村上春樹「ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集」

            


 村上春樹の熱心な読み手なら、次のような目次を眺めるだけで、この本がどれだけ面白くて、楽しい時間を過ごせるか容易に想像できるはずです。


 チャールズ河畔の小径  ボストン1

 緑の苔と温泉のあるところ  アイスランド

 おいしいものが食べたい  オレゴン州ポートランド メイン州ポートランド

 懐かしいふたつの島で  ミコノス島 スペッツェス島

 もしタイムマシーンがあったなら  ニューヨークのジャズクラブ

 シベリウスとカウリスマキを訪ねて  フィンランド

 大いなるメコン川の畔で  ルアンプラバン(ラオス)

 野球と鯨とドーナッツ  ボストン2

 白い道と赤いワイン  トスカナ(イタリア)

 漱石からくまモンまで  熊本県(日本)


 私は随分前から村上春樹の小説を手に取ることはなくなっているのですが、小説以外の書き物である音楽を巡る小話、旅行記、ジョギングもの、オリンピックなどのイベントの取材・体験記、アメリカの小説・映画・雑誌記事・ゴシップの紹介などの面白さは絶対。大満足請け合いの鉄板の読み物です。
 軽さとミーハー心を全面に出しながらも、しっかりと物事の本質を見ている視点は確かです。


 この紀行文集は、以前滞在した場所を再訪した際の記録が多めに収められています。その土地への愛情がユニークな村上節でたっぷりと語られる。
 行ったことのない土地、残念ながらもう行くことはないだろう土地ばかりなのですが、読み手までその国、その地方のファンにさせてくれます。


 いろんな魅力はありますが、何といっても気軽に読めて幸せな気分にさせてくれる。ほとんどはJALのファーストクラス機内誌(そんなものがあるんですね)で発表されたものだそうですが、ファーストクラスに座って、市価1万円近いボトルの赤ワインを傾けながら、こんな書き物を読めたらさぞかしゴージャスな気分に浸れるでしょうね(ウトウトして機内誌を床に落としても、CAの方がそっと拾ってくれそうです)。私は主に家と満員電車の中で読みましたが、それでもとても幸せな気分になれました。





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アデル「25」

 


 セールス3000万枚とモンスターアルバムになった「21」から約5年ぶりのアデルの新作です。


 ソウルフルでエモーショナルな圧倒的な歌唱。どの曲もドラマチックな音楽づくりで盛り上げます。素晴らしい歌、曲、演奏ということで賞賛の言葉を重ねるのも空しくなります。
 前作「21」は、よりポップな楽曲とカントリーから影響を受けたアコースティックな楽曲が中心に据えられていたと思うのですが、「25」は、全般的にはスローテンポの楽曲、絶唱系が多いです。


 歌詞も平易な英語が多く使われていて、私でも歌詞を追うとなんとなく意味が分かります(もちろん訳もチラチラ見ますが)。


 曲ごとにプロデューサーを使い分けていますが、全体としての統一感も十分です。出来すぎていて、ため息の出るような凄いアルバムです。





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「CoCo壱番屋」(新横浜)

 


 今日は気持ちいい秋晴れだったので、散歩がてらに新横浜のJRAです。年末が近づくと1回くらいやっておこうかという気になります。最終的によし行くかと決断するのは、1番人気か2番人気が5倍を超えている時です。3倍を切ると当たってもあまりうれしくない。
 2番人気ゴールドシップが4.8倍と出ていたのでお出かけです。


 食事はJRAの前にあるラーメン博物館を調べたのですが食べたい店がない。新横浜駅隣接施設に、「丸亀製麺」、「リンガーハット」などが並びで入っていて、悩んだ挙句、またまたココイチ。キャベツメンチカツカレー、1辛、スープ追加にしました。うまい。



 

 慶応のイチョウ並木はまだ微妙な色付きです。



 

 アピタは移転のため本日で閉店。おそらくアピタ渋滞、綱島街道は見たこともないような車の連なりでした。徒歩で自転車で行ける普通の大型スーパーが地域からなくなります。何かと不便です。



 

 ジャパンカップ!



