中川龍太郎監督の新作は3話からなるオムニバス。91分のコンパクトに収まった短い映画だ。EXILE HIROが企画プロデュースした。デートクラブ事務所で働く3人の男たちのある夜の仕事を描く。3話はほぼ同時進行で並行して描かれる。それは彼らがその夜、迎えた女性たちとのささやかなドラマだ。主人公である6人の登場人物は、ほぼ僕は知らない役者たちばかりで,だから何だかドキュメンタリーみたいになっている。(安 . . . 本文を読む
劇団往来が本格ミュージカルに挑戦する。しかも原作はドイツのベルリンで上演された作品(V.ルートヴィヒ作)の大阪ローカル版。市川明が翻訳し、矢田和也が翻案。演出はもちろん鈴木健之亮。地下鉄1号線は御堂筋線。沖縄から初めて大阪の天王寺にやって来た少女。彼女は沖縄で出会ったミュージシャンを追いかけて新世界にいるという彼を追ってここまで来た。なんと彼の赤ちゃんを身ごもっているらしい。
新世界 . . . 本文を読む
目玉おやじの過去と鬼太郎誕生にまつわる物語という発想は素晴らしい。『墓場の鬼太郎』の映画化かと思ったら、まさかの目玉おやじ(ゲゲ男)の秘密が解き明かされるというお話だった。ゲゲ男は仕事でこの村にやって来たただの会社員である水木とふたりで失踪した妻を探す。たまたま出会ったふたりの旅が描かれる。ただ、お話自体はあまり面白くない。古い村の後継ぎ問題から始まる横溝正史ばりの連続殺人が描かれるのだが,後半は . . . 本文を読む
今絶好調の『ブギウギ』の趣里が主演した映画、というか、これは塚本晋也監督の新作だ。戦争を描く3部作の完結編。3部作と書いたけど、連作というわけではない。3本には何の関係性もなく、塚本監督が今戦争をどう見つめて、観客である我々に伝えるか、あるのはただそれだけである。戦争は遠くなって、記憶する人たちは死んでいく。戦争を知らない世代は今目の前にある戦争を他人事として見ている。明日は我が身だ、なんて思わな . . . 本文を読む
青山美智子の新作短編集。彼女は毎回こんな感じの優しい短編連作をさらっと差し出してくれる。甘いけど、ホッとする。いいかな、こんな感じで、と思う。特別凄いことではなく、ただどこにでもある、だから見過ごしてしまうようなたわいないこと。でもとても大事なこと。そこに目を向けて愛でる。それだけでいい。そんな短いお話が並んでいる。
どこにでもありそうな小さな公園の遊具。古びたカバのアニマルライ . . . 本文を読む