で何人ぐらいが同じように苦労してくるのかと思うと楽しみだ。私はまだ指揮者が友人というだけで動機づけもあるが、他の人もみな関係者なのだろうか?



参照:
言葉不要の高度な表現 2021-11-16 | 音
長短調システムの精妙さ 2021-10-30 | 音
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