ガーディナー/EBS「モーツァルト交響曲第39番、第41番」

            

 素晴らしい演奏です。極上のモーツァルト。録音も最高。

 ガーディナーとイングリッシュ・バロック・ソロイスツによる最新ライブです。2006年のロンドンでのライブが昨年ディスク化されていました。

 基本的なスタンスは1988年の録音と同じです。しかし、それを遥かに上回っています。一言で表すと円熟。しなやかさ、やわらかさ、堂々とした迫力、ゾクゾクするピアニッシモ。これしかないと聴こえます。録音も良くて、これまで聴こえなかったいろんな音、ハーモニーがクリアに聴き取れます。最高です。

 生きていることの幸せ、モーツァルトを聴く喜びです。このコンビによるモーツァルトを生で聴きたい。


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「太陽のトマト麺」(モザイクモール店)

          

 映画の後は、ノースポートモールからモザイクモールに移動です。イタリア繋がりという訳ではありませんが、トマトを多用したイタリアン風スープのラーメン屋です。
 同じgooブログに「emotionally」というサイトがあり、写真が美しくて定期的に閲覧しているのですが、ここは写真の題材の中の一つとして取り上げられる美味しい店の情報の質(B級風実は高水準店)が高く参考にさせてもらっています。この「太陽のトマト麺」もそこで知った店です。このブログで知った情報でなければトマトスープラーメンに関心を持つことはなかったと思います。

 「太陽のラーメン」(730円)に「らぁリゾ」(150円)です。

 ふっとニンニクが香るのはイタリアンです。スープはトマトが凝縮していて美味い。すっぱさと旨みのバランスがいいです。イタリア産トマトを鶏ベースのスープと合わせているようです。
 それに中細の麺、これはラーメンの麺です。スープによく絡む。違和感なく自然に美味しいです。イタリアンとラーメンの融合、ありです。これは美味しい。

 麺を食べ終わった後は、別皿のご飯の上に何かが乗ったものにスープをかけてリゾット風にいただきました。このらぁリゾが名物なのだそうですが、これは普通のスープかけご飯でした。

 今回はまずはトマトスープをそのまま味わいましたが、一番人気という「太陽のチーズラーメン」も試してみたいです。

 因みに明日1月29日(日)は4周年感謝祭でラーメン全品500円なんだそうです。


          


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「ひまわり」(ニュープリント&デジタルリマスター)

               

 「J・エドガー」にするか迷ったのですが、懐かしい「ひまわり」にしました。昔の名作のニュープリントやデジタルリマスター化がどの位進んでいるのか分からないのですが、何かの企画で第1作が「いちご白書」で第2作がこの「ひまわり」のようです。

 センター北のワーナーマイカルシネマズでは、今日から10時の回だけ2月2日(木)まで計6回のみの上映です。

 「ひまわり」といえばソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの共演、例のヘンリー・マンシーニの主題歌、そして一面ひまわりの映像などで有名なイタリア映画です。私もいくつかのシーンと前半のストーリーを覚えていたのですが、その他、いろいろと忘れてしまったので観直してみることにしました。観客は10名くらいしかいませんでした。

 ニュープリント、デジタルリマスターは旧作の状態を覚えていないので比較しようがありませんが、意外と普通の映像、音響です。映像がピカピカになったということではありません。逆に旧映像、旧音声はかなり古くて現在の大スクリーンには耐えられない水準なのでしょう。

 見終わった感想は、記憶に残っていた4~5シーンが、今回改めて鑑賞してもこの映画の肝心要のシーンであり、忘れていたその他の部分はどうでもいいところでした。
 つまり、一面ひまわりの映像、極寒のロシアを歩き回り小屋に入るシーン、女に足を抱えられて雪の上を引きづられるシーン、駅での再会のシーン、そして駅での別れのシーン。これを覚えていたのですが、やはりこのシーンが全てです。全体としては、若干大味なメロドラマ、脚本も十分に練られていない印象です。特に時間軸が分かりにくくて戸惑います。2年経過したのか、5年経過したのか、10年なのかが分かりにくい。

