年末年始のテレビ番組


 昨日、近くのスーパーに買出しにいった際、雑誌コーナーで年末年始のBS放送の予定をパラパラと見ていたところ、結構、面白そうなクラシック番組が放送されることを知りました。

○12/31(土)

8:00~9:40(BS朝日)
 アバド/ポリーニ/ベルリンフィル「ベートーヴェン 合唱幻想曲 他」

○1/1(日)

1:15~3:30(NHK BS2)
 ベルリンフィルのジルベスターコンサート2005「モーツァルト フィガロの結婚序曲 他」

6:00~7:55(BSフジ)
 チョン・ミュンフン/フランス国立放送フィル「サン・サーンス 交響曲第3番 他」

8:00~10:15(BS朝日)
 ラトル/ベルリンフィル「バッハ ヨハネ受難曲」

12:00~13:50(BSフジ)
 ラトル/ベルリンフィル2005年来日公演「R.シュトラウス 英雄の生涯 他」

14:00~14:55(BSフジ)
 「ポスト3大テノール ラ・スコーラ in JAPAN」

○1/2(月)

8:00~9:55(BS朝日)
 「イスラエル・フィルハーモニー 60周年記念ガラ・コンサート」

21:30~23:55(NHKハイビジョン)
 サルツブルク音楽祭2005「ヴェルディ 椿姫」

○1/3(火)

8:00~9:55(BS朝日)
 アバド/ポリーニ/ルツェルン祝祭管「ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 他」

 注目は、ザルツブルク音楽祭の椿姫とアバド/ポリーニのベートーヴェンです。どちらも今年のDVDでの発売を待っていたもので、ないんだなあと残念に思っていたところ、ちゃんと映像は残っていたんですね。

 椿姫は、CDでは発売されていて何度も試聴して買うかどうか迷った演奏です。ヴィオレッタは人気のネトレプコという話題もありますが、何といっても滅多に聴けないウィーンフィルによるヴェルディ演奏という点です。繊細な絹の音のような前奏にうっとりしたのですが、やっぱり映像だよなあと我慢してきたものです。

 アバドによるルツェルン音楽祭での演奏はほとんどが映像化されていますが、このポリーニとのピアノ協奏曲がまだだったのでこちらも楽しみです。

 その他、ラトルとベルリンフィルの来日公演も楽しみ。ヤンソンスが指揮するウィーンフィルのニューイヤーコンサートも一応観ると思いますが、最近は興味が薄れてきているので、始めの10分~20分くらいになりそうです。

 雑誌には1月末までの番組予定が載っているのですが、4日以降の番組は皆無に等しいです。週末には1本、せめて1月には1本くらい、魅力的な番組が放送されればなあと思います。

 以前、スカパーやWOWOWを契約していた時期もありましたが、クラシック放送も番組も一昔前のつまらない映像の繰り返しで怒りを通り越して溜息が出ました。要するに、ライブ映像のコンテンツ不足だと思うのですが、どうせCDにしてもDVDにしても売れないのであれば、もっと放送権利を入手しやすく広く流通する環境を整備して番組を増やしてもらいたいものです。


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今年の1枚/今年の1冊/今年の1本/今年の1皿


 年末なので今年1年間で特に思い出に残った作品を整理しました(必ずしも今年リリースされたものではなく、今年体験した作品です)。

○クラシック音楽

 シェリング/クレンペラーによる「ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲」(5/5にアップ)です。優秀な演奏、ディスクに優劣はそんなにないと思うので、結局聴いた回数の多さになるのかもしれません。
 その他ではクレーメルのバッハ無伴奏、ツィマーマンとラトルのブラームスピアノ協奏曲1番、レヴァインとメトのトリスタンの映像もよかったです。
 来年以降の期待は(録音予定があるのかどうか知りませんが)、ティーレマンのベートーヴェン、ラトルのモーツァルト、ゲルギエフのマーラーあたりでしょうか。媒体としては、今後はCDではなくて、基本的にDVDが中心になるといいなと思います。

