「天乃」(倉敷市)


 岡山県は瀬戸内海を挟んで香川県と隣り合っているのでうどん屋が沢山あります。さぬきうどんと称している店も多く、全般的にはレベルが高いです。
 ただ、個性的な店が林立している香川県の名店・奇店と比べると普通の店が多くて面白み(香川のうどん屋は面白いです)には欠けるなあと思っていたのですが、ようやく「うわぁ、さぬきっぽい」と思える店を見つけました。
 教えてくれたのは高松市出身の会社の先輩で、ある懇親会でさぬきうどん談義が盛り上がったところ、岡山で好きな店として「天乃(あまの)」を教えてもらいました。

 場所は倉敷市粒浦という岡山学院大学の近くの分かり難い場所、周りは田んぼ、川が流れ、国道が通る。香川でさぬきうどん屋巡りをしていた時の風景と同じです。ここは綾歌郡かと錯覚するようなロケーションです。店に近づくものの最後の最後で迷って分からなくなるところもさぬきと同じです。
 知る人ぞ知る人気店らしく、細い道を入ると車が多くとまってるのでああここかと分かります。店の裏にも駐車場があるので車でも大丈夫です。

 店に入り、まずは券売機でチケットを買います。お客さんは「ざる」、「ぶっかけ」、「(汁入りの温かい)うどん」など好きなものを食べていますが、この店の特徴としては2品(杯)食べる人が結構いることでしょうか。食券を2枚並べておけば1杯目を食べ終わった後に2杯目を出してもらえます。
 店長とおぼしき男性にバイトのおばちゃんやお兄さんが数人、そのキビキビとした動き、大きな声にこれは絶対に美味しいなという雰囲気に溢れています。

 「ざる」(280円)も温かい汁の入ったうどんも美味しいです。ただ、この店の特徴はぶっかけでしょう。香川ではぶっかけというと水でシメた冷たいうどんに汁をかけるのが大半でしょうが、ここのぶっかけは、釜揚げうどんに具を載っけてあるものです。「ぶっかけ玉子」(310円)がこの店の看板メニューの一つ。温かい釜揚げうどんのぶっかけは始めてですがこれが美味い。写真ではうどんが見えなくて分かりにくいのですが、具を混ぜて、机上のしょうゆをかけて食べる温かいぶっかけは最高です。

 水でシメたうどんの美味さは香川、岡山と強豪店が競っていて個人的にはこれ以上の新規店は不要です。ただ、この店の温かい釜揚げぶっかけという変化球には参りました。ロケーション、雰囲気、味、値段など総合的(かつ個人的)に岡山で一店を挙げるならここかなと思います。



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大崎善生著「聖の青春」


 「聖の青春」は29歳で夭逝した村山聖(むらやまさとし)八段の将棋人生を描いたノンフィクションです。

 将棋のルールは知っていて遊びで指すことはできますがド素人、小学生か中学生の時に誰かと対戦して以来、少なくともこの25年はやっていないと思います。ただ、昔から新聞に毎日掲載される観戦記はちょっとした読み物として独特の面白さがあり好きで、特に大一番での緊迫したやり取りは素人が断片を読んでも大いに楽しめるものでした。
 それがキッカケは何だったか思い出せないのですが、もう少し詳しく将棋のことを知りたくなりました。観戦記ファンとして、振り飛車、棒銀といった戦術や美濃囲い、穴熊などの囲い方の名称、配置の特徴くらいは知っていてもそれぞれの効果、具体的な展開方法などは??どうせならもう少し詳しく承知していたい・・・その勉強中の将棋教本探しの中で「聖の青春」に出会いました。

 村山聖は広島県に生まれた普通の少年でしたが、5歳の時に難病の腎ネフローゼを発症しました。腎臓の機能が低下した結果、顔や手足がむくみ、高熱が出るので絶対安静にしてとにかくじっと寝て回復を待つ。この体調不良を繰り返す人生を送ることになります。入院生活の暇つぶしの中で知ったのが将棋。将棋への異常な関心が高じて大量の関連本を病床で読み漁るようになるのですが、実際に対戦を始める頃には既にかなりの実力を蓄積していました。