 それでもソフィア・ローレンの健康なエロティシズム、盛り上がるシーンで繰り返し流れるあのメロディ、冷戦下のソ連ロケでの雄大な景色、イタリア人とロシア人の雰囲気、顔の違いが面白かったり、劇的な駅での再会や別れの場面でははからずも涙がこみ上げてきたりと最後まで魅せます。

 意外や名作とまではいえない映画でしたが、これぞシネマ!のいくつかのシーン、映画史に残る主演の二人、ひまわりの映像、主題歌が懐かしい人には楽しめます。当分の間、ティラリーラーリーラリーとあのメロディが頭の中で反復しそうです。


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宮本輝「錦繍」

               

 「週刊現代」の書評で「読書といえば、年末、朝日新聞の書評欄で、書評委員が「今年の3点」を挙げていたが、各自ばらばらで、印象に残らなかった。ああいうものはある程度ベストテン的というか、ミーハーでないと、読者はとても付いていけない。もう少し紙面に戦略が欲しかった。」とあり、その通り!と評者の深草俊樹氏を喝采しました。これは日垣隆著『つながる読書術』という新書のブックレビューです。目を通したところ、付録の「読まずに死ねない厳選100冊の本!」もおトク感あり、と紹介されていました。

 その「読まずに死ねない厳選100冊」の中の一冊です。宮本輝は大好きな作家で初期の川3部作、「青が散る」、「優駿」、「私たちが好きだったこと」など読んだ本はどれも感動的、印象的な傑作揃いです。ただ、この「錦繍」は未読でした。

 離婚から10年後に偶然再会したした男と女の往復書簡。離婚の原因となった事件の真相が明らかになり、また別の道を歩んだ10年間のどちらかというと哀しい出来事が語られます。

 手紙に書き記す内容があまりに詳細であることに始めは少し違和感を覚えますが、すぐに二人の人生に魅了されてどっぷりとこの物語に浸かってしまいます。登場人物に感情移入しながら、まるで自分も関係者のような錯覚を覚えながら読み進めます。読書する喜び、さすがは宮本輝です。

 250ページの中編なのですが、最後の方は、あれあれページ減ってきたよ、もうこれで終わるのと心配になりました。宮本輝が得意とするラストにおける盛り上がりと胸を締め付ける劇的な幕切れを期待していたのかもしれませんが、この作品は余韻を残して静かに終わります。全ては語られなかったけれど、もう十分、二人には(そして途中から関係者の私にも)理解できた、そんな印象です。

 いつもながらに脇役が素晴らしい。既読の傑作では脇役と思っていた人物が途中から主役にという展開もありますが、この作品は往復書簡なので主役二人は変わらずです。浮気相手、喫茶店の店主、二人目の夫、同居の女、父親・・・エピソードが紹介されるだけなのに人物描写が鮮やかでキャラが立っているのは見事です。

 読み終わってため息。感動とはまた違う読後感ですが、大いに満足できました。

 作品の中で印象的に使われるモーツァルトの楽曲。“十六分音符の奇蹟のような名曲”39番シンフォニィではガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツの演奏を気に入っています。

             


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「鳥藤」(築地場内)

          

 今年、はじめての「鳥藤」です。年が明けてからも2週間に一度程度の築地通いは続けているのですが、築地では食事せずに購入した食材を帰宅後に料理するほうが多くなりました。

 今朝も寿司大にはもの凄い行列です。写真を見ると確かにうまそうですが朝は寿司モードになりません。久しぶりの「鳥藤」で「鶏吸と卵かけご飯」(700円)です。鶏の旨み・脂のぐっと出た透明スープは本当に堪りません。最後はご飯を入れておじやにしました。美味しかったです。


          

 そして昼食は築地で購入した食材です。鳥肉を売っている方の「鳥藤」で買ったもも肉で作る竜田揚げが美味すぎて嵌ってしまいました。おそらく締めたばっかりの新鮮な肉なんだと思います。プリプリでジューシーな汁が溢れ出ます。1枚1200円くらいする比内地鶏や東京軍鶏ではなく、1枚350円~600円くらいの大山、久慈などのもも肉で十分です。日向もいいです。当日が何といっても最高、翌日からは少しよたっとします。今後は外の店で鳥の唐揚げを食べることはないと思います。