○ロック・ポップ音楽

 リリースは昨年かもしれませんがU2の「ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム」です。世評では前作の「オール・ザット・ユー・キャント・リーブ・ビハインド」が久しぶりのU2らしい作品ということで売れたようですが、私には気の抜けた退屈な演奏にしか聞こえませんでした。いろいろあったけどもうU2は過去の名曲で生きていくバンドになったんだなあと思っていたところで聴いた新作。
 初期の作品を手掛けたスティーブ・リリーホワイトをプロデューサーに起用して、なつかしいエッジの切り込み、ギターの響きが戻ってきています。これに最近のドライブ感も加わって、いい意味でまだ尖がった成熟したロックを聞かせてくれています。静かな曲もかっこいいです。U2、ロックはこうでなくちゃと思わせます。

○本

 「エデンの東」(8/21にアップ)の翻訳者である土屋政雄氏つながりで読んだ、カズオ・イシグロの「日の名残り」とフランク・マコートの「アンジェラの灰」も素晴らしかったです。
 特に「アンジェラの灰」です。危うくこんなに面白い物語を読まずに死ぬところでした。抱腹絶倒、泣き笑いのドラマというと陳腐な宣伝のようですが、アイルランドの貧しい家庭で力強く生きるフランク少年の自叙伝です。仕事に就けず失業手当も貰ったその日に全部飲んでしまう父、泣きながらも家庭を支える母。兄弟愛、それでも貧しさから死んでいく幼子達。無名の引退した高校教師が書き下ろしたノンフィクションです。1997年にピュリッァー賞を受賞しています。

○映画

 「DEEP BLUE」(6/5にアップ)です。海にまつわる記録映画が今年の1作というのは映画界に失礼(?)ですが、今年ダントツで回数多く観た映画なので。ようやく観たキューブリック監督の「フルメタル・ジャケット」もよかったです。

○食べ物

 京都の美山荘で食べた夕食の「前菜の盛り合わせ」(6/5にアップ)にしておきます。コストパフォーマンスも考慮すると「廻転びっくり寿司」の「ヤリイカ」(1皿189円)でしょうか。

○その他

 まだ3号までしか出ていませんが、雑誌「クーリエ・ジャポン」に期待です。世界中の記事を寄せ集めるフランスの雑誌の日本版です。海外記事を翻訳して紹介する雑誌はこれまでもありましたが、複数(国)のジャーナリズムの論調を対比させて、同じ出来事についても大きく視点が異なることを示します。2号は、単なる翻訳記事の寄せ集めで視点の違いなどどこにもなくて、なんだこれはとガックリしましたが、3号は少し主旨に沿った内容に戻っていました。海外記事は日本ではあまり好まれないようで、あまり売れず、大きく方針転換、ビートたけしのインタビュー記事か何かを載せるようになって、休刊というのが毎度の流れですが、そうならないことを祈ります。


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ポール・マッカートニー「バック・イン・ザ・U.S.」


 休日の楽しみの一つに、家で焼肉を食べながら、ポール・マッカートニーのDVD「バック・イン・ザ・U.S.」を観ることがあります。

 ロック・ポップのライブ映像では、AC/DC(全て)、グロリア・エステファン(どれも内容は似ているが初期のマイアミでのコンサートが勢いがあっていい)、レッド・ツエッペリン(LZ)、ポリス(シンクロニシティ・コンサート)とポール・マッカートニー(バック・イン・ザ・U.S.)が特に好きです。最近のDVDではクィーン+ポール・ロジャースの「リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ」もよかったです。

 2002年のポール・マッカートニーのコンサートツアーは、ファンが期待する多くのビートルズソングを取り上げたことで話題になったものです。日本公演は声が出なくて賛否両論あったようですが、この映像は衰えは隠せませんが満足できる水準です。
 特に冒頭の「ハロー・グッドバイ」や「オール・マイ・ラビング」は泣けます。実際にオール・マイ・ラビングを聴ききながら泣いている客席の中年男性が映し出されますが、多くのファンも同じ感動を味わったのだと思います。こんなに観客が幸せそうな映像を他で見たことはありません。オール・マイ・ラビングを実演で聴けるなんてこの世の中で最も幸せな2分間です。

 最近は、チビが生まれて外食することは全くなくなったので、その分、お取り寄せ食材で少し贅沢をしています。以前、取り上げた「飛田和緒の台所の味」で紹介されていた北海道の「肉の山本」の生ラム肉をネットで注文して初めて食べてみました(3袋で定価2000円くらい)。
 これに以前から定期的に通販購入しているJAめぐみの「明方ハム」(1本1000円)も一緒に今日は豪華な焼肉の夕べとなりました。生ラムは評判どおり美味しかったです。