 

 潔く単勝1万円でいこうと思っていたのですが、段々弱気になり、1番人気ラブリーデイとの馬連を混ぜました。さてどうなるか。




【結果】ゴールドシップ10着  ラブリーデイ3着

 最後の直線で12番白い馬来た!・・・でも、伸びない・・・止まっているように見える・・・ああ馬群。調子悪くはなかったけどGⅠを勝つキレはなかった。

 数々の豪華食事の妄想は消えて、今週の昼は立ち食いそばです。





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「ザ・ビートルズ1」

 


 ビートルズのリマスター映像の発売。映像には興味がないというかそもそもビートルズを映像で楽しんだ記憶がないので今回の盛り上がりはパスと思っていたのですが、いろんなエディションがあり音も2015年に新しくリマスターしましたとありました。
 買う予定はなかったのですがアデルの新譜目的に音楽ショップに行って、いろいろ見て、ELOの新譜、ドン・ヘンリーの新譜もあったのですが、比較、ビートルズにしました。


 以前の売り方から東芝EMIは好きではなかったのですが、今回の帯を見ると、ユニバーサルとアップルとあります。マイケルジャクソンが買ったりとか随分昔に読んだ記憶もありますが今の権利関係はどうなっているのでしょうか。



 音はすごくいいです。生々しく分厚い。リンゴってこんなにドラム上手かったの(本当に叩いているならですが)。もう何年前になるのか前回リマスターとの比較をする気力はもうありませんが、すぐそこで演奏しているようです。
 今更ですが、ビートルズ最高です。立ち上がって音楽に体を揺らしたくなります。当時、生で聴いた体験した人達の感激は堪らないだろうなとようやく実感できるようになりました。





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「マックス・ローチ&クリフォード・ブラウン/イン・コンサート」

 


 今読んでいる村上春樹の紀行文集にタイムマシーンがあるとすればどこに行きたいかという話しがあり、「1954年のニューヨークに飛んで、そこのジャズ・クラブでクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ五重奏団のライブを心ゆくまで聴いてみたい。それが僕の望むことだ。」とあります。


 その1954年の4月と8月のライブ演奏です(場所はカリフォルニアですが)。私はクリフォード・ブラウンが大好きなのですが、ウィズ・ストリングズから入ってそればかり聴いていたので、一連のマックス・ローチとの演奏はピンときていなかったのですが、今年観た映画をきっかけに見直すことになりました。


 「セッション」、音楽学校でジャズドラマー志望の若者を鬼教官がシゴキまくる映画。久しぶりに満席の映画館で映画を観ました。低予算制作ながらアカデミー賞3部門受賞の衝撃作、問題作。果たしてこの演奏はジャズなのか賛否両論も当然です。おそらく議論になるのを見越した確信犯的な映画ですね。
 映画を観終わった後、ジャズ好きの友人とバーで夜遅くまで議論してみたくなりました・・・が、そういえばジャズ好きの友人、そんな人いませんでした。


 こういう叩きまくるジャズドラムの演奏ってあまり聴いたことはなく(演奏の途中で各パーツが順番にソロを披露するのはお約束ですが、ここまで長いドラミングはあまり記憶にありません)、マイルス・デイビスとのトニー・ウイリアムスとか・・・CDを探したところ、改めて購入するまでもなく何枚も持っていました。マックス・ローチとクリフォード・ブラウンです。


 名盤の誉れ高いスタディ・イン・ブラウンなどもいいのですが、2回のコンサート(4曲+4曲)をまとめた「イン・コンサート コンプリート・バージョン」がいいです。


 熱い熱いドラム、ドンドンドン、ドンドン、ドンドコドンドコ、ドドドドド・・・陶酔の世界に誘うドラミングです。録音の悪い非公式ライブ盤にはもっとすごい演奏もあるのですが、正規盤ではこれが最高です。長いソロは①ジョードゥ③君にこそ心ときめく④パリの舗道⑤神の子はみな踊る⑧クリフォード・アクスにあります。


 もちろん、クリフォード・ブラウンのトランペットもよくて(上記の逆で②言い出しかねて⑥テンダリー⑦サンセット・アイズが特に痺れる)、このディスクの評価も基本そこなのですが、影の主役は瞠目のドラム演奏です。
 なぜ「マックス・ローチ&クリフォード・ブラウン」とたまたまリーダーなだけのドラマーの名前が表記されているんだろうという長い間の疑問がようやく解けました。双峰です。CDのライナーノーツにも最後におまけのように「書き落としたが、マックス・ローチのすぐれたドラミングも聞き逃せない」とあるだけで笑えます。





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「大連」(自由が丘)

 


 この1~2年、会社帰りにちょっとだけ飲んで帰ることがほとんど無くなって、家飲みが大半になりました。そういう気分なのかなあと思っていたのですが、その理由に最近思い当たりました。一人で気軽に飲める場所がないから仕方なく家に直帰しているんだった。