 それと喜代村のまぐろ2号店で買ったまぐろブツ(100g600円)と中川屋のツボ漬け沢庵(365円)で即席トロタクです。回転寿司屋の巻物で最近好物になったものです。

 ご飯に新海商事の奥久慈卵(10個336円)を乗せれば完璧です。

          


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えすとえむ「うどんの女」

              

 うどんネタが続きますが・・・。「このマンガがすごい!2012」という冊子で紹介されていたオンナ編3位の「うどんの女」が気になりました。しかし、書店では売り切れ、アマゾンも在庫切れ。アマゾンで予約していたところ、増刷されたようでようやく家に届きました。

 いやぁ、これは面白い。久しぶりの大傑作。美術大学の学食で働くバツイチ女と草食系大学生との間の・・・以下省略。ロマンチック・コメディというのでしょうか。二人とも妄想を膨らませて膨らませて・・・笑えます。そしてエロチック。結構、ムズムズします。一巻完了も潔い。「えすとえむ」という漫画家(SとM?女性でしょうか)を初めて知りましたが、過去の評判作を2冊、早速注文してしまいました。


          

 そして、影響を受けやすい私は菊名駅内の「しぶそば」へ向かいました。蕎麦屋でうどんはアレですが、流れでカレーうどんです。この店の質の高いそばに比べるとどうしても落ちますが、想像よりはまだ普通のうどんと普通のカレーです。


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角田光代「曾根崎心中」(原作 近松門左衛門)

              

 以前、出張で大阪に何度か出向いた時期があり、その時に本場大阪の外カリ中トロのめちゃうまのたこ焼きを知りました。開眼したのは京橋にある「くれおーる」という店です。2回目以降は梅田駅の東、お初天神通り商店街にある支店が交通の便が良くこちらを利用していました(今回調べたら閉店してました)。この商店街の南端には通称お初天神という露天神社があり、へぇここが曾根崎心中の舞台になったところかあとボンヤリ考えるくらいでした。

 その「曾根崎心中」を読む機会が訪れるとは想像していませんでした。近松門左衛門の原作ではなくて、角田光代の翻案(原作の筋や内容をもとに改作)です。これは面白いに違いないと手に取りました。

 題名どおり曾根崎での心中を結末とした遊女お初と惚れた徳兵衛の恋物語です。貧しさゆえに売られた少女の覚悟。恋なんかするもんじゃない、あの人なしじゃ生きていけない、相反する思いを抱く遊郭の女たち。単純なストーリーなのですが、幼いけれども運命と信じて真っ直ぐなお初の純愛に魅了されていきます。帯にある「愛し方も死に方も、自分で決める。/これが、恋。/出会ってしまった心を、止めることはできない。」が決まっています。愛がかなわない女たちの行く末が切ない。元禄時代の大ヒットも納得の筋立てに夢中になって一気読みです。結末までの二十数ページはジェットコースターのように走り、突き進みます。

 登場人物と一緒に熱くなり、しみじみとした感動を味わえます。日本人でよかった、この物語を読んでおいてよかった。角田光代のセンスに拍手、感謝です。


 大阪を思い出していたら、また遊びに行きたくなりました。家族にも美味しいたこ焼きをもっと食べさせたい。「くれおーる」、「ヒロちゃん」、「やまちゃん」、「はなだこ」などなど。岡山在住時に年間3~4回、家族でユニバーサルスタジオに行きましたがとにかく楽しかった。セサミストリートの路上ショー、クリスマスの点灯式、マイケル・ジャクソンのショーなど。そしてビールを飲んでふらふらしながら観た夜のパレード。ユニバーサルタワーに泊まって、翌朝、31階の展望大浴場でゆったり・・・思い出せば幸せな時間でした。ディズニーよりユニバーサルスタジオの方が断然面白い。大阪たこ焼きミュージアムも隣接していて最強です。今年の3月に新しいエリアがオープンするので落ち着いたらまた行きたいです。うん、今年は可能であれば、久しぶりの海外旅行と大阪旅行が目標です。


