レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ(青山)


 現在、複数のグルメ情報本で銀座「ロオジエ」と並んで東京トップクラスのフレンチだと評価されている「レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ」。妻の誕生日祝いでランチに行ってきました。

 ランチのコースは、4,725円、7,350円、12,600円とありますが、ネット上で7,350円のコースは「おいしいけど期待していたほどではない。改めてディナーで試したい。」というコメントおよび写真を見て、どうせなら1回目で感動したいと少々高くてもアラカルトで2品食べることにしました。事前に店のホームページでアラカルト・メニューをチェックしましたが、なんと美味しそうなこと。正直、全て食べてみたいという料理名が並んでいました。

 地下鉄青山一丁目駅を降りて3分。ソニービルの横、白い近代建築風のビルの1階の入口にスタッフが立って待っています。
 12:10分と言われたので12:00入店組の次なのかと思っていましたが、我々が初めの客でした。マダムとスタッフ5~6名、そして成澤シェフが出迎えてくれます。久しぶりの仰々しい歓待に少し緊張。
 光のよく入る明るい部屋に席は30人分くらいでしょうか、黒革のリラックスできる椅子でとてもいい感じです。

 飲み物の注文を訊かれてから、3つのコースとアラカルトのメニューが出されます。一応、コースメニューの内容を確認、いろいろと食べられそうなのでこっちでもよいかと思いましたが、当初予定どおりアラカルトにします。ホームページに掲載されているメニューとは16~17品中、5~6品が違うものに入れ替わっていました。

 「イベリコ豚を食べたい」と妻と相談していたところ、スタッフから「イベルコ豚は量があるのでお二人でシェアしてちょうどいいくらいです。あと前菜を1品ずついかがでしょうか。」とアドバイスがあったので、妻がネットで名物と読んでいた「フォアグラとイチゴ」を、私は「九州・玄界産クエのオレンジ風味」を頼みました。この3品ともシェアしてサーブしてもらうことにしました。

 まず、オリーブが出されます。コース料理の中にもパスタが入っていたので、フレンチに捉われなということでしょうか。硬いことを言わないイイトコどりは大好きです。そして、コース料理の一番初めに出てくるちょっとした一品(口始めというのでしょうか?)であるパンとクラッカーの上にハムやプチトマトなどが乗ったものが出されます。そして、パンがサーブされます。焼き立てでバターもとてもいい味で、後に期待を持たせるスターターになっています。

 「フォアグラとイチゴ」(3,990円)。成澤シェフのスペシャリテは、肉・魚とフルーツをコンビネーションさせた料理のようで、いろんな情報でもそれがとても美味しそうに紹介されています。
 この料理は滅茶苦茶おいしくて名物という情報と、イチゴは季節外れでそんなに美味しくないという情報を読んでいたのですが、フォアグラを食べたかったので注文しました。
 美味しいですが、前評判から期待する「こんな美味いもの食ったことない」レベルではありません。フォアグラは、四谷のフレンチ「北島亭」で食べたときにこんなに美味いものなのか!要するに大トロ、特上ロースと同列の食べ物なんだと開眼させられました。この店のフォアグラもとても質のいいフォアグラだとは思うのですが、北島亭で食べたアブラがノッたものではなく、さっぱり系。あくまでサラダの具としてミックスさせているので、そんなに驚きはないのが正直なところです。

 「九州・玄海産クエのオレンジ風味~ルージュ&ブラン~」(4,410円)。魚とフルーツを合わせる料理を食べたくて注文しました。クエの上にグラタン風に焼いたもの、下に茹でたほうれん草が敷かれています。とてもおいしいですが、オレンジがどこに使われているのか分かりません。そんなに魚とフルーツのミックスのよさは感じられず、他店のシェフでも作れるのではないかという料理ではありました。

 「100%のイベリコ豚・わさび」(8,820円)。これは期待どおりでした。おいしい豚に唸っていると、スタッフから「もっと、わさびをたっぷり塗ってください」とアドバイスがありました。たっぷり塗っても全くツンとはこない美味しいわさびです。添えられていたホワイトアスパラもおいしくて、「あー美味い、幸せ」です。前菜として注文しようかどうか迷った「ホワイトアスパラのグラティネ」は、6,500円くらいと高かったので断念しましたが、1本でも十分堪能できました。

 ここまで食べて思ったのが、この店は素材のよさで勝負しているのかなあということです。和食では素材に拘る、素材で勝負するというのは王道ですが、フレンチ、イタリアン、中華などでは味付け、スープのよさなどが競われて、素材のよさを強調することはあまりないような気がします。フレンチとしてどう評価してよいか分かりませんが、全てとても美味しい、ただ、たまたま今回は時期が悪かったんじゃないか、寒い時期のほうがよかったんじゃないかという和食で感じるような印象を持ちました。

 以上、期待が大きすぎたので辛口の評価となりましたが、満足度は85%くらいとかなり高めで、美味しいことに間違いありません。
 最後のデザートも秀逸です。2,100円の価値があるかどうかは人にもよると思いますが、チョコレートのデザートもストロベリー系のデザートもおいしかったです。その後にワゴンでサービスされるプチフールも10種類くらい、どれもおいしくて甘いもの好きの女性にはたまらないと思います。

 ワインは、シャンパンで「ヴーブクリコ・イエローラベル」(1,575円)、白で「シャサーニュ・モンラッシュ」(1,890円)、赤で「ジュブレ・シャンベルタン」(1,890円)をいただきました。それぞれ3種類のグラスワインがメニューには用意されていましたが、一番高い(好きな)ワインを注文しました。いずれも高レベルのグラスワイン。懐具合により頼むかどうか分からなくても、このくらいの水準のワインを店では用意してほしいと思えるおいしさでした。

 料金は、サービス料10%込みで32,500円。食べているときには、4万円はしたかなあと思っていたので、意外と安く感じました。因みに、初めの一口料理とコースのデザート、エスプレッソのおかわりは値段にカウントされていませんでした。

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