 ちょっとしたツマミをあてにビール、気分が乗ったら日本酒か焼酎を追加、さらに気持ちよく酔えば飲み物追加で食事もそこで食べてしまう。贅沢は言わないけど食べ物は標準以上希望。
 探せばどこにでもありそうなのですが、個人的な絶対条件が・・・テレビがついていて、それをボォーと眺められること。ニュースでもバラエティでも何でもいいんです。普段はテレビを見る習慣はほとんど無くなってしまったのですが、何故か居酒屋、食堂ではテレビを見ながら飲むと、1日の頭の疲れがほぐれる気がします。


 そんな店(立ち飲み)が日吉にも数年前までは何軒かあり、そして最後の残業やがなくなった後は、もう行く店がありません。HUBで流れているスポーツ専門番組の録画放送はちょっと違うのです。普通のテレビ番組がいい。


 そんなことを先週、ぶらっと入った自由が丘駅近くの北九州うどんメインの居酒屋でテレビを見ながら考えていました。テレビと飲み物はよかったのですが、つまみもうどんも素人が作ったものでこれではガッカリです。


 たまに餃子をつまむ大連も、カウンターの前ではないのですが、カウンターの脇にテレビがあって主にニュースが流れています。テレビは客向けの店とスタッフが一緒に見ている店がありますが、ここのテレビはおそらくご主人が焼くついでに見るのが主目的のテレビです。奥の席に座ると見えなくなりますが、ここもテレビがあるゆるい雰囲気のリラックスできるいい店です。


 いい食感の皮、野菜中心の具、もう少し大きくても個人的には好きですが、ここのクリスピーな餃子もイケます。10コ700円と少し高いので、地元の年配者らしいお客さん中心です。2人前でも食べられるのですが、若干温度低めに提供されるので、20コだと後半、ちょっと冷め気味なので10コがいいかなという感じです。
 ライス、焼きそばもありますが餃子だけ(と飲み物)がいいです。 




 

 タレはラー油多めにします。




 

 営業時間はよく分からず今は夜だけの営業だと思います。休みもよく分からず、たまに肩透かしに会います。

 自由が丘では、近隣の金田、ほさかやも最高の大人の居酒屋、うなぎ串屋なのですが・・・疲れていると両隣の席が空いている店を選びたくなります。




 

 クリスマスが近づくと登場する銀座ブルガリのヘビのイルミネーションです。

 山野楽器でアデルの新作と、一応ビートルズのニューリマスター1を買いました。CDを2枚買って家に帰る金曜日は久しぶりです。ちょっと気分が高揚した帰り道はどこかで軽く飲みたくなります。




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「デリー」(東京ミッドタウン)

 


 先日、泉昌之のグルメギャグ漫画「食の軍師」第3巻を読み直していたところ、「カレーの名城」という一話がありました。「テリー」というデリー想定の銀座店を舞台に描かれていて、主人公(本郷)はカシミールカレーを食べるのですが、そこに宿敵・力石が登場し、次のようにキメます。


 


 そして、東京ミッドタウンのデリー、3回目です。ドライカレー大盛り、辛口(950円+大盛り200円)を注文しました。


 皿が提供されますが、残念ながら漫画にあるようなスープは付いていません。かなりガックリですが、ドライカレーに集中です。


 辛くてうまい。何か分からないのですが、どちらかというと甘めのスパイスが特徴的に効いています。
 濃厚な味付けのドライカレーです。スプーンにどっしりとすくって口に運ぶのですが、早くも大盛りの量は大丈夫かなと心配になってきました。そして、香辛料の影響で、目がぱっちり、視力が合ってきます。


 いろいろと具が入っているのですが、エビとキノコの食感がいい感じです。食べ進めるとレーズンも入っていました。カシミールカレーの風味も感じます。


 カシミールカレーは食前の体調はもちろんのこと、翌日の胃の調子への影響も含めて、それなりの覚悟が必要なのですが、ドライカレーでは気を抜いてしまいました。ちょっと辛いカレーピラフどころではありません。
 カレーそのものをガッツリ食べた印象です。カシミールカレーの食後の胃への負担感を100とすると、90くらいの重量感があります。


 後半はたまねぎ、きゅうりの付け合わせの助けも借りながら、何とか食べ切りました。スープが付いていたらちょうどよかったです(調べると銀座店〔ここだけカレー屋ではなくインド料理屋風〕のみラサムスープが付くようです/そのかわり1260円と高い)。