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「西海」(東白楽/東神奈川)

          

 西神奈川の交差点の近く、国道1号線沿いに24時間営業のちゃんぽんを出す店があると読みいつかはと思っていました。24時間といえば一時期はまった川崎の生麦にある「さつまっ子」を思い出しますが、そこは工場地帯の入口で労働者が多く通る場所なので分かります。「西海」は東白楽と東神奈川の中間、交通量はあるとはいえこんな場所でどうして24時間営業なんでしょうか。今日、用事の前に出掛けてきました。

 朝の7時。東白楽で降りて店に向かう道中、24時間営業と書いてあったけど、最近はそうではなくなっていてシャッター下りてるなんてこともありえると考えていたのですが・・・灯りがついて暖簾がかかっています。おそらく徹夜明けの若者2人と出勤前のおやじさんが1人、先客でいました。
 売りはちゃんぽんと皿うどんのようですが、しょうゆラーメン、とんこつらーめん、味噌らーめん、チャーハン、餃子など中華料理屋の各種メニューが揃っています。今日はちゃんぽんです。

 大きな中華鍋をカンカン鳴らして調理しています。美味しそうな音です。出てきたちゃんぽんはかまぼこの赤とキャベツの緑とで色鮮やかです。ちゃんぽんはこうでなくちゃいけません。白濁スープは多くの食材のエキスが染み出していてうまいです。麺は柔らかめの太麺でスープに絡みます。コショウを効かせて仕上げる店も多いですが、ここの味付けはマイルドです。オーソドックスですが何度でも食べたくなる味かもしれません。おいしかった。満足です。

 張り紙によると24時間営業ですが、水曜日の3時から木曜日の7時まで(?)は休むようです。3時とは夜中の3時、28時間休みということでしょうか、普通ない設定なので頭がうまく働きません。ネット情報によると先日食べた白楽のうどん屋「じょんならん」の隣に同じ「西海」があり(確かにありました)、同じ系列店、こちらは夜のみの営業のようです。
 牛丼屋を中心に24時間営業も珍しくなくなっていますが、こういう普通の食堂は貴重で何かの時に向かいたくなりそうです。


          


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アバド/ファウスト「ベルク&ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲」

             

 イザベル・ファウストというヴァイオリニストを知らなかったのですが、タワーレコード横浜で推薦してあり、試聴してみました。導入部のオーケストラの演奏が魅力的でヴァイオリンの独奏が始まる前に購入することを決めていました。

 アバドとモーツァルト管弦楽団の伴奏が素晴らしいです。新鮮で初々しくしなやかな演奏です。ベートーヴェンではこの曲を初めて聴くような喜びがあります。フレッシュなサウンドだけでなく、一変して非常に厚みのある重厚な表現も聴かせてくれます。ファウストのヴァイオリンもオーソドックスですが輝きがあって安定感があります。

 驚いたのは第1楽章のカデンツァでティンパニが登場したことです。このカデンツァは初めて聴きましたがベートーヴェン自らのものだそうです。ティンパニのソロ伴奏付のヴァイオリン、洒落ていてワクワクします。
 それと第2楽章ではオケとヴァイオリンが終始弱音で天国的な至福感を表現します。これも堪りません。第3楽章は堂々としたフィナーレを築いて締めくくります。

 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲には名盤が多くて、これ以上要らないと思っていましたが、まだまだ驚けるなんて本当に嬉しいことです。

 このディスクには、ベルクの「ヴァイオリン協奏曲(ある天使の思い出に)」がカップリングされています。初めて聴きましたが、神秘的な雰囲気で始まり徐々に複雑で難解な楽想が激しく演奏されます。私は何が表現されているのか上手く言い表すことはできませんが刺激的で魅力的です。耳を澄ませて聴き入ってしまいました。


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「大勝軒」(南加瀬店)

          

 自転車で10分くらいのところに「大勝軒」があることを知りました。この大勝軒はたまに食べる日吉大勝軒が属する永福町系ではなくて、有名な東池袋大勝軒の暖簾分けだそうです。東池袋系は横浜駅近くの店で一度だけ経験があります。