 妻は「また半ズボン野郎なの?(AC/DCのアンガス・ヤング)」、「またビートルズなの、好きねえ」と呆れますが、美味しいラムと美味しいハムを食べながら、最高のライブ映像を楽しむ。小市民の至福の時間です。


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クリフォード・ブラウン「ウィズ・ストリングス」


 前回メモの関連ですが、ジャズ界で名盤と言われているいくつかのディスクを聴いてきました。マイルス・デイビス、ビル・エヴァンス、ジョン・コルトレーンなど流石にいいなあと思うのですが、何度も聴いてみようという愛聴盤にはなかなかなりません。ライブでの実体験がないこと、瞠目した感動体験がまだないからではないかと思います。

 その中で、これまで何十回も聴いているのが、1955年に収録されたクリフォード・ブラウンの「ウィズ・ストリングス」です。25歳の若さで交通事故死した天才トランペッターの晩年の名作です。トランペットのソロをストリング(弦楽器)がサポートするスタイル、収録曲はスタンダードというと何かお上品でつまらない印象ですが、クリフォード・ブラウンの野太くて艶、歌のあるトランペットの魅力全開で聞き惚れます。

 メロディの主旋律を一つの楽器が演奏するだけ、これをクラシック系の楽器でやったら失笑を買うしかないと思います。それがトランペットだとこんなにも魅力的な響きを送り出すことができる。スタンダード集にありがちな緊張感のなさも微塵もなく、完成度が高くて、トランペットっていいなあと感動できます。
 ライナー・ノーツを読むと“聖なる古典”と呼ばれていて、ウィントン・マルサリスがトランペッターを志すきっかけとなったのも12歳の時にこのディスクを聴いたからなんだそうです。

 この他のクリフォード・ブラウンのディスクもマイルス・デイビスの名盤も魅力的ですが、ジャズで1枚となると今のところこのディスクになります。


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村上春樹「意味がなければスイングはない」


 村上春樹のファンです。「ノルウェイの森」の後の代表的な長編小説は私には難解でちょっと好みではなくなったのですが、短編小説、紀行文、エッセイは最高です。間違いのない、面白いことが約束されている読み物です。

 通常、旅行文、エッセイでの私の好きな場所、好きなモノ紹介は、あまり共感できないか、自分のセンスのよさをひけらかしているだけの文章が多いのですが、村上春樹の文章は、面白くて、芸術の新しい楽しみ方を教えてくれて、かつ決して鼻につかない文章です。これだけ自分の好みを主張して嫌味にならないのは、本当に音楽、小説、快適な街での生活などが好きで好きで堪らないのが伝わってくるからだと思います。青春時代の多感な時期に深く音楽、書物に関わった経験があるからだと思うのですが説得力があります。まさに玄人はだしです。

 この単行本には、雑誌「ステレオサウンド」に連載された音楽家、曲についての比較的長い文章が10テーマと興味深い「あとがき」が収められています。
 「ブライアン・ウィルソン」、「ブルース・スプリングスティーン」、「ゼルキンとルービンシュタイン」、「ウィントン・マルサリス」の4つについては好きか、ある程度知識がありましたが、「シダー・ウォルトン」、「シューベルト ピアノソナタ第17番」、「スタン・ゲッツ」、「スガシカオ」、「プーランク」、「ウディ・ガスリー」については名前を聴いたことはありましたが全く知識はありませんでした。

 それでも楽しく読むことが出来ました。聴いたことのない多くのディスクについても興奮、楽しさ、喜びが伝ってきました。そして、ロックにしてもクラシックにしてもジャズにしても実演で聴く機会を定期的に持ちたいなあと思いました。
 「シダー・ウォルトン」、「シューベルト ピアノソナタ第17番」、「スタン・ゲッツ」については早速ディスクを複数枚購入して聴いてみました。全てが良かった訳ではないのですが満足できました。

 プロの評論家、ショップの推薦にはどうしても利害が絡むので、外れや誘導がたまにありますが、信頼できる愛好家の推薦には外れは少ないです。10テーマといわず、村上春樹氏にはもう少し、これまでの体験をご教示いただきたいものです。


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クヴァストホフ/ブーレーズ「マーラー さすらう若人の歌」