 そして地元の同年代では無敵となった村山聖は将棋プロへの登竜門である大阪の奨励会に入り、プロ(4段以上)をめざし、最終目標である名人への道を駆け上り始める・・・。

 このノンフィクションをとてつもなく面白くしているのは、病気に打ち克って将棋に取り組む村山聖の真摯さを主軸とするとサブシーンとして散りばめられている師匠である森信雄4段(現7段)との交流です。この森4段は若い頃にインドなどを放浪した変わり者で、雀荘通いを日課とするようなだらしない生活を送っているのですが、それが将棋さえできれば他のことはどうでもよい村山聖と妙に相性がよくて、風呂、掃除はたまで部屋は散らかし放題、食事は決まって駅ガード下の食堂という戦後の混乱期でも思わせるような生活を送ります。勝った者だけが残って奨励会で将棋を続けられるといういわば殺し合いのような緊迫感と時代が何十年か違うんではないかと思わせるほのぼのとした日常生活とのギャップが何とも可笑しくてこの2人の二人三脚での戦い、生活に楽しみつつ喝采を送るようになります。
 一方で病気は思わしくなく入退院の繰り返し、日々の生活の中でも大事な一戦を前にして高熱発症、体が動かなくなるということも頻発し、村山聖は順調にクラスを勝ち上がる中で自分には時間がないという意識を強くしていきます。

 著者の大崎善生が遭遇した2人の関係を物語る次のようなやりとりが紹介されています。
<われわれと青年は公園のほぼ中央で出会った。森が飛ぶように、青年に近づいていった。「飯、ちゃんと食うとるか?風呂入らなあかんで。爪と髪切りや、歯も時々磨き」機関銃のような師匠の命令が飛んだ。髪も髭も伸び放題、風呂は入らん、歯も滅多に磨かない師匠は「手出し」と次の命令を下す。青年はおずおずと森に向けて手を差し伸べた。その手を森はやさしくさすりはじめた。そして「まあまあやなあ」と言った。すると、青年は何も言わずにもう一方の手を差し出すのだった。
 大阪の凍りつくような、真冬の夜の公園で私は息をのむような気持ちでその光景を見ていた。それは、人間のというよりもむしろ犬の親子のような愛情の交歓だった。>

 村山聖の写真は表紙の1枚の他、本中にもいくつか掲載されていて、その朴訥とした愛らしい表情から、どうして多くの人間が村山聖を愛したかが想像できます。
 村山聖は名人への挑戦権をかけたA級リーグ(トッププロ10名の総当たり戦で最高勝率者が名人に挑戦する)まで上り詰めますが、新たな病魔が村山聖を襲い、命を賭けた壮絶な戦いを続ける中で最後は道半ばで倒れます。

 感動して読了したとはいえ直接は知らない人物にこれほどの喪失感を覚えるのはどうしてなんでしょうか。誰もが青年期に経験する好きなものへの一途な思いを20歳を超えて多くのお金を稼ぐようにもなっても持ち続けた村山聖という男への感情移入の深さ故なんだろうと思います。

 村山聖の死に際して出された谷川浩司9段のコメントが引用されていて、(死の前年である平成9年)7月14日の丸山7段(現9段)との激戦は絶対に盤に並べて彼の名人に懸ける執念を感じ取って頂きたいとあります。本の巻末に載っている棋譜を並べてみました。村山の執念を深く読み取れる棋力は私にはまだありませんが、その凄さを実感できる程度まで将棋が上達できればいいなと思います。


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「いろり山賊」(玖珂店)


 連休を利用した福岡への帰省の際、妻が久しぶりに「山賊」に行きたいと言い出しました。
 「山賊」(玖珂店)は国道2号線沿いの山中にある巨大なお食事処です。行ったことの無い方には説明しにくいのですが、山の中に現れたお祭り施設?、屋内のテーブル席の他、屋外の席が何十席と豊富にあります。

 私は2度目、前回も妻の要望で出向いてうどんを食べました。それほどでもない印象だったので妻にそう言うと、美味しいのは鳥焼きだからそれを食べてとのこと。3連休でそんなに急がないこともあり、中国道の玖珂インターで途中下車することにしました。

 玖珂インターで降りた後は、巨大な看板が店まで案内してくれるので場所を知らなくても行く事ができます(私は2度道を間違えましたが普通の方は迷わないと思います)。10分くらいで辿り着くと、久しぶり、思い出しました、この雰囲気。昼食の時間だったのでさすがに混んでいて少し待って駐車場所を確保します。まず料理を注文してから席を探すシステムです。寒い時期は屋外席はコタツになっています。開放感溢れる雰囲気、こういうのは他では経験できません。