 つけ麺が有名ですが、今日はラーメンにしました。並750円ですが、お腹が空いていたのでチャーシュー麺1000円です。太麺と細麺が選べて、太麺にしました。

 店主は穏やかでにこやかな中年男性です。最近の有名ラーメン店の店主はやる気が漲っているギラギラ系が多いと思うのですが雰囲気が違います。長らく店長を支えた控えめな職人風。お客さんとの会話、「この前、寝ていた人どうなりました?」「5分位したら起きましたよ」「寝るなんて珍しいよね」「よっぽど疲れていたんでしょうね」、口調に優しさが溢れています。

 スープは魚介が香る軽いこってりのスープ、いい感じです。そして麺がもっちりしていて美味い。スープと麺のバランスがいい。これはいいラーメンです。以前食べた大勝軒よりおいしく感じました。チャーシューは想像より少なめでしたが、分厚くて食べ応えがありました。

 満腹満足です。麺が並でも300gあるので最後は気持ち悪くなるかと思いましたが、その手前で気持ちよく食べ終えました。この店は空腹で訪れないとダメですね。キャベツトッピングもおいしそうに見えました。


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クライバー/バイエルン国立歌劇場管「ベートーヴェン交響曲第7番」

             

 最近、クライバーとバイエルンによるベーム追悼コンサートでのベートーヴェンの4番がSACD化されました。名盤ですが買い直すまでではなくてパスです。ただ、久しぶりに聴いてみることにしました。CD棚のベートーヴェンのあたりを探していたところ、同じORFEOの第7番もあったのでついでに聴いてみることにしました。で、ケースを眺めていたところ・・・あれ!同じ日のコンサートだよ。1982年5月3日。ファンの方には当たり前のことでしょうが、同日の演目だったことを今更認識しました。第4番の後、第7番が演奏されたことは知っていましたが、それがディスク化されていたとは。このような基本的なことも輸入盤だと見落としてしまうことがあります。

 前置きが長くなりましたが、それで改めて第7番を聴いてみたのですが、まずディスクがSACDだったことを知りました。当時、特に意識することなく売っていたものを購入したようです。オーディオセットが強力になっていることもあり、このディスクの音、演奏にはぶったまげました。クライバーのベートーヴェン7番はウィーンフィルとの正規盤、コンセルトヘボウとの映像の他、海賊盤を何枚か持っていると思います。興奮するけど興奮慣れしてしまい新鮮な気持ちでは聴けていなかったと思います。

 迫力ある音の厚み、速いテンポの中の柔らかな表現、生命感溢れる畳み掛けるリズム、それでも全てが自然で歌があります。感動感激興奮です。

 余りにも7番がよかったので、4番の方も同じSACDで聴いてみたくなりました。国内盤の定価は4200円とかなり高めなのですが、タワーレコード横浜では3700円くらいで売っていました。
 通常盤には入っていなかった拍手から始まります。音はかなり改善されていて満足できるレベルですが、演奏の質としては(そもそもの曲の出来栄えという面もあるでしょうが)7番が素晴らしいです。

 第4番ディスクのライナーノーツにクライバーのコメントが載っています。「私にとってレコーディングに発売許可を与えるというのは常に戦慄すべきことですが、今回許可を与えたバイエルン国立歌劇場管弦楽団とのこのライブ録音には個人的にも大変満足しています。・・・・・・・この生き生きとした演奏を耳にして下さった方はどのオーケストラも、われらのオーケストラがこの日に成し遂げたほど、熱心にキビキビと霊感と喜びに満ちた演奏はできないと感じられることでしょう。本当にありがとう!」。4番はすぐにレコード化されて、7番はクライバー死後の発売なので、クライバーの言葉は4番のことを指しているのかもしれませんが、私にはこのコメントは7番も含めた当日のコンサートのことを言っているように思えます。

 第3楽章が終了して、ちょっと間を置いてすぐに第4楽章を始めるこのクライバーの指揮は本当に痺れます。演奏終了後は圧倒されて言葉がでないです。当然、会場で生演奏を聴いた聴衆は尚更のことでブラボーはなく一瞬静まり返ります。