 食後は体をあまり動かさないようにゆっくりゆっくり歩いて六本木駅に向かいました。





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「CoCo壱番屋」(元住吉)

 


 自転車で7~8分。ここまで来ると、餃子の王将、未食の野方ホープにも魅かれますが、初志貫徹でココイチ。


 途中、焼肉北京に元住吉のブレーメン通りへの移転のお知らせが貼ってありました。通称、焼肉交差点(木月四丁目)もいよいよ残り一軒に。


 個人的基本形のクリームコロッケカレー2辛、スープ追加に、ベーコンをトッピング。やっぱりうまい。





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チャド・ハーバック「守備の極意」(土屋政雄訳)

        


 またまた土屋政雄翻訳で知ったアメリカ人作家の小説、予備知識なくキンドルにダウンロードしたのですが、夢中になって読みました。ホームラン級の面白さです。


 こんなに爽快でアメリカらしい小説を読んだのはいつ以来だろうか。原題は「ジ・アート・オブ・フィールディング」。グラブさばきの芸術とも訳せるでしょうか。守備の極意という苦渋の訳にも泣けます。
 田舎育ちの地味な天才ショートストップが大学に入り、その上手さが話題になり、スカウトが押し寄せるようになる。夢の大リーグまで届くのか・・・単純な野球の物語かと思いきや(それでもよかったですが)、そうではなく、いろんな人間ドラマが同時に立ち上がり進行します。
 スポーツ、大学生活、恋愛、人生の哀しさなどなどこれぞ青春小説です。こういう本を読みたい。


 ウイスコンシン州の架空のウェスティッシュ大学野球部を舞台に繰り広げられるこの物語の背景には、メルヴィルの名作「白鯨」が影の脇役として存在しているのですが、タイミングよくすごく評判のよい新訳版が岩波文庫から出ていたので、「白鯨」と「守備の極意」を交互に読み進めるという幸せな読書体験ができました(キンドルだからこそ出来る家内外での交互読み、本当に便利です)。


 余談となりますが・・・職場に新入社員が入ってくると、懇親会とかどこかのタイミングで卒業旅行はどこに行ったのという話題になります。最近多いのは、東南アジアや仲間で国内の温泉巡りをしたというものです。
 自分がたまたま経験した選択を良しとする考え、他人も自分同様にすべきだという傲慢な発想は避けるべきだと重々承知の上で、最近の若者に大きな声で言いたいのは、「若いうちにアメリカに行っておけよ」ということです。


 私は逆に東南アジアに行ったことはなく、また、親しい友人と温泉巡りをして友情を深めた経験もないのですが、アメリカの広大さ、自然の美しさです。そして、アメリカ人の明るさ、フレンドリーな親しみやすさ。ただ、そこそこ知ると、いろいろと感じるようになる人種差別の根深さなど。日本にいてはアジアにいてはおそらく体験できないスケールの大きな異文化があります。
 なんて素晴らしい自然、人間、文化だろう。いろいろと深刻な問題を抱えていること、問題の発生源となっていることも承知していますが、それでもアメリカは地球上で最も憧れる尊敬する素晴らしい国です。


 私は普段ほとんど野球を観ないので、偉そうなことは言えませんが、いくつか拘りはあって、野球は、太陽の下でするもので、ドーム球場なんて愚の骨頂、野球は屋内スポーツなのか、アホかと突っ込みたくなります。私はニューヨークのシェスタジアムしか経験はないのですが、アメリカの野球場の開放感、芝の美しさは最高です。


 最近の飛行機事情は分からないのですが、正直、狭いエコノミー席に座っての搭乗12~16時間はかなりしんどいです。海外旅行のハードルの一つ。ビジネスクラスに座れるようになれればいいのですが(私は一度も経験がなく、ささやかな人生の目的の一つです)、何十万円という出費は、家族もいると簡単ではないと思います。若くて体力がありエコノミー席の狭さに我慢できるうちにアメリカに行っておくべきです。絶対に絶対に生涯忘れられない体験を得られます。
 この小説を読みながらアメリカの素晴らしさを思い出していました。中年男性の余計なボヤキでした。
 