 NHKのBS放送だと思うのですが、アバド/ベルリンフィルとのマーラー演奏で独奏者のクヴァストホフを聴いて、観て魅了されました。身体に障害のあるバリトン歌手なのですが声に艶、輝かきがあり、歌には説得力があります。最近はヨーロッパの音楽祭でパルジファルなどにも出演して人気、評価も確立してきているようです。

 何枚かクヴァストホフのCDを聴いたのですが、やはりマーラーが今のところ一番よいと思いました。ブーレーズの最近の録音は良いものと平凡な気の抜けたような演奏との差が大きく、安定感がありませんが、このディスクでは名歌手3人を擁してなかなか健闘しています。


(お断り)

 申し訳ありませんが、本ブログは、今後、インターバルの長い不定期更新となると思いますので予めお断りさせていただきたいと思います。

 秋以降、赤ん坊中心の生活になり旅行、外食には行きにくくなりましたが、その他の面では従来と生活はあまり変わりません。ただ、いろいろと書きたいなあと思って始めたこのブログですが、結構、メモを書いた満腹感があり、今後、どういう展開となるのかよく分からないところがあります。そこで、通常ブログに期待する最低でも週一の更新とはならないと思うので、一応、お断りさせていただくものです。

 今年はこれで最後になるかもしれないのでご挨拶。皆さん、メリークリスマス。よい新年をお迎え下さい。


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デュ・プレ/バルビローリ「エルガー チェロ協奏曲他」


 ボーナスお小遣いを貰って少し懐が暖かくなったこともあり、久しぶりに渋谷の音楽ショップに行きました。
 主目的はクレンペラーのベートーヴェン第4番、第5番のベリリンフィルライブ盤だったのですが、試聴したところ、しっくりこなかったのでとりあえず止めておくことにしました。聞き通せば違った印象を持つかもしれませんが、どの演奏、録音でも冒頭の1~2分の違和感は結局、最後まで解消されないということが私は多いです。それでも他に選択肢がなければ購入するのですが、ウィーンフィル盤などもあるのでここは無理はしません。

 試聴コーナーのクレンペラー盤の隣にあったのが、このデュ・プレのライブディスクです。
 ジャクリーヌ・デュ・プレは大好きなチェリストです。初めて聴いた時、生命力に溢れて力強くて朗々と歌う旋律にやっと好みのチェロ奏者に巡り会えたという印象がありました。
 ロストロポーヴィッチは音がゴツゴツしすぎていて好みではない、フルニエはノーブルで良いけどもう少し血の通った音楽の方がよいかなあ、マイスキーは繊細だけど音が小さいということで満足できるチェリストがいなかったのですが、デュ・プレの演奏を聴いて初めてチェロという楽器の本当の機能、輝きを知りました。
 その後、「ジャクリーヌ・デュ・プレの想い出」というビデオを観てその思いを更に強くしました。明るくはしゃぐギャルのような一面と何かに憑かれたようにチェロ演奏に没頭するギャップの大きさに驚くとともに魅了されました。演奏も人間も魅力があり、バレンボイムが惚れたのもよく分かります。

 残念ながら病気により演奏期間が短かったことで、残されたディスクは協奏曲中心で、バッハやベートーヴェンやシューベルトのディスクが残っていればなあと残念に思うのは多くのファンと同じです。

 このディスクのエルガーは正規盤も満足できる演奏ですが、こちらも素晴らしい演奏です。バルビローリの指示なのかパワーをうまくコントロールしているような全体的には落ち着きがある演奏です。ライブだから許容されるというような乱暴さは微塵もありません。この曲の美しさを味わいながら瞑想するように演奏しているようです。静かな高揚感があり感動がしみじみと伝わってきます。
 デュ・プレのチェロ演奏を聴くと、現代のチェリストも真似てこういう響きを聞かせてもらえないかなあと思うのですが、これは天才だけが鳴らすことのできる音楽なのでしょうか。

 カップリングされているバッハの無伴奏第1番、第2番は以前から発売されていた放送録音なんだそうですが初めて聴きました。自由な演奏というか古来からの演奏様式に拘らない伸び伸びとした演奏です。なんと17歳頃の演奏です。バッハの無伴奏についてはこう演奏して欲しいという好みがあるほど聞き込んでいないので、この演奏の優劣はよく分かりませんが、これはこれで魅力があります。もう少し様式を意識するほうがよりデュ・プレの良さが溢れ出るのではないかという印象を持ちました。しかし、残念ながらその成熟を聴くことはできません。


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