             


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ドストエフスキー「悪霊」(亀山郁夫訳)

              

 若い頃にドストエフスキーの「罪と罰」、「カラマーゾフの兄弟」、トルストイの「戦争と平和」、「アンナ・カレーニナ」を読み、圧倒的な感銘を受けました。今でもこれらはあらゆる小説の中の最高傑作の一つだと思っています。面白さと感動でこれらの本を読んでいた時間が体験として思い出に残っています。

 ただ、2人のロシアの巨匠の長編については4冊で満足してしまい、これ以外の作品は手に取りませんでした。もう十分、これ以上はもうない。
 話題の亀山訳でドストエフスキー作品の出版が続いており、未読の「悪霊」について「ドストエフスキーの最高の物語、最大の問題作」と紹介されているのを見て読んでみようという気になりました。第3部が昨年末に出版されたのを機に読み始めました。

 第1部(490ページ)、第2部(680ページ)、第3部(520ページ)、計1700ページの長編です。

 事件が起こることが仄めかされ、徐々に核心に向けて物語は進んでいきますが、歩みは極めて遅いです。これから読まれる方にはネタバレ注意ですが、様々なスキャンダルは順に明らかになるにせよ、はっきりした事件がようやく起こるのは第3部の100ページ過ぎです。1300ページに亘る長大な序章付きの政治的人間達の憎しみのドラマです。

 この小説は一体何なのか。ドストエフスキーの小説はもともとミステリー風ですが、この作品は特に謎が多いです。過去に何かあったみたいだ、こいつはあいつのことを憎んでいるようだ、でも何故だ、誰がメンバーなのか、何が目的なのか、何であいつと彼女の間に接点があるのか、あいつはどこへ消えてしまったのか、なぜ死ぬのか。謎だらけですがそのほとんどは明かされません。結部での作者の丁寧な解説はない。問題作といわれているのはこの点についてでしょうか。

 まるで物的証拠不十分、犯人が黙秘している事件の裁判のようです。そこにあるのは状況証拠だけ、一体何が起こったのか。語り手がこの物語のことを「クロニクル(年代記)」と呼んでいるのも手掛かりです。歴史の1ページ。ペテルブルグ近郊のある街で起こったこと。実際に起こった事実から上手く教訓を導き出し一般化できることもあれば、なぜこんなことが起こったのか理解に苦しむこともあります。この小説のメッセージは何なのか。それとも理解不能の出来事の記録なのか。

 このノンフィクション・ノベル風の小説の状況が19世紀なかばのロシアや日本をはじめ世界においてあった状況なのかどうかは分かりません。ただ、多くの若者が政治的な存在で学生運動や悲惨な内ゲバなどが盛んだった頃には共感を持って読まれたのではないでしょうか。しかし、現代の非政治的な存在である我々にはあまり親近感のある設定ではありません。神がいるかいないかの論争にも関心ありません。教理や世界観はその時代固有のものであり、そういう面では現代人には理解できない小説なのかもしれません。

 それでも、ここで示される人間の狂気、嫉妬、復讐の念、熱狂、悲劇的滑稽さには強烈なインパクトがあり、この長大な物語の読み手を飽きさせません。どの登場人物も本音らしきことを語るのはほんの僅かですが、その一言にギクリとさせられます。
 会話が前面に出てくる語り口なのですが、対話においてどっちがどっちを喋っているのか分かりにくいところがあります。顔の表情までリアルに想像させてくれるトルストイの人間の描き分けを懐かしく思い出すこともありました。ただ、この二人の巨匠の作風は違えども、人間の魂を崇高に描くという点では共通しています。

 この小説が一体何なのか、疑問点、釈然としない点は多々残りますが小説としては面白かった。人間の心の闇の暗さ、深さにぞっとします。知らなかった凄い世界を知ることが出来た満足感は大きいです。
 亀山訳の新しさについては旧訳を読んでいないので分かりませんが、活き活きとした会話をリズムよく読めたのは確かです。一般的には埋もれてしまったこのような怪作に改めて陽の光を当ててくれた亀山氏に感謝です。小説はこれで終わりですが、この後、「特別編」という何やら重要な読み物が刊行されるそうです。そちらも楽しみに待ちたいと思います。