 いろいろと切ない展開がありますが、最後は本題の野球でクライマックスへ。どうなるか、ハッピーエンドだと思うけど、さて・・・。


 打って、捕球して、ファーストに投げる、これがどれだけ美しい行為で、そして難しい行為になるのか。野球賛歌です。
 

 小説の中に村上春樹の本が登場します。私は随分長く村上春樹の小説から遠ざかっているのですが、こういう使われ方をするとは、評価、人気は本物なのでしょう。
 「生まれて初めて給与小切手をもらった記念に、大学書店で買ったムラカミの新作だ。」「五十ヤードほど歩いてから本を落としてきたことに気づいた。」


 読書の喜び、本の愉しさ、幸せな時間。自分は体験できなかった世界だけど心で共有できる嬉しさ、終わりが近づく寂しさ。そして、メルヴィルの「白鯨」はじめいろいろと関心が波及する多様さ。正真正銘の最高の一冊です。


 ただし、一点だけ問題が・・・1冊2400円もします。上下で5千円弱。早川書房はもともと高いですし、結果いい本だったので納得できますが、5千円はちょっと高いです。権利の関係なのか、出版不況の影響か、普通なら値段を理由に敬遠されてしまいます。





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田部京子「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第30番 第31番 第32番」

           


 週末なので銀座山野楽器のクラシックコーナーをぶらっと見て回って何もないなと帰ろうとしたところ、出口の脇に田部京子の新譜が大きく積まれていました。


 大好きなピアニストによるベートーヴェンの30番、31番、32番。コンサートでも聴いたし、耳の幸せは鉄板のディスクです。後期ソナタ集は多くのピアニストによるものを持っていますが、日本人では内田光子以来だと思います。この演奏は珍しく覚えていて、湖の畔をとぼとぼ歩いているようないろんな情景が浮かんできて、内田光子の魅力を認識したものでした。


 残響の少し長い録音。気持ちゆったりしたテンポの思索的な音楽。たっぷり間を持たせたりとこれまであまり聴けなかった表情付けもあり楽しいです。研ぎ澄まされた中太タッチのいい意味での無色なピアノが特徴だと思うのですが、単なるベートーヴェンの楽譜の再現ではなくて、田部京子の姿がうっすらと見えてくるようです。


 楽想から瞑想的ですが力強い若々しさもある演奏です。以前、渋谷タワーレコードでのミニコンサートで晩年の作品は枯れているのではなくてこれまでの人生が全て詰まっている音楽だと話していたのを思い出しました。


 始めは耳を澄まして注意深く聴いていたのですが、数年前、浜離宮ホールで30番(31番だったかも)を聴いていた時に感じたのと同じように、どういう演奏だとかそういう捉え方はどうでもよくなって、音楽にどっぷり浸かって、何か昔のことを思い出したり、このまま眠ってもいいなと思いながら聴きました。


 素晴らしい演奏です。山野楽器のCDには、2/1のサイン会の券が付いていました。



          



 12月5日、浜離宮ホールでのベートーヴェン&ブラームスのリサイタルの券も予約できました。23番「熱情」、32番、ブラームスの3つの間奏曲、とても楽しみです。





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「ケーニヒスクローネ」(日本橋高島屋)

 


 きっかけは紙袋です。先日荷物の持ち帰りのためにたまたま手に取った紙袋、建物を映した洒落た感じの白黒写真。これは何だろうと思いながら帰宅して眺め直したところ、写真の端に店の名前らしき看板「ケーニヒス クローネ」とありました。


 初めて見た名前なのですが、調べたところ神戸にあるスイーツを売っている喫茶室。高級感があるんだけど、値段はそんなに高くなく、コーヒー、紅茶などの飲み物はセルフサービスというちょっとスタンスの変わった店で神戸には数店舗あり、広く親しまれているとありました。


 東京・横浜でも、高島屋に支店があったので、日本橋の高島屋に出掛けました。人気のありそうなクローネ(110円×5本/ここでは14時からの販売)、ベルリンという名のプリン(250円×4個)、栗入りのチョコレートケーキ「はちみつアルテナ」(小ホール1300円)を購入しました。これだけ買って3078円、キルフェボンなら4ピースでもこの位の値段になるので安く感じました。


          
          
          


 どれも美味しいです。手堅い甘みと満足感。事前にネット上で読んだ少しがっかりではありません。最近のスイーツはどれもとても値段が高いのでどんなにおいしく感じても次回があるかどうか微妙なことが多いのですが、ケーニヒスクローネはコスパよし。神戸での人気も納得です。





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「からいもの屋」(築地場内)

          


