小説だと思っていたから、最初は取っつきにくかった。だいたい僕はロックだけでなく、音楽にはあまり明るくない。ここに登場し、紹介されるものは、まるで(というわけではないけど)知らない。しかも、マニアックだし、洋楽には疎い。だが、その辺は読み流して行くと、だんだんこの青春グラフィティにハマる。
だいたい僕は奥田英朗と同い年なのだ。岐阜と大阪で、住んでいたところは違えども、まるで同じ時代を生きている。彼 . . . 本文を読む
ハヤカワ書房から出版される小路幸也作品は、他の出版社から刊行される彼の作品とは一味違う。まず、当たり前のことだが、これはミステリーだ。なんでも書ける彼だが、得意技は『東京バンドワゴン』シリーズに代表される家庭劇だろう。ミステリーをしても、その根底にはそれが流れている。本作もそうだ。
SPを主人公にした。要人警護で負傷した彼が、生まれて初めて故郷に帰る。母親の実家である北海道の田舎の村を訪れること . . . 本文を読む
濱野京子の、この初期作品をようやく読むことが出来た。バドミントン部の女の子が主人公のひとりだ、と知り、そこがどんなふうに描かれてあるのかも、興味津々。まぁ、別のこれはスポーツ小説ではないから、それほど期待したわけではないけど。しかも、バドミントンが、どうこうというレベルで小説は読まない。(自分がバドミントン部の指導をしているから、映画や小説で取りあげられると、ついつい気になるのだ)
中学3年生の . . . 本文を読む
『ゲノム・ハザード』で充分なのにサブタイトルに「ある天才科学者の5日間」なんてある。言わずもがな、だ。こういうパターンは作品に自信がない場合が多い。もちろん、宣伝サイドが、だが。
とはいえ、こういう映画を日本で作る、だなんて、そこは凄い。別に日本のマーケットを意識したわけではないだろう。(少しはあるだろうけど。でも、これが日本で大ヒットするとは、とても思えないし、西島秀俊もこの映画を撮影している . . . 本文を読む
第2次世界大戦末期、ドイツ軍に挑むアメリカ軍の兵士たちの物語。米軍は戦車の機能ではドイツに及ばない。(と、冒頭の字幕で知る)そんな状況下で、フューリーという愛称をつけられた戦車に乗り込む5人の男たちのお話。
つい先日見た『サボタージュ』の監督デビッド・エアー作品。あれでも、主人公はチームのリーダーで、組織の中で、自分の仲間を守り、戦うというポジションだった。だが、仲間がどんどん殺されていき、チー . . . 本文を読む
映画を前提にして書かれた中村航の原作を読んだ時、甘すぎる、と思ったけど、この映画はその比ではない。ここまで、甘いだけの映画にしなければならない理由がわからない。これは子供向けのお話だから、だなんて言わさない。犬童一心監督作品なのだ。そのへんのつまらない青春映画ではない。なのに、この体たらくだ。どうした犬童!
お話にまるで説得力がない。これではまだ、原作のほうがよかった。甘いなりにも筋が通ってい . . . 本文を読む
ここには大森一樹監督の初期作品で、大学の医学部の学生を主人公にした映画『ヒポクラテスたち』を見た時とは別の意味での感動があった。あの映画の青春の普遍性と、この芝居の特殊性との差は何だろう。同じように医大生が主人公だが、これは学部内の内紛に巻き込まれる学生たちの戦いを描いた作品だ。そのこと自体は、どこの世界にもあるようなことだが、それがこんなにも生々しく描かれるのは作者(くるみざわしん)が現役の医者 . . . 本文を読む