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「慶應義塾コレギウム・ムジクム演奏会」(藤原洋記念ホール)

          

 慶応大学日吉キャンパスの協生館にある藤原洋記念ホールで一度コンサートを聴いてみたいとずっと思っていました。先日もバッハのロ短調ミサ曲の演奏会があり、迷ったのですが、その時はバッハを3時間聴く気分ではなくパスしました。

 そして本日、ホールの体験が主目的ではあったのですが、演目もベートーヴェンの交響曲第7番他と申し分ありません。どのくらいの人が集まるのか分からなかったのですが無料コンサートということもあり結構な人が開場前に行列を作りました。2階席に向かい上から演奏を眺めました。
 慶應義塾コレギウム・ムジクムというオーケストラは慶応大学生のOBも含めたオケかと想像していましたが、プログラムを見ると全て学生です。しかも1年生、2年生がほとんどで若い。

 演目は次のとおりです。

1.バーバー「アニュス・デイ」、「2つの小品」
2.ベートーヴェン「カンタータ《栄光の瞬間》」より4曲
3.ベートーヴェン「交響曲第7番」

 バーバーは大好きな弦楽のためのアダージョしか知らなかったのですが、「アニュス・デイ」はまさにその曲に歌詞を付けた曲であることを今回知りました。
 ここはオケなしで合唱団だけが出てきます。男性30名、女性30名くらいでのアカペラです。聴きなれた悲劇的な旋律のコーラスです。正直、聴き惚れる水準とは言い難いですが好きな曲なので楽しめます。これは有料のレベルではないなと思いながら聴いていました。バイオリンでも何でもそうですが無伴奏は実力がモロに出るので難しいです。それでもホールの響きはいい感じです。

 ベートーヴェンのカンタータからオーケストラが登場します。オーケストラの音は意外や高水準です。この曲は初めて聴いたのですが、祝典的なメロディに加えて、2曲目から華やかなドレスをまとったソプラノとソロバイオリンが登場して豪華です。
 会社の同僚や先輩方のお子さんが所属するアマチュアオーケストラの演奏会に年2~3回は出掛けるのですが、最近のアマチュアオーケストラはチャレンジングなマイナーな楽曲も入れるので正直、退屈だったりするのですが、この演奏会のプログラムは聴衆サービスに徹していて好感が持てます。
 合唱団も安定してきます。オケとコーラスの響きもいいのに、セミプロなんでしょうか、自力のあるソプラノ、バイオリンを聴けると幸せです。

 休憩後にベートーヴェン第7番です。最近、クライバーとバイエルンの壮絶なライブをCDで聴き直したばかりで予習は十分です。本日の来訪者のおそらくほとんどが目当てにしていた時間の始まりです。

 指揮者の石井明氏は音楽経験のある経済学部の教授のようです。派手さはありませんがふわっとした響きと引き締まったテンポでオケをきっちり纏めています。
 第一バイオリンの合奏、オーボエの音色ともに上出来の始まりです。そしてフルートが上手い。テクニック、音色ともに素晴らしいです。そのままオケ全体が高水準の演奏を続けます。想像以上の演奏です。ホルンの音が結構外れて、しかもそれが響きわたるので気になるのですがアマチュアとしてはかなりのレベルです。ティンパニも正確です。
 第1楽章が終わったところで盛大な拍手が起こり私も拍手しました。1~2人の拍手ならありますが、これだけの拍手が楽章の途中であったのは初体験です。素晴らしい演奏で正直、驚きました。

 一方、第2楽章はアマチュアを感じたところです。ビオラ、チェロの響きが若干深みに乏しくて表面的に聴こえます。CD名盤での演奏を当たり前と思っていましたが、ゆっくりとしたテンポの楽章こそ本当は難しいのかもしれません。

 第3楽章、第4楽章は満足して聴けました。指揮者、ティンパニがきっちりとリズムを刻んて魅力的です。ここでも第1バイオリンが素晴らしい。興奮とまではいきませんが学生の無料コンサートでここまでやれるんだという感動がありました。

