読みながら、これはなんて暗い話だろうか、と思う。交互に描かれるふたりの話はどちらも、よく似ている。大学生になった市川という男の話と、中学生になった佐野。誰ともなじめず、孤独に暮らす。いつもひとりで、目立たないようにしている。世界に心を閉ざし、何も期待せず、ただ生きているだけ。
そんな彼らが、同じようにひとりの友人を得る。そして、同じようにひとりの女の子と関わる。漱石の『こころ』に始ま . . . 本文を読む
シリーズ第2作。前作がとんでもなく、面白かったから、そして、あれで映画はちゃんと終わっていたから、本作にはあまり期待しなかった。だけど、期待以上の出来。(というか、期待してない、ってさっき書いたじゃん)
華やかなお正月映画らしい超大作で、でも、ちょっと過激で、そこまでしなくても、とも思うシーンも。ジュリアン・ムーアが悪役を楽しそうに演じていて、彼女はそのやりすぎの残酷なシーンも嬉々と . . . 本文を読む
2017年 小説ベストテン
1位 家と庭 畑野智美
2位 夜行 森見登美彦
3位 蜜蜂と遠雷 恩田陸
4位 さらさら流る 柚木麻子
5位 騎士団長殺し 村上春樹
6位 世界のすべてのさよなら 白岩玄
7位 ぼくらはその日まで 小嶋陽太郎
8位 君が夏を走らせる 瀬尾まいこ
9位 日曜日の人々 高橋弘希
10位 出会いなおし 森絵都
次点 . . . 本文を読む
今の時代、映画館はほぼシネコンばかりになってしまった。個人商店の小さな映画館は数えるほどしかない。ミニシアターもミニ・シネコン状態だ。それが常態化してもう誰もそれを異常だとは思わない。映画館とはシネコンのことだ、と思い込んでいる人の方が多いのではないか。今、僕がここでかつての映画館の郷愁を吐露しても何も始まらないから、書かないけど、なんだか寂しい。
年末、久しぶりでソウルに行って来た。あそ . . . 本文を読む
今年一番の芝居だ。もちろん、一番よく出来た芝居、というわけではなく、一番目に見た芝居という意味なのだけど。ウイングカップ参加作品。まだ芝居をはじめたばかりの若手が大一番に挑む勝負作のはずなのだが、どうしてこんなにも、感傷的なお話を作るのだろうか。もっと大きな夢を語るような芝居にしてもいいじゃないか、と思うのだけど、そうはしないのが今の若い人たちなのか。
20歳の6人が高校時代を振り返 . . . 本文を読む
なんとなく気になり借りてきた。パッケージを見て、面白そうだったから。リドリー・スコット製作のSF映画。監督はドレイク・トレマーズという人。この人の映画は初めて見た。お話がブレードランナーっぽいので、気になったのだ。先日の『ブレードランナー』の続編に先立ち作られていたようだ。リドリーは自分が手掛けるわけではないけど、きっと今もあの映画のテーマにこだわりを持っているのだろう。
説明を一切 . . . 本文を読む
初めて『スターウォーズ』を見てからもう40年もの歳月が経つのだ。77年、アメリカでは大ヒットしたのに日本ではなかなか公開されず、ようやく目にした78年の夏から今日までで、なんと40年の歳月が流れ、シリーズは⒏作目になる。前回の『フォースの覚醒』から2年。第三シリーズの2作目となる。40年経つと、生まれたての赤ちゃんが不惑のおっさんになるのだ。それだけの歳月が過ぎても新しいスターウォーズは作ら . . . 本文を読む
昨年見た芝居は129本。近年最低本数だけど、(というか、ここ10年程毎年見る芝居は減少している。それだけ芝居を見ることに対しての興味が薄れてきたのだろう。)見た芝居はどれも面白い。選んで見たら、そうなるのは当然だろう。面白い芝居しか見ない。
1位 売り言葉 (evkk)
2位 空と雲とバラバラの奥さま(クロムモリブデン)
3位 ハンアリ (May)
4位 月読み右近の副業(ジャブ . . . 本文を読む
2017年 映画ベストテン
昨年劇場で見た映画は141本。10本しか選べないのはつらい。でも、20本とか、30本とか、ここに書いてもなんだかなぁ、なので、10本限定。今年を代表する作品を選んだ。
1位 夜空はいつでも最高密度の青色だ (石井裕也) 日本
2位 ムーンライト (バリー・ジェンキンス) アメリカ
3位 パターソン (ジム・ジャームッシュ) アメリカ . . . 本文を読む
2017年 DVDで見た映画ベストテン
昨年、DVDで見た映画は124本。劇場よりもバラエティに富んでいるし、当然、レベルも高い。どうしても劇場で見るのは、困難な映画が多いからだ。公開時期、期間に制限があり、そうなる。拡大公開作品ですら、1週間で上映時間が制限されることが多々あるのだから、ミニシアターでの作品はかなり気合を入れてチェックしていなければ、見るのは難しい。だいた最近ではレンタルシ . . . 本文を読む