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映画・演劇のレビュー

『デジャヴ』

2008-01-26 00:07:24 | 映画
 トニー・スコットは、期待したデビュー作『ハンガー』でがっかりさせられ、『トップ・ガン』の頃は、なんだかなぁ、と思っていたが、その後さまざまな「大作」映画の中で、確実に力をつけ中身のないハリウッド映画とは違い、派手な娯楽活劇の中でもしっかり自分のテーマを打ち出す作家に成長した。CM出身の中身のない映像主義の監督だったのに、今ではただのエンタテインメントだけではない作劇を見せてくれるところが好きだ。

 デンゼル・ワシントンとコンビを組んだ前作『マイ・ボディーガード』は実によかったが、今回は正直言うと、あまりにストーリー自体が奇抜すぎてちょっと乗り切れなかった。

 結局は過去に戻って、死んでしまった女を助ける、なんていうただのタイムマシンものになってしまうのにはがっかりした。それまでの描写は、(嘘とはいえ)リアルな設定で引っ張ってくれていただけに、最後までそのリアルさを保ってドラマを紡いで欲しかった。もう少し我慢してラストまで投げ出さずストーリーを練って欲しい。

 オープニングからドキドキさせられるし、相変わらずド派手な描写のオンパレ-ドで(ジェリー・ブラッカイマーはほんとに破壊が好きだ)疲れた頭にはちょうどよい刺激だ。映画ならではの大作感もいい。何も考えずに見れて面白い。飽きないし、映画がバカではない。それだけに安易な解決部分が残念でならない。

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