 藤原洋記念ホールは音響がよく、とてもよいホールだと思いました。ホルンがここまで響くことに驚いたのと、クラリネットとファゴットが全く聴こえなかったのは気の毒でした。

 トータルでは想像以上の演奏に感激です。これで無料は安い(当たり前ですが)。友人が出演しているから一応義理でやってきたのか、一部周りのクラシック音楽にそもそも興味のない学生聴衆が演奏途中で我慢できずにソワソワ、チャラチャラするのが若干気になりましたが楽しい時間を過ごすことができました。

 入場料が無料あるいは1~2千円程度のアマチュアオーケストラの高水準のコンサートを聴くと、8千円とか2万円とかいうプロのコンサートに行く気はしなくなります。ただそれはクラシック音楽界全体の不況にも繋がるので難しいです。


          


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大友克洋「AKIRA」(全6冊)

          

 トレッサ横浜に入っているディープなサブカルチャー風書店の「ヴィレッジバンガード」で「我々の原点」、「ここで働きたいのならこれを読んで出直しな」みたいな手書きポップで紹介されていたので読んでみました。大友克洋は何十年も前に「童夢」を読んで感動した覚えがありますが、この「AKIRA」が代表作のようです。

 念の為、まず第1巻だけ購入して読み始めましたが、すぐに残りの5冊を近隣の書店やアマゾンで掻き集めることになりました。

 ストーリーをうまく説明するのは難しく面倒なので省略します。非常に精緻で緊迫感あふれる作画に魅了されます。前半に提示された謎が少しずつ明らかになっていく展開はこの手の近未来型作品に共通しています。丁寧に読み込んでも結局、壮大な構想をまとめきれなくなって全てが解き明かされるわけでもないのは経験上、何となく分かっているので、深読みはせずにさっさとページを捲ります。上質なCG映画を観ているような楽しさがあります。

 鉄雄はどうなってしまったのか、AKIRAとは何者か、この作品はどこに向かうのか。同じようにA4版の大型漫画として売られている「風の谷のナウシカ」とどうしても比較したくなるのですが、物語の深さでは風の谷のナウシカが勝ります。しかし、作画の面ではナウシカにも匹敵する質の高さを誇ります。後半にもう少しプロットの捻り、深さがあれば、この絵も随分生きたと思います。若干の物足りなさはあります。

 それでも本来マンガは絵です。マンガでここまで出来ることを示せたのは凄いことです。

 1982年にスタートして、最終話は1990年。10年近くこのSFマンガに取り組んで、新しい世界観あるいはマンガの可能性を広げてみせた先駆者としての役割は歴史的です。

 いずれにしても手にとってからあっという間です。夢中になるノンストップマンガに出会えました。


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丸子どんど焼き(新丸子)

          

 正月明けに丸子橋の脇でどんど焼きが開催されるとの情報を妻がお仲間から聞いてきました。私は子供の頃のどんど焼きの経験はないのですが、妻は毎年の楽しみだったらしく家族で行こうということになりました。

 どんど焼きは、正月に飾った門松、しめ縄、書き初めなどを積み上げて燃やし、その火でお餅を焼いて食べて、1年の無病息災を祈念するという伝統行事です。

 会場では、甘酒が無料で振舞われ、竿に付いた餅が200円で売られていました。

 16時から日枝神社の神事が行われ、挨拶も終わると、16時25分頃に火がつけられます。乾燥しているのであっという間に火は燃え広がり炎が高々と上がります。滅多に見るものではないので美しくて暫く見とれてしまいます。


          

 そして、餅を焼くのに適した火勢にまで静まるのを待つのですが、燃やす物も多いので結構時間がかかります。結局、17時15分頃にOKの指示が出たので、竿に吊るした餅を火に近づけます。熱いし煙たいしで焼くのも大変でしたが、何とかいい具合になったので、家族で美味しくいただきました。


          

 初めて参加した行事でしたが、風情があり、子供の楽しみもあるので面白かったです。子供たちも喜んでいました。来年もまた来たいなと思いました。


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