 辛いモノ系の香辛料なら築地場内の「からいもの屋」です。滅多に買うものではなく数年に一度なのですが、今回在庫が切れたので私には欠かせない2アイテムを購入しました。


 一つは、「幻の七味」(756円)。大袈裟な名前ですが、香ばしくて、豚汁やうどんには欠かせません。


 もう一つは、「カレーパウダー」(540円)。こちらは実際にはいろんな用途があるのでしょうが個人的には限定的で、鶏のから揚げにチョンチョンと付ける塩替わりです。この魔法の粉が鶏からを激ウマに変身させるので欠かせません。


 久しぶりの築地でしたが、これまでにない外国人の多さでした。


 ついでに中川屋で、つぼ漬沢庵、野沢菜漬け、白菜漬けを購入。中川屋の漬物も本当にうまい。中川屋の漬物を食べると何故かとんかつ屋のカウンターが頭に浮かんで、最高のロースカツに中川屋の漬物が3~4種類付け合わされて、白いご飯とガツガツいけたら、どんなに幸せだろうかと想像してしまいます。





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「CoCo壱番屋」(大岡山)

 

 この時期の楽しみ、ココイチのスープカレーです。今年はパリパリチキンに加えて、新メニューのベーコンスープカレーが登場しました。大好きなベーコンに当然惹かれますが、先日、発表された加工肉であるベーコンやソーセージには発がん性があるというWHO機関によるショッキングな研究結果が頭をよぎります。
 食べ過ぎなければよいとのことですが、ベーコンやソーセージのない人生なんて・・・子供のお弁当に何を入れればいいのか、ホテルの朝バイキングで何を取ればいいのか・・・アイスクリームやポテトチップスほど重要な食材ではありませんが、ちょっと考えてしまいます。


 でも、ベーコンを選びます。おいしい。ココイチのスープカレーは盛り沢山の食材の処理が丁寧です。普段あまり意識しない野菜類を一つ一つ味わいながらいただきます。


 肝心のスープは、スープカレー特有の黒い粉がそこそこ効いていて、あれ?こんな味だったか、微妙に好みのド真ん中ではないような印象もありましたが、全体の満足度は高いです。


 ハウスによる買収が発表されましたが、これからもココイチのファンです。


 
 





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「丸亀製麺」(モザイクモール港北店)

          


 今日は家族でセンター北のイオンシネマに「PAN」を観に行きました。ピーターパンの誕生の過程を描いたアクション映画です。娘が観たがったのもありますが、私はDBOXが目当てでした。


 映画の内容に合わせて、椅子が動いたり、小道具で体感させるこのタイプを何というのか分かりませんが、「ミッションインポッシブル5」をTOHOシネマズの4DMXで初体験しました。映画の開始と同時に椅子がウィーンと動き出したときはワクワクしました。で、デコボコ道の暴走時には、お尻がボコボコ突かれたり、ピストルが発射するときには耳元でピシュッと空気が出たりするのですが、ちょっと飽きるというか正直子供ダマし程度かなあという印象でした。
 肝心の映画も前作MI4のドバイシーンが頭クラクラあまりにも刺激的だったので(スタントマンなしのトム・クルーズ凄すぎる)あれと同じレベルを期待してしまうと、ちょっと外れたなあという感想でした。


 この動く椅子の評価は、イオンシネマズのDBOXを体験してからにしようと思っていました。4DMXは3席がセットになって動きますが、こちらは単独席で動きます。お尻ボコボコや耳元プシュはなく、椅子の動きと振動だけです。まだ、こちらの方が自然なような印象でしたが、プラス1000円支払うにはまだまだで満足度60%くらいです。今後の更なる進化を期待したいです。映画はとても楽しめました。
 それと今回、スターウォーズの予告編を初めて観ました。いよいよ来月です。


 食事は、用事があり、ノースポートモールからモザイクモールに移動して、地下のフードコートで「丸亀製麺」の釜揚げうどんです。丸亀製麺は今やどこにでもあり珍しくないのですが、特に釜揚げうどんが美味しいです。


 私も香川県の讃岐うどんを経験するまではよく知らなかったのですが、釜揚げというのは、12~15分茹でて、そのままを食べる、もっちりした食感のうどんです。一方で、ちょっと前まで(あるいは今でも)釜揚げと称されて日本中で出されていたモノは、茹でた後、一旦水で締めたもの(作り置きしたもの)を再度お湯の中に戻した香川県で言うところの「湯だめ」うどんでした。


 これは別モノです。断然、本当の釜揚げうどんが美味く、それを提供している丸亀製麺です。漬け汁もいい感じで、大盛りでもペロリといけます。





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