 注文したのは、2枚看板の「山賊焼」(鶏のモモ焼き/580円)と「山賊むすび」(具が3つ入った大きなおにぎり/460円)に加えて、餃子とうどんです。この料理が最高に美味いかというと普通に美味いです。何というかこの大人気店、グルメポイントかと言われればそうではないのですが、ドライブの途中に寄る昼食の店としては最高の店です。
 当たり前かもしれませんが地鶏だとか嘘をつかずブロイラーだと明言しています。それをパリッと焼き上げて焦げのある皮の食感は最高です。比較的普通の鶏肉かもしれませんが、これを外で食べるのは気分いいです。
 中国地方で山賊むすびといえば具が数種類も入っている大きなおにぎりで誰もがおそらく知っている存在です。ただ、この店が山賊の元祖なのかどうかは分かりません。改めて食べると特別に美味しい訳でもないと思いますがこれも特別の雰囲気もあり美味しく思えます。
 加えて、この店のスタッフはとても感じがよくて気持ちよく食事できます。巨大観光ポイントにありがちな手を抜いたいい加減なサービではありません。

 要するにわざわざ出向くところではないかもしれませんが、もし中国地方を観光して山口県で昼食するタイミングであれば行って絶対に損はしない面白いお食事処です。私は雰囲気はどうでもよく美味いかどうかを店の良し悪しの基準とする方ですが、ここは食事処だけど観光地になっていて行く価値有りの店かなあと思います。


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チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル「ブラームス交響曲第4番 他」


 久しぶりの特上の一枚です。チェリビダッケがミュンヘン・フィルと初来日した際の演奏会をラジオ放送用に収録したものです。これは1986年10月15日の東京文化会館での演奏。

 チェリビダッケは、緑色のジャケットの海賊盤から、例のミュンヘン・フィルとのブルックナー、少し遡ったシュトゥットガルト放送交響楽団との多様なレパートリーのディスクなどなど、熱狂的なファンではないつもりですが、なんだかんだでほとんどのディスクを持っているのでとても気になる指揮者なんだと思います。やはり好きなんでしょう。
 ただ、ブルックナーを聴きたいモードにもう何年もなっていないので、最近はチェリビダッケは聴いていませんでした。
 それでも最近発掘されている東京ライブものは高品質のものが多いのでHMVのホームページでこのディスクを見付けると迷わずに購入することにしました。もともとは2枚組で5600円で売っていたものを1050円で再発売するという安さも魅力でした。

 当日の演奏順に1枚目に前半のプログラムとおまけのリハーサル風景、2枚目に後半のプログラムとアンコールが収録されています。
 オープニングの「ロッシーニ“どろぼうかささぎ”序曲」。ドラムロールの後の弦の艶やかさ、輝かしい響き!チェリビダッケが拘った音楽、世界レベルのミュンヘンフィルの機能美。聴き入ってしまいます。オペラ序曲風に勢いよくリズムを刻んだものではなく、アクセントをつけない純音楽風の演奏です。ゆったり堂々としているので晴れやかな祝典風に聴こえます。この音楽を当日ホールで聴いた人達は幸せです。
 ロッシーニの序曲の中で最も好きな一曲、というより全ての楽曲の中でも大好きな曲なので普通の演奏でも大いに楽しめるのですが、これは堪りません。

 前半のメインは「R・シュトラウス 交響詩“死と変容”」。この曲はそんなに聴いたこともないので他との比較はできないのですが、丁寧に紡ぐ音楽が後半に向けてドラマチックに盛り上がっていきます。この曲には冗長な印象がありましたが、美しい旋律、響きを楽しめた30分でした。私にとっては初めてこ曲を認識できた経験となりました。

 そして後半のブラームスの交響曲第4番です。元々第4番は冒頭のティーラーリーラーからして憂鬱で重くて好きになれない交響曲でした。この曲の魅力を開眼させてくれたのが同じチェリビダッケの1974年のシュトゥットガルト放送交響楽団とのライブ録音です。テーマ性を意識させない純音楽的な演奏、しかも一瞬も手を抜いたところの無い濃密に織り成す音楽、これまでの暗めの化粧を落として美しい素顔が現れたような感激を覚えたものでした。

 その12年後の演奏ですが、基本的なスタンスは大きく変わりません。ただ、若干速度が遅くなって録音も向上した分、ニュアンスの変化が抵抗なく心に染み入ります。合奏した弦に木管、金管が溶け合って全体として大きく深いんだけど透明感のある響きです。この透明感は以前、パリ管を聴いた時に感じたことがありますがもっと深みのあるもので、深い森の朝の空気とでも言える豊かなものを感じます。濃厚な演奏なんだけど変な満腹感がないのはこの不思議な透明性があるからでしょうか。いい演奏、いいオーケストラ、なんていい曲なんだろうと思えます。

 第2楽章の緩徐楽章はよりスローテンポですが、全体として決して遅いだけでなく、第3楽章には力強い推進力、第4楽章にはほとばしる激情があり全体としてバランスの取れた構成です。もう少し後のチェリビダッケの特徴である異様な遅さはまだなく、素直に音楽を楽しめます。

 晩年の巨大なチェリビダッケ節は好き嫌いがあるでしょうが、この頃までの演奏はよりノーブルで聴き易い。このブラームスの第4交響曲は文句なく最上の美演です。


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佐野元春「VISITORS」


 佐野元春の「VISITORS」を最近よく聴いています。無性に「TONIGHT」が聴きたくなり探していたのですがようやくネットで手に入れました。

 佐野元春ファンには申し訳ないのですが、ロック・ポップを洋楽で覚えた私には佐野元春の音楽はブルース・スプリングスティーンやスタイルカウンシルなどのパクリ、日本人の歌なのにサビは英語かよ、その声でボーカルやるのと嘲笑の対象でした(すいません)。サザンオールスターズと並んでレベルの低い日本ポップの象徴くらいに思っていました。

 ただ、この「VISITORS」に収録されていた曲は同時代でよく耳にしました。当時人気のあったラジオ番組である「ミスDJリクエストパレード」で頻繁にかけられていたからです。「ミスDJ」とは、素人から選ばれた女子大生DJ5人が月曜日から金曜日の夕方にDJをやっていた番組で、女子大生の素人っぽい新鮮さと会話が少なく音楽中心という構成が人気の理由だったのだと思います。今も出ている日本女子大の向井亜紀の他、可愛い声をした成蹊大学の千倉真理、立教大学の加藤何某などがいたと思います。高校生には華やかな女子大生のDJは刺激的でワクワクしたものでした。

 私が「ミスDJ」をよく聴いていた時にちょうど佐野元春がニューヨークに行き、新譜を制作する過程が同時進行で報道されていました。先行シングルである「TONIGHT」を始めアルバム完成後も多くの楽曲を流していました。当時も佐野元春の印象は同じで二流、アマチュアという印象でしたが、プロデューサーがアメリカ人だけあって詩はともかくアレンジはまとも、意外といい音楽じゃないかという感想でした。

 改めてアルバムを聴き直しましたがこれは大傑作です。シングルカットされた曲など5曲は以前ラジオで聴いて知っていて、3曲は初めて耳にしましたが、どの楽曲も刺激的でレベルが高い。当時は英語の歌詞を軽蔑していた“他人に厳しい高校生”も歳月が流れ寛容になれたのか素直に聴き入ることができます。偏見(拘り)がないとニューヨークを舞台にした歌詞はニューヨーク大好きな私にはとても刺激的かつ美しく聴こえます。佐野元春風のヒップホップミュージックも楽しい。
 ブックレットには日本詩と英語詩が併記されていて実際の歌唱はどちらかから選ばれているのですが、正直、もう少し日本語を使ったほうが逆に刺激的なんじゃないかと思える箇所もあります。それでも全体的にはリズム、アレンジがよくビートに合せてノリノリ、乗れます。

 「コンプリケーション・シェイクダウン」、「トゥナイト」、「シェイム」、「ニュー・エイジ」など佳曲のオンパレードですが全体としてもまとまりがあるあっという間の40分。
 25年振りに自分の中で甦ったラジオから聴こえていた音楽。佐野元春を再評価です。


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「真里」(小豆島)


 1泊2日で小豆島を旅行し、念願の「真里(まり)」に泊まりました。この人気宿の宿泊記録です。

 きっかけは昭文社の「温泉宿ベストセレクション西日本2008」というガイド本に読者アンケートによるベスト100というコーナーがあり、その第一位に小豆島にある「真里」という宿が選ばれていました。7室の小さな宿、丁寧なサービスに快適な室内、地元名産の醤油を活かした会席・・・うーん、これは良さそう。漠然といつか小豆島を旅したいと思っていたところ、俄然、どうせならこの宿に泊まる旅にしたいと具体化させたくなりました。しかし、この宿は原則として子供連れが不可です。例外として第一土曜日と月曜日が子供OKの日になっています。予約開始日には電話が繋がらずとにかく予約が取りにくいとのこと。第一土曜日の予約は至難の業、月曜日しかありません。仕事の予定表と真里のホームページに公開されている空室状況を睨めっこして、3月上旬に思い切って予約を入れました。

 7室のうち、2室(ひし、お)が2階建ての離れで1人29,000円、他の5室(で、も、て、な、す)が母屋の個室で1人19,000円です。因みに部屋の名前に使われている「ひしおでもてなす」の「ひしお」とは「醤」の読み仮名で宿のある地域が「醤の郷」と呼ばれていて醤油を作っている蔵や工場が多く立ち並んでいます。
 「真里」を紹介している雑誌、ネットなどで使われている写真は、概ね「ひし」か「お」のものです。値段は高いけどまずは看板だろう離れを利用したいと思いました。ターゲットとした日はどちらも空いていて、予約した電話で宿の方にどちらがよいか相談しましたが、それぞれ良さがありお好みですとのこと。2階のお風呂から海が眺められる「お」にも惹かれましたが、結局、古い蔵を改装した離れで国の文化財指定を受けた「ひし」(写真:外観)を予約しました。


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「真里 1階居間」(小豆島)


 初日の島内観光を終え15:30過ぎに宿に着きました。醤の郷の景観に合わせたような黒壁の落ち着いた雰囲気の宿です。

 荷物を係りの方が運んでくれます。母屋の中を通り、再び外に出て離れに向かいます。共同のお風呂場の脇に我々が泊まる「ひし」があります。1階は居間、窓の外にウッドデッキがあり、露天風呂があります。

 係りの方から宿と部屋の説明を受けます。改めて氏名、住所などを書かなくてよいのはいいですね。予約の際に個人情報を連絡しているのに改めて書かせる宿・ホテルが多いですがどうしてまた書かなくてならないのか分かりません。
 宿からのサービスということで涼しげな青いビンに入った水と香草茶が冷蔵庫に冷やしてあります。香草茶はほのかな甘みの爽やかな味わい。妻が作り方を訊くと、レモングラスというハーブティを淹れて少しハチミツを垂らすだけということでした。

 元々は蔵ということで機能面に少し不安があったのですが、普通の居室としてきっちり改装されています。機能的で快適な部屋です。2階も含めてちょうどよい広さでリラックスできます。

 子供OK日の特別の仕掛けとして部屋の中にお猿さんのぬいぐるみが3つ隠されていました。娘が必至になって部屋中を探しまくり、見慣れないこの部屋にすぐに馴染むことができました。こういう企画は初めてでしたが子供にはとてもよいものでした。


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「真里 お風呂」(小豆島)


 部屋内にも露天風呂があるのですが、宿に泊まる醍醐味の一つは日常とは違う大きなお風呂に浸かること。屋内風呂の前にまず共同のお湯場に向かいました。

 ここのお風呂は、内湯と露天風呂とのセットが隣り合わせに2ヵ所あり、夕方と翌朝とで男女入替されます。7部屋の宿ですからお風呂もそんなに大きくはないのですが、肌にぬめっとまとわり付くような泉質も気持ちいいです。里枝温泉を堪能できました。

 共同のお風呂で内湯と露天風呂、部屋に備え付けられた露天風呂にも入ると、緊張感がほどけて体中がふやけますがたまにはいいものです。冬はやっぱり温泉ですね。


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「真里 2階ベッドルーム」(小豆島)


 2階はベッドルームです。このベッドはとても気持ちよかったです。シーツの柔らさはちょうどよく、ふとんは肌触りがよくてふわっとフィットします。枕は2つ、柔らかいのとガリガリ粒が入っているのとあるのですが、どちらも頭の座りが良いのです。初めての寝床なのに違和感なくリラックスできます。
 いやー、気持ちよかった。到着してお風呂に入った後、夕食までの1~2時間、気持ちよく本を読んだりウトウトしました。2階なので適度に入る自然光もいい。この脱力感、堪らない快感です。夕食後もバタンキューで8時半すぎに寝てしまいました。

 宿でこんなに気持ちいい寝床は初めてかも。ふとんも進化しているのでしょうが、宿のスタッフのもてなし探求の成果ではないでしょうか。


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「真里 夕食」(小豆島)


 お楽しみの夕食です。事前の情報では食堂がどうなっているのか分からず、区切られていないと嫌だなと思っていたのですが、心配することなく個室です。8%加算で部屋食も選べるようですが、我々は母屋の方で食べました。いただいた料理は次のとおりです。

1.柚子酒
2.小鉢三種
3.飯蛸 海老辛子味噌
4.早春のお造りの盛鉢
5.精進(お椀)
6.めばるのみかん塩焼き
7.穴子天婦羅
8.浅利汁
9.土鍋のおこげご飯
10.青汁のシャーベットと果物

 これに金額の高い離れの客にプラスされたのだと思いますが、飯蛸の次に写真のおこぜのお造りが出ました。白身がこりこりと歯ごたえもよく甘みがあってとても美味しかったです。胃や皮など普段食べない部位も美味。頭部は翌朝の味噌汁で使われました。

 続く造りの盛り合わせも中鉢にちょこっとのイメージでしたが、大皿に盛られていてびっくり。ここの料理の主役はお造りです。鯛、サザエに似た貝、イカ、サヨリの4種でしかも十分な量があります。ここだけは宿のご主人だと思われる方がサービスして魚を説明してくれます。新鮮で美味しかった。ヤマロク醤油の「鶴醤」も名脇役です。魚、お刺身が大好きな方には堪らないでしょうが、私はおこぜもあったので少し量が多いような気がしました(これは贅沢な感想です)。

 その他の料理もどれも品がよく上質でとても美味しくいただけました。小鉢にはオリーブの天婦羅、めばるの塩焼きをオリーブオイルに浸けていただいたりと地のものを上手く取り入れた会席料理です。それでも全体的には和のど真ん中、安心して箸を進めることができました。最後の土鍋のおこげご飯も最高。日本人には堪りません。余ったご飯は夜食のおにぎりにしてもらいました。

 十分に満足のいく夕食となりました。


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「真里 朝食」(小豆島)


 朝食は8時からにしてもらいました。ぐっすり眠って、ゆっくり朝風呂に浸かった後、母屋に向かいました。

 ごま豆腐、小松菜と揚げのお浸し、大蛸白和え、小芋と小蕪の焚き合わせ、明太子入り出し巻き、焼魚にご飯、味噌汁、湯豆腐にネーブル牛乳と夏みかんゼリーです。どれも手堅く普通に美味しかったです。朝食にこれ以上は求めません。

 食後は近くのお寺に散歩。ゆっくりして10:00過ぎにチェックアウトしました。お土産に香草茶の入っていた青いビンを2つ購入です。
 29,000円は全て込み込みの料金でした。サービス料に消費税で実は33,500円でしたを覚悟していただけに逆に意外でした(最近はこれが普通なんでしょうか)。子供の利用料3000円、飲み物も含めてトータル63,000円です。高いといえば高いのですがこの内容であれば十分に納得です。普通の部屋19,000円はかなりお得といえます。これでは予約は取りにくくなります。


 小豆島観光で巡ったのは、初日にオリーブ園、造り醤油蔵の「ヤマロク」、ロープウェイで寒霞渓、岬の分教場、二十四の瞳映画村、二日目に島の東北部(採石場)ドライブ、四方指展望台、春日神社上の千枚田です。
 出発前日に映画「二十四の瞳」を復習していたので(高峰秀子の古いほう)、岬の分教場は本物も映画セットも良かったですね。大石先生が渡し船で横断した海の眺め、唱歌と相俟ってしみじみとしてしまいました。
 「ヤマロク」では店主の方が蔵の中を案内してくれて恐縮しました。真里のホームページでここの刺身醤油を使っていると書いてあったので元々買うつもりだったのですが真面目そうなご主人の人柄にも感動してお土産も含めて醤油を沢山買ってしまいました。
 小豆島観光ポイントの横綱級の寒霞渓は宣伝されているほどの渓谷美でもないような印象でしたが、2日目に行った寒霞渓に近い四方指展望台は本当に絶景でした。壮大な空間と景色に感激です。観光ガイド本には何も触れられていませんが、絶対に四方指展望台です。
 千枚田もガイド本には全く記載はなく、宿で貰った道草・遠足探検隊という小冊子で紹介されていて出向いたのですが、とても良かったです。天皇皇后ご視察ポイントという場所は下から仰ぎ見る高さだったのでそこからかなり登って眺めました。千枚田は名前では知っていたのですが見るのは初めてでこちらも感激です。
 そういえば四方指展望台も千枚田もお金が落ちる施設ではありません。ガイド本で紹介されているスポットは有料か土産物屋のある場所だけがピックアップされているようです。何かあるんでしょうか。こういう特徴のあるスポットこそ観光の醍醐味、三ツ星の旅先だと思うのですが。


 新岡山港から土庄港までフェリーで70分。1泊あれば島中をゆっくり観光できます。「真里」での充実感も含めて大満足の旅行